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大山観光電鉄大山鋼索線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
追分駅 (神奈川県)から転送)
大山鋼索線
大山ケーブルカー 2号車
大山ケーブルカー 2号車(2017年12月)
概要
通称 大山ケーブルカー
種別 鋼索鉄道
起終点 起点:大山ケーブル駅
終点:阿夫利神社駅
駅数 3駅
運営
開業 1931年昭和6年)8月1日
廃止 1944年(昭和19年)2月5日
再開 1965年(昭和40年)7月11日
所有者 大山観光電鉄
運行方法 単線2両交走式
路線諸元
路線総延長 0.8 km (0.50 mi)
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
運行速度 3.5 m/s (11 ft/s)[1]
最高地点 標高 678 m (2,224 ft)
高低差 278 m (912 ft)
最急勾配 477 [2] (25 ° 30 )[1]
テンプレートを表示
停車場・施設
PENDEa
0.0 大山ケーブル駅
PSTR
TUNNEL2
hSTRae
hSTRae
BS2+l BS2+r
PSTR(R) PSTR(L)
0.4 大山寺駅
BS2l BS2r
TUNNEL2
STR
STR
PSTR(R)
PENDEe(RF)
0.8 阿夫利神社駅

大山鋼索線(おおやまこうさくせん)は、神奈川県伊勢原市の大山ケーブル駅から阿夫利神社駅に至る大山観光電鉄ケーブルカーである。大山ケーブルカーと呼ばれている。

概要

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丹沢山地の南東にある大山を登るケーブルカーで、山上にある大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)への参詣のほか、大山・ヤビツ峠方面へのハイキングなどに利用されている。

小田急電鉄が発売する「丹沢・大山フリーパス」は、Aキップに限り当路線が対象に含まれる(Bキップでは適用外・別料金)。また、乗車券購入時にはPASMOなど交通系ICカード全国相互利用サービス対応ICカード9種類を利用可能(物販扱いのためPiTaPaは利用不可)。

路線データ

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歴史

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江戸時代から庶民の信仰を集めた「大山講」で賑わいを見せた大山阿夫利神社への参詣の便を図るために建設された。1931年に開業し、1944年まで大山鋼索鉄道として営業していたが、戦後1965年になってこれを大山観光電鉄の運営で復活した。戦時中不要不急路線として休止ないし廃止されたケーブルカーの中ではもっとも遅く復活開業した路線である[7]

  • 1927年昭和2年)9月22日 大山鋼索鉄道発起人に対し大山町地内1マイル (1.6 km) の鉄道免許状下付[8]
  • 1928年(昭和3年)9月 大山鋼索鉄道設立。所在地は東京市麹町区丸ノ内[9]
  • 1931年(昭和6年)8月1日 大山鋼索鉄道 追分 - 不動尊 - 下社間 0.7 km が開業[10]
  • 1937年(昭和12年)9月14日 大山町地内下社 - 山頂間 指定期限までに工事竣工せざるため免許取消[11]
  • 1944年(昭和19年)2月5日[5][12] 不要不急線として追分 - 下社間を廃止[1]
  • 1950年(昭和25年)7月21日[4][1] 大山観光設立[13][1]
  • 1951年(昭和26年)2月19日[4] 大山観光に対し追分 - 下社間の地方鉄道敷設免許[7]
  • 1953年(昭和28年)8月 大山観光電鉄に社名変更[1]
  • 1965年(昭和40年)7月11日 大山観光電鉄 追分 - 下社間 0.8 km が開業[4][5][13]
  • 1977年(昭和52年)3月13日 ケーブルカーが急停車したため、乗客や車掌ら12人が負傷。[14]
  • 2008年平成20年)10月1日 追分駅を大山ケーブル駅、不動前駅を大山寺駅、下社駅を阿夫利神社駅に改称[15]
  • 2012年(平成24年)
  • 2015年(平成27年)
    • 5月17日 この日の営業をもって、戦後の再開業以来使用されてきた客車「たんざわ」号・「おおやま」号が運行終了[3][17]
    • 5月18日 同年9月30日までの予定で、車両・レール・枕木・電気設備等の大規模更新工事を実施するため長期運休[18]
    • 10月1日 新型車両の運行開始[19][20]

運行形態

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9時台 - 16時台(土休日は17時台)にかけて20分間隔で運行。多客期は増発や営業時間の延長が行われる。大山ケーブル - 阿夫利神社間の所要時間は6分。

車両

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2015年まで運行していた大山ケーブルカー「おおやま」号(2008年7月)

2015年(平成27年)まで約50年間使用された車両は「たんざわ」号、「おおやま」号の2両であった[3][17][18][13]2005年(平成17年)10月に最終の車両塗装デザイン変更と改装を行った[1][13]。老朽化に伴う設備交換で2015年5月17日をもって運行を終了した[3][17][13]。「たんざわ」号の車体は千葉県いすみ市の「ポッポの丘」で保存展示されている[21]

2015年10月1日に新造車両が運行を開始した[19]。デザインは小田急ロマンスカーVSEMSEや、箱根登山鉄道(現:小田急箱根)のアレグラ号のデザインを手がけた岡部憲明アーキテクチャーネットワークが担当[20]。製造は小田急エンジニアリング川崎重工業大阪車輌工業が担当した[20]。車体色はブリリアント・グリーンを基本とし、1号車はゴールド、2号車はシルバーの固有色が前面と側面に配されている[20]。「大山の特色ある眺望・景観を取り込んだ展望車両」というコンセプトで、山下側に展望席が設けられ、前面から屋根まで連なる大型曲面ガラスが採用されている[20]。また車内照明や放送装置の電源用にリチウムイオン電池を搭載。剛体架線でリチウムイオン電池を充電する駅構内以外は、眺望を阻害していた架線を撤去した[20]

駅一覧

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全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML
駅名 駅間
営業キロ
営業キロ 線路 位置
大山ケーブル駅(おおやまケーブルえき) - 0.0 MAP
大山寺駅(おおやまでらえき) 0.4 0.4 MAP
阿夫利神社駅(あふりじんじゃえき) 0.4 0.8 MAP
  • 大山寺駅は無人駅、その他の2駅は有人駅である。

大山ケーブル駅

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頭端式ホーム2面1線の地上駅。標高400 m[1]。2008年9月30日まで追分駅(おいわけえき)と称していた。当駅から山麓方面を結ぶ大山登山鉄道が接続する計画が存在したが、1961年に免許申請が取り下げられた。

大山寺駅

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大山寺の最寄り駅で、相対式ホーム2面2線の地上駅。標高512 m[1]。1番ホームと2番ホームは跨線橋で連絡している。

ケーブルカーの行き違い箇所に駅が設けられており、日本に現存する鋼索線では唯一の例である。列車により発着番線が異なり、線路にケーブルがある方に阿夫利神社行が、ケーブルがない方に大山ケーブル行が発着する(1号車は大山寺側の1番ホーム、2号車は跨線橋を介する2番ホームに必ず発着する)。

2008年9月30日まで不動前駅(ふどうまええき)と称していた。

阿夫利神社駅

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大山阿夫利神社(下社)の最寄り駅で、単式ホーム1面1線の地上駅。標高678 m[1]。2008年9月30日まで下社駅(しもしゃえき)と称していた。かつては当駅から大山の山頂までの延伸計画が存在したが、1937年に免許取消となった[8][11]

接続路線

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  • 大山ケーブル駅:小田急小田原線伊勢原駅から神奈川中央交通バス(伊10系統・伊11系統)「大山ケーブル」行で約25分、終点「大山ケーブル」バス停下車、徒歩15分(約600 m)。
    バス停から大山観光電鉄大山ケーブル駅までの間は「こま参道」と呼ばれる上り階段が続き、その沿道には多数のお土産屋や茶店が並ぶ観光地となっている。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l 会社概要”. 大山観光電鉄. 2012年10月25日閲覧。
  2. ^ けいてつ協會『知られざる鉄道』JTB、1997、p.184
  3. ^ a b c d “大山ケーブルカー、50年分のありがとう 新型車両は10月から”. 朝日新聞(朝日新聞社). (2015年5月18日)
  4. ^ a b c d e 国土交通省鉄道局監修『平成18年度 鉄道要覧』電気車研究会・鉄道図書刊行会、2006年、p.184
  5. ^ a b c d 和久田康雄『私鉄史ハンドブック』電気車研究会、1993年、p.81
  6. ^ 今尾恵介『日本鉄道旅行地図帳』4号 関東2、新潮社、p.44
  7. ^ a b 1951年の運輸審議会にて免許「運輸省告示第36号」『官報』1951年3月3日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ a b 「鉄道免許状下付」『官報』1927年9月27日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 日本全国諸会社役員録。 第39回(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1931年8月10日(国立国会図書館デジタルコレクション)距離は官報による。
  11. ^ a b 「鉄道免許取消」『官報』1937年9月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ 岸田 (2015)によれば2月11日
  13. ^ a b c d e 岸田法眼 (2015年6月1日). “フォーエヴァースペシャル2015-鉄道車両の引退が相次ぐIII-”. Yahoo!ニュース(個人). オリジナルの2015年6月2日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20150602141028/http://bylines.news.yahoo.co.jp/kishidahougan/20150601-00045965/ 2015年6月5日閲覧。 
  14. ^ 大山参りのケーブルカー 急停車、12人がけが『朝日新聞』1977年(昭和52年)3月14日朝刊、13版、23面
  15. ^ 10月から全駅名が変更 - タウンニュース 伊勢原版、2008年9月12日号
  16. ^ a b “大山ケーブルカー、きょう2日運行再開、阿夫利神社節分祭は予定通り/伊勢原”. 神奈川新聞. (2012年2月2日). http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1202010044/ 2012年2月3日閲覧。 
  17. ^ a b c 長真一(2015年5月20日). “大山ケーブルカー:旧型車両が最終運行 9月末まで運休”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  18. ^ a b 「大山ケーブルカー」長期運休のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)大山観光電鉄、2015年1月29日。オリジナルの2015年5月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20150524220619/http://www.ooyama-cable.co.jp/newsrelease2015_01.pdf2015年5月25日閲覧 
  19. ^ a b 倉持裕和 (2015年10月2日). “神奈川)大山ケーブルカーに新型車両登場 駅で出発式”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). オリジナルの2015年10月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151003191938/http://www.asahi.com/articles/ASH9Z5SN8H9ZULOB01T.html 2017年5月22日閲覧。 
  20. ^ a b c d e f 「新型大山ケーブルカー」デザイン決定!』(PDF)(プレスリリース)大山観光電鉄、2015年3月24日。オリジナルの2015年5月13日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20150513001016/http://www.ooyama-cable.co.jp/newsrelease2015_02.pdf2015年5月25日閲覧 
  21. ^ ポッポの丘案内

関連項目

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外部リンク

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