長野電鉄3000系電車
長野電鉄3000系電車 | |
---|---|
基本情報 | |
運用者 | 長野電鉄 |
製造所 | 近畿車輛 |
種車 | 営団03系電車 |
製造年 | 1989年 - 1990年 |
改造所 | メトロ車両 |
改造年 | 2020年 - 2022年 |
改造数 | 15両 |
運用開始 | 2020年5月30日 |
投入先 | 長野電鉄長野線 |
主要諸元 | |
編成 | 3両編成 (2M1T) |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 90 km/h |
車体長 |
先頭車 18,100 mm 中間車 18,000 mm |
車体幅 | 2,780 mm |
車体高 | 3,990 - 3,995 mm |
車体 | アルミニウム合金 |
台車 | SS-111・SS-011 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
駆動方式 | WN平行カルダン |
歯車比 | 15:86=1:5.73 |
制御方式 | IGBT素子VVVFインバータ制御 |
制御装置 | 三菱電機製 MAP-198-15V237 |
制動装置 | 電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ・抑速ブレーキ併用) |
保安装置 | ATS |
長野電鉄3000系電車(ながのでんてつ3000けいでんしゃ)は、長野電鉄の通勤形電車。東京地下鉄(東京メトロ)の03系を改造したものである。
概要
[編集]長野電鉄では1993年から3500系・3600系を運行してきたが、製造から50年以上が経過したことで老朽化が進行していた。2005年には8500系を導入して特に状態の悪い非冷房車を置き換えたものの、8500系は抑速ブレーキを装備していないことから急勾配(40パーミル)の存在する信州中野駅 - 湯田中駅間に入線できず、引き続き3500系が運行されてきた[1]。
このような中、長野電鉄は東京メトロが日比谷線で運用してきた03系の運用終了時期と、3500系・3600系の更新時期が合致したことから、2020年1月31日に新型車両の導入計画を発表[2]。03系を譲受の上、3両編成に改造して導入することを明らかにした。置き換え対象となる3500系・3600系は元々1994年まで日比谷線で運用されてきた3000系を譲受したものであり、偶然にも日比谷線での世代交代を26年ぶりに長野電鉄で再現した形となった[1]。2022年度までに5編成を導入[3]し、残存する3500系・3600系を順次置き換えた。
形式名は長野電鉄の称号規程に基づき3000系とされた[1]。改造工事は東京メトロの関連会社であるメトロ車両が担当している[1]。
構造
[編集]車体
[編集]導入時に行先表示器(正面・側面)を幕式のものからフルカラーLEDに交換し、列車番号と車番が表記されていた窓は埋められている。また、スカートが新たに設置された[1]。
導入当初は営団時代と同様の黒+クリーム+グレーの帯だったが、運行開始前にグレーの部分が先頭部のみ赤色に変更された。また、側面の東京メトロの社章は長野電鉄のものとなり、他に号車番号のステッカーも新たに貼付されている。
-
側面行先表示器
車内
[編集]基本的に東京メトロ時代の内装を維持しているが、室内灯はLED照明に変更されている。乗降扉には寒冷地対策としてレールヒーターが装備されたほか、各車両片側3箇所のドアのうち1箇所に半自動ドアボタンが追加された。半自動運用時にはドアボタンのないドアは締切扱いになる[1]。また、ドアチャイムや旅客情報案内装置は東京メトロ時代のものを使用している。
-
車内
-
優先席
-
ドア上のLED式表示器
-
車外側ドアボタン
-
車内側ドアボタン
走行機器
[編集]03系時代の走行機器が基本的にそのまま使用されるが、長野電鉄の路線規格に合わせて最高速度が110km/hから90km/hに引き下げられている[1]。
当初落成時の電動車の制御装置には高周波分巻チョッパ制御が採用されていたが、2012年から2013年にかけてIGBT素子VVVFインバータ制御に更新されており、これがそのまま使用されている[1]。長野電鉄でVVVFインバータ制御の車両が導入されるのは初めて[2]。
組成される3両には元々補助電源装置がなかったため、03-300形および03-700形の補助電源装置を移設、また空気圧縮機 (CP) は新製され、どちらもCT1車への搭載とした[1]。
運転機器は03系時代のものを踏襲しているが、車両制御情報管理装置 (TIS) を撤去しているほか、抑速ブレーキの追加とワンマン運転への対応の改造(ドアを開けるために運転士が車掌スイッチに差し込む「忍び錠」を使った乗降ドアの操作を行うための改造など)を実施している[1]。
8号車(03-100形)・7号車(03-200形)・1号車(03-800形)を流用したものとなっている。2M1T編成とするため、03-800形を電装化している[1]。
形式
[編集]- クハ3050形
- 湯田中寄りの制御車。種車は03-100形。空気圧縮機と補助電源装置を搭載する。
- モハ3000形
- 中間電動車。種車は03-200形。主制御器とパンタグラフを搭載する。
- デハ3010形
- 長野寄りの制御電動車。種車は03-800形。
-
クハ3050
-
モハ3000
-
デハ3010
編成表
[編集]形式 | ← 湯田中 長野 →
|
営業運転開始日 | |||
---|---|---|---|---|---|
クハ3050 (CT1) |
モハ3000 (M1) |
デハ3010 (CM2) | |||
機器 | SIV,CP | ◇ VVVF | |||
編成 | M1 | クハ3051 (03-104) |
モハ3001 (03-204) |
デハ3011 (03-804) |
2020年5月30日 |
M2 | クハ3052 (03-105) |
モハ3002 (03-205) |
デハ3012 (03-805) |
2021年3月27日 | |
M3 | クハ3053 (03-106) |
モハ3003 (03-206) |
デハ3013 (03-806) |
2022年3月24日 | |
M4 | クハ3054 (03-107) |
モハ3004 (03-207) |
デハ3014 (03-807) |
2022年3月24日 | |
M5 | クハ3055 (03-108) |
モハ3005 (03-208) |
デハ3015 (03-808) |
2020年6月22日 |
- VVVF:VVVFインバータ装置
- SIV:補助電源装置(静止型インバータ)
- CP:空気圧縮機
- ◇:菱形パンタグラフを2基搭載
- ( )内は東京メトロ時代の車両番号。
沿革
[編集]- 2020年(令和2年)
- 2021年(令和3年)3月27日 - M2編成が運行を開始[7][8]。
- 2022年(令和4年) 3月24日 - M3編成・M4編成が運行を開始。当初予定の5編成の増備が完了した[9]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k 岸田法眼 (2020年8月4日). “東京メトロ03系がなぜ長野に?長野電鉄3000系デビューを追う”. bizSPA!フレッシュ. 2020年11月2日閲覧。
- ^ a b c “新型通勤車両の導入について”. 長野電鉄 (2020年1月31日). 2020年11月2日閲覧。
- ^ “長野電鉄、新車両「3000系」の本格運用開始”. 日本経済新聞. (2020年6月22日) 2020年10月1日閲覧。
- ^ 新型通勤車両3000系運行開始の延期について - 長野電鉄、2020年4月14日
- ^ 長野電鉄は創立100周年を迎えました(2020年5月30日)長野電鉄
- ^ 3000系の運行について - 長野電鉄、2020年6月22日
- ^ 3000系M2編成の運行開始について - 長野電鉄、2021年3月26日
- ^ 岸田法眼 bizSPA!フレッシュ「引退した東京メトロ03系車両が、北陸鉄道で再デビュー。変身ぶりをルポ」
- ^ 3000系M3編成・M4編成の運行開始について - 長野電鉄、2022年3月24日
- ^ “長電の普通電車、省電力型に 28年度までに「3000系」などに置き換え方針|信濃毎日新聞デジタル”. 信濃毎日新聞デジタル. 2022年2月26日閲覧。
- ^ “鉄道界でも「移住」が活発!? 首都圏の車両が長野で活躍する理由って?”. SuuHaa. 2023年3月7日閲覧。