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平敦盛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
青葉の笛から転送)
 
平 敦盛
平敦盛像(狩野安信筆、須磨寺蔵)
時代 平安時代末期
生誕 嘉応元年(1169年
死没 元暦元年2月7日1184年3月20日
別名 無官大夫
墓所 高野山奥の院、須磨寺(首塚)
須磨浦公園(胴塚)
官位 従五位下若狭守
主君 安徳天皇
氏族 桓武平氏維衡流(伊勢平氏
父母 父:平経盛
兄弟 経正経俊敦盛
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平 敦盛(たいら の あつもり)は、平安時代末期の武将平清盛の弟・経盛の末子。位階従五位下官職にはついておらず、無官大夫と称された。

生涯

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笛の名手であり、祖父・平忠盛鳥羽院より賜った『小枝』(または『青葉』)[注釈 1]という笛を譲り受ける。承安4年(1174年)から治承2年(1178年)まで若狭守に任じられており、過去に官職についていた経歴はある。

平家一門として17歳[注釈 2]一ノ谷の戦いに参加。源氏側の奇襲を受け、平家側が劣勢になると、騎馬で海上の船に逃げようとした敦盛を、敵将を探していた熊谷直実が「敵に後ろを見せるのは卑怯でありましょう、お戻りなされ」と呼び止める。敦盛が取って返すと、直実は敦盛を馬から組み落とし、首を斬ろうと甲を上げると、我が子・直家と同じ年頃の美しい若者の顔を見て躊躇する。直実は敦盛を助けようと名を尋ねるが、敦盛は「お前のためには良い敵だ、名乗らずとも首を取って人に尋ねよ。すみやかに首を取れ」と答え、直実は涙ながらに敦盛の首を切った[1]。このことから、直実の出家の志が一段と強くなったという発心譚が語られる。「延慶本」や「鎌倉本」の『平家物語』では、直実が敦盛の笛(または篳篥)を屋島にいる敦盛の父・平経盛の元に送り、直実の書状と経盛の返状が交わされる場面が描かれている。

この『平家物語』の名場面は、のちに敦盛』、幸若舞敦盛』、文楽/歌舞伎一谷嫩軍記』などの題材となった。織田信長の好んだ歌「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり。一度生を享け滅せぬもののあるべきか 」は幸若舞『敦盛』の一節である。

墓所

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首塚
胴塚
  • 敦盛塚(兵庫県神戸市須磨区須磨浦公園) - 毎年3月上旬に敦盛祭が営まれている[2]

伝承

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広島県庄原市には古くから「敦盛さん」という民謡(市の無形民俗文化財)が伝わっている。それによると敦盛の室(玉織姫、庄原では「姫御さん」と呼ばれる)が、敦盛は生きているとの言い伝えを頼りに各地を巡り歩き、庄原に至ってそこに住んだ、という。庄原市春田にはその玉織姫の墓といわれるものが残っている。

直実は建久元年(1190年法然の勧めにより、高野山で敦盛の七回忌法要[3]を行っている。また『一谷嫩軍記』では、実は敦盛は後白河院のご落胤で、直実はそれを知っていて、自分の息子小次郎の首を刎ねたという記述となっている。

敦盛が所有していた青葉の笛、高麗笛は須磨寺に保管されている。これらの笛は、江戸時代には拝観料を払えば見ることができるようになっており、笛に係る松尾芭蕉の句も残されている[4]

脚注

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注釈

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  1. ^ 『平家物語』では『小枝』(さえだ)という横笛。謡曲では『若葉の笛』という。
  2. ^ 源平盛衰記』では16歳。

出典

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  1. ^ 覚一本『平家物語』「敦盛最期」。
  2. ^ 存亡の危機、歴史ファンに人気「敦盛そば」 神戸”. 神戸新聞NEXT (2019年6月20日). 2019年6月23日閲覧。
  3. ^ 熊谷寺案内:建久元年(1190年)「敦盛卿菩提供養の為、高野山に入る」”. 浄土宗 蓮生山常行院熊谷寺. 2018年12月1日閲覧。
  4. ^ 芭蕉も渋った? 敦盛の笛「高すぎる拝観料」現代では無料に”. 神戸新聞NEXT (2019年6月1日). 2019年6月1日閲覧。

関連文献

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  • 杉本圭三郎 『平家物語(九)』 講談社学術文庫、1988年 ISBN 4-06-158359-X
  • 児玉幸多編 『日本史年表・地図』 吉川弘文館、1995年 ISBN 4-642-07840-1

関連作品

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唱歌「青葉の笛」(大和田建樹作詞、作曲・田村虎蔵)の一番は、敦盛の最期を歌って広く知られる。(二番は平忠度

一の谷の 軍(いくさ)破れ

討たれし平家の 公達あわれ 暁寒き 須磨の嵐に

聞こえしはこれか 青葉の笛

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い ち の た に の い く さ や ぶ れ
う た れ し へ い け の き ん だ ち あ わ れ
あ か つ き さ む き す ま の あ ら し に
き こ え し は こ れ か あ お ば の ふ え
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}
>>
}
歌謡曲
映画
テレビドラマ
アニメーション

関連項目

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外部リンク

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