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須永伝蔵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 
須永 伝蔵
時代 江戸時代後期 - 明治時代
生誕 天保13年12月16日1843年1月16日
死没 明治37年(1904年8月13日
改名 虎之輔、於菟之輔、伝蔵[1]
別名 通貞()、行義(字)、笠野外史[1]
戒名 奚疑院楽天知命居士[2]
幕府 江戸幕府一橋家家中、幕臣)
主君 徳川慶喜
父母 須永宗次郎、渋沢宗助の五女
兄弟 伝蔵渋沢市郎
岡部五郎[3]
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須永 伝蔵(すなが でんぞう)は、日本農民出身の武士一橋徳川家家臣、幕臣)、酪農家、農業指導者、政治家仙石原村村長(第2代)。幕末には於菟之輔(おとのすけ)の通称を名乗った。渋沢栄一の従弟にあたり、弟の才三郎(渋沢市郎)は栄一の生家(渋沢中の家)の家督を継いでいる。

略歴

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幕末期

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幕領上野国新田郡成塚村(現群馬県太田市成塚町)の農家に生まれる。7歳の時に父を、14歳の時に祖父を失う。母方の叔父にあたる渋沢市郎右衛門より剣術を学んだ。文久3年(1863年)市郎右衛門の子栄一や共通の従兄である渋沢成一郎尾高惇忠らの高崎城奪取・横浜外国人居留地焼き討ち計画に加わるものの未発に終わる。文久4年(1864年一橋家に仕えていた栄一・成一郎の募兵に応じて上京し、大砲方として一橋家に仕官する。同年、上京を図る武田耕雲斎天狗党残党の討伐に先発隊として従軍。元治2年(1865年)栄一とともに募兵のために各地へ出張する。慶応2年(1866年一橋慶喜徳川宗家を継承したが、引き続き仕えた。慶応3年(1867年江戸勤めとなる。

同年、王政復古の報に触れると本多敏三郎伴貞懿らとともに上京を図るも、老中立花種恭に制止されたため、集議所の設立を建言する。直後の鳥羽・伏見の戦いに敗れた慶喜が蟄居すると、種恭と松平直克の間を周旋して朝廷への恭順謝罪のために奔走したが、関東は依然動揺を続けたため本多・伴らとともに諸隊結成を発議し、渋沢成一郎・天野八郎らの賛同を得て彰義隊を結成して幹事に就任した[4]。その後は隊務で水戸へ赴いたが、ほどなく隊内で渋沢成一郎と天野八郎の間で対立があり分派した。自身は渋沢成一郎の派に属したが再度水戸に赴き、水戸謹慎中の慶喜に従っていた高橋泥舟の依頼で水戸藩士を束ねて奥羽諸藩への合流を図った。しかし須賀川にいたところで会津戦争に遭ったため仙台藩に移り、榎本武揚艦隊にあった成一郎らと塩釜港で一時合流したものの、結局江戸へ引き返して泥舟を頼り、ともに駿府へと移った。

明治期

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須永 伝蔵
すなが でんぞう
生年月日 1843年1月16日
出生地 上野国新田郡成塚村
没年月日 (1904-08-13) 1904年8月13日(61歳没)
前職 耕牧舎支配人
親族 渋沢市郎(弟)
渋沢治太郎(甥)
渋沢栄一(従兄)

仙石原村会議員
当選回数 2回
在任期間 1981年 - 1985年
1901年 - 1902年

仙石原村長
在任期間 1902年 - 1904年
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維新後は栄一の出資した聯成社紅茶伝習所で紅茶の生産を学んだ後、千葉県で羊牧を学ぶ。明治13年(1880年)栄一や益田孝の協力を得て箱根仙石原の払下地に日本初の乳牛牧場「耕牧舎」を開き、牛乳やバターの生産に従事した[5][6]。明治24年(1891年)には仙石原村村議会議員に就任(~明治28年、明治34年再任)[7]

明治20年代後半からは仙石原の水不足に端を発した芦ノ湖水利を巡って静岡県側へ分水する箱根用水を管理する深良村外六ケ村水利組合と衝突し、明治29年(1896年仙石原村村長勝俣沢次郎・近隣村大窪村村長市川文次郎と箱根付近の村民らとともに堤を破壊する事件を起こし(逆川事件)、静岡側より勝俣・市川とともに訴訟を起こされた。判決は二転し大審院まで争ったが、明治31年(1898年)刑事では禁固1か月・罰金2円の有罪、明治35年(1902年)仙石原村村長に就任。栄一や富田鐵之助の仲介を得て、水利の都合を条件に静岡側と和解した[8][7]。箱根側への分水設備が整わないまま、明治37年(1904年)に死去した[9][7]

登場作品

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出典

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参考文献

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  • 上田正昭; 西澤潤一; 平山郁夫 ほか 編「須永伝蔵」『日本人名大辞典』講談社、2001年。ISBN 9784062108003 
  • 根橋直人「深良用水と逆川事件」『土木史研究』 13巻、土木学会、1993年。 
  • 山崎有信『彰義隊戦史』隆文館、1904年、427-444頁。 
  • 高瀬和昌『箱根用水の開削と利水の展開に関する研究』1997年、82-93頁。 
  • 箱根温泉供給株式会社社史編纂委員会『箱根温泉供給社史』箱根温泉供給株式会社、1982年、14-16頁。 
  • 田中彰 著「彰義隊」、国史大辞典編集委員会 編『国史大辞典』 7巻、吉川弘文館、1987年。ISBN 4642005080 
  • 鈴木棠三; 鈴木良一 編『日本歴史地名大系』 14巻《神奈川県の地名》、平凡社、1984年。ISBN 4582910335 
  • 竜門社『渋沢栄一伝記資料』 57巻、渋沢栄一伝記資料刊行会、1964年。