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鶴川 (山梨県)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鶴川
鶴川 2005年11月10日撮影
山梨県上野原市西原字郷原
水系 一級水系 相模川
延長 26.3 km
平均流量 -- m3/s
流域面積 107.2 km2
水源 山梨県北都留郡
小菅村長作
水源の標高 -- m
河口・合流先 桂川(相模川)左岸
上野原市松留地先)
流域 山梨県
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鶴川(つるかわ)は、山梨県北都留郡小菅村および上野原市を流れる相模川水系河川

地理

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山梨県北都留郡小菅村長作の鶴峠付近に広がる針葉樹林に源を発し、水源近くに開けた小菅村長作集落を抜けるとすぐに上野原市に入り、おおむね東南方向に流路を保ちながら西原さいはら棡原ゆずりはらを抜けて、上野原市中心市街付近で桂川(相模川)に合流する。流域の大半は上野原市内を流れており、沿川には各所に集落が開けている。

急峻な山間集落を縫うように流れており、周囲の豊かな水源林が迫り、各所から流れ出るを集めて流下し、深い渓谷を形成している。沿川ではこの綺麗な水を利用したわさび栽培などの農業が営まれている。

概ね流域に沿って山梨県道18号上野原丹波山線が通っており、沿川住民の生活道路となっている。

支流

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  • 小焼沢
  • 無名沢
  • 阿寺沢川
  • 尾名手沢
  • 仲間川

生態系

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沿川には豊かな水源林が護られており、沿川にはダムなどが造られていないことから水質汚濁や生息域分断などが起きておらず、近年の水質測定でも A類型(水道2級・水産1級)と比較的綺麗な水準に保たれている。

この綺麗な水に育まれ、魚類ではイワナヤマメアマゴカジカなどの渓流魚やアユアブラハヤウグイオイカワなどが、両生類ではモリアオガエルハコネサンショウウオなどの生息が確認されている。また周辺ではキマダラルリツバメなどの希少昆虫をはじめとする小動物や、各種野鳥の生息地にもなっている。

棡原地区

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沿川の古代から修験道の軍刀利神社ぐんだりじんじゃとともに歩んできた上野原市棡原ゆずりはら地区は、かつては長寿の村と呼ばれ、往時には山村集落としてにぎわった。

しかし住民の高齢化が進み、また都市一極集中政策が続いていることもあって、住民が人や商店の密集した上野原市の市街地に転居してしまい、当地も過疎化を免れず、唯一の公共交通機関である富士急バス路線バスも採算悪化などから大幅減便され(2006年現在、毎日5往復程度運行)、学童の送迎にスクールバスが運行されるなど生活に不便が生じている。

東京都心に直通する通勤列車の便が大月市まで延長されたことなどを受け、下流の桂川流域には団地が造成されるなどの変化もあったが、一旦鶴川沿いに入るとかつての山村のまま、古代からの歴史に包まれた軍刀利神社(ぐんだりじんじゃ)と里山的風景が残っている。

穀菜食の村

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棡原地区は山間地にあり、斜面の畑ばかりである。このため穀物とイモ類、豆類、野菜の食事が長寿を生んだという。自米や肉はほとんど食べない[文 1] [報 1]。このような麦を中心に据えた穀菜食で、魚肉卵、牛乳、小魚、海藻類控えめ文化で長寿者を輩出した山梨・棡原地区[文 2][報 2]1938年昭和13年)に古守豊甫(こもりとよすけ)は代用教員、後に医師として甲府市から棡原村に通い、棡原は全国でも珍しく、村人に夫婦揃って長寿者が多いことを発見したのである[文 3]。この功績により昭和51年に日本医師会最高優功賞を受賞された。[文 4]

旧棡原村の入り口にある記念碑には、次のように書かれている。「古来、村人は健康で人情に篤く、粗衣粗食、耕雲種月の日々を楽しんできた…(中略)…女性は多産且つ母乳豊富、老人は皆天寿を全うしまさに、身士不二(しんどふじ)の桃源郷である」。その関係か、軍刀利神社の第一鳥居の脇には、浅間講の大きな石碑が建っているが、講が盛んだったようである。

食物と健康長寿の疫学調査に焦点を絞って1950年ころから35年間に渡り、棡原村で毎年調査を続けてきた岩手大学教育学部名誉教授 鷹觜テル(1921年-2000年)は、調査所見の中で動脈硬化は少なく脳卒中・心筋梗塞の頻度は極めて低く、記憶力が優れ応答も確かで恍惚の人はいなかったと、「健康長寿の食生活」で報告している[文 5][文 4]

「ふるさと長寿館」に建つ行幸啓碑とバス路線の開通

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棡原ゆずりはら地区には、平成8年に天皇・皇后が行幸した「ふるさと長寿館」がある[国 1][上 1][公 1]1954年(昭和29年)に長寿の村と全国に知りわたった棡原にも念願のバス交通が開通した[文 5]。ところがその後に1970年ころから民宿が盛んになり現金収入が多くなって[文 5]、村の食生活、生活様式の急変を受け、親が子の葬式を出す「逆さ仏」[1]、「長寿村・短命化の教訓」[文 5]のモデルとなった[報 3][協 1][報 4][上 2][文 6]

注釈

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報道関係資料
  1. ^ 山梨・棡原の長寿は〝穀菜食〞が作った(38)”. ヘルスビジネスオンライン (2023年5月23日). 2023年6月16日閲覧。
  2. ^ 36年間日本全国を調査してわかった「長寿の12ルール」”. ダイヤモンド オンライン. 2023年7月20日閲覧。
  3. ^ 長寿の里探訪 山梨・棡原 寿命は食べた野菜の量に比例”. 日本食糧新聞社 (1996年7月10日). 2023年6月15日閲覧。
  4. ^ 知られざるキーワードは“無尽”!? 最強の健康長寿「山梨県」のDNA”. デイリー新潮 (2018年1月28日). 2023年6月15日閲覧。
上野原市資料
  1. ^ 発見うえのはら - 長寿館”. 上野原市観光協会. 2023年6月14日閲覧。
  2. ^ 上野原市#長寿
環境庁・農林水産省関係資料
  1. ^ 特集2 ほっとするね。おばあちゃんの懐かしご飯(2)”. 農林水産省 (2013年5月). 2023年6月14日閲覧。
公益社団法人資料
  1. ^ ふるさと長寿館(ふるさとちょうじゅかん)”. 公益社団法人やまなし観光推進機構 (2021年6月9日). 2023年6月4日閲覧。
NPO資料
協会と神社庁、協同組合資料
  1. ^ 40年前 長寿日本一の村 山梨県棡原村。”. 腸内環境協会 (2016年4月20日). 2023年6月15日閲覧。
学術論文
  1. ^ 病気と食事” (pdf). バイッパシー協会会報 Vol29 (2013年6月). 2023年12月28日閲覧。
  2. ^ 7.日本の長寿村・短命村の食事 - 腸から健康を考える」学校法人三橋学園夏見台幼稚園。2023年7月20日閲覧
  3. ^ 第18回 山梨県(上野原市)せいだのたまじ”. 日清オイリオグループ株式会社 (2011年8月22日). 2023年7月19日閲覧。
  4. ^ a b VI. 健康食品管理士になって 利見和夫” (pdf). 日本食品安全協会会誌 第11巻 第2号 (2016年). 2023年12月28日閲覧。
  5. ^ a b c d 日本 長寿村 短命村:(参考文献「日本 長寿村 短命村」近藤正二 1991年4月1日 著者 東北大学医学部衛生学名誉教授、「健康長寿 食生活」 鷹觜テル1996年6月30日 本 泉社 著者 岩手大学教育学部名誉教授、「長寿食 世界探検記」家森幸男 2000年5月20日 講談社 著者 武庫川女子大学教授)” (pdf). ウエルネス・サークル (2015年3月11日). 2023年7月5日閲覧。
  6. ^ 8.「食の主体性」とは? - 腸から健康を考える”. 学校法人三橋学園夏見台幼稚園. 2023年7月20日閲覧。

外部リンク

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