3,3'-ジクロロベンジジン
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3,3'-ジクロロベンジジン[1] | |
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4-(4-アミノ-3-クロロフェニル)-2-クロロアニリン | |
別称 (1,1-Biphenyl)-4,4-Diamine,3,3-dichloro; 3,3-dichloro-4,4-biphenyldiamine 4,4'-Diamino-3,3'-dichlorobiphenyl o,o'-Dichlorobenzidine 3,3'-Dichlorobiphenyl-4,4'-diamine 3,3'-Dichloro-4,4'-biphenyldiamine 3,3'-Dichloro-4,4'-diaminobiphenyl | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 91-94-1 |
PubChem | 7070 |
ChemSpider | 6803 |
KEGG | C19225 |
ChEMBL | CHEMBL314470 |
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特性 | |
化学式 | C12H10Cl2N2 |
モル質量 | 253.13 g/mol |
外観 | 灰色ないし紫色の結晶性粉末 |
融点 |
132 to 133 |
沸点 |
402 |
水への溶解度 | 0.07% (15°C)[2] |
危険性 | |
主な危険性 | Potential carcinogen[2] |
許容曝露限界 | carcinogen[2] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
3,3'-ジクロロベンジジン(英: 3,3'-Dichlorobenzidine)は、化学式(C6H3Cl(NH2))2で表される有機化合物である。純粋なものは淡黄色であるが、流通している商品は着色されている。水には溶けにくく、多くの場合湿潤させてペースト状にして供給される。ジアリライド染料や、印刷インキに使用されるジアリライド系黄色顔料の原料となる[3]。
調整と反応
[編集]3,3'-ジクロロベンジジンは、2-ニトロクロロベンゼンから2段階で製造される。まず塩基性の亜鉛で還元し、3,3'-ジクロロジフェニルヒドラジンを得る。この中間体からベンジジン転位により、3,3'-ジクロロベンジジンを調製することができる[4]。
3,3'-ジクロロベンジジンの水溶液は光分解し、塩素原子を1つ持つ誘導体となる。これは塩素化を受け、塩素原子を4つ持つ誘導体となる。
最も広く行われている3,3'-ジクロロベンジジンの反応は、二重ジアゾ化で[(C6H4Cl(N2))2]2+を得るものである。この中間体は、アセトアセチルアミノベンゼン(CH3C(O)CH2C(O)NHAr)の誘導体に結合する[3]。
安全性
[編集]3,3'-ジクロロベンジジンは発癌性物質であると考えられている[1]。動物実験では腫瘍発生率の有意な増加を示している[5]。既知の発癌物質であるベンジジンと構造が類似しており、同様のメカニズムでヒトに対し膀胱癌の原因となると考えられる[5]。
脚注
[編集]- ^ a b Dichlorobenzidine - Compound Summary, PubChem.
- ^ a b c NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0191
- ^ a b K. Hunger. W. Herbst "Pigments, Organic" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Weinheim, 2012. doi:10.1002/14356007.a20_371
- ^ Schwenecke, H.; Mayer, D. (2005). "Benzidine and Benzidine Derivatives". Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry. Weinheim: Wiley-VCH. doi:10.1002/14356007.a03_539。
- ^ a b "3, 3'-Dichlorobenzidine". U.S. Environmental Protection Agency, Integrated Risk Information System. 7 March 2011. Accessed 3 May 2011.