75式130mm自走多連装ロケット弾発射機
基礎データ | |
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全長 | 5.8m |
全幅 | 2.8m |
全高 | 2.7m |
重量 | 16.5t |
乗員数 | 3名 |
乗員配置 | 車長(発射班長)、照準手、操縦士 |
装甲・武装 | |
主武装 |
30連装ロケット弾発射機 (弾薬:75式130mmロケットりゅう弾) (最大射程:14.5km[1]) |
副武装 | 12.7mm重機関銃M2 |
機動力 | |
速度 | 50km/h |
エンジン |
三菱4ZF 2ストロークV型4気筒空冷ディーゼル 300hp/2,200rpm |
行動距離 | 300km |
75式130mm自走多連装ロケット弾発射機(ななごしき130ミリじそうたれんそうロケットだんはっしゃき)は、陸上自衛隊の装軌式の自走多連装ロケット砲である[1]。
概要
[編集]広範囲に展開する陸上兵力の制圧を目的として開発され、73式装甲車の試作型「SUII」の車体に、75式130mmロケットりゅう弾[2]の多連装ロケット弾発射機を搭載し[1]、略記号は75MSSR(またはMSSR=Multiple Surface to Surface Rocket)。
1965年(昭和40年)より研究開発を開始し[3]、1973年(昭和48年)から実用試験が行われ[1]1975年(昭和50年)に制式化された[3]。
1977年(昭和52年)より取得、装備され[4]計66両が調達された[5]。1両の調達価格は1983年(昭和58年)において2億2,000万円である。
構成
[編集]73式装甲車の小松製作所製試作型である「SUII」を基にした車体に30連装のロケット弾発射装置を搭載している[1]。発射装置は上から順に7列、8列、7列、8列を重ねた変則的配置となっており、各発射軌道が単純には並んでいない形式になっている[1]。射界は左右50度、最大仰角50度である。
ロケット弾発射装置の他、車体前部右側の車長(発射班長)席には12.7mm重機関銃M2が装備されている。この機銃架はロケット弾の発射時に射線を妨害しないように、射撃時には真横に倒すことができる[5]。
搭載する75式130mmロケットりゅう弾は、4枚の固定フィンを持つ、重量43㎏の単段固体燃料ロケットであり、単発もしくは0.4秒間隔の連射を行う[1]。発射装置とロケット弾は日野自動車製である[3]。
発射機諸元・性能
[編集]出典: 防衛庁 (1975年12月17日). “制式要綱 75式自走多連装130mmロケット弾発射機 XC 5004”. 2004年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月9日閲覧。
諸元
性能
- 俯仰角: 0-50°(左16°-右35°の間は3-50°)
- 旋回角: 左右各約50度
- 最大射程: 約14,500m
- 発射速度: 約12秒/30発
砲弾・装薬
- 弾薬: 75式130mmロケット榴弾
運用
[編集]有翼安定式のロケット弾であるため、射撃時は風の影響を受け易い。そのため、射撃精度の向上を狙い、射撃前に同行している75式自走地上風測定装置により風力・風向などの観測による諸元調整後に、ロケット弾を発射する[1]。射程の関係上、実弾射撃が行えるのは矢臼別演習場に限定されていた(唯一上富良野演習場に関してはM31トレーナー射場において演習弾による射撃のみ行われた事もある)。
配備
[編集]主に北部方面隊の第1特科団、師団特科部隊などに配備された。例外として、北部方面隊以外では唯一、第3特科群(現:第2特科団)第128特科大隊が装備していた。
装備部隊
- 特科教導隊第5射撃中隊(1978年3月編成)
- 第2特科連隊第5特科大隊
- 第5特科連隊多連装ロケット中隊
- 第11特科連隊多連装ロケット中隊
- 第1特科団
- 第4特科群第301多連装ロケット中隊
- 第1特科群第302多連装ロケット中隊
- 第1特科群第127特科大隊
- 第3特科群第128特科大隊
- その他 少数が学校や陸曹教育隊に配備。
装備部隊の廃編[6]や75式自走155mmりゅう弾砲・多連装ロケットシステム(MLRS)への装備更新など[7]により、2003年(平成15年)頃までに全車退役した。
なお、一部駐屯地(湯布院駐屯地など)では展示用として退役車両が現存する。
登場作品
[編集]映画
[編集]漫画・アニメ
[編集]- 『岸和田博士の科学的愛情』
- 日本国防衛軍所属車両が登場。第4巻にて都内に出現した海底科学人型兵器「牛野田マークII」を74式戦車などとともに攻撃する。
- 『ゲゲゲの鬼太郎 激突!!異次元妖怪の大反乱』
- 61式戦車、74式戦車とともに怪気象に対して攻撃を行っている。
- 『最臭兵器』
- 75式自走地上風測定装置とともに登場。強烈な臭気を発しつつ中央自動車道を東京へ向かう主人公を攻撃するが、発射した全弾が臭気に攪乱されてあらぬ方向に飛んでしまい、そのうちの1発が帰ってきて自爆してしまう。
- 『地球防衛企業ダイ・ガード』
- 第1話アバンタイトルの回想シーンに登場。犬吠埼から東京に上陸したヘテロダインを90式戦車などとともに迎撃するが、通用せずに終わる。
- 『ドリームハンター麗夢III 夢隠 首なし武者伝説』
- 東富士演習場で演習中だった車両が登場。巨大化した首なし武者の亡霊を74式戦車などとともに攻撃するが、首なし武者の刀によって一刀両断される。
ゲーム
[編集]- 『Wargame Red Dragon』
- 自衛隊デッキに「75 MSSR」の名称で登場する。
- 『War Thunder』
- 課金ツリーに「Type 75 MLRS」の名称にて登場。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h 世界の戦車と自走砲/ミサイル 1985-1986 PANZER臨時増刊,P133,サンデーアート社,1985年
- ^ "榴"が平仮名なのは官公庁における常用漢字の制限による
- ^ a b c 『自衛隊装備年鑑1990』朝雲新聞社、1990年6月25日、26頁。ISBN 4-7509-1011-2。
- ^ 1976年防衛白書
- ^ a b 「陸上自衛隊の車輌60年」『PANZER』、アルゴノート、2016年8月、71頁。
- ^ 第11特科連隊・第7特科連隊の多連装中隊の廃止
- ^ 最後まで保有していた2特5大隊(師団長直轄の全般支援大隊)は他連隊の99式自走155mmりゅう弾砲導入による75式への管理替えにより置き換えとなっている