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Bluesky

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Bluesky Socialから転送)
Bluesky
設立 2021年8月 (3年前) (2021-08)
本社 デラウェア州ウィルミントン[1]
創業者 ジェイ・グレイバー
ジャック・ドーシー
CEO ジェイ・グレイバー[2]
主要人物
  • ジャック・ドーシー[2]
  • ジェレミー・ミラー[2]
親会社 Bluesky, PBLLC
ウェブサイト
種類 分散型SNS
登録 必要
ユーザー数 増加 50万人(DAU, 2023年9月21日 (2023-09-21)現在[3] or 1000万人(2024年9月23日 (2024-09-23)現在[4]
対応言語 多言語

Bluesky(ブルースカイ)は、Twitter社の共同創業者であるジャック・ドーシーらが発案し2019年に発表された分散型SNSプロジェクト。Twitter社内プロジェクトとして組織され、2021年8月に分社、その後完全にTwitter社から独立した[5]

2023年1月にiOSAndroid向けのアプリの配信が開始された。2023年12月にユーザーインターフェイスの日本語対応が始まり[6]、2024年2月に招待コードによる招待制が廃止され、誰でも登録が出来るようになった[7]

概要

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Blueskyは分散型SNSを開発する新たなプロジェクトである。分散型SNSのため、中央集権的なサーバーが存在しないのが特徴。ユーザーが情報の投稿・収集・共有などが出来る、それぞれ独自のサーバーを持ち、それら複数のサーバーが協調しあって一つのSNSを構成するサービスである[8]。またサードパーティ製アプリを禁止したTwitterと異なり、Blueskyは対照的で自由にタイムラインのアルゴリズムを改変し独自のアプリの作成ができる[9]。またこのプロトコルはブロックチェーン技術を使っていない[10]

2022年半ば、BlueskyはAuthenticated Data Experiment(ADX)の初期先プロトコルをリリースする。ADXは特定のSNSプラットフォームの基盤となるプロトコルではなく、ユーザーが公開したコンテンツをADXを採用しているあらゆるプラットフォームで利用できるようにするプロトコル。Twitterなどの中央集権的なサービスでは、ユーザーデータをプラットホーム側が保有する。しかし、ADXのような非中央集権的なSNSでは個人データはユーザー自身が所有することとなっていて、「いいね」や「共有」などと言った個人データはリポジトリ内に保存される仕組み。このリポジトリ内にデータを保持する「スピーチ」と特定プラットフォームにデータを受け渡す「リーチ」に区別しているのが特徴である[11]。2022年10月に「ATプロトコル」として技術資料とともに簡略版を公開した[12]

2023年5月26日には、投稿された内容に対して事前に設定された条件によって、タイムラインの表示内容を抽出できる「カスタムフィード」の機能が実装。利用者によって作成したカスタムフィードは公開することも可能で、第三者がフィードを購読する形で共有することができる。

歴史

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jack⚡️ Xの短文投稿より
@jack

Twitterは最大5名のオープンソースのアーキテクト、エンジニア、デザイナーからなる小さな独立チームに資金提供して、ソーシャルメディアのためのオープンで分散型の標準を開発しています。目標は最終的にTwitterがこの標準のクライアントになることです。🧵

Dec 11, 2019[13]

当時Twitter社のCEOであったジャック・ドーシーは、2019年にTwitterでBluesky構想を初めて公表した。同社の最高技術責任者(であり後のCEO)であるパラグ・アグラワルがそのマネージャーを務め[10]、2020年初頭に最初の作業部会員を招待した。作業部会は既存の分散型ネットワークであるMastodonActivityPubの代表者で拡大した。このグループは、チャットソフトElementを使って協調した。Twitterは分散型ソーシャル・ネットワークHappeningのジェイ・グレイバーに、分散型ソーシャル・ネットワークの状況について技術的な評価の作成を委託した[9]。2021年8月に彼女はBlueskyのリーダーに就任した[14][15]。Blueskyは2021年8月にTwitterから分離して公益LLC英語版として正式に法人化し、グラバーがCEO、ドーシーが取締役に就任した[16]

Twitterの幹部は、プロトコル自体が網羅すべきものとアプリケーション(標準の上に構築したソーシャル・ネットワーク)に任せるべきものを含め、この構想の範囲と目標について承認した。これらの目標には、アプリケーションがモデレーションのシステムを設定変更できるようにすること、アプリケーションが(規約などに対する)順守と削除要求に責任を持つようにすること、バイラル・アルゴリズムが論争や道徳的な怒りを助長しないようにすることが含まれる。作業部会は、これらの目標に対して共通の合意が得られなかったため、Twitterは、既存の標準の強化から標準の相互運用性の支持、投資先を利用データが決定英語版することまで、さまざまな個別の提案をすることに決めた。2021年初頭、Blueskyは研究段階にあり、分散型技術コミュニティから40人から50人が、選択肢の評価と、プロトコルの提案をまとめる活動をしていた[9]。Blueskyの最初の3名の従業員は、2022年3月に採用された[17]。同じころ、ドーシーはBlueskyの進捗が遅いことを認めた[18]

2021年11月に新たに発表されたTwitterのブロックチェーン部門は、Bluesky構想との連携を計画していた[19]。同部門の責任者は、2022年後半のイーロン・マスクによるTwitterの買収の際に辞任した。スタッフの離脱により、ブロックチェーン部門の今後の任務が不明確になった[20]。マスクによる買収は別法人であるBlueskyの事業にただちに影響するものではなかったが、長期的な資金調達に影響を与えた[18]。Blueskyは、2022年4月のマスクからの最初の申し出により、Twitterから1300万ドルを受け取っていた。ザ・ヴァージのAdi Robertsonは、マスクがTwitterを所有していることからBlueskyを支持する主要な幹部がTwitterを辞めた状態では、Blueskyへの資金拠出は容易に予算削減の対象になるだろうと記事を書いている[10]

2023年7月5日のBlueskyの公式ブログにて[21]、ファンドから800万ドルを調達し、公益LLC(PBLLC)からパブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)への転換と初の収益サービスとしてハンドルに設定できるドメインの販売を開始したことを発表した[22]

2024年5月5日、Blueskyはジャック・ドーシーが代表取締役を辞任したことを発表[23]。辞任した理由についてPirate Wiresが行ったドーシーへのインタビューの中で、自身が考えていたオープンソースのプロトコル的な理想とは程遠い企業になったことを挙げている[24]

2024年9月16日、同サービス内の公式アカウントにて、登録されたユーザー数が1000万人を超えたことが報告された[25]

ATプロトコル

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2022年5月、Blueskyは分散型ソーシャル・ネットワーク・プロトコルである「Authenticated Data Experiment(ADX)」の初期バージョンのオープンソースコードを発表し[26]、その後AT Protocolと命名された[10]。チームは初期のコードを公開し、MITライセンスの下に置いて、開発プロセスが公に見られるようにした[26]

アプリケーション

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2022年10月、BlueskyはATプロトコルを使うアプリケーションの待機リストを開始した[10]。リリース時点では、Blueskyは相互運用性についてのみ対応しており、ATプロトコルがプラットフォームのモデレーションや収益化にどのように対応するかについては明らかにしていなかった[12]。2023年2月、Blueskyアプリケーションが招待制のベータ版としてiOS向けにリリースされた。このアプリケーションを評価したTechCrunchは、「機能的だが、まだ『必要最小限の機能だけを備えたTwitterを使う』ような体験」と評した[27]

脚注

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  1. ^ Division of Corporations - Filing” (英語). Government of Delaware. September 21, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ9 March 2023閲覧。 “Company Name: BLUESKY, PBLLC, File Number: 6282898, Filing State: Delaware(DE), Filing Date: October 4, 2021”
  2. ^ a b c Frequently Asked Questions”. Bluesky. 2023年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ2023年7月23日閲覧。
  3. ^ David F. Carr (September 21, 2023). “Bluesky Hit Daily Active User Record When Musk Said X Will Charge All Users”. 2023年12月29日閲覧。
  4. ^ jazco.dev. “Stats for BlueSky by Jaz(jaz.bsky.social)”. October 31, 2023閲覧。
  5. ^ Belanger, Ashley (2023年4月28日). “Top Twitter influencers flee to Bluesky amid Musk’s continued debasing” (英語). Ars Technica. 2023年5月14日閲覧。
  6. ^ Bluesky、UIがついに日本語対応へ。メニューが日本語化されつつあるとの報告相次ぐ”. INTERNET Watch (2023年12月14日). 2024年2月14日閲覧。
  7. ^ X代替なるかSNS「ブルースカイ」、招待制廃止で誰でも利用可能に 日本語にも対応”. 産経新聞 (2024年2月7日). 2024年2月8日閲覧。
  8. ^ Inc, mediagene (2023年4月14日). “分散型SNS「Bluesky」って今どうなってるの?”. www.gizmodo.jp. 2023年4月27日閲覧。
  9. ^ a b c Twitter’s decentralized future” (英語). TechCrunch (2021年1月15日). September 6, 2021時点のオリジナルよりアーカイブ2021年9月6日閲覧。
  10. ^ a b c d e Will Elon Musk keep funding Twitter’s most interesting side project?” (英語). The Verge (2022年10月29日). November 18, 2022時点のオリジナルよりアーカイブ2023年1月22日閲覧。
  11. ^ Twitterの元CEOが立ち上げた「分散型ソーシャルメディアのオープン標準」プロジェクトが初期テスト版をリリース”. GIGAZINE. 2023年4月28日閲覧。
  12. ^ a b Khalili, Joel (2022年11月2日). “Twitter Had a Plan to Fix Social Media. Will Elon Musk Follow It?” (英語). Wired. ISSN 1059-1028. オリジナルのDecember 30, 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221230032754/https://www.wired.com/story/twitter-had-a-plan-to-fix-social-media-bluesky-will-elon-musk-follow-it/ January 22, 2023閲覧。 
  13. ^ jack⚡️ [@jack] (2019年12月11日). "Twitterは最大5名のオープンソースのアーキテクト、エンジニア、デザイナーからなる小さな独立チームに資金提供して、ソーシャルメディアのためのオープンで分散型の標準を開発しています。目標は最終的にTwitterがこの標準のクライアントになることです。🧵". X(旧Twitter)より2023年3月17日閲覧
  14. ^ Dang, Sheila (2021年8月16日). “Twitter-backed Bluesky picks tech entrepreneur to lead web research group” (英語). Reuters. オリジナルのDecember 21, 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221221121936/https://www.reuters.com/technology/twitter-backed-bluesky-picks-tech-entrepreneur-lead-web-research-group-2021-08-16/ January 23, 2023閲覧。 
  15. ^ Wagner, Kurt (2021年8月16日). “Twitter Finds Leader for ‘Decentralized’ Social Media Project Bluesky” (英語). en:Bloomberg.com. オリジナルのNovember 22, 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221122165544/https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-08-16/twitter-ceo-jack-dorsey-s-bluesky-project-hires-jay-graber January 23, 2023閲覧。 
  16. ^ Dang, Sheila (2022年2月8日). “Twitter-funded social media project Bluesky adds Jack Dorsey to board” (英語). Reuters. オリジナルのJanuary 10, 2023時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230110144222/https://www.reuters.com/technology/twitter-funded-social-media-project-bluesky-adds-jack-dorsey-board-2022-02-08/ January 22, 2023閲覧。 
  17. ^ Dang, Sheila (2022年3月31日). “Social media interoperability project Bluesky names first employees” (英語). Reuters. オリジナルのApril 21, 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220421173543/https://www.reuters.com/business/media-telecom/social-media-interoperability-project-bluesky-names-first-employees-2022-03-31/ April 21, 2022閲覧。 
  18. ^ a b Smith, Tim (2022年4月16日). “Bluesky Funding to Be Reviewed If Twitter Owners Change: Dorsey” (英語). en:Bloomberg.com. オリジナルの2022年4月16日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/ykSzj 
  19. ^ Twitter is launching a dedicated crypto team, part of its push toward decentralization” (英語). The Verge (2021年11月10日). November 17, 2021時点のオリジナルよりアーカイブ2021年11月16日閲覧。
  20. ^ Nicolle, Emily (2022年11月18日). “Twitter’s Crypto Head and Staff Resign in Mass Musk Exodus” (英語). en:Bloomberg.com. オリジナルの2022年11月18日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/vg8e8 
  21. ^ Our Plan for a Sustainably Open Social Network”. Bluesky (2023年7月5日). 2024年2月14日閲覧。
  22. ^ SNS「Bluesky」800万ドル調達 「広告モデルではない収益化」へ、ドメイン販売開始”. ITmedia NEWS (2023年7月7日). 2024年2月14日閲覧。
  23. ^ Inc, impress (2024年5月7日). “裏で何が? ジャック・ドーシー氏、Blueskyの取締役を辞任し、約2000人をフォロー解除”. やじうまWatch. 2024年6月12日閲覧。
  24. ^ Inc, mediagene (2024年5月16日). “ジャック・ドーシー、Bluesky退任。「理想と違う形=“企業”になってしまった」”. www.gizmodo.jp. 2023年6月12日閲覧。
  25. ^ 同アカウントにてユーザー登録数が1000万人を超えたことが報告された。https://bsky.app/profile/bsky.app
  26. ^ a b Twitter’s decentralized, open-source offshoot just released its first code” (英語). The Verge (2022年5月4日). December 17, 2022時点のオリジナルよりアーカイブ2023年1月22日閲覧。
  27. ^ Perez, Sarah (2023年2月28日). “Jack Dorsey-backed Twitter alternative Bluesky hits the App Store as an invite-only app”. TechCrunch. 2023年3月7日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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