DNAPL
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DNAPL(英: Dense Non-Aqueous Phase Liquid)とはNAPL(非水溶性液体[1])の一分類。密度が水より大きい(重い)場合、DNAPLと呼ばれる。なお、水より軽い(密度が小さい)NAPLはLightを付してLNAPLと呼ばれる[2]。
これ自体は化学的な性質を示す概念だが、主に地下水や土壌などの環境汚染に関してよく使われる語で、環境工学、地質学、水文学、水文地質学などで研究対象となる。
代表的な例としてはトリクロロエチレン(TCE)のような有機化合物(有機塩化物)で、産業分野で広く使われているが、これらは処理や漏洩によって環境中に流出し、地中に入って汚染物質となる。その際、水溶性の物質とは異なり、複雑な挙動を示すことが知られている[2]。
例えばテトラクロロエチレンの場合、表面張力が小さく水よりも重いので、水が透過できない層でも透過してさらに地中深くまで浸透することがあるし、地下水層に留まって少しずつ水に溶けて汚染することもある。揮発性があるので、地中空気に溶け込み、液体のままでは起きないような動きを見せることもある。また、地中に含まれる微生物によって分解される際に、さらにジクロロエチレンなどの別の汚染物質ができる[3]。
DNAPLの例
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関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ Non-Aqueous Phase Liquid。難溶解性液体、疎水性液体、難水溶性流体、非水液などとも訳される。
- ^ a b 佐々木 孝, 佐藤 邦明「飽和多孔媒体中のフィンガリングによるDNAPL鉛直輸送に関する基礎的研究」(PDF)『水工学論文集』第48巻、公益社団法人 土木学会、2004年2月1日、313頁、doi:10.2208/prohe.48.313、2020年10月5日閲覧。
- ^ 楡井 久, 佐藤 賢司, 鈴木 喜計, 古野 邦雄「環境における地質単元」『地質学雑誌』第100巻第6号、一般社団法人 日本地質学会、1994年6月15日、429-431頁、doi:10.5575/geosoc.100.425、2020年10月5日閲覧。