コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

イントロデューシング・ザ・ビートルズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Introducing... The Beatlesから転送)
ビートルズ > 作品リスト > イントロデューシング・ザ・ビートルズ
『Introducing... The Beatles』
ビートルズスタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル ロックンロール
時間
レーベル ヴィージェイ・レコード
プロデュース ジョージ・マーティン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
後述を参照
ゴールドディスク
後述を参照
ビートルズ U.S. 年表
  • Introducing... The Beatles
  • (1963年)
『Introducing... The Beatles』収録のシングル
  1. プリーズ・プリーズ・ミー
    リリース: 1964年1月3日
  2. ツイスト・アンド・シャウト
    リリース: 1964年3月2日
  3. ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット
    リリース: 1964年3月23日
  4. ラヴ・ミー・ドゥ
    リリース: 1964年4月27日
テンプレートを表示

Introducing... The Beatles』(イントロデューシング・ザ・ビートルズ)は、アメリカで発売されたビートルズ初のアルバムである。1963年7月22日にヴィージェイ・レコードから発売され、1964年2月に一部収録曲を差し替えて再発売された。

このアルバムは日本国内ではリリースされておらず、本記事で使用されている「イントロデューシング・ザ・ビートルズ」という邦題は仮称である。

解説

[編集]

イギリスでの所属レーベルであるパーロフォンの親会社EMIは、ビートルズをアメリカ合衆国へ進出させるにあたり、資本提携関係にあるキャピトル・レコードに発売を持ちかけた。しかしキャピトルがこれを拒否したため、代わりとなるレコード会社として、リズム・アンド・ブルースジャズを扱う零細レーベルであるシカゴヴィージェイ・レコードが選ばれた。EMIは同社の持つ音源のイギリスにおける販売権を保有していたため、同社からビートルズのレコードを販売することができた。ヴィージェイはビートルズのファースト・シングルとして1963年2月7日に『プリーズ・プリーズ・ミー/アスク・ミー・ホワイ』(Vee Jay VJ498)を[3]、5月27日にセカンド・シングル『フロム・ミー・トゥ・ユー/サンキュー・ガール』(Vee Jay VJ522)を、7月22日には本アルバム『イントロデューシング・ザ・ビートルズ』を発売した。本作はイギリス盤『プリーズ・プリーズ・ミー』から「プリーズ・プリーズ・ミー」「アスク・ミー・ホワイ」を外して当時のアメリカでのLP標準である12曲の形式にしたものである[4]。なお、本作はジャケット写真が裏焼きになっており、また「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」の冒頭のカウントが“three”までカットされてしまうなど、質はやや粗悪である。

ビートルズはイギリスでは圧倒的な人気を集めていたものの、当時のアメリカでは無名の存在であった。またフォー・シーズンズの楽曲でビルボード1位を幾度も獲得していたとはいえ、ヴィージェイの販路は決して大きくなかった。従って同社から発売されたビートルズの楽曲はいずれもヒットしなかった。その後ビートルズはEMIと提携していた零細レーベルのスワン・レコードに移籍し、9月16日に『シー・ラヴズ・ユー/アイル・ゲット・ユー』(Swan 4152)を発売するが、こちらもヒットには至っていない(ただしキャピトルからのデビュー以後はヴィージェイ盤、スワン盤ともに大ヒットしている)。

ビートルズの人気がアメリカにも徐々に波及すると、それまでビートルズに関心を示さなかったキャピトルもレコードの発売を決定した。1963年12月26日にシングル『抱きしめたい/アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア』(Capitol 5112)を、1964年1月20日にはアルバム『ミート・ザ・ビートルズ』が発売されると記録的な大ヒットが生じた。この時点でヴィージェイはビートルズのアルバムの販売権を依然所有していたため、1964年2月に『イントロデューシング・ザ・ビートルズ』を再発売した。こちらでは、「ラヴ・ミー・ドゥ」が「アスク・ミー・ホワイ」、「P.S.アイ・ラヴ・ユー」が「プリーズ・プリーズ・ミー」に差し替えられている。

1964年の再発盤は、折からのビートルマニアの影響を受けて大ヒットに至っている。『ビルボード』誌のアルバム・チャートでは、9週連続第2位を獲得[5]。2014年7月24日にアメリカレコード協会によってプラチナ認定された[6]

なおヴィージェイはEP『The Beatles』(Vee Jay VJEP1-903)やアルバム『The Beatles VS The Four Seasons』(Vee Jay VJLP 1065)、『The Beatles & Frank Ifield On Stage』(Vee Jay VJLP1085)を次々に発売するが、後に財務状況が悪化した末に倒産している。

1965年前半にヴィージェイの販売権は失効した。1965年3月22日にキャピトルが発売したアルバム『ジ・アーリー・ビートルズ』には、『イントロデューシング・ザ・ビートルズ』収録の11曲が収録された[7]

収録曲

[編集]

特記を除き、作詞作曲はレノン=マッカートニーによるもの。

初版盤

[編集]
アナログA面
#タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
1.アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア[注釈 1](I Saw Her Standing There) ポール・マッカートニー
2.ミズリー(Misery) 
3.アンナ(Anna (Go To Him))アーサー・アレキサンダージョン・レノン
4.チェインズ(Chains)ジョージ・ハリスン
5.ボーイズ(Boys)リンゴ・スター
6.ラヴ・ミー・ドゥ(Love Me Do) 
  • ポール・マッカートニー
  • ジョン・レノン
合計時間:
アナログB面
#タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
1.P.S.アイ・ラヴ・ユー(P.S. I Love You) ポール・マッカートニー
2.ベイビー・イッツ・ユー(Baby It's You)ジョン・レノン
3.ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット(Do You Want To Know A Secret) ジョージ・ハリスン
4.蜜の味(A Taste Of Honey)ポール・マッカートニー
5.ゼアズ・ア・プレイス(There's A Place) 
  • ジョン・レノン
  • ポール・マッカートニー
6.ツイスト・アンド・シャウト(Twist And Shout)ジョン・レノン
合計時間:

第2版盤

[編集]
アナログA面
#タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
1.「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア[注釈 1](I Saw Her Standing There) ポール・マッカートニー
2.「ミズリー」(Misery) 
  • ジョン・レノン
  • ポール・マッカートニー
3.「アンナ」(Anna (Go To Him))アーサー・アレキサンダージョン・レノン
4.「チェインズ」(Chains)
  • ジェリー・ゴフィン
  • キャロル・キング
ジョージ・ハリスン
5.「ボーイズ」(Boys)
  • ルーサー・ディクソン
  • ウェス・ファレル
リンゴ・スター
6.アスク・ミー・ホワイ(Ask Me Why) ジョン・レノン
合計時間:
アナログB面
#タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
1.プリーズ・プリーズ・ミー(Please Please Me) 
  • ジョン・レノン
  • ポール・マッカートニー
2.「ベイビー・イッツ・ユー」(Baby It's You)
  • マック・デヴィッド
  • ルーサー・ディクソン
  • バート・バカラック
ジョン・レノン
3.「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」(Do You Want To Know A Secret) ジョージ・ハリスン
4.「蜜の味」(A Taste Of Honey)
  • ボビー・スコット
  • リック・マーロー
ポール・マッカートニー
5.「ゼアズ・ア・プレイス」(There's A Place) 
  • ジョン・レノン
  • ポール・マッカートニー
6.「ツイスト・アンド・シャウト」(Twist And Shout)
  • フィル・メドレー
  • バート・ラッセル
ジョン・レノン
合計時間:

クレジット

[編集]
ビートルズ
外部ミュージシャン・スタッフ

チャート成績・認定

[編集]

チャート成績

[編集]
チャート (1964年) 最高位
US Billboard Top LPs[5]
2

認定

[編集]
国/地域 認定 認定/売上数
アメリカ合衆国 (RIAA)[6] Platinum 1,000,000^

^ 認定のみに基づく出荷枚数

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b 冒頭のカウント「one, two, three, four」の“three”までがカットされている。

出典

[編集]
  1. ^ Spitz 2012, p. 555.
  2. ^ Ruhlmann, William. Introducing...The Beatles - The Beatles | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月9日閲覧。
  3. ^ Spizer 2004, p. 15.
  4. ^ Spizer 1998, p. 110.
  5. ^ a b Whitburn 2010, p. 63.
  6. ^ a b "American album certifications – The Beatles – Introducing The Beatles". Recording Industry Association of America. 2022年2月10日閲覧
  7. ^ Wallgren, Mark (1982). The Beatles on Record. New York: Fireside. p. 160. ISBN 0-671-45682-2 

参考文献

[編集]
  • Spitz, Bob (2012) [2005]. The Beatles: The Biography. ISBN 0-3160-3167-4 
  • Spizer, Bruce (1998). Songs, Pictures and Stories of the Fabulous Beatles Records on Vee-Jay. New Orleans: 498 Productions. ISBN 0-9662649-0-8 
  • Spizer, Bruce (2004). The Beatles Are Coming! The Birth of Beatlemania in America. New Orleans: 498 Productions. ISBN 0-9662649-9-1 
  • Whitburn, Joel (2010). Joel Whitburn Presents Top Pop Albums, Seventh Edition. Record Research Inc.. ISBN 0-89820-183-7 

外部リンク

[編集]