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ENEOS室蘭事業所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
新日本石油精製室蘭製油所(当時)の工場夜景
新日本石油精製室蘭製油所(当時)

ENEOS室蘭事業所(エネオスむろらんじぎょうしょ)は、北海道室蘭市にあるENEOSの事業所。事業所の正式名称は「製造部 室蘭事業所」[1]

概要

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1956年昭和31年)に「日本石油精製室蘭製油所」として操業開始し、2014年平成26年)に石油化学製品の製造工場へ転換した 。室蘭製造所はENEOS最北端の製造所として、隣接する伊達市に立地する北海道電力伊達発電所で燃料として使用するへ使用する重油の供給[2]。および、韓国蔚山広域市にある石油化学工場へ原料を供給するためガソリン灯油の生産を行っていたが[3]東燃ゼネラル石油との経営統合に伴う合理化策の一環などにより[4]2019年(平成31年)に石油製品の製造を停止して北海道内向けの物流拠点(油槽所)となった。

高さ180 mの集合煙突は市民投票によって選ばれた「室蘭マリンブルー」への塗り替えを行い[5]、2014年(平成26年)11月からライトアップを始めている[6][7]

かつての設備

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製油装置

  • ナフサ水素化精製装置(64,000バレル/日)[8]
  • 接触改質装置(PL装置)(36,000バレル/日)[8]
  • ベンゼン抽出装置(9,000バレル/日)[8]
  • 粗キシレン製造装置(20,000バレル/日)[8]
  • キュメン製造装置(4,200バレル/日)[8]
  • 灯油水素化精製装置(45,000バレル/日)[8]
  • 流動接触分解装置(FCC装置)(30,000バレル/日)[8]
  • 減圧軽油水素化脱硫装置(MHC装置)(45,000バレル/日)[8]
  • 水素化分解装置(HDC装置)(30,000バレル/日)[8]
  • 水素製造装置(1,230,500 Nm³/日)[8]
  • 硫黄回収装置(250トン/日)[8]

貯油設備

  • 半製品・製品タンク(97基、1,450,700 kl)[8]
  • LPGタンク(8基、20,250 kl)[8]
  • 硫黄タンク(4基、22,400トン)[8]

付帯設備

  • インラインブレンダー(5基、8,000 kl/時)[8]
  • ボイラー(3基、830トン/時)[8]
  • タービン発電機(3基、119,780 kW)[8]
  • クーリングタワー(5基、30,000トン/時)[8]
  • 桟橋(8基、水深5.4 m〜16.5 m)[8]
  • タンク車積場(34ヵ所、34車/時)[8]
  • タンクローリー積場(17ヵ所、51台/時)[8]

環境保安設備

  • API型オイルセパレーター(排水処理用)(12基、123,600トン/日)[8]
  • CPI型オイルセパレーター(排水処理用)(2基、3,120トン/日)[8]
  • サンドフィルター(排水処理用)(8基、8,160トン/日)[8]
  • ガードベースン(排水処理用)(5基、81,600トン/日)[8]
  • API型オイルセパレーター(廃油処理用)(4,800トン/日)[8]
  • サンドフィルター(廃油処理用)(2基、2,400トン/日)[8]
  • ガードベースン(廃油処理用)(1,920トン/日)[8]
  • 消防車車両(7台)[8]
  • 防災船(油回収船、消防船兼備)[8]
  • オイルフェンス展張船[8]
  • はい煙脱硫装置[8]
  • 脱硝装置[8]

管理施設

  • 中央制御室[9]
  • 陸上出荷総合計器室[9]
  • 試験室[9]

歴史

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ENEOS室蘭事業所
新日本石油精製室蘭製油所(当時)の工場夜景
操業開始 1956年12月 (1956-12)
場所 日本の旗 日本 北海道室蘭市
業種 石油石油化学
生産品 液化石油ガス(LPG)、ナフサガソリン、石油化学製品、灯油電気[10]
従業員数 237人[11]
敷地面積 101ヘクタール (1.01 km2)[12]
住所 北海道室蘭市陣屋町1丁目172
閉鎖 2019年3月31日 (2019-3-31)
所有者 ENEOSENEOSホールディングス

1965年昭和40年)5月23日に発生した「機船ヘイムバード桟橋衝突事件」は、原油を積載したノルウェー国籍のタンカー「ヘイムバード」が水先人の運航ミスにより日本石油精製室蘭製油所(当時)の桟橋に衝突して炎上・爆発、6月18日に鎮火するまで27日間に渡って燃え続けた[13]。この事件により網取船が沈没して船長と機関員が死亡、ヘイムバードは再用不能となり乗組員8人が死亡、3人が負傷した[13]。また、付近の住民にも一時避難命令が出されるなど大きな海難事故になった[13]

  • 1956年昭和31年):「日本石油精製室蘭製油所」操業開始(原油処理能力:7,500バーレル/日)[14][15]
  • 1962年(昭和37年):原油処理能力を10,000バーレル/日に増強[14]
  • 1965年(昭和40年):「機船ヘイムバード桟橋衝突事件」発生[13]
  • 1973年(昭和48年):常圧蒸留装置更新し(2015年解体)[15][16]、原油処理能力を大幅に増強(110,000バーレル/日)[14]
  • 1982年(昭和57年):残油脱硫装置(RDS装置)建設(2014年停止)[15][17]
  • 1983年(昭和58年):原油処理能力を125,000バーレル/日に増強[14]
  • 1985年(昭和60年):原油処理能力を150,000バーレル/日に増強[14]
  • 1995年平成07年):「ISO 9002」認証取得[15]。原油処理能力を170,000バーレル/日に増強[14]
  • 1996年(平成08年):「ISO 14001」認証取得[15]
  • 1999年(平成11年):原油処理能力を196,000バーレル/日に増強[14]。社名変更に伴い、「日石三菱精製室蘭製油所」となる[14]
  • 2001年(平成13年):原油処理能力を180,000バーレル/日に変更[14]。粗キシレン製造装置建設[15]
  • 2002年(平成14年):社名変更に伴い、「新日本石油精製室蘭製油所」となる[14]。「ISO 9001」へ移行審査・認証取得[14]
  • 2004年(平成16年):独立系発電事業者(IPP)設備建設[15]
  • 2005年(平成17年):トルエン出荷設備、ブチレン出荷設備新設[15]
  • 2008年(平成20年):キュメン製造装置建設[15]
  • 2010年(平成22年):社名変更に伴い、「JX日鉱日石エネルギー室蘭製油所」となる[14]
  • 2014年(平成26年):原油処理停止に伴い、「JX日鉱日石エネルギー室蘭製造所」と事業所名変更[18][19]タンク車による石油の鉄道輸送廃止[20][21]。事業再構築化工事完了[22]
  • 2016年(平成28年):社名変更に伴い、「JXエネルギー室蘭製造所」となる。
  • 2017年(平成29年):社名変更に伴い、「JXTGエネルギー室蘭製造所」となる。
  • 2019年(平成31年):石油製品の製造停止に伴い、「JXTGエネルギー製造部 室蘭事業所」となる[23]
  • 2020年令和02年):社名変更に伴い、「ENEOS製造部 室蘭事業所」となる。

アクセス

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国道37号沿いに位置している。室蘭事業所の中央上部には、室蘭港を跨ぐ白鳥大橋白鳥新道)が通っている。

脚注

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  1. ^ 組織の改正について』(プレスリリース)JXTGエネルギー、2019年2月26日https://www.noe.jxtg-group.co.jp/newsrelease/2018/20190226_01_02_1080071.html2019年4月2日閲覧 
  2. ^ 伊達発電所へはパイプラインで重油を供給している。
  3. ^ パンフレット, p. 3.
  4. ^ “JXTG室蘭で社長が会見、19年3月に製造部門撤退”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2017年9月28日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2017/09/28/20170928m_01.html 2019年4月1日閲覧。 
  5. ^ “JX室蘭の集合煙突配色3案決まる、市民対象の投票へ”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2013年10月5日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2013/10/05/20131005m_04.html 2017年3月6日閲覧。 
  6. ^ “JX室蘭製造所の煙突ライトアップスタート”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2014年11月20日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2014/11/20/20141120m_02.html 2017年3月6日閲覧。 
  7. ^ “JXTG室蘭の集合煙突ライトアップを継続”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2019年1月29日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2019/01/29/20190129m_01.html 2019年4月1日閲覧。 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 装置構成”. 室蘭製造所. 2017年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月2日閲覧。
  9. ^ a b c パンフレット, p. 6.
  10. ^ パンフレット, p. 4.
  11. ^ 有価証券報告書” (PDF). JXTGホールディングス. p. 25 (2016年). 2017年4月1日閲覧。
  12. ^ 室蘭市の主な企業” (PDF). ふるさと室蘭ガイドブック. 室蘭市. p. 1. 2017年3月6日閲覧。
  13. ^ a b c d 日本の重大海難(機船ヘイムバード桟橋衝突事件)”. 1969年(昭和44年)11月29日裁決言渡(高等海難審判庁). 海難審判庁. 2017年3月6日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l パンフレット, p. 8.
  15. ^ a b c d e f g h i 製造所沿革”. 室蘭製造所. 2017年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月2日閲覧。
  16. ^ “2装置撤去のJX室蘭、1万平方メートルの用地確保へ”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2015年2月3日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2015/02/03/20150203m_02.html 2017年3月6日閲覧。 
  17. ^ 日石精製室蘭製油所 新鋭装置に火入れ”. フォト北海道(道新写真データベース). 北海道新聞社 (1982年11月17日). 2017年3月6日閲覧。
  18. ^ 常圧蒸留装置の火止め式について』(プレスリリース)JX日鉱日石エネルギー室蘭製油所、2014年3月31日http://www.noe.jxtg-group.co.jp/company/about/gaiyou/jigyousho/muroran/oshirase/20140331.html2017年3月6日閲覧 
  19. ^ “JX室蘭で原油処理が終了、石化工場に転換へ”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2014年4月1日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2014/04/01/20140401m_02.html 2017年3月6日閲覧。 
  20. ^ 道内唯一の石油輸送貨物列車が5月で廃止 —「タキ」姿を消す”. 北海道ファンマガジン (2014年5月27日). 2017年3月6日閲覧。
  21. ^ “室蘭・本輪西駅起点に半世紀、タンク貨車ラストラン”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2014年5月30日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2014/05/30/20140530m_01.html 2017年3月6日閲覧。 
  22. ^ “新生JX室蘭始動、PX工場に原料供給主力拠点に”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2014年7月9日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2014/07/09/20140709m_02.html 2017年3月6日閲覧。 
  23. ^ “JXTG室蘭事業所が物流拠点として再スタート”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2019年4月2日). http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2019/04/02/20190402m_03.html 2019年4月2日閲覧。 

参考資料

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