小峰窯
種類 | 有限会社 |
---|---|
略称 | 小峰窯 |
本社所在地 |
日本 〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子3169-1 |
業種 | ガラス・土石製品 |
法人番号 | 5060002018088 |
事業内容 |
益子焼の製造・販売 陶芸教室の運営 |
代表者 | 代表取締役 小峰一浩 |
外部リンク |
komine-gama |
小峰窯[1][2](こみねがま)[1][3]とは、栃木県芳賀郡益子町にある益子焼陶器製造会社:窯元である[4][2][5][6][7]。
過去には「合資会社 益子製陶所」や[8]「小峰窯元センター」と称していた[9][10][11]。
益子町で轆轤や手びねりや絵付けも体験出来る代表的な窯元として有名である[11][1][13][2][5]。
沿革
[編集]初代・小峰守夫
[編集]小峰窯初代である小峰守夫は[8]、1920年(大正9年[14][15])4月28日[7]、栃木県那須郡烏山町(現・那須烏山市)に生まれる[14][15][7]。
1941年(昭和16年)3月、中央大学法学部を卒業後[14][15][7][16][17]、戦時中に徴兵された時にはインパール作戦に歩兵として4年もの間従軍していたという[14]。
1946年(昭和21年)[15]8月[8]に益子町の窯元を買い取り「合資会社 益子製陶所」[8]を設立。陶器製造会社の経営を始めた[14]。
そして「益子製陶所」は[8]製陶工場の他、駐車場を完備した民芸店や食堂や休憩所、そして陶芸教室も運営していった[14]。そして食堂の蕎麦の味は定評があったという[14]。
守夫は主に職人たちが素焼きした陶器に絵付けを施す陶画工に勤しんでいた[14]。図柄に手近な野草や四季の花々を用いて、陶器の素地を絵柄に沿って削り、陶土の代わりに釉薬を埋め込む「釉薬象嵌」の手法で描画していた[14]。
また守夫は剣道を嗜み、剣道教士7段を持ち、栃木県体育協会副会長の公職を務め、「益子剣友会」会長として、窯業の傍ら青年たちへの育成指導にも当たっていた[14]。
守夫は自分の作陶作品には「剣道と陶器の男」の意味を持つ「剣陶夫」と署名していた[14]。
2代目・小峰豊
[編集]小峰窯2代目である小峰豊は[18]、1948年(昭和23年)1月27日、栃木県芳賀郡益子町に生まれる。
栃木県立真岡高等学校を卒業し[19]、成城大学経済学部を卒業した後[19]、「栃木県窯業指導所」(現・「栃木県産業技術支援センター 窯業技術支援センター」)に入所し修了後[19]、小峰窯に入社した[19]。
本社が手狭になったため、益子町道祖土の現在の小峰窯の敷地内に小峰窯の新館となる「小峰窯元センター」[18][9][10][20]を設立[19]。工場を少しずつ移転させながら[19]、大食堂や販売店も完備させ[20]、1994年(平成6年)に新館でも陶芸教室を開くようになり[19]、手回し轆轤や電動轆轤を数多く完備し[9]、観光バスによる体験ツアー団体観光客も受け入れていた[20]。
初代・守夫と同様に、受注生産、製造直売をしながら、大食堂も営業し[9]、そして陶芸教室として、小峰窯を運営していった[19][20]。
3代目・小峰一浩
[編集]小峰窯3代目となる小峰一浩は、1977年(昭和52年)、栃木県芳賀郡益子町に生まれる[21]。
祖父から続く「小峰窯」の子として生まれ[22]、幼い頃から粘土いじりで遊びながら育った[21][22]。
両親からは「小峰窯」を継ぐように強制されることはなかった。[21]それでも高校生の時には跡を継ぐ意思を決め[21]、1996年(平成8年)に栃木県立真岡高等学校を卒業し[21]、1998年(平成10年)に西武文理情報短期大学を卒業[21]、1999年(平成11年)に「栃木県窯業指導所」(現在の「栃木県産業技術センター 窯業技術支援センター」)伝習生を修了した後[21]、 同年、小峰窯に入社[21][23]、20歳過ぎには「小峰窯」3代目となった[12][21]。そして小峰窯で作陶の仕事の傍ら、小峰窯の陶芸教室の講師も務めていた[23]。
「伝統工芸士」という制度や名称は聞いていたが、自分には「陶芸家」同様、縁の無い肩書きだと思っていた。そんなある時、知り合いから伝統工芸士の受験を勧められた[22]。
自分は陶芸家ではないという負い目はあったが、子どもたちに益子焼の歴史や作り方を教えるうちに「伝えること」の面白さを感じており、「伝統工芸士は伝統工芸の技法を後世に伝えていく仕事」であり「自分もそういう立場にある」と思い直し、伝統工芸士になることを決めた[22]。
2014年(平成26年)3月26日、試験に合格した5名の中でも最年少で[23]、大塚信夫(象嵌てん)、大塚一弘(清窯)、大塚雅淑(健一窯)、萩原芳典(萩原製陶所)と共に、国から「益子焼伝統工芸士」に認定された[24][25][26][27]。一浩は「年も若く経験も浅いが、先輩方の胸を借りながら頑張りたい」と決意を述べた[23]。後に栃木県の「益子焼伝統工芸士」にも認定された[28]。
こうして一浩は当時合わせて14人いた益子焼伝統工芸士の中でも異色の、製陶業者であるのと同時に、観光客や子どもたちに陶芸指導を行う「益子焼伝統工芸士の陶芸インストラクター」となった[22][23][29][30][31]。
そして益子焼の伝統的な5種類の釉薬の他に、陶芸教室の客からの要望に応え独自の釉薬を開発[29]、小峰窯の陶芸教室の作品完成用に15種類の釉薬が選べるようにした[31]。
現在小峰窯は、轆轤や手びねりや絵付けなどの益子焼の陶芸を体験出来る、益子町の代表的な陶芸教室として、親子連れなどの多くの参加者で賑わっている[11][1][13][5]。
セレクトショップ「nagi」
[編集]nagi | |
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店舗概要 | |
所在地 |
〒〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子3169-1 |
開業日 | 2021年(令和3年)4月 |
営業時間 |
10時から17時まで 定休日:水曜日、年末年始店休、他不定休有り |
駐車台数 | 15台 |
外部リンク | nagi (@nagi.mashiko) - Instagram |
上述の通り、小峰窯では時代に合わせた窯元運営を試みている[31]。
2021年(令和3年)4月、従来あった小峰窯の陶器販売スペースを大幅に改装し[2][32]、小峰窯で作陶されたオリジナルの陶器や益子近隣で作陶された陶器だけではなく、様々な雑貨も取り扱うセレクトショップ「nagi」を併設開店した[31][33][13][2][5][34]。
取り扱い作家
[編集]- 大塚菜緒子:健一窯[35][36][34]
- okazoo[37][38][39][34][31][13][2][40]
- gramme.[41]|齋藤奈月[41][42][43][34][31][13]
- 郡司製陶所[44][45][34][46]
- gemrich ceramic studio[47][48]|アンドリュー・ゲムリッチ[34][49]/前田加代子[34][50]
- 関太一郎[51][52][34][53]
- 立原亜紀子[54][34]
- 南雲英則:吉兵衛窯[55][56][34][57]
- はなクラフト[58][59][34][31][60]
- 東峰未央[61][37][34][31][13][2][62]
- 村田亜希[63][64][34][21][31][65][66][13][2][67]
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 親子でおでかけ首都圏版,交通新聞社 2015, p. 68-69.
- ^ a b c d e f g h monmiya 2022年6月,新潮プレス 2022, p. 43.
- ^ monmiya 2022年6月,益子町 2022, p. 43.
- ^ 『栃木県事業所名鑑 昭和53年版』(栃統資料 53-12)「芳賀郡」「益子町」「(有)小峰窯」P338 - 国立国会図書館デジタルコレクション 2024年2月20日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
- ^ a b c d ことりっぷ 日光那須栃木益子 5版,昭文社 2024, p. 115.
- ^ “栃木県で陶芸体験が楽しめる益子焼の窯元【小峰窯】”. 【小峰窯】. 2023年10月14日閲覧。
- ^ a b c d 益子の陶芸家,近藤京嗣 1989, p. 77.
- ^ a b c d e 『軽工業関係会社工場名簿 昭和38年版』「Ⅰ 都道府県別会社工場名簿」「陶磁器製品」「栃木県」「(資)益子製陶所」P92 - 国立国会図書館デジタルコレクション 2024年10月1日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
- ^ a b c d 「下野新聞」1997年(平成7年)4月23日付 【広告版】4 - 5面「春の益子特集」「益子マップ」/『下野新聞 縮刷版 1997 No.378 平成9年4月号』下野新聞社 P681 - 682:2024年(令和6年)11月10日 宇都宮市立中央図書館にて閲覧。
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- ^ a b c とちぎの歩き方2012-13,地球の歩き方編集室 2011, p. 100.
- ^ a b “栃木県で陶芸体験が楽しめる益子焼の窯元【小峰窯】|ABOUT|会社概要”. 【小峰窯】. 2023年12月15日閲覧。
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- ^ 『中央大学学員名簿』「こ 小」「小峰守夫」P313 - 国立国会図書館デジタルコレクション 2023年12月16日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
- ^ a b 『大日光』(61)「節分奉賽者名簿(平成元年)」P105:左上に「小峰窯元センター小峰豊」の記名あり。 - 国立国会図書館デジタルコレクション 2023年12月17日 国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
- ^ a b c d e f g h 益子の陶芸家 平成12年,近藤京嗣 2000, p. 104.
- ^ a b c d 益子・笠間,日本のやきもの 窯別ガイド 2003, p. 122.
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- ^ a b c d e 「下野新聞」2014年4月3日 23面「けさの顔」「最年少で伝統工芸師に」
- ^ 「下野新聞」2014年(平成26年)3月27日付 25面「益子焼 18年ぶり認定」「伝統工芸士 新たに5人」「30~50代、若さに期待」
- ^ 「読売新聞」2014年3月27日付 34面 栃木版2面「益子焼工芸士に5人 18年ぶり認定 「新しい伝統作る」=栃木」
- ^ “益子焼 認定伝統工芸士”. 伝統工芸 青山スクエア日本の伝統工芸士. 2023年9月21日閲覧。
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- ^ “栃木県伝統工芸士認定者一覧”. とちぎの伝統工芸品. 2023年6月11日閲覧。、PDFファイルダウンロードで閲覧。
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- ^ 東峰未央 (@d_lmiol_b) - Instagram
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- ^ twin月刊ツイン2019年4月号,株式会社ツインズ 2019, p. 18.
- ^ twin月刊ツイン2020年3月号,株式会社ツインズ 2020, p. 25.
- ^ 村田亜紀 (@muu.aki) - Instagram
参考文献
[編集]- 小寺平吉『益子の陶工たち』株式会社 學藝書林〈新装版(1980年)〉、1980年4月、222-223頁。 NCID BD03511919。国立国会図書館サーチ:R100000002-I000001474973。
- 下野新聞社『陶源境ましこ 益子の陶工 人と作品』1984年9月27日、134頁。 NCID BN1293471X。国立国会図書館サーチ:R100000001-I25110924685。
- 近藤京嗣『益子の陶芸家』近藤京嗣(自家出版)、1989年11月1日、77,241頁。 NCID BA34162878。国立国会図書館サーチ:R100000001-I09111100454281。:「小峰窯元センター」として記載。
- 近藤京嗣 著、近藤京嗣 編『益子の陶芸家 平成12年』近藤京嗣(自家出版)、2000年11月、104頁。真岡市立図書館 検索結果、矢板市立図書館 検索結果、大田原市立図書館 検索結果。
- 文・青木宏,写真・乾剛『益子・笠間』〈窯別ガイド 日本のやきもの〉2003年12月6日、122頁。ISBN 4473019411。:「小峰窯元センター」として記載。
- 地球の歩き方編集室 著、株式会社情報技研 編『とちぎの歩き方 2012-13』株式会社ダイヤモンド・ビック社〈地球の歩き方MOOK 15〉、2011年9月29日、12,24,100頁。ISBN 9784478041895。
- 『親子でおでかけ 首都圏版』交通新聞社〈散歩の達人MOOK A26〉、2015年5月、68-69頁。ISBN 9784330557151。
- 栃木県立博物館 編『第120回企画展 とちぎの技・匠』栃木県立博物館〈とちぎ版文化プログラム リーディングプロジェクト事業〉、2018年4月28日、38-39,96頁。 NCID BB26220229。国立国会図書館サーチ:R100000002-I029053173, R100000001-I36111110205040。
- 『ことりっぷmagazine vol.30 2021 Autumn』昭文社〈ことりっぷmook〉、2021年10月、6,10-11頁。ISBN 9784398295477。
- 『monmiya 2022年6月 538号』株式会社新潮プレス、2022年5月25日、43頁。栃木県立図書館検索結果,宇都宮市立図書館検索結果,上三川町立図書館検索結果,壬生町立図書館,真岡市立図書館。
- 『ことりっぷ 日光・那須 栃木・益子 5版』昭文社〈ことりっぷ〉、2024年2月1日、115,119頁。ISBN 9784398162236。
- 「nagi」取り扱い作家の記事が掲載されている資料
- 『twin(月刊ツイン)32巻4号(353)2018年4月号「益子のタナゴコロ」「益子に出かける、その理由。」』株式会社ツインズ、2018年3月25日、20頁。栃木県立図書館検索結果。
- :齋藤奈月が夫・圭とともに活動している陶芸ユニット「gramme」の特集記事。
- 『twin(月刊ツイン)33巻4号(365)2019年4月号「益子のタナゴコロ」「益子に出かける、その理由 2」』株式会社ツインズ、2018年3月25日、18頁。栃木県立図書館検索結果。
- :「nagi」で取り扱いのある村田亜希の取材記事あり。
- 『twin(月刊ツイン)34巻4号(377)2020年4月号「益子のタナゴコロ」「益子に出かける、その理由3」』株式会社ツインズ、2020年3月25日、25頁。栃木県立図書館検索結果。
- :「nagi」で取り扱いのある村田亜希の小記事あり。
外部リンク
[編集]- 栃木県で陶芸体験が楽しめる益子焼の窯元【小峰窯】
- 益子の作家人 小峰 一浩 - 新感覚チャンネル、益子情報局
- 【益子焼編①】人気作家のうつわも♪陶芸体験も可能な窯元「小峰窯」に併設の器セレクトショップ - ことりっぷ
- 一生残せる思い出を。「小峰窯」で栃木の伝統工芸品"益子焼き"体験 - YouTube
- 陶芸体験 小峰窯 (@kominegama.mashiko) - Instagram
- 地図 - Google マップ - 小峰窯
セレクトショップ「nagi」
[編集]- nagi (@nagi.mashiko) - Instagram
- 地図 - Google マップ - nagi
座標: 北緯36度28分01.8秒 東経140度06分49.3秒 / 北緯36.467167度 東経140.113694度