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TD平行カルダン駆動方式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
TD継手から転送)
TD平行カルダン駆動方式のTD継手(青色の部分)
2つのたわみ板を組み合わせた構造になっている。

TD平行カルダン駆動方式(TDへいこうカルダンくどうほうしき、TD Drive)は、電気車の駆動方式の一種である。

概要

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中空軸平行カルダン駆動方式に代わる駆動方式として、日本の東洋電機製造が実用化した。「TD」とは、2組のたわみ板を使う自在継手構造「ツインディスク」(Twin Disc)に由来するが、開発に携わった東洋電機製造の頭文字(Toyo Denki)をかけてあるともいわれる。1969年に実用化され、その最初は京王帝都電鉄(現:京王電鉄)に納入された[1]。たわみ板を使うため、たわみ板継ぎ手方式とも称される(中空軸平行カルダン駆動方式も同様)。

主電動機を車軸と平行に台車枠に固定し、主電動機の電機子軸と輪軸の歯車駆動軸との間に、大きな偏位を許容する「TD継手」だけを介して接続する。TD継手の内部では、2枚の円盤状の「たわみ板」を組み合わせて、長さと角度の偏位を吸収している。たわみ板の材質は、初期には特殊鋼を用いたが、近年では軽量で耐久性に富む炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いる。CFRP製たわみ板は、1989年京阪電気鉄道向け納入から実用化[2]された(7000系用として設計)。CFRPの耐久性によってたわみ板が単板となったものも出荷されているが、慣例的に「TD」を名乗っている。

駆動系の全体構成は、TD継手をWN継手に置き換えればWN駆動方式と同じである[注 1]。偏位の許容の小さい「たわみ板継手」を2つ使って、大きな偏位を吸収するところは、中空軸平行カルダンと同様であり、その発展型とみなすこともできる。

中空軸平行カルダン駆動方式と比較して、主電動機内部の電機子軸である中空軸を、出力軸の反対側にあるたわみ板継手を介して中空軸の内部に配置されているねじり軸(駆動軸)と組み付ける必要がないため、内部構造が単純化し軽量化される[注 2]。TD継手はメンテナンスフリーの1つのモジュール部品として扱えるので、保守性が向上する。そのため、中空軸平行カルダンを採用していた鉄道事業者を中心に、採用が進んでいる。西日本旅客鉄道(JR西日本)を除くJRグループ旅客各社においても、前身である日本国有鉄道が中空軸平行カルダンを長らく在来線電車の標準としてきたことから、殆どのVVVFインバータ制御車両で採用されている。一方で、長らく本方式を採用してきた事業者(東急電鉄JR東海JR九州など)でも、最新型の車両はWNドライブに切り替える動きもある。

インターナルギアを用いるWN駆動方式と比較しても、伝達効率がよい。構造が単純で、組み立てや調整がたやすく、給脂の必要がないため、保守も簡素化できる。

一方で、大出力、長時間駆動における耐久性についてはWN継手に一歩劣るとされ、新幹線では使われていなかったが、近年たわみ板の耐久性が向上したことから、採用が拡大している。JR東海所属の700系C19編成以降およびJR西日本を含むN700系16両編成グリーン車で採用されている。また、一般的に使用される「トンボ型」の継手は高速回転時に常時風切り音が発生するという問題点がある。そのため、騒音低減のために円筒形状の継手が採用される場合もある[3]

そのほか、WN方式と同様に継手の設計を変更することにより、電動機を車軸に直角に配置することも可能であり、設置スペースに制限のあるモノレールなどで採用されている。その際は「TD直角カルダン駆動方式」になる。

採用事例

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日本国有鉄道→JRグループ

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私鉄・公営・第三セクター

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日本以外

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日本国外での採用例は少ない。

など

脚注

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注釈

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  1. ^ そのため、同一形式で混在するなどの場合には相互に換装される等混用されるものもある。
  2. ^ なお、主電動機の電機子軸自体は今でも力学的合理性・軽量化・冷却の兼ね合いのために中空にすることが多いが、中空軸回りが二重構造となる中空軸平行カルダンとの原理的区別の目的から「中実軸」と呼称されることもある。

出典

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  1. ^ 「東洋電機技報」第109号(2003年11月)p3
  2. ^ 「東洋電機技報」前述号同頁。
  3. ^ 通史”. 東洋電機製造. 2023年8月9日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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