Wikipedia:良質な記事/良質な記事の選考/ライシテ 20180811
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選考終了日時:2018年8月25日 (土) 00:04 (UTC)
- (自動推薦)2018年7月の月間強化記事賞受賞記事。--Trgbot(会話) 2018年8月11日 (土) 00:04 (UTC)
- コメント 全体的に書くべき重要なトピックはほぼ記述されているように思えます。記載内容自体は質的にも量的にも十分なレベルと思われるので賛成票としたいのですが、素直に賛成とは言いかねるのです。おそらく構成に問題があるように思えますが、(個別の節は決してわかりにくくはないにもかかわらず)どうもしっくりと頭に入ってこないのです。とりあえず以下に、私が感じた構成についての問題点と対処法について述べておきます。
- §4「ライシテ原則の適用」は、各小節のタイトルだけで見れば、「原則の適用」についての一般論を解説しているように見えるのですが、実際に読んでみると、記事のほとんどがここ30年ほどのライシテを巡る議論や事件の集積であり、「ライシテ」の記事というより「近年のフランスにおけるライシテを巡る諸問題」というべき記事になっているように感じられます。「ライシテ原則の適用」節にはごくごく一般的な内容だけにして(あるいは本節はなしにして)、本節のサブセクションとなっている、§4.1「ライシテと教育」(§4.2「公教育」も含む)、§4.3「ライシテと女性の権利・自由」、§4.4「ライシテと表現の自由(宗教批判)」はそれぞれ独立した節にした方がよいと思います。また、それぞれを独立節にする場合でも、次に述べるように、各節の内容のうちイスラム教絡みの事例は、概要のみの解説にして、細かいことは§3.2「政治的イスラムとライシテ法の精神に背く「新しいライシテ」(2003年)」に繰り込む方がよいと思います。
- §3「現代のフランスにおけるライシテ」の内容と§4「ライシテ原則の適用」以下で解説されている(主にイスラム教絡みの)各種事例については重複する部分も多く、それがかえってわかりにくさを増幅しているように思えます。例えば§4.2.1.1「児童・生徒」の内容の大部分は§3.2「政治的イスラムとライシテ法の精神に背く「新しいライシテ」(2003年)」の方に繰り込んでしまって、§4.2.1.1「児童・生徒」はごく簡潔にし、「§3.2も参照のこと」とでも但し書きをつけておく、などの方法で整理するとわかり易くなると思います。同様に§4.3「ライシテと女性の権利・自由」、§4.4「ライシテと表現の自由(宗教批判)」でも、イスラム教絡みの事例は時系列などで整理した上で、§3.2「政治的イスラムとライシテ法の精神に背く「新しいライシテ」(2003年)」の方に繰り込み、元の節は1980年代以前(つまり「政治的イスラム」が問題になる以前)の話題と原則論を中心にまとめ直した方がよいと思います。
- §2.2「フランス革命と1958年の第五共和政憲法」および§2.3「 政教分離法 (ライシテ法) の成立」の2節は「概要」のサブセクションというよりも「歴史」としてまとめるべき内容と思います。また、§6「歴史」節は箇条書き形式になっていますがこれは好ましくありません。箇条書き形式にするなら「年表」節とすべきです。また、「年表」とするにしても、各事項に出典がついていないのも大きな瑕疵です。そこで、
- 現在の§6「歴史」節は、出典をつけた上で「年表」節に変更する。
- 現在の「歴史」節の内容を、箇条書きではなく文章にまとめ、さらに§2.2「フランス革命と1958年の第五共和政憲法」および§2.3「 政教分離法 (ライシテ法) の成立」の文章も繰り込んで、最初の方に(「概要」節の直後)あらためて「歴史」節として配置する。
- とするのがよいと思います。
- 引用部分について
-
- <blockquote>を使用して、引用部分が明確になっているのは良いのですが、引用部の最後に、文献タイトルと著者名だけで良いから出典情報も書いておいて欲しいと思います。もちろん脚注として出典情報が書かれているので、形式的には問題はないのですが、文脈上、(脚注を読まず)その場で出典情報が参照できないと誤解の可能性もあります。
- また、§2.1「フランス共和国の基本原則」において、古賀毅の論文からの引用部分には、引用元の論文にない文が含まれていました。これは「引用」の原則に反します。文脈を補うつもりなら「引用者注」などの付記が必要です。文脈に沿って本文と引用文を修正しました。他の引用部分についてはアクセスできなかったりフランス語だったりするのでチェックはできませんが大丈夫でしょうか。同じように「引用」の原則に反することはやっていないでしょうか。
- §4.3.3 ライックな移民のフェミニスト活動家
- 「対置させて論じると、フランスの移民政策の問題としてライシテを論じるというやや短絡的な議論につながりかねないが、移民のフェミニストでかつライックな活動家として、...(中略)...フランス国外のメディアではほとんど取り上げられることのない女性活動家を挙げることができる。」
- 文意が不明です。二つの立場を対置させる論では移民政策の問題に短絡されかねないけれど、実は移民のフェミニストでかつライックな活動家も存在する、という事実も忘れないように、という注意書き的な意味合いでしょうか。何にせよ、「対置させて論じると、...(中略)...短絡的な議論につながりかねない」の部分は、そのままでは独自研究と見なされかねないので、要出典です。
- §5 ライシテをめぐる共和国大統領の政策、発言
-
- 大統領の政策、発言がシラク大統領以降なのは、単に資料の入手性の問題でしょうか。ミッテラン大統領、ジスカール・デスタン大統領などはライシテについて何か発言していないのでしょうか。フランスの大統領は任期が長いので、どの大統領でも任期中に一回くらいはライシテに関連する政策を実行したり発言したりしていると思うのですが。
- §5.1 ジャック・シラク政権下での政策
- 「2006年、1989年に設立された首相直属の検討・提議機関である...(以降本節の最後まで)」
- 出典がついていません。
-
- 全体の構成についてですが、ご指摘のとおり、§4「ライシテ原則の適用」(ご指摘を受け、「ライシテ原則の適用をめぐる諸問題」に変更しました)は主に30年ほどの議論や事件に関する内容です。これはボベロが指摘する1989年以降の政治的イスラムの台頭に伴うライシテの「変質」(右傾化)に焦点を当てているためです。§5「ライシテをめぐる共和国大統領の政策・発言」がシラク大統領以降になっているのも同じ理由によります。1989年はスカーフ事件が発生した年でもあり、これを契機に日本でもフランスの移民政策について論じられるようになり、さらに一連のテロ事件が発生してさらに議論が白熱し…と、この間、様々な問題が移民政策との関係で論じられてきましたが、一方で、ライシテという概念が十分に理解されていないため、問題の扱い方にもバイアスがかかっていたように思います。そこで、ライシテの概念・原則を、その背景となった公教育および関連する表現の自由や女性の権利といった文脈に位置付ける必要があり、こうすることで読み手が問題を整理しやすくなると考えました。以上が「ここ30年ほど」についてのみ記載した理由です。
- 上記と関連しますが、§4「ライシテ原則の適用」とこれ以前の内容の区別は、「原則(およびその変質)」と「適用」の区別になります。確かに重複はありますが、社会問題として浮上した部分とは別に、原則自体を把握しておく必要があると思いました。というのは、ライシテは政権ごとに変わるたんなる「ライシテ政策」ではなく、フランス共和国の基本原則であり、この点を理解していないと、とかく英米(共同体主義)との比較で(英米からは批判が多いので)英米寄りの解釈をされがちだからです。したがって、重複はあっても、「原則」を「適用」(適用をめぐる諸問題、最近の社会問題)とは分け、さらに、「適用をめぐる諸問題、最近の社会問題」が生じているのも、根本的には「原則」の「変質」(ボベロ)に起因するものであることを把握できるようにすることで、たとえば、サルコジ発言の根本的な問題などもわかりやすくなると思いました。
- 以上のように、§4「ライシテ原則の適用」も§5「ライシテをめぐる共和国大統領の政策・発言」もここ30年程度のことであれば§3「現代のフランスにおけるライシテ」の下位項目とすべき内容ですが、内容的な重要性を考慮してこのまま「見出し」とし、§3「現代のフランスにおけるライシテ」の冒頭に「以下第5章までは、主に現代のフランスにおけるライシテ原則の「変質」および適用をめぐる諸問題について記載する」と書き添え、さらに見出しにも多少の変更を加えました。
- 「§2「概要」節にも§6「歴史」節にも、1958年の第五共和政憲法発布から1989年のスカーフ論争までの間の出来ごとは何も書かれていませんが、この時期には、ライシテを巡って特筆する程の事例や議論や訴訟等は何もなかったということでしょうか」----- このご質問につきましても、上記の経緯により、ライシテ原則自体が問われるような大きな問題は発生していないと思われますが(ただし、断言することはできませんが、ライシテ原則に関わる問題かどうかという解釈の問題もあります)、たとえば、五月革命や女性解放運動 (FLM) との関係で、またはアルジェリア戦争やピエノワールとの関係でライシテを論じることは可能だと思いますが、こうした事項も網羅するとなると膨大な内容になり、もちろん、一利用者の手に負える問題ではありませんので、「ライシテ原則自体に関わる問題(したがって適用にも影響する問題)」のみとしました。
- 「§4.3.3 ライックな移民のフェミニスト活動家」については「上記のように、「アングロ=サクソンの共同体主義」とフランスのライシテ、またはフランス左派内の共同体主義と普遍主義(ライシテ)を対置させ、対イスラム教徒を中心とするフランスの移民政策の問題として論じられることが多いが、一方で、こうした図式に収まらない移民のフェミニストでかつライックな活動家として」という表現に変更しました。これは、ライカール(ライシテ強硬派)vs イスラム左派、普遍主義 vs 共同体主義、フランス vs 英米など対立図式で論じられることが多いため、誤解を招かないよう、より多様な取り組みについて、多少なりとも情報を提供する必要があると判断したためです。
- ブロック引用の「(フランスにおけるライシテは)その成立過程に根ざした概念であり」を修正していただき、ありがとうございます。なお、「成立過程に根ざし」というのは引用元にある語句であり、学術論文などの引用では、たとえば「彼」という言葉が誰を指すのか不明である場合は括弧に入れて引用文に含めることになりますので、この全体「(フランスにおけるライシテはその成立過程に根ざした概念であり)」をブロックの冒頭に置くことも可能かと思います。他のブロック引用その他の引用は再確認しました。
- 「§6歴史」は私が加筆する前からあった部分で、かなり前に誤記を多少修正し引用を付けましたが、執筆した方のご判断に委ねるしかありません。なお、ご意見に従い、「歴史」を「年表」に変更しました。
- 「2006年、1989年に設立された首相直属の検討・提議機関である...(以降本節の最後まで)」の出典につきましては、「ライシテ監視機構」に関する記述が既にあり、脚注も付けています。--Hparis11ed(会話) 2018年8月14日 (火) 18:05 (UTC)
- 全体の構成についてですが、ご指摘のとおり、§4「ライシテ原則の適用」(ご指摘を受け、「ライシテ原則の適用をめぐる諸問題」に変更しました)は主に30年ほどの議論や事件に関する内容です。これはボベロが指摘する1989年以降の政治的イスラムの台頭に伴うライシテの「変質」(右傾化)に焦点を当てているためです。§5「ライシテをめぐる共和国大統領の政策・発言」がシラク大統領以降になっているのも同じ理由によります。1989年はスカーフ事件が発生した年でもあり、これを契機に日本でもフランスの移民政策について論じられるようになり、さらに一連のテロ事件が発生してさらに議論が白熱し…と、この間、様々な問題が移民政策との関係で論じられてきましたが、一方で、ライシテという概念が十分に理解されていないため、問題の扱い方にもバイアスがかかっていたように思います。そこで、ライシテの概念・原則を、その背景となった公教育および関連する表現の自由や女性の権利といった文脈に位置付ける必要があり、こうすることで読み手が問題を整理しやすくなると考えました。以上が「ここ30年ほど」についてのみ記載した理由です。
- 【全体の構成】:「§ライシテ原則の適用をめぐる諸問題」は豊富な事例を挙げられていて、何が問題になっているのかについてもきちんと書かれていると思います。ですが、
- 「ライシテとは何か」:語義そのものがどのように定義され、議論されているか。
- 「ライシテ化のもつ歴史的・社会的意義」:フランス共和国の基本原則にライシテが採用されたことが、フランス国家・社会にどのような影響を与えたのか。また、革命においてなぜこれが必要とされたのか。
- というような観点の記述が十分ではない、と思います。記事全体のバランスにおいても、記述の大部分を「§ライシテ原則の適用をめぐる諸問題」「§ライシテをめぐる共和国大統領の政策・発言」が占めていますが、この記事でメインを飾るべきなのはむしろ「§語義」および「§概要」に書かれている内容の詳細のほうであると思います。
- 【本文と年表の対応】:記事内容的には1905年の政教分離法の成立以降が主たる内容になっており、「§フランス革命と1958年の第五共和政憲法」では「ライシテの起源はフランス革命にある。フランス革命 (1789-1799) により~」と記述が始まっていて、これが本文中で最も古い時代への言及です。一方で年表は「1520年代」から開始していて、宗教改革と政教分離の始まりから記述が始まっているように見えます。これ自体間違っているわけではないとは思うのですが、本文で全く言及がない出来事がざっと並んでいるため、何のためにフランス革命以前の年次と事件が記載されているのかが一見して理解できないように思います。加筆前からあった記述とのことで取り扱いが難しいかもしれませんが、フランス革命期以前の国家と教会の関係について簡略な説明を本文中に加えるか、いっそ年表のフランス革命以前の部分を削除してしまう方が座りがいいかと思います。
- 【ライシテの起源】:同じく「ライシテの起源はフランス革命にある。」と言う記述についてですが、この部分の出典は全て今野健一 (2006)でしょうか。非常に重要度の高い記述だと思うので、できればもう少し出典が細かく記載していただければと思います。また、参考文献に挙げられている『世界のなかのライシテ ― 宗教と政治の関係史』において、ジャン・ボベロは1905年の政教分離法における言及と絡めて、「最初の『ライシテに基づく国家の下書き』」としてロードアイランド植民地を挙げています。その後17世紀に生まれた「ライシテの土台となる思想」⇒啓蒙思想と17世紀から18世紀のイギリス・アメリカ・フランスの革命⇒ライシテ化の諸段階と言う概念の紹介と第一段階、第二段階、と言うような説明を用いており、本文中の内容と若干乖離を感じます。この点からもこの箇所に明確にわかる出典が欲しいと思います。
- 【ライシテの成立背景】:これも同じ点ですが、ライシテの成立背景として、革命以前のフランスにおける国家機構と教会組織の一体性についての事前知識がないと、「アンシャン・レジーム下の特権的・身分的支配統治構造が解体された結果、権力を一元的に掌握する集権的な国家構造が構築された。教会などの「社団」的身分編成原理が破壊されたため、各個人をつなぐ紐帯が失われた。」というような説明は理解し難いと思います。これも革命以前の状況について簡略な説明を加えるた方が良いと思います。あるいはヨーロッパにおける政教分離の歴史#フランス革命と政教分離への誘導を置いておくと言う形でもいいかもしれません(かなりきちんと説明されているので)。
- 【記述方式について】:「§現代のフランスにおけるライシテ」冒頭に「以下第5章までは、主に現代のフランスにおけるライシテ原則の「変質」および適用をめぐる諸問題について記載する。 」とありますが、Wikipediaの仕様上、目次にしか章番号が表示されないためかなりわかりづらいです。また、今後の編集で誰かが章を追加した時にきちんと修正が行われない危険性が高いと思われるので、一つの章の中に節わけでしてまとめる等の方式の方が良いのではないでしょうか
- 記事の加筆内容としては力作で良く調べられている思いますが、現時点では反対とさせていただきたいと思います。--TEN(会話) 2018年8月16日 (木) 17:08 (UTC)
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- ライシテの「語義」、「概要」:「語義」も加筆前のものであるためそのままにしているのですが、ライシテの定義は「政教分離法」へのリンクを貼っており(たった今、「政教分離原則」も加えました)、政教分離法との重複は避けました。
- ライシテ化のもつ歴史的・社会的意義:「フランス共和国の基本原則にライシテが採用されたことが、フランス国家・社会にどのような影響を与えたのか」---これは前回の内容とも関わりますが、これについて記述すると膨大な量になります。というのは、大雑把に言うなら、カトリックの影響を排除した結果、フランス社会がどう変わったかという内容になるからです。教育の機会均等、女性の参政権、父権から親権へ…、あまりにも多くの影響があり、これらの一つひとつが1ページに相当するほどの内容であり、また、これらをまとめる力は私にはありません。
- 「革命においてなぜライシテが必要とされたのか」---目下のところ、引用しました今野健一 (2006) の記述のみです。「フランス革命」とクロスさせることはできないかと思いましたが、このページ自体、出典等が不十分とのこと。お手上げです。ご意見に従い、ヨーロッパにおける政教分離の歴史#フランス革命と政教分離を加えました。
- 本文と年表の対応はご指摘のとおりです。これも前回触れましたが、誤記がない限り削除するのは問題があるのではないでしょうか(TENさんが問題ないとご判断される場合は、私としては、異論はありません)、まとめるにしても、上記のとおり、力不足です。「ライシテの起源・成立背景」についても同様です。
- 一方で、ライシテの1) 「語義(定義)」、「概要」、「起源・成立背景」、「歴史的・社会的意義」と2) 過去30年ほどの「ライシテ原則の適用をめぐる諸問題」、「共和国大統領の政策・発言」のいずれを重視すべきかについては、判断が難しいと思います。というのは、上記のように1) について詳しく記述する場合は、歴史上の非常に多くの出来事に関わりますし、「政教分離法」、「政教分離原則」、「世俗主義」、そしてご指摘の「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」のページもありますので、「ライシテ」のページですべてを包括的に記述することは必ずしも必要ではないと思われます。しかもこれらのページは内容的に他言語版と必ずしも一致するわけではなく、日本語版「ライシテ」のページはフランス語版「Laïcité en France」に対応しますが(加筆後にLaïcismeからLaïcité en Franceに変更していただきました)、これに対応する英語版は情報がかなり限られています。どのページでどのような情報をどの程度提供するかについては一概に判断できないのではないでしょうか。上記の返信に書きましたが、私がこの「ライシテ」のページを書く場合に必要だと判断したのは、ライシテをフランス共和国の基本原則として記述すること、そして、過去30年ほどの間にその「変質」とその結果として生じた様々な問題について記述することでした。理由は、これらは他のどのページにも体系的に記述されていないからです。--Hparis11ed(会話) 2018年8月16日 (木) 21:21 (UTC)
- コメント 上のTENさんのご指摘もまた私にはうなづけるものばかりです。私の場合、どこが問題なのか、ということすら明瞭にできなくてもやもやしていたのですが、TENさんのご指摘ではっきりしたように思います。TENさんの指摘内容を簡潔にまとめると、1990年代以降の、主にイスラム教や移民に関わるライシテの変質よりもまず先に、ライシテの概念が成立するまでの歴史的背景、フランスという国家や社会に対する影響、(1990年代以降に「変質」する以前の時代における)「ライシテ」の定義や、その理念に対する(国民的、学問的、政治的な)合意事項等についてもっと詳しく説明して欲しい、ということだと思います。私も同意です。
- TENさんのコメントに対する Hparis11edさんの回答を読んではっきりしてきたことなのですが、根本的に"laïcité"という言葉をフランス共和国独自の理念と考えるのか、一般的な政教分離原則を指す言葉と考えるのか、という方針が明瞭でない、という問題があると思います。いや、Hparis11edさんの中では明瞭になっているのでしょうが、回答を拝見すると、Hparis11edさんの中でもぶれがあるように見受けられます。これは記事の主題にも関わる大きなポイントであり、以下、それについて詳しく説明いたします。
- "laïcité"という言葉は、(我々のような外国人ではなく)フランス共和国の市民にとって、フランス語としてどういう言葉として認識されているのでしょうか。
- フランス語版を見ると、fr:Laïcité en France および fr:Laïcité と同じくらいのボリュームで二つの項目があり、後者にはフランス以外の国に関する話題もあるようなので、実態は(2)か(3)であろうと思われますがどうなのでしょうか。
- また、フランス語とは別に、日本語としての「ライシテ」についてはどうでしょうか。一般的な日本語としては普及していませんが、出典リストを見るとアカデミックな分野では結構使われているようですね。こういった分野ではやはり「ライシテ」という言葉はフランス共和国独自の理念を指す用語としてのみ使われるのでしょうか。つまり一般的な政教分離原則や他国の世俗主義などに対しては使われないのでしょうか。
- もしフランス語における"laïcité"が、(2),(3)のような意味合いであるならば、本記事のタイトルはフランス語版と同様「フランスにおけるライシテ」などと変更すべきと思います。もっとも日本語としての「ライシテ」はフランスのそれに限定した意味で用いられる、ということであればこのままでもいいのかな、とも思いますが、これも難しいところです。とりあえずタイトルや記事の内容にも深く関わることでもあり、"laïcité"および「ライシテ」という言葉に対する一般的な認識に関しては、一節設けて以上のような観点からの解説がぜひ欲しいところです。
- 以上の疑問は、日本語版の当記事にどのような内容を書くべきか、という本質にも関わることです。「ライシテ」をフランス独自の概念と考えるならば、歴史や背景に関する記述は「政教分離原則」や「世俗主義」の項目におまかせ、ではなく「ライシテ」独自の「語義(定義)」「概要」「起源・成立背景」「歴史的・社会的意義」を(たとえ長くなろうとも)「ライシテ」の項目において包括的に解説する必要があると思います。一方、「ライシテ」を一般的な政教分離原則と捉えるならば、本記事はフランス語版と同様の「フランスにおけるライシテ」と改名すべきでしょう。
- 私の意見としては、フランス語のネイティブスピーカーにおける"laïcité"の概念がどうであれ、日本語としての「ライシテ」は、(少なくともアカデミックな分野では)どうやらフランスのそれのみを指す言葉として使われているようなので、本記事の内容はフランスの理念限定でよいと思います。そして、その場合には、前述したように一般的な政教分離原則などとは別に「ライシテ」独自の(つまりフランスにおける)定義や沿革や意義などに関する記述をもっと充実させる必要がある考えます。
- 「そこまでまとめるには力不足です」と言われれば、本記事の内容に関してはHparis11edさんよりはるかに知識の無い私がそれ以上あれこれ言うのははばかられますが、せめて将来的に本記事を充実させてくれるであろう他の執筆者が本記事に書く上での指針を定めるためにも、本記事の「ライシテ」という言葉はどちらのものとして認識すべきか(フランス独自の理念かあるいは一般的な政教分離原則か)という点は明瞭にされておくべきと考えます。--Loasa(会話) 2018年8月17日 (金) 04:22 (UTC)
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- 「"laïcité"という言葉は、(我々のような外国人ではなく)フランス共和国の市民にとって、フランス語としてどういう言葉として認識されているのでしょうか」---フランス語のlaïcitéのページから他言語版の一覧を見ると、日本語版の「世俗主義」を含みほとんどがsecularismの各言語版になっています。一方、フランス語のsécularismeはWiktionnaireにあるのみですが、定義は政教分離となっています。混乱がありますが、ここではむしろ、日本語で「ライシテ」といった場合、どのような意味でどのように用いられているかであると思います。
- 日本語で「ライシテ」と言う場合、アカデミックな分野では「フランスにおけるライシテ」を指す用語としてほぼ定着したと思います。満足圭江 (2004) でも「フランスの特殊性といわれているライシテ概念」とされており、2008年のジャン・ボベロ来日講演録『世俗化とライシテ』では、羽田正氏が「ライシテは、「非宗教性」ないし「政教分離」などと訳されることが多いが、日本語ではその語義自体がまだ定まっていない」としたうえで「ライシテ」という用語を使っていますが、その後、主に伊達聖伸 (2010, 2018) および伊達氏らによるジャン・ボベロの翻訳 (2009, 2014) 等により ―― 特に、最近、2018年3月に伊達氏の『ライシテから読む現代フランス―政治と宗教のいま』が出版されたこともあり ―― 「ライシテ」は「フランスにおけるライシテ」を意味する用語として定着したと判断できると思います。したがって、本記事のタイトルを「フランスにおけるライシテ」に変更すべきかどうかにつきましても、「日本語としての「ライシテ」はフランスのそれに限定した意味で用いられる」と考え、変更は必要ないと思います。
- 「世俗主義」については、topに「世俗主義と訳されることもあるが、これは英語の secularism の訳語であり、これらの概念の歴史的な成立過程から、基本的には別の概念である」と書きました。これは、「非宗教性」、「世俗化」と併せて "laïcité" の訳語として使われることがあるため(主に日本のメディアにおいてであって、アカデミックな分野では使わないと思いますが)日本語で「フランスにおけるライシテ」について記述するためには、「世俗主義」という訳語は混乱を招くために使うべきではないことを明記する必要があると判断したからです(実際、加筆前には「ライシテ、あるいは、ライシスムとは、フランスにおける世俗主義(俗権主義)・政教分離の原則・政策のこと」と書いてあり、Loasaさんの (2) にあたる記述になっており、「フランスの特殊性といわれているライシテ概念」として定義されていませんでした)。したがって、「世俗主義」とは区別して、この用語は使わず、「非宗教性」は文脈に応じて(説明的に記述する場合などに)使うものします。
- また、加筆前からあった「§語義」および「§年表」の「フランス革命期から第二帝政期まで(1789年-1870年)」以降の記述は、主に「現代フランス社会における「ライシテ (政教分離)」概念の変容 ―イスラム子女のスカーフ問題をめぐって―」(満足, 2004)からの引用によるものであることをあらためて確認しました。そこで、満足による語義に上記の内容(訳語の定着等)を加えて、「§語義」を書き換えました。加えて、「§年表」の「フランス革命期から第二帝政期まで(1789年-1870年)」の内容を本文の(引用元確認および加筆修正の上)「フランス革命と1958年の第五共和政憲法」に移動し、「年表」の「フランス革命期から第二帝政期まで(1789年-1870年)」の内容は短い箇条書きにしました。これ以前の「ヴァロア朝後期からブルボン朝まで(16世紀-18世紀)」は削除すべきかどうか、上記のとおり、個人的には判断しかねます。併せて、TENさんが指摘されたジャン・ボベロの「ライシテの土台となる思想」ですが、他の文献ではフランス革命前後からの記述になっているため、目下のところは、ここまでとし、今後、検討いたします。
- 変更後の
- ライシテ#語義
- ライシテ#概要#フランス革命と1958年の第五共和政憲法
- ----Hparis11ed(会話) 2018年8月17日 (金) 12:27 (UTC)
- 返信 丁寧な返信と記事の修正ありがとうございます。差し当たり反対票は取り下げます。とりあえず私にいただいた返信についてを中心に再度返信いたします。
- 【語義について】:加筆ありがとうございます。用語の定義の説明が入ったことでだいぶ後続の記述が理解しやすくなったような気がします。
- 【歴史的・社会的意義の加筆について】:私の指摘は正直な所「言うだけなら簡単」というやつで、おっしゃる通り記述はかなり困難だと思います(私にも到底つとまらないです・・)ですので、この選考を通じてこれをやってくださいなどと求めるつもりはないです。「ライシテの土台となる思想」の件については他の出典がフランス革命期からの記述になっているとのことで了解しました。「フランス革命前後から」ということについて検証可能性を満たしてさえいれば無理に言及する必要はないと思います(必要と考えた人が加筆すれば良いかと)。
- 【記述の削除について】:私個人の考えとしては記事にとって有益であるならば、既存記述は(出典の有無にかかわらず)随時削除してかまわないと思っています。ただ、既存記述はなるべく残すようにというのがWikipedia上の一般的な運用であると理解しています。ですのでノートで整理削除を提案して反対意見がつかなければ、不要な部分は削除、と言う流れになるのかなと思います(反対意見がつけばそのままとなりますが、絶対に削除しなければならないというものでもないので、それはそれでいいと思います)。異存はないということなので、とりあえずノートの方に書いてみようと思います。
- 【記事に書くべき内容について】:これの判断が難しいというのはおっしゃる通りと思います。人によって違うと思いますが、私の考え自体は概ねLoasaさんにまとめていただいた通りです。返信に答える形で書くと、「ライシテ」と言う主題では基本的に 1) 「語義(定義)」、「概要」、「起源・成立背景」、「歴史的・社会的意義」と2) 過去30年ほどの「ライシテ原則の適用をめぐる諸問題」、「共和国大統領の政策・発言」 は、全て良質な記事の基準にある「項目に記述されるべきトピック」であるというのが私の考えとなります。これは既に十分な品質の記事(政教分離法のような)が他に存在している場合には、短い要約とその記事への適切な誘導、と言う形もありだと思います。
- 【その他】:【記事に書くべき内容について】とかぶるのですが、個人的には語義や歴史的経緯の説明が手薄だったことで、説明が巻きで進んでいると言うか話の進行が非常に早いように感じ、個々の説明はちゃんとしているのに全体としてはわかりにくい、という印象を持っていました。
- これは現時点でもややそうなのですが、例えば冒頭文では、
- ライシテは、フランスにおける政教分離の原則を表わす。
- 〇〇と訳されるが概念を捉えきれていない
- ××とも訳されるが英語の△△の訳語であり歴史的な成立過程の違いからこれらは別の概念である。
- ここで文章が終わっています。「〇〇ではない、××とも違う」で話が終わるため、
- ではライシテとは結局なんなのか?「フランスにおける」となっているが、フランス以外の政教分離の原則とは違うのか?それとも同じものをフランスの場合だけライシテと言う単語で呼んでいるのか?
- という「もやっと感」が解決されないまま
- ライシテは(それがはっきりと何であるかわからないが)フランス共和国の基本原則の一つである。
- と続きます。
- この結果としてスムーズに説明をのみこめない感じです。§語義に加筆いただく前の場合、記事全体について見た場合についても全く同様の印象であるという感じを受けていました。結局これを解決するためには、短くても長くても(あるいは他記事への誘導でも)いいので、「語義(定義)」や「起源・成立背景」のきちんとした説明が必要であろうと思う、と言うのが反対投票時点の私の意見です。--TEN(会話) 2018年8月17日 (金) 19:15 (UTC)
- 「"laïcité"という言葉は、(我々のような外国人ではなく)フランス共和国の市民にとって、フランス語としてどういう言葉として認識されているのでしょうか」---フランス語のlaïcitéのページから他言語版の一覧を見ると、日本語版の「世俗主義」を含みほとんどがsecularismの各言語版になっています。一方、フランス語のsécularismeはWiktionnaireにあるのみですが、定義は政教分離となっています。混乱がありますが、ここではむしろ、日本語で「ライシテ」といった場合、どのような意味でどのように用いられているかであると思います。
- 返信 的確かつ具体的なご指摘、ありがとうございます。
- ご指摘のとおりだと思いますので、まずはtop(ライシテ)を書き直しました。各訳語について説明した上で、ライシテの法的定義と歴史的経緯(成立過程)を分けて説明し、併せて、政教分離法のページを参照して、この定義を加えました。書き方の問題についてももう少し検討したいと思います。
- また、早速にノートに「年表の整理について」の項を書いていただき、ありがとうございました。--Hparis11ed(会話) 2018年8月18日 (土) 01:24 (UTC)
- 返信 的確かつ具体的なご指摘、ありがとうございます。
選考期間終了時点で賛否なしのため、今回は見送りとなります。--Tam0031(会話) 2018年8月25日 (土) 13:09 (UTC)