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Wikipedia:良質な記事/良質な記事の選考/薤露行 20190925

選考終了日時:2019年10月9日 (水) 11:57 (UTC)

  • (推薦)初稿執筆者による自薦です。手前味噌ながら、短編小説の解説としては上出来という手応えがありました。2019年8月度の月間新記事賞には入りませんでしたが、良質な記事の目安はクリアしているのではないかと思います。--みっち会話2019年9月25日 (水) 11:57 (UTC)[返信]
  • 賛成 文学作品の記事として必要と考えられる一通りの内容が解説されており、良質な記事として十分なレベルであると思います。
§1 発表
  • 「作品の評判について、内田百閒は大好評を博したと述べており、「中央公論」12月号でも「『薤露行』のみ獨り異彩を放つ」、「詩の如き小節」と評された」
意味が曖昧な文です。いろいろなことを一つの文にまとめようとして失敗したように見えるので、一つ一つの内容を、主語をハッキリさせてちゃんと分離した方がいいと思います。
(1)「内田百閒は大好評を博したと述べており」ということは、内田百閒自身が高い評価を与えたということではなく、内田百閒が後に、当時のことを振り返る回想録か何かで「当時、漱石のこの作品は大好評を博した」など述べている、ということでしょうか。
(2)「中央公論」12月号で、「『薤露行』のみ獨り異彩を放つ」、「詩の如き小節」と評したのは誰でしょうか。「評された」とあるからには先の内田百閒ではないように思われますが。
§3 構成
  • なお、この節での固有名詞の表記は、原作に従った。
この場合の「原作」とは何を指しているのでしょうか。マロリーによる『アーサー王物語』のことでしょうか。それとも漱石の『薤露行』のことでしょうか。
  • [注釈 2]「原著では「ギニヸア」。」
上に同じく。こちらの「原著」とは漱石の作品ではなく、マロリーの『アーサー王物語』のことだと思いますが、日本語表記の問題である以上、「原著」と言っても、それは何らかの翻訳本であるはずです。いうまでもなく翻訳本でも訳者によって固有名詞等の表記は違いがあります。よって、「原著」として参照した資料の書誌情報も明記してください。また、本記事の執筆者が「原著」を直接参照したのではなく、参照した別の資料の文中にある注釈をそのまま引用したのであれば、[注釈 2]の出典としてその資料の書誌情報をお願いします。
§5 評価
  • 「漱石によって執筆された日本初のアーサー王物語でありながら、」
これはいささか誤解を招きかねない表現です。漱石がアーサー王物語の最初の翻訳者であるかのようにも解釈できます。冒頭部のように「漱石によって執筆された、アーサー王物語を題材にした小説としては日本初の作品でありながら....」くらいにきっちり解説した方がよいでしょう。
§# 6 論争
  • 「江藤論文に資料提供の形で協力した...(中略)...互いの業績を高く評価していたからだ。」と述べている。」
この部分の出典は次の文「高宮は大岡からも...(中略)...、心配してくれたという」の最後にある出典46と同じもの理解して良いのでしょうか。もしそうだとしても、このような場合は、「...と述べている。」の部分で、一旦出典提示をするのが望ましいです。その一つの理由は、どの資料で「述べている」のか、ということを明らかにする意味で、もう一つの理由は、以下に述べるように次の文は高岡のコメントとは直接関係ない別の話題であり、別の資料からの出典であってもおかしくないと考えられるためです。
  • 「高宮は大岡からも依頼を受けて...(中略)...、高宮の立場を心配してくれたという」
たしかに高岡にとっては、同窓生の江藤と師匠の弟の戦友であった大岡が論敵になったことで、両者に資料調査や研究で協力していた立場としては気まずい思いをしたであろうことは想像できます。しかしそのことが両者の論争やあるいは本作品の評価に対して何らかの影響があったのでしょうか。そうでなければ、正直言ってこの一文は不要な蛇足と思います。
その他
例えば本作品を原作とする映画、テレビ(ラジオ)ドラマ、マンガ、アニメの類が制作されたことはないのでしょうか。
--Loasa会話2019年9月29日 (日) 05:58 (UTC)[返信]
コメント 詳しいコメントをいただき、ありがとうございます。以下、順にお答えします。
  • 「発表」節についてはご指摘に基づき、文章順を入れ替えてみました。「中央公論」12月号の評については、出典元にはだれのものか明らかにされておらず、おそらく編集者による無記名のものではないかと推測します。
  • 「構成」について、ここで原作、原著としているのはいずれも漱石の『薤露行』です。固有名詞の表記は現代のものとはいくらか異なるのですが、「ギニヸア」以外は概ねそのまま使っても読むのに困ることはないだろうという配慮でなお書きしたものです。しかし、かえって誤解を招く書き方だったようで、修正しました。なお、『アーサー王物語』はブリトン人の英雄伝説を起源として中世ヨーロッパに広まった作品群の総称で、マロリーの『アーサー王の死』はそれらの集大成的な作品ですが、日本語への翻訳として入ってきたのは、はじめはテニスンの詩であり、『薤露行』が書かれた時点でマロリーはまだ日本語で読めませんでした。
  • 「評価」の記述は、出典元にある「漱石によって執筆された日本初となるアーサー王物語」という記述に従ったものです。執筆が翻訳の意味を含むかどうかについては、広義・狭義によっても変わるものかもしれません。とはいえ、この記事においては、Loasaさんもご指摘のごとく、冒頭に「創作」と明記していること、かつ「アーサー王物語との関連」節において、坪内逍遥の翻訳を日本初として紹介していることから、ここで翻訳と混同されることはないだろうと判断しました。
  • 「論争」の当該部分は、いずれも高宮が述べているものであり、同一の出典としてまとめています。個人的には同一の出典を一文ごとに連続的に付ける必要はなく、むしろスマートでないと考えますが、それが望ましいということであれば、そのように編集されることについては異議を唱えません。後段の高宮の立場についてですが、確かに論争そのものや作品の評価とは直接関係がありませんが、論争の背景にある人間関係と、江藤を批判した大岡の人間味が垣間見られる点で、私としては捨てがたいと考えています。
  • 「その他」。挙げている出典を読んだ限りでは、『薤露行』を原作とした二次作品については紹介がありません。--みっち会話2019年9月29日 (日) 08:29 (UTC)[返信]
  • 賛成 あらすじもしっかり書かれているし、構成や評価についても書かれていますし、良い記事になっているものと思います。--Tam0031会話2019年10月1日 (火) 12:56 (UTC)[返信]
  • 条件付賛成 賛成 要素要素は大変興味深いのですが、いまいち全体として読みづらく、魅力が伝わりづらいと感じました。みっちさんご自身が「他者の査読依頼」でコメントされていますが (私もみっちさんの指摘に同感なのですが)、『薤露行』も同様に「記事を全部読まなければ把握できない」文章になっているからです。『薤露行』の導入節が非常に短く、しかも概要節も設けず、いきなり「発表」から始めてしまう目次構成にムリがあるのではないでしょうか。このサイズであれば概要節は不要であり、導入節を拡充すれば済むかなと私は思います。なお、良質な記事の選考基準にスタイルマニュアルが挙がっており、導入節は Wikipedia:スタイルマニュアル (導入部) として規定されているため、導入節に「主題が注目に値する理由」がしっかり書かれているかを私は選考時に重視しております。導入節が改稿されれば問題点は比較的楽に解消されると思われるため、条件付賛成を投じます。
  1. 導入節に続く「#発表」節ですが、これは解消して他の節に吸収合併してもいいのかなと思います。というのも、発表節の前半は「#文体と執筆時期」節に密接に関係しており、かつ発表節の後半は発表とは関係なく、むしろ「#評価」節に書かれるべき内容だからです。その上で、要点のみは導入節にも書くべきと考えます。具体的には、(1)『吾輩は猫である』に続く漱石2作目であること、(2) 当時の主流に反して漢文調を思わせる難解な擬古体を用いたことにより、漱石の作品の中で異彩を放っていること、(3) イギリス留学に影響を受けた題材になっていることの3点は、主題の注目ポイントとして導入節にも書くべきではないでしょうか。
  2. この作品のテーマ性が導入節に書かれていないのは、やや不親切だと感じました。「アーサー王物語を題材にした創作」とだけ書かれていますが、あらすじ (#構成節) を読む限りでは、アーサー王に仕えた騎士ランスロットの忠誠心と恋愛苦悩が主軸のように読めました。結局この作品の主人公はアーサー王なのか、それとも部下のランスロットなのか、または群像劇タイプなのか、記事を読んだだけではつかめませんでした。
2か月ほど前に良質な記事に認定された『出家とその弟子』は、導入節から概要節にかけての洗練度が高いと感じたので、改稿される際の参考になるのではないかと思います。--ProfessorPine会話) 2019年10月7日 (月) 09:58 (UTC) ⇒ みっちさん改稿を受け、賛成票に変更。--ProfessorPine会話2019年10月8日 (火) 14:58 (UTC)[返信]
コメント 査読依頼での拙文を読んでくださり、ありがとうございます。
  • 言い訳すれば、私のコメントが対象とした記事は30万バイトを超す大長編ですが、『薤露行』はその約10分の1の3万バイトに過ぎません。構成面でのアプローチも全く異なり、むしろいろんな意味で対照的な記事ではないかと心得ます。その上で、私としては、全部読むことが比較的容易い記事においてまで概略的な導入部が必要とは考えませんでした。むしろ短い記事においては、記述の簡潔さをめざす意味では、導入部と続く各節に重複が少ない方がよいとさえ考えていました。そうして切り詰めていった結果が初版の冒頭文でした。
  • この機会にあらためて導入部のスタイルマニュアルを確認したところ、ProfessorPineさんのご指摘も理解できました。「主題が注目に値する理由」としては、夏目漱石の短編小説であること、アーサー王物語に基づく(日本初の)創作であることの2点によって明らかに担保されていると考えるものですが、「発表」節と「文体と執筆時期」節の内容が時系列的に前後していることは気になっていたため、ご指摘の方向性との整合を図りつつ改稿してみました。
  • 「テーマ性」については、難しいところです。もちろん、3人の女性の運命や死を描くことで、忠誠心と恋愛に引き裂かれるランスロットの苦悩が浮かび上がるという解釈はある(本作ではアーサー王は脇役です)のですが、それを冒頭に掲げることはまた別の問題をはらむように思います。こうした芸術作品の場合、テーマや解釈は受け取り方によってもさまざまであり、原作に当たらずに記事の冒頭部分とあらすじだけ読んでわかったような気になる、というのはちょっとまずいのではないかと思っています。この記事の場合、そのテーマ性をめぐって論争があったことは間違いないので、最小限紹介するに留めさせていただきました。--みっち会話2019年10月8日 (火) 14:27 (UTC)[返信]
早速の改稿ご対応ありがとうございました。編集差分を拝読しました。注目に値する理由、そして著名な論争も要約するとのスタイルマニュアルに合致した編集だと思います。また、発表節の解体に伴う文章の順番変更なども、より作品の魅力が伝わりやすくなったと思います。よって、条件付賛成から賛成確定票に変更致しました。薤露行は未読なので、いつか読んでみたいです (難読なようなのでビビっていますが)。--ProfessorPine会話2019年10月8日 (火) 14:58 (UTC)[返信]

選考終了時点で賛成3票のため、通過となります。--Tam0031会話2019年10月10日 (木) 15:23 (UTC)[返信]