東京メトロ10000系電車
東京地下鉄10000系 | |
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基本情報 | |
製造所 | 日立製作所 |
主要諸元 | |
編成 | 10両・8両 |
軌間 | 1,067 |
電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
最高運転速度 |
有楽町線・副都心線80km/h 東上線100km/h 西武線105km/m |
設計最高速度 | 120 |
起動加速度 | 3.3 |
減速度(常用) | 3.5 |
減速度(非常) | 5.0(資料により4.5) |
編成定員 | 1,518(座席522)人 |
車両定員 |
先頭車143(座席48)人 中間車154(座席54または51)人 |
車両重量 | 24.2~34.2t |
編成重量 | 294.8t |
全長 |
先頭車20,470mm 中間車20,000 |
全幅 | 2,800 |
全高 |
4,045mm パンタグラフ付4,080 |
台車 | モノリンク式ボルスタ付台車 FS-777形 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
主電動機出力 | 165kW(×20基) |
駆動方式 | WN平行カルダン駆動 |
歯車比 | 87:14 (6.21) |
編成出力 | 3,300kW |
制御装置 | IGBT-VVVFインバータ制御 |
制動装置 | ATC連動回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・純電気ブレーキ |
保安装置 |
車内信号式ATC・ATO 東武形・西武形ATS |
東京地下鉄10000系(とうきょうちかてつ10000けい)は、2006年(平成18年)9月1日に有楽町線で営業運転を開始した東京地下鉄の通勤形電車。帝都高速度交通営団から東京地下鉄へ移行後、初の新系列車両である。
概要
本系列は、2008年(平成20年)6月14日に開業した副都心線における新規開業用として、また有楽町線用の7000系を副都心線で使用するために8両化した補填用として製造された。
車体構造は、2004年度に落成した東西線の05系13次車をベースにした日立製作所製のアルミ合金製ダブルスキン構造車体 (A-train) で製造されたが、今までよりも軽量になっている。同じ日立で製造された福岡市交通局3000系や近畿車輛製の西日本旅客鉄道(JR西日本)321系に類似するデザインである。
車体材質は廃車時のリサイクル性を考慮して単一の合金を使用する「モノアロイ化」を実施している(本系列ではアルミ合金)。また、衝突時の安全性を考慮して側構体と妻構体の接合部分を三角形の断面としている。連結間の転落防止幌は灰色1枚形状である。
大邱地下鉄放火事件を教訓に、不燃、難燃性の一層の強化や、樹脂部品の溶融滴下と有毒ガスの発生防止など、構造や材質の見直しが図られたほか、隣接する車両の状況を判断しやすい貫通路の大型ガラスや、消火器や非常コックの所在がわかりやすい車内見付けとなっている。
当初の報道では、2007年度までに10両編成20本(200両)が日立製作所で製造される予定だったが、一部専門誌の記事によると、さらに11本(110両)を追加製造し、最終的には合計で31本(310両)に増える予定である。また、価格は1編成10両で約12億円(1両あたり1億2千万円)である。
前面デザインは営団地下鉄として初めて製造した丸ノ内線用の営団300形・400形・500形を意識したものである。前面左右の前照灯・尾灯は鍵穴形状として同形列の(どくろ形と呼ばれた)灯具をイメージしている。前照灯はHID式である。また、同系列と同じく5000系以来となる中央設置の貫通扉を有し、プラグドア構造の非常口とした。運転台のスペースを広く取ってあるため、室内側の非常扉(乗務員室扉)は進行方向右側にオフセットしており、通路は運転室内を斜めに通り抜ける。
前面形状は、新味とノスタルジーが共存する、大きく丸みを帯びた形状としており、フロントウインドシールドは曲面ガラス構成で、いずれのガラス上部にも遮光フィルムが貼られている。下部には丸みを帯びたスカートが設置されている。
先頭部の連結器は密着連結器である。警笛については東京地下鉄で初の新系列車両であることの意義を込め、営団1000形など、銀座線の旧型車に装備されていたホイッスル(笛)を採用した。ホイッスルは日本各地の路面電車にも採用例が多いが、ホーン(ラッパ)とは異なるややかすれた音色の笛と、最新デザインの大型通勤形車両との組み合わせは稀有な例となっている。
車体ラインカラーは副都心線のラインカラーである茶色をベースとしている。上から茶(太い帯)・金(細い帯)・白(細い帯)となっている。側面では全編成とも窓の上部と窓下の2か所に貼付され、前面と側面でこの帯を配置しているのは10001F~10004Fのみで、10005F以降は前面の金帯が省略されている。
側面窓上のシンボルマークはプレート状取り付けに戻った[1]。正面窓左上のシンボルマークは10001F~10012Fの各編成には貼付されているが、10013F以降の編成には貼り付けされていない。側面の車両番号表記は客室側窓の横にあり[2]、立体[3]の銀色のものである。なお、製造年の表記は編成番号と同じ書体が使われている。
搭載機器
基本的な性能・主電動機出力・歯車比は05系の第34編成以降と同様である。主制御装置はIGBT素子を使用した三菱電機製IPM方式のVVVFインバータ制御方式である。また、センサレスベクトル制御による純電気ブレーキにも対応している。制御方式は1C4M1群/2群制御方式としている。
パンタグラフはシングルアーム式で、05系13次車の3基搭載から再び5基搭載に増加された。台車は、保守簡易化のためにモノリンク構造のボルスタ付き台車を採用した。基礎ブレーキはユニットブレーキ式である。
電動空気圧縮機(CP)は三菱製で、東京地下鉄の車両で初のスクロール式が採用された。補助電源装置である静止形インバータ(SIV)は東芝製の出力240kVA品を編成で2台搭載した。
冷房装置は日立製で集中式の能力58.0kW(50,000kcal/h)品が搭載されている。形状は従来車両とは異なる。
保安装置は東京地下鉄線内におけるATC装置と乗り入れ先である東武東上線・西武線用のATS装置を搭載する。 [4]また、副都心線におけるATO装置を搭載する[5]。
室内
運転台
乗務員室は居住性確保のために線路方向に2,160mm確保されている。室内はアイボリー色、天井は客室よりも低い。運転台は黒色・灰色の配色で、有楽町線を定期運転する車両としては初めてワンハンドル式マスター・コントローラー[6]およびデッドマン装置を採用した。半蔵門線用の08系などと同様にノッチ位置表示灯が設置されており、ATCによる制動の場合もブレーキ位置表示となる。
速度計は近年の他系列と同様に白地で、電照可能な120km/h表示のものである。副都心線においてATOによるワンマン運転を行うため、南北線用の9000系と同じく運転士用のドア開閉ボタン・乗降促進スイッチやATO出発ボタン、ワンマン・ツーマン切り替えスイッチなどがある。また、上部にはホーム監視モニターが設置されている。
計器盤右側には車両情報管理装置(TIS)のモニター画面があり、機器の動作確認やサービス機器の操作に加えてワンマン運転時の運転士用の支援機能もある。車掌スイッチは電気保持式(リレー式)で押しボタン式としている。また、西武線内における戸閉3/4締切回路が設置されている。
客室と乗務員室間の仕切り壁窓は3か所で、客室側から見て左から順に大窓、中央ではなくやや右側に寄っている乗務員室仕切扉と縦に細長い窓である。このうち乗務員室仕切扉は着色ガラスとしている。遮光幕は、運転席背後の大窓と仕切扉部分に設置している。
客室内装
蛍光灯や空調ダクトの配置を工夫することで、本系列の天井の高さは07系より185mm高い2,415mmとなった。空調ダクトは側に寄せており、中央部のみが高い凸形となっている。また、この天井部には枕木方向に補助送風機としてラインデリアが先頭車7台・中間車8台設置されている。
照明は従来車のように天井面設置ではなく、天井高さの変わる切り替え部の垂直面に設置された。10104Fまでは当初天井の凹みの中に埋まっているような形態で設置されていたが、照度分布の改善のため、2006年11月~12月に全編成がスペーサーを用い、凹みから飛び出ている状態に変更された。また、10105F以降は新造時から飛び出ている。
連結間貫通扉は片開き式で傾斜式だが、東京地下鉄の車両で初の全面ガラスドアが採用された。貫通ガラス扉は900mm幅として、さらに両側200mmもガラス構造させることで見た目には1,300mmのガラス張り構造として車両間の見通しを向上させた。そのため、妻面窓は設置されていない。中央には縦じま模様を入れることで乗客がぶつからないように配慮している。
室内の色調は側方向、乗務員室仕切の化粧板は明るい灰色系、連結面妻面は明るい木目調の色調である。なお10119F・10120Fでは化粧板の色が濃くなっているが、10121F以降は戻されている。また、中央天井はシルバー系、側天井にあたる空調ダクト部はホワイトの色である。床材は明るいオレンジ系で統一されている。なお10121F以降の乗降口ドア付近には注意を示す赤い滑り止めがある。
本形式では車内の号車札・戸閉コック・非常通報器・消火器札などの表記類に蓄光性のシールを採用した。これは何らかの理由で車内が暗くなっても表示の確認ができるよう考慮したものである。また、この蓄光シール表記は 後にほかの東京地下鉄全車両も同様のものへ交換した。
座席はオレンジ色の表地であり、1人分の掛け幅が460mmの片持ち式(セパレートタイプ)である。優先席付近は青色の表地として一般席とは区別している。編成中の2号車と9号車には車椅子スペースを設けている。側窓は車端部が固定窓、ドア間の2連窓は開閉可能な下降窓である。いずれも遮光用カーテン付としている。
目新しい点としては、アルミ型押し材を切削加工した支持枠に強化ガラスの底板をはめ込んだ荷物棚と大型のアルミキャスト製の座席袖仕切りがある。このほか、ドア上部のLCDのキセもアルミ型押し材で構成されており、リサイクル性に難のあるFRPの使用を廃している。また、燃焼時の溶融滴下や有毒ガスの発生源となる塩化ビニールも使用されていない。ただし、袖仕切りに関しては、冬季の低温時に触れると非常に冷たく感じるため、改善を求める声もある。
つり手棒は従来車両とは異なり、ドア間線路方向のものは端部が曲がって天井に向かっているものである。天井との支持部分は溝のような部分の中に入っている。なお、天井から出て荷棚に至るポールは4本あり、7人掛け座席の場合、そのまま下に下りてスタンションポールになっているもの[7]のほか、荷棚の高さで止まっているものが1本ある。
ドア脇のつかみ部分は05系13次車と同様に独立した手すりではなく側扉の枠が伸びているものである。これらつかみ棒の接続にもアルミ型押し材が使われている。
つり革のつり輪形状は従来通り三角形で、ベルトは塩化ビニールの被覆を廃したナイロン製となり、枕木方向に2列設置され、優先席付近のものは製造当初からオレンジ色のものが使われている。
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車内
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座席(7人掛け)
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優先席(3人掛け)
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LCD車内案内モニター(10122)
10112Fからは竣工時から各客用ドアに「1号車 1番ドア」などと表記されたステッカーが貼付されている。これは01系・02系・9000系などでも貼付されており、後に10111Fにも貼付された。
側扉窓の支持方式は05系13次車とは異なり、6000系や8000系の一部の改造車に類似するもので、車外側から見ると支持部が黒く見えており、室内側は07系と同様にゴムを併用する大型の平面的な支持具を使用しており、ガラスは単板ガラスが採用されている。
ドアチャイムは、従来車の2打式の音色から東日本旅客鉄道(JR東日本)E231系、E531系と東京都交通局(都営地下鉄)10-300形などと同じ3打式に変更された。また、戸閉め減圧機構も装備する[8]。当初は閉扉時に「プシュー」という音がなっていたが、その後全編成に改良が行われ、閉扉時の音がなくなっている。10105F以降の編成はドアチャイム用スピーカーのカバーの形状が変更されている。
旅客への情報提供
車外の旅客へ
行先表示器と種別表示器は明朝体の3色LEDである。前面には行先表示器と運行番号表示・種別表示器が別々である。種別・運行表示器は一体化しているが、運行表示が左側に寄っているのは右側にローマ字併記の種別を表示するためである。側面表示器では東武50000系列と同様に号車表示も行っている。行先表示は運転台のTISモニター画面から設定する。
車外スピーカーを搭載しており、乗務員による車外案内放送や乗降促進放送「ドアが閉まります、ご注意ください」の放送を流すことができる。
なお、副都心線開業前日の2008年6月13日より各駅停車であっても種別表示「各停(Local)」を行うようになった[9]。東武東上線直通の各駅停車は、和光市で表示が「各停」から「普通」に切り替わる(東武車も同様)。同時に直通先の東武東上線・西武池袋線内では行先と号車表示の間に「有楽町線直通」などのサインが表示されるようになったほか、その下には地下鉄線内の種別が分かるように「地下鉄線内各駅停車」(上の直通表示よりは字が小さい)などの表示もされている。地下鉄線内でも同様。以下に例を挙げる。 例:「有楽町線直通 地下鉄線内 各停」 「東武東上線直通 東上線内 各駅停車」 「西武線直通 西武線内 準急」
車内の旅客へ
車内案内表示器は、従来のLED式から東京地下鉄の車両で初のLCD式を採用した上で客用ドア1か所あたりに2台搭載し、右側のLCDの映像には行先・次の駅と乗り換え案内・所要時間・運行情報などを表示するなど、東急5050系や横浜高速鉄道Y500系と同じ構造としている。ただし、2006年9月1日の営業運転当初はは右側のLCDだけを使用し、10104Fまでは左側を設置準備スペースとして確保した状態で投入したが、同年10月から2008年1月にかけて左側にも設置され、同時にドアエンジンも10105F以降とほぼ同一仕様に交換された。なお、2007年に製造された10105Fからは左側にも設置された状態で落成した。
表示内容やレイアウト、デザインは他社とほぼ同一であるが、駅ナンバリング(駅名標で表示されているものと異なるフォント)の表示にも対応している。また、「こちら側のドアが開きます」の表示の際、他社(東急、小田急)では開いた状態のドアに青い矢印が突き抜けている静止画が使用されているが、本系列ではこれを含む4コマの静止画で段々ドアが開く様子が表現されている(JR東日本では矢印がない)。完全にドアが開いた状態になると、「こちら側の…」の表示が「足元にご注意ください」に変わるのも特徴(英字は「Doors on this side will open.」の固定表示)である。なお、後に登場した西武30000系電車でもドアの画像はほぼ同じだが、矢印の色が緑色になっている。
なお、乗り入れ先となる東武東上線と西武有楽町線・池袋線内では停車駅の設備や目的地までの所要時分など詳細な項目は表示されない。さらに、従来の車両では「準急」や「快速」の編成で各駅停車の区間に入った場合はそれぞれの種別表示が削除されるようになっていたが、本系列では実施されていない。また、左側のLCDの映像には時折東京地下鉄の乗車券や公式サイトなどの広告も展開しているが、乗り入れ先でも同社の広告が表示される。なお副都心線が開業した現在、一般企業の広告を展開し始めた。
自動放送装置を搭載している。南北線と同様に異常時などのメニュー放送機能も搭載されている。乗り入れ先の自動放送は東武東上線内が東武9000系および9050系修繕車と50000系・50070系などと仕様を合わした女声[10]、西武有楽町線・池袋線内の自動放送も6000系などと仕様を合わせた女声であり、東上線、西武線共に副都心線開業と同時に直通先でも英語放送を行うようになった。詳細は「営団05系電車#民営化以後の自動放送の移り変わり」を参照。
共通車両編成(全線共通)
- 10000系の編成
←新木場・渋谷方面 和光市・西武池袋線飯能・東武東上線川越市方面→
10107 (CT) - 10207 (M) - 10307 (Mc) - 10407 (Tc) - 10507 (Mc) - 10607 (Tc) - 10707 (T) - 10807 (M) - 10907 (M) - 10007 (CT)
- MT比5M5T構成だが、このうち編成中に簡易運転台設置車両が4両存在する。10101F~10105Fについては10400-10500の2両を抜いた8両編成での運行も可能で、副都心線開業時に7000系の副都心線専用8両編成の所定両数が不足したため、実際に副都心線開業当日から最初の4編成(1次車)が暫定的に8両編成での運用が行われており、車体前面の窓の向かって右側のワイパーの下に8CARSステッカーが貼り付けされたアクリル版が置かれている。
編成番号は帝都高速度交通営団(営団地下鉄)時代に多用された独自のものを使用している[11]。南北線用の9000系と同様に新規路線である副都心線開業用の新製車でもあり、同線用としては代替車および増備車ではないため、「0x系」という付番の系列ではない。下3桁の車両番号の付与法は千代田線用の6000系以降の他系列と同様に百位が連結位置(10号車は0)、十位と一位が製造順の番号となっている。
運行区間
2008年6月14日現在の運用範囲は次の通りである。
- 有楽町線…10両編成のみ運用される。
- 副都心線…8両編成・10両編成共に運用される。
- 東武東上線…定期列車としては10両編成が森林公園まで[12]、8両編成が志木までそれぞれ直通する。
- 西武鉄道西武有楽町線・池袋線…10両編成が飯能まで、8両編成が小手指まで[13]それぞれ直通し、池袋線内は準急・快速となる列車もある。また、西武の運用である「14M」の代替車両として7000系へ貸し出し運用を行う時があるが、2007年11月から本系列も貸し出し運用を行っている。
- 西武狭山線…西武ドームでの野球開催時のみの運用で、定期入線は行っていない。直通運用の間合いで狭山線内の折り返し運用に使用されることもある。
2008年6月13日まで、現在の副都心線小竹向原~池袋にあたる有楽町線新線でも運用されていたが、同区間は副都心線の開業によって同線に編入された。また、2012年度には同線渋谷駅経由で東京急行電鉄東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街まで相互乗り入れを行う予定である。
車両運用は7000系とともに有楽町線と共用している。
これまでの歩み
2006年5月29日~31日に最初の編成である10101Fが山口県下松市の日立製作所笠戸事業所から綾瀬検車区まで甲種車両輸送された。その後10102F~10104Fについても同年8月4日までに同区まで甲種輸送された。同年9月1日に10101Fが有楽町線および東武東上線での営業運転を開始し、数日後に10102Fと10103Fも営業を開始、その後しばらくしてから10104Fも営業を開始した。このうち10101Fは茶色、10102Fは青色の記念ステッカーを先頭車の前面左側に貼付した[14]。この10000系導入を記念して同月30日に新木場車両基地で10101Fと07系07-101F、7000系7101Fを並べた撮影会が行われた。また、12月23日に森林公園検修区で開催された東武東上線クリスマスイベントにも10104Fが展示されていた。10104Fまでの編成は前述したが、同年末までに蛍光灯の設置位置が変更された。西武線への乗り入れは、導入当初同線での試運転で発生した誘導障害を2007年1月にクリアし、同年2月23日から開始している。
2007年は、2月23日~25日に10105Fが、3月9日~11日に10106Fがそれぞれ甲種車両輸送された。4月~11月(6月を除く)は2編成ずつの輸送となり、4月に10107Fと10108Fが、5月に10109Fと10110Fが、7月に10111Fと10112Fが、8月に10113Fと10114Fが、9月に10115Fと10116Fが、10月に10117Fと10118Fが、11月に10119Fと10120Fがそれぞれ輸送された。現在までに10122Fまでが営業運転を開始し、7000系が副都心線対応改造中はその置き換えで運用している。また、前述した通り当初11月に全20編成が出揃う予定だったが、今後さらに11編成が追加製造される見込みとなったため、最終的に10両編成31本(310両)が営業運転を開始する予定であり、2008年4月25日~27日に10121Fが、同年5月23日~25日に10122Fがそれぞれ甲種車両輸送された。
甲種車両輸送は下記のルートで搬入された。
2007年度日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞を受賞した。このため、同年10月31日までの時点で営業運転を行っている編成の先頭車前面にこれを記念したステッカーが貼付されていた。
有楽町線における車両の転配について
有楽町線では、2006年9月1日より順次本系列を4本(40両)投入して営業運転を開始した。それに伴い、小竹向原駅と副都心線の各駅で使用するホームドアに対応しない07系07-103F~07-106Fを同年度内に東西線に転出させ、同線の5000系を翌2007年3月17日までに淘汰した。2007年4月現在、07系は2本が在籍している[15]。
その他
- 乗り入れ先である東武や西武にも「10000系」の称号を持つ系列が存在しており、重複番号が発生している。
- 同じ有楽町線で使われている7000系の一部編成は順次帯を黄色から本系列と同一のものに変更するなど本系列と同じタイプの改造を行っている。10両編成は有楽町線・副都心線共用で運用するが、8両に短縮した編成は副都心線専用として運用する。
- 乗り入れ先の西武有楽町線・池袋線のダイヤが人身事故などで乱れた際は、ダイヤ調整のために通常乗り入れない区間[16]を走行する場合がある[17][18]。
脚注
- ^ 05系13次車はステッカーによる貼付。
- ^ これは東急の車両などでも見られる。
- ^ プレートではなく文字の形に切り出している。
- ^ 両先頭車の床下に「ATC・ATS」として1つの箱に収めている。
- ^ 初期車では当初非搭載であったが、後に搭載された。
- ^ 両手操作形、力行4ノッチ常用制動7ノッチ。
- ^ ドア間1か所あたり袖仕切部と3+4人に分割するものの計3本。
- ^ 10105F以降の編成では落成時から戸閉め減圧機構を搭載し、後に10101F~10104Fについても同様に搭載された。
- ^ これにより、6月13日に限り「各停 池袋」の行き先表示が見られた。
- ^ 当初は7000系の一部・07系や東武9050系(登場時)などと仕様を合わせた男声であったが、7000系・07系・東武9050系が「東武東上線をご利用くださいまして~」と案内していたのに対し、10000系では「東武鉄道をご利用くださいまして~」と案内するなど若干の違いがあった。その後、東武9050系は副都心線直通改造に合わせて、7000系と10000系は副都心線開業と同時にそれぞれ現在の女声のものに更新された。
- ^ 10105Fなら"5"、ちなみに07系は50番台の番号が付与されている。
- ^ ただし、大部分の運用は川越市までである。
- ^ ただし、大部分の運用は清瀬までである。
- ^ 10101Fは撮影会後、10102Fは11月頃に撤去された。
- ^ 2008年現在、和光検車区に留置状態であり、休車扱いであるため、本系列がその置き換えで運用している。
- ^ 練馬~江古田~(西武)池袋間。
- ^ これは7000系も同様である。種別・行先表示器は「臨時」と表示される。
- ^ 東武東上線では営業運転で走行したケースは無いが、試運転列車として和光市~上板橋~(東武)池袋間、回送電車として和光市~上板橋間を走行した記録がある。