UHFアニメ
UHFアニメ(ユーエイチエフアニメ)は、日本の地上波テレビ放送における独立放送局(独立局)を中心に放送されるテレビアニメの総称もしくは通称である。
独立局では系列不問で過去に放送された旧作について実質再放送を行なったり、該当局の放送対象地域内にテレビ東京系列局が存在しない場合にテレビ東京系アニメをネットしたりするケース[注釈 1]も多いが、テレビ東京を含むキー局が製作・放送したアニメについては基本的に本項では扱わないこととする。
概要
「UHFアニメ」という呼称は、以下のようなアニメ作品の総称として使用されることがある。
地上デジタル放送への移行が完了した2011年7月まで、かつての地上アナログ放送は(各局の送信所の親局において)1から12までのチャンネルで放送するVHF(超短波帯)と、13以上のチャンネルで放送するUHF(極超短波帯)の2種類を使用していた。このうち、全国独立放送協議会(旧・全国独立UHF放送協議会)に加盟する三大都市圏(関東・中京・近畿地方)の民放の親局は、在京キー局の全てと同系列局の大半[注釈 2]がVHFであったのに対して、独立局の親局は全てUHFでの放送であったことから、キー局系列で放送されるアニメと区別する形で、独立局で放送されるアニメを「UHFアニメ」と呼称・通称する場合がある。なお、デジタル放送は全ての放送局が親局のチャンネルにUHFの番号を使用している。
ジャンル
1998年4月期に独立局各局などの深夜帯での放送を想定し企画・製作された『LEGEND OF BASARA』が放送された[1][3]。これをきっかけに、一部の独立局で深夜帯を中心とした新作テレビアニメの放送本数が徐々に増加することになる[3][4]。同作はラブストーリーを含むいわゆる架空戦記と呼ばれるジャンルの作品であった。
独立局で放送される場合、キー局および同系列局よりも表現の自主規制に比較的寛容な傾向があり、美少女ゲームを中心としたアダルトゲームのように性的・暴力的(エロ・グロ)なジャンルや描写が特徴的な原作を基にした作品も少なからず放送されてきた[3]。特に2005年度には、「UHFアニメ」全体の4分の1以上がPCゲーム原作の作品で[5]、この頃は男性向けの作品が圧倒的に主力だった。ただし放送される時期によっては、個々の作品の過激ないし特徴的な描写が問題視され、BPO(放送倫理・番組向上機構)での審理がなされたり、放送中止に追い込まれたりしたケースも過去に発生したことがある(詳細は後述)[注釈 3]。
2000年代後半に入ると、空気系や日常系と呼ばれる『らき☆すた』などの恋愛要素がない作品などが次々とヒット。2010年代には音楽を題材にした『ラブライブ!』・『BanG Dream!』・『戦姫絶唱シンフォギア』、異世界やそれに準じるVR空間を主たる舞台とする『ソードアート・オンライン』(以下、SAOと略す場合あり)・『転生したらスライムだった件』などが躍進。2020年現在は2010年代の発展形となり、いずれもゲームが先行して展開されている『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』・『D4DJ First Mix』といった音楽を題材にしたアニメが2010年代に引き続き話題となっている[注釈 4]。
また、放送時間が5 - 15分程度のいわゆる短編アニメ[注釈 5]として放送されるものも少数ながら存在する。
放送時間帯
草創期から現在に至るまで深夜帯(おおむね0時台以降)での放送が主流である。前述の通り、独立局はキー局および同系列局と比べて表現の自主規制が比較的緩く、かつ深夜枠の放送料が比較的安価であることによる。深夜帯の番組を充実させたい独立局側と、制作・放送コストを安く抑えつつ多様なジャンルの作品を放送したい製作委員会側の双方にメリットがあったことが、「UHFアニメ」が拡大した要因にもなっている。
後述の理由により、TOKYO MXはアニメおよび関連情報番組の放送に熱心であり、ゴールデンタイムやプライムタイムを含む0時以前の時間帯にも積極的に深夜帯向けのアニメを放送している(TOKYO MXと同時ネットを行う機会が多いBS11も同様)。その他の独立局でも、おおむね22・23時台にアニメを放送しているケースが一定数見受けられる。
この他、児童向けに製作された作品を中心に、朝夕を中心とした時間帯(全日)での放送を前提とした作品も見受けられるが、制作・放送の実績は限定的かつ散発的な水準に留まっている。1996年の『わんころべえ』がTOKYO MX単独で放送された後(後に一部の独立局でも遅れて放送)、2006年7月期に『まもって!ロリポップ』が「朝夕の時間帯向けのUHFアニメ」として放送された[注釈 6]。
テレビアニメ以外での展開
『灼眼のシャナ』・『魔法少女リリカルなのは』・『Fate/stay night』・『涼宮ハルヒの消失』など、「UHFアニメ」として放送された作品の続編・番外編・総集編が映画化される機会もある。後述のように「UHFアニメ」の放送エリアが(衛星放送を除けば)が日本全国をカバーしていないため、必ずしも日本全国でロードショー上映されるとは限らないものの、中には実写作品と肩を並べるヒットを記録する作品もある。『涼宮ハルヒの消失』は、上映開始から2か月で7億2千万円の興行収入を計上した[6]。なお『なのは』と『Fate』はそもそもアダルトゲームを原作しているが、テレビアニメ化以降はそのイメージから脱却するような展開を行っている。
主題歌などがアニメソングではなく楽曲として注目を浴びる機会も年々増えている[2]。前述の『ラブライブ!』はテレビアニメ化後に各種メディアでしばしば紹介され、リリースしたCDがオリコンランキングの上位にたびたび入るようになり、2015年4月22日発売の『ミはμ'sicのミ』は同年5月4日付の週間シングルランキングにて初登場5位につけ、2013年4月発売『No brand girls/START:DASH!!』(最高5位)からμ's名義のシングルが「10作連続で上位5位」を記録[7]。さらに2015年5月27日発売のベストアルバム第2弾『μ’s Best Album Best Live! Collection II』が週間アルバムランキング初登場1位という快挙を達成した[8]。また、オリコン顧客満足度ランキングによるとスマートフォン向けソーシャルゲームにおいて『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』が2年連続で男女共に総合満足度1位を獲得した[9]。さらに劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』も観客動員数200万人を突破し、興行収入が28億円以上に達する大ヒット作となり、民放で放送されたテレビアニメとしては異例のNHK Eテレでの実質再放送も実施された[10][11]。
2019年4月期に第1期(竈門炭治郎 立志編)が放送された『鬼滅の刃』は、従来は「UHFアニメ」として放送された一つのテレビアニメに過ぎなかったが、2020年10月に公開された『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が日本歴代興行収入1位を記録するなどの世界的な人気作となり[12]、官僚からも言及を受ける[13]などの社会現象を巻き起こした。第1期はフジテレビ系列各局で異例となる全国規模の再放送が行われ、「無限列車編」(劇場版の総集編)以降の続編の本放送は第1期を放送したTOKYO MXおよびBS11でもフジテレビ系列と並行して実施している。
放送エリア
総務省が定める独立局の放送対象地域はいずれも県域放送であるが、全国独立放送協議会加盟局のテレビ局が存在しない大阪府・愛知県・茨城県では隣県からのスピルオーバーによる直接受信や、ケーブルテレビによる区域外再放送で、大阪府の殆どの地域および愛知県や茨城県の一部の地域では独立局の番組が視聴可能なので、独立局の放送エリアは事実上三大都市圏をカバーしている。
関東広域圏においては、茨城県を除く1都5県の独立局(TOKYO MX、テレビ神奈川(tvk)、テレ玉、チバテレ、群馬テレビ、とちぎテレビ)にてUHFアニメが放送されている。中でもTOKYO MXは地上波デジタル放送が普及し、東京都内においてNHKやキー局とほぼ同等の受信環境となった2000年代後半から次第にUHFアニメの放送本数を増やしており、2012年に東京タワーからより高層の東京スカイツリーに送信所を移転してからはさらに顕著になり、現在では関東圏での新作UHFアニメの放送をほぼ独占状態としている[注釈 7]。
近畿広域圏と中京広域圏では、関東広域圏の独立局とは異なりテレビ東京からの番組ネットや独自番組などによる番組編成を行なっている独立局が多いことから、広域局の準キー局・在名局を含めたネットワークに属する各局が独立局に代わってUHFアニメを放送するケースが目立つ。
近畿広域圏においては、大阪府のほとんどの地域ないし奈良県や滋賀県の一部地域および和歌山県[注釈 8]のごく一部の地域では、サンテレビないしKBS京都が、直接受信やケーブルテレビなどで視聴できる。そのため、近畿圏ではこの2局でのUHFアニメの放送が主流ではあるが[注釈 9]、古くから阪神タイガース戦完全中継を行っている『サンテレビボックス席』(KBS京都では『KBS京都エキサイトナイター』)が放送されるプロ野球シーズンの間は放送時間が非常に不安定になりやすい特有の事情を抱えており(電子番組ガイドを搭載した録画機器が普及する以前は、地元視聴者にとっては悩みの種であった)、この影響も加わって広域準キー局4局でもUHFアニメが放送されており、特に古くから深夜帯に(旧作の再放送を含めた)テレビアニメを放送している毎日放送での放送本数が群を抜いて多い。これらの影響から、テレビ和歌山・奈良テレビ・びわ湖放送やテレビ東京系列県域放送局のテレビ大阪で放送されるUHFアニメは非常に少ない。
中京広域圏においては、人口が集中する愛知県においても大阪府同様に全国独立放送協議会加盟局のテレビ局が存在せず、さらに独立局である岐阜放送および三重テレビでは電波の届き具合から名古屋市周辺を十分にはカバーできない。それゆえに中京広域圏の「人口エリア」の殆どをカバーしているテレビ東京系列県域放送局のテレビ愛知が中京広域圏におけるUHFアニメの放送をほぼ寡占状態としているほか、広域在名局各局でも若干数ながら放送されている(在名広域局ではCBCテレビ・メ〜テレでの放送実績が多く、東海テレビでは若干数が放送された程度で、中京テレビでは2007年まで実績がなかった)。ただし2010年代半ばからBS民放各局に実質代替される形で中京圏地上波局での未放送番組が増加傾向にある。
その一方で、北海道・福岡県では各局ともバラエティ番組を中心に深夜帯は番組が充実しているため3大都市圏と比べて放送される作品は少なく、更に「5大都市圏」以外の地域のローカル局では放送される作品が非常に少なく、スポンサーのない番組販売に頼る他にない。
しかし、一部の作品の中には「アニメの舞台の地域」という、地元のよしみから地元局で放送されることもある。一例として『たまゆら』シリーズの場合、広島県が舞台であることから第1期はテレビ新広島、第2期はNHK広島総合(第1期の再放送と連続して日曜昼間帯にて)で放送された[注釈 10]。近年では静岡県を舞台にした作品を地元局である静岡放送が積極的にネットする、といった事例も出ている。
また、富山県南砺市に本社を置くP.A.WORKS元請制作作品の一部が地元民放局3局(北日本放送・チューリップテレビ・富山テレビ)のいずれかで放送されているほか、Cygames作品の放送については主要都市の放送局に加えて佐賀県の民放局であるサガテレビでも放送されている。
この他、漫画やライトノベルなどの原作付きの作品は「作者の出身もしくは在住地」という理由で放送されることもある。
各地で放送される場合、放送系列形態については、作品によっては地域ごとに異なる例も少なくなく、中には関東ローカルであったり、関東圏と近畿圏・中京圏のいずれかでしか放送されないこともある。また、シリーズものによっては作品ごとにネット局構成が異なったり[注釈 11]、諸事情でシリーズの順番通りの放送ではなかったり[注釈 12]、さらにキー局系列で放送された作品の続編・スピンオフ作がUHFアニメとして制作・放送[注釈 13]されたり、逆にUHFアニメとして製作・放送された作品の続編がキー局系列で製作・放送[注釈 14]される事例もあるなど、キー局系テレビアニメと比べてネット形態は非常に複雑なものとなっている。
近年ではUHFアニメとして本放送された作品の一部がキー局(および系列局)[注釈 15]、もしくはNHK[注釈 16]で(実質)再放送される事例も出ている。
2000年代末期以降は、衛星放送(BSデジタル放送・CSチャンネル)[注釈 17]やインターネット配信が行われる作品も増加しており、視聴可能な放送局での編成がない場合でも環境を整えれば大半の作品が視聴できるようになっている。
UHFアニメにおける同時ネットの進展
2014年からTOKYO MXなどの独立局とBS11やBSフジ、BS日テレといった民放BS局との組み合わせで「大都市圏は(独立局の)地上波、地方圏はBS」と言った役割分担の形で、キー局系列による地上波全国同時ネットと比べると低コストでの全国同時ネットを行うUHFアニメも登場している。当初は主にアニプレックス製作作品[注釈 18]に目立った(『メカクシティアクターズ』・『アイドルマスター シンデレラガールズ』ほか)が、次第に他社製作作品でも徐々に増えている。しかし、2019年頃から、枠が固定されているアニプレックス・キングレコード(キング・アミューズメント・クリエイティブ本部)・ワーナー ブラザース ジャパン・TOHO animation製作作品以外のBSの同時ネット枠の増減や枠の変動が激しくなっている。
別パターンとして、TOKYO MXをはじめとする主要独立局で同時ネットするがBS11などBS民放局・(放送される場合)その他の地上波局で遅れネットとなるUHFアニメも若干数ながら存在する[注釈 19]。いずれの場合も、近畿広域局や二大都市圏以外の局では放送されても遅れネットとなる[注釈 20]。
さらにABEMAなどのインターネットテレビでもテレビ最速(または地上波最速)放送に合わせたり、テレビ放送より早く配信を行う作品も次第に増加傾向にある。
UHFアニメにまつわる備考項目
製作委員会方式
多くの作品では製作委員会方式が採用されており、製作委員会が放送局の番組枠を買い取り、番組スポンサーとなって放送されるというケースが多い。例えば漫画・ライトノベルなどの原作を有する作品の場合、原作書籍の出版社、アニメ作品そのものや主題歌などを収録するDVD・CDの発売元であるビデオ・音楽ソフトメーカーが主なスポンサーとなる。作品によってはゲームなどのメディアミックスも展開されるため、関連する企業がスポンサーに名を連ねることもしばしばある。コミックマーケットやAnimeJapanといったアニメに関連する大規模イベントなどでは、これらの企業が出展した上で「UHFアニメ」として放送される作品のプロモーションが度々行われている(これらの特徴はキー局系列で放送される深夜アニメでもおおむね共通する)。
放送局が製作委員会に出資したり、放送局が主体となって製作している作品も年々増えている[1]。特に2013年頃から、TOKYO MXが製作委員会への参加に積極的である[14]。中には系列の垣根を超えて、関東地方以外(主に近畿地方)を中心としたキー局系列局、BS・CS向けの衛星放送局が連名で同一のアニメ作品の製作に参加するケースも増えている(いずれも各局の子会社なども含む)[注釈 21]。作品によっては関東地方の放送局が参加せず、前述した各地の放送局や衛星放送局(または子会社)のみが参加して「UHFアニメ」に準じたネット形態で放送される逆転現象のようなケースも見受けられる[注釈 22]。
この他、TBSのように在京キー局が製作に参加しながらも自局で放送せず、「UHFアニメ」に準じる形態で独立局や系列内外の衛星放送局で放送されたケースもある[注釈 23][注釈 24][15]。
幹事局
製作局ではないが、複数の放送局の動向を取りまとめる幹事局が存在し、主に放送規制に抵触しそうな描写や表現など、最低限のチェックを絵コンテ段階などで行っている[16]。また、近年になっては幹事局での一括評価だけではなく、納品段階でチェックを行い、内容によっては自局のみでも放送自粛する、など独自の規制強化に乗り出している放送局もある[17]。キー局およびその主な系列局と比べて規模の小さい独立局の場合、人手も予算も足りないことから、局側は放送を受け入れた番組内容の倫理面で問題が無いかをチェックするのが主な役割となる傾向にあると、アニメ評論家の藤津亮太は解説している[15]。
デジタルテレビ放送への対応
独立局各局でもキー局およびその系列局よりは遅れたが、対応を完了させた。また、TOKYO MX製作委員会参加作品の一部にはデータ放送を実施しているものも登場している。
UHFアニメの各種問題
なお、下記に挙げている作品についての具体的な概要は各作品の記事も参照のこと。
放送上のトラブルと自主規制
キー局系列あるいはNHKをキーステーションに放送の作品の場合、製作局の放送基準に沿って制作されているが、「UHFアニメ」の場合は「放送局が製作に関与しない限りは」各放送局ごとの放送基準がまちまちであるため[17]、各局間で放送される内容に微妙な差異が生じることも度々ある。また放送の取り止めには至らないものの、一部もしくは全てのネット局で劇中の描写に大規模な修正が施されるものも2007年以降数多く存在している(当初から映像ソフト版もしくは有料放送・配信などでの「完全版」の販売促進を前提に、地上波・BS放送およびネット配信版では「自主規制版」を放送する事例もある[注釈 25])。
2007年を中心に当時発生した事件などを理由にテレビ放送が延期されたり、放送が打ち切られたり、一部放送局で放送が見送られた作品も幾つか存在する(『ひぐらしのなく頃に解』[18]・『School Days』[18][19][20]・『こどものじかん』[21]など)。
2011年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では甚大な被害を重んじ、時期柄不謹慎と思われるシーンが含まれる回の放送見送りや自主規制なども発生している。
放送トラブルの主な具体例
- 劇中の描写に関する問題
- サンテレビが夕方(18時台)に放送したことから、BPO(放送倫理・番組向上機構)でも取り上げられる事態となった[22][23]。
- 地上波で放送しているTOKYO MXとサンテレビは当初プライムタイム(22時半)に放送していたが、「中高生の青少年が視聴しやすい時間帯にもかかわらず、過激な性表現が含まれている」としてBPOへ苦情が寄せられ、その結果両局は2月から深夜帯で放送することになった[25](BS11では最初から27時台に放送した)。
- 本作はきわどい内容であるがため、AT-X以外では、テレビ放送向けに映像が修正されたものを放送しているが、BPOには「遅い時間帯の子どもの視聴については、保護者にも配慮してもらうという民放連の規定も踏まえて検討する必要がある」「テレビは子どもだけを視聴者として対象にしているものではないので、深夜帯に大人向けのアニメを、表現の自由の範囲内で放送することはできるというスタンスでテレビ局は制作しているのだと思う」などの意見があり、不問とされた[26]。また、本作の放映に関して否定的な意見も寄せられたが、その結果TOKYO MXは「編成上の都合」として第5話以降の放送を中止することとなった[27]。その後、サンテレビでも同様の理由により第6話以降の放送を中止することとなった[28]。
- なお、BS11・KBS京都では第5話以降も継続して放送されている他、同年2月以降はぎふチャン・びわ湖放送・奈良テレビで遅れネットが開始されている[注釈 26]。
- 第11話について、群馬テレビでは放送を見送り、第1話を再放送することを2021年12月11日までに決定した[29][30]。第11話ではボートレースを取り扱う内容があり、「青少年の射幸心への影響を考慮した」と説明している。この作品を巡っては第4話でも番組内で競輪を取り扱う内容があったため、(群馬テレビの放送エリアである)群馬県内の視聴者から「子ども向けアニメなのに公営ギャンブルを扱うのは不適切」との意見が挙がり、放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会でも採り上げられるなど、問題視されていた[30][31][32]。これらについて、群馬テレビに対してという形でBPOから報告がなされ、群馬テレビ内で検討の結果放送見送りとなった経緯がある。このアニメは県自らが製作・著作という形を取っており、知事の山本一太は「公営競技の収益は教育や市民に必要なインフラ整備などに活用されている。3市長[注釈 27]も(放送が見送られたことに)違和感を持っていた」とした上で、「競輪選手や競技場で雇用を得ている人に、自分の仕事は子どもに見せてはいけないものかのような印象を与えたら残念だ」と持論を述べた[33]。
- 制作上のトラブルによる問題
2015年以降、制作会社のアクシデントで放送が延期になるケースが増えている。
突如過去回の再放送や総集編が組まれるのが主なパターンだが、ここでは制作に関係していることを理由に挙げている作品のみ記載する。
- アクタス制作。製作委員会側が本来意図していたクオリティと相違があることを理由に7月末に放送した第4話で一旦放送を打ち切り、制作体制およびスケジュールを仕切り直して9月から改めて第1話から放送を再開した[34]。これについては出演した緒方恵美が直接言及する異例の事態にもなった[35]。
- ろんぐらいだぁす!(2016年10月期)
- アクタス制作。制作スケジュールの遅れにより第3話および第5話の放送・配信を延期し、代替として第1話の再放送および特別編を放送[36][37]。各テレビ局はそのままの放送スケジュールで対応した為、第11・12各話は2016年内に放送が不可能となり、2017年2月に時期をずらして放送された[38][39]。
- ブレイブウィッチーズ(2016年10月期)
- SILVER LINK.制作。制作スケジュールの遅れにより第4話の放送を1週延期[40]。休止した分はOVA『Operation Victory Arrow vol.1 サン・トロンの雷鳴』をテレビ放送用に再編集したバージョンが代替として放送された。
- フッズエンタテインメント制作。作画クオリティ改善のため、第9話と第10話の放送を2週ずつ延期[41]。本来放送されるところには1話と2話の再放送に充てられた。残る11話と12話に関しては2018年12月を目処に公開するとしていたが、これも間に合わなかったため、2019年1月になって「公開は4月以降」と改めて発表された[42]。
- 公開媒体に関しては長らく未定となっていた[43]が、2019年4月にAT-Xでの放送という形になった。
- はねバド!(2018年7月期)
- ライデンフィルム制作。北海道胆振東部地震の影響で撮影を担当していたグラフィニカ札幌スタジオが被災、停電も発生し撮影作業を継続することが不可能となったため第11話 - 第13話の放送延期が発表された[44]。同話以降は延期した翌週の9月17日から順次放送された[45]。
- WHITE FOX制作。第3話と第10話を「制作上の都合」という理由で延期した。放送予定だった日は、第3話では第2話の再放送・第10話は総集編でそれぞれ対応した[46][47]。
- この影響で最終話は通常とは異なる時間帯で放送されることになり、一部の局では年をまたいで放送されることになった[48]。
- アズールレーン(2019年10月期)
- バイブリーアニメーションスタジオ制作。第11話と第12話を「より多くの皆様に喜んでいただけるクオリティで」を理由に、2020年3月に放送延期された[49]。なお、放送各局は2020年1月より1話から再放送された(AT-Xのみ2月から2話連続)。
- なお、同社は本作が初めてのテレビアニメ元請作品だった。
- ウイルスによるトラブルについて
2020年以降の作品は新型コロナウイルスの影響による放送延期や開始時期の変更も相次いでいる。なお、これに関してはUHFアニメに限らず、在京キー局やNHKが製作・放送している作品にも当てはまる。
- A3! SEASON SPRING & SUMMER(2020年1月期)
- P.A.WORKSとStudio 3Hzの共同制作。当初は1月から3月までの放送予定だったが、工程上発生したスケジュール管理に起因するトラブルの解消に時間がかかっていることや新型コロナウイルスの影響も重なり、制作・放送スケジュールに関して再検討することを決定。第4話以降が4月以降に放送延期された[50][51]。
- とある科学の超電磁砲T(2020年1月期〜7月期)
- J.C.STAFF制作。新型コロナウイルスの影響による制作上の影響で第7話が放送延期。放送予定だった日は、第6話の再放送で対応した[52][53]。
- 第7話の放送終了後、第8話以降についても、2週間放送が延期されることが発表された。ただしこちらは理由を明らかにしていない[54]。放送予定だった日は、OVAのほかに佐藤利奈と新井里美による簡単なトークコーナーが放送された[55]。
- その後は順調に進んでいたが、第13話と第14話もコロナウイルスによる延期が発表され、ここでは前者は第12話、後者は第13話の再放送で対応した[56][57]。しかし、第15話の放送終了後、第16話以降の放送がコロナウイルスによる影響で7月以降に延期されることが発表され、通算で5回延期になる異常事態となった。放送が再開するまでは、キャストが選んだ傑作選などで対応した。これに伴い、当初は6月までの放送予定だったが、9月までに延長された[58][59]。
- インフィニット・デンドログラム(2020年1月期)
- NAZ制作。新型コロナウイルスの影響による制作上の事情で第7話が放送延期。放送予定だった日は、第1話が再放送された[60]。
- また、3月13日時点で一部の局では4月からの番組が決まっているため、3月までに通常枠で放送できない12話と13話については、4月に各局で空いていた枠にて放送された。
- ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld最終章(2020年4月期)
- A-1 Pictures制作。4月10日、TOKYO MXほかで26日から放送予定であったテレビアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』最終章となる後半クールの放送および配信が7月に延期することが発表された[61]。なお、後半クールの開始前週に放送予定だった前半クール総集編も放送延期となり、放送予定だった枠(総集編含む)では、前半クールの再放送で対応した。
- 食戟のソーマ 豪ノ皿(2020年4月期)
- J.C.STAFF制作。Covid-19の感染拡大に伴い第3話以降の放送・配信延期が発表され、放送予定だった枠は、前作『神ノ皿』の第1話から第10話までの再放送で対応した。同年7月から第1話・第2話を再放送後、第3話以降を新たに追加した完全版として放送[62]。
- 天晴爛漫!(2020年4月期)
- P.A.WORKS制作。4月17日に、第4話以降の放送が7月に延期されることが発表[63]。当初、第4話以降を放送予定だった枠は、一部の局を除き、『この素晴らしい世界に祝福を!』の再放送で対応した。
- なお、放送再開に伴い、各局は2020年7月より1話から3話までを再放送の上、第4話以降が放送されるが、一部の局では、4月放送時の枠で別な作品の放送が決まっていたため、別枠での放送に変更された。
その他『放課後ていぼう日誌』[64]も4話以降の放送を7月に延期した。『number24』[65] 、『ツキウタ。 THE ANIMATION 2』、『魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』、『Re:ゼロから始める異世界生活(第2期)』など数多くの作品にも影響が及んでおり、終息の目処も立たない状況である。
脚注
注釈
- ^ 基本的に遅れネットが多いが、一部の局・作品では同時ネットの場合も見られる。
- ^ 中京テレビ・テレビ愛知・テレビ大阪の以上3局のみ、アナログ放送の親局もUHFであった。
- ^ シリーズ化された作品の中には、放送時期の違いにより作品間で表現の自由度に差異が生じてしまう例もある。
- ^ メディアミックスの一環として、アニメの放送期間中もしくはその前後にゲームの配信が開始されることが多い。
- ^ ミニ番組に分類されるため、視聴率調査の対象外となる。
- ^ その他のケースとして、2000年代には『はぴはぴクローバー』、2010年代には『怪盗ジョーカー』と『12歳。〜ちっちゃなムネのトキメキ〜』、2020年代には『最響カミズモード!』といった作品が放送された。
- ^ それを境に関東地方では地アナ時代(地デジ開始前のTOKYO MXの実質視聴可能人口は東京タワー向けUHFアンテナの普及率の低さから非常に少ない状況であった)から主流であった、tvk、テレ玉、チバテレの各局での新作アニメの放送実績が激減している。一方で群馬テレビ、とちぎテレビにおいてはTOKYO MXの木曜0時30分枠、土曜0時00分枠、土曜23時30分-日曜0時30分枠を同時ネットするなど、以前よりは放送本数が増えているほか、ごく少数ながら自社製作アニメも放送。
- ^ ただし和歌山県内ではケーブルテレビでの区域外再放送は全く行われていない。
- ^ (特にサンテレビで顕著であるが)この2局で、在阪準キー局が放送しないテレビ東京以外の在京キー局製作深夜アニメを代行する形でネットするケースも目立つ。
- ^ そのため民放各局では通常コマーシャルが放送される時間分を使った特別コーナーをNHK向けに放送している。ほぼ同様のケースが朝日放送製作・TOKYO MXなどで放送の『Free!』シリーズが、鳥取県ではNHK鳥取総合で遅れネットと言う形で実現している。
- ^ 例:近畿圏における『魔法少女リリカルなのはシリーズ』。第1期はテレビ大阪、第2期『A's』はサンテレビ、第3期『StrikerS』はKBS京都およびテレビ和歌山、第4期『ViVid』は毎日放送にて放送(それぞれ本放送の場合)。
- ^ 例:BS11における『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズ。1期本放送当時はBS局では未放送だったことから、『G』(2期)→『GX』(3期)→(1期(TOKYO MXでの再放送を時差ネットする形で初放送))→『AXZ』(4期)の順で放送された。
- ^ 毎日放送製作で、第1期はTBS系列全国ネットで放送された『ハイキュー!!』の場合、第2期は、関東ではTOKYO MXへのネットに変更(第3期は『アニメイズム』枠でTBSでのネットに再変更、第4期前半クールは『スーパーアニメイズム』枠で第1期以来となるTBS系列全国ネットに変更)。また『食戟のソーマ』シリーズの場合、第1期は『アニメイズム』枠で放送されたが、第2期『弐ノ皿』は同局の『アニメシャワー』枠での放送(関東ではTOKYO MX)に変更、更に第3期『餐ノ皿』以降は毎日放送が製作委員会から離脱したうえ、地上波では関東ローカルとなっている。
- ^ 『灼眼のシャナ』および『神撃のバハムート』第2期は毎日放送製作または企画協力かつTBS東名阪系列局で放送、『まりあ†ほりっく』第2期はテレビ東京ほかで放送された。
- ^ 『魔法少女リリカルなのはA's』はTBS東名阪系列局で、『魔法少女リリカルなのはStrikerS』はテレビ東京系列局フルネットでそれぞれ事実上の再放送がなされた。また、『ガールズ&パンツァー』の場合、地上波ではTOKYO MX、テレビ愛知、テレビ大阪で本放送されたが、3年後にテレビ東京・テレビ北海道・TVQ九州放送でも放送され、テレビせとうちを除くTXN各局で放送される結果となった(さらに、近畿地方では朝日放送テレビでも放送され、結果として近畿地方の全府県で放送されたことになった)。
- ^ 先述の『ラブライブ!』のほか、『日常』はNHK Eテレ土曜夕方枠にて傑作選が放送された。
- ^ 特にBSデジタル放送では2007年11月に開局したBS11が熱心であり、2010年代から増枠を繰り返した結果、2019年現在、積極的に製作にも関与しているBS11・BSフジ・BS日テレなどでUHFアニメがおおむね放送されている。
- ^ ただし、土曜深夜枠は、2011年から既に群馬テレビ・とちぎテレビは同時ネットされていた。
- ^ 例としては『有頂天家族』(第1期のみ)・TOKYO MX・KBS京都・サンテレビ(現在はMXのみ)の土曜22時30分枠(主に『ラブライブ!サンシャイン!!』や『ろんぐらいだぁす!』ほか)など。
- ^ キー局および系列各局では22時 - 翌0時台はネットワークセールスのバラエティ・ドラマ番組や最終版ニュースが多くを占めることに加え、独立局においてもぎふチャン・びわ湖放送・奈良テレビ・テレビ和歌山にでは『ワールドビジネスサテライト』をはじめとするテレビ東京制作番組の同時ネットが多く行われているため、1時台以前のローカルセールスアニメの放送自体が難しいという事情もある。
- ^ 独立局が製作に関与した一例として、TOKYO MXが参加した『東京レイヴンズ』(2013年)、KBS京都・テレ玉が参加した『いなり、こんこん、恋いろは。』(2014年)、ネットワークを越えた事例としては毎日放送・TOKYO MX・BS11・アニマックスが参加した『DAYS』(2016年)、カンテレ・TOKYO MX・BS11・AT-Xが参加の『こみっくがーるず』(2018年)などが挙げられる。
- ^ ABCアニメーション(朝日放送テレビの子会社)とBS11が製作委員会に参加する『リコリス・リコイル』(2022年)など。
- ^ 例 - 『英國戀物語エマ』第1期(TBS製作)、『ヤマノススメ セカンドシーズン』(読売テレビ製作)
- ^ 放送局の子会社などを含めると読売テレビエンタープライズ(読売テレビの子会社)も該当する。
- ^ 一例として『聖痕のクェイサー』シリーズはアニメ専門チャンネルのAT-Xを含めて自主規制版を放送し、「ディレクターズカット版」と称した完全版をインターネット有料配信および映像ソフト版限定としている。
- ^ この3局での遅れネットが上記2局の打ち切りと関連した事なのかは不明。
- ^ 競技場がある前橋市・みどり市・伊勢崎市。
出典
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関連項目
- UHFアニメ一覧
- テレビアニメ
- 深夜アニメ
- AT-X(2010年代以降、積極的にUHFアニメの製作委員会に参加。一部作品は最速放送を実施)
- アニマックス(2012年7月よりノンスクランブル枠を開設し、UHFアニメの遅れネット、あるいは最速放送を実施。一部作品の製作委員会に参加実績あり)
- キッズステーション(過去に一部のUHFアニメに製作委員会参加)
関連枠
- E!TV日曜→土曜枠、金曜枠(TOKYO MX。本来はソニー・ミュージックグループ全体の深夜番組枠であるが、UHFアニメも多数放送。土曜枠は2011年4月より群馬テレビ・とちぎテレビ、BS11(以前は1週遅れネット)にも同時ネットしている。2014年6月をもって枠名は廃止されたが、アニメ枠自体は継続している)
- テレビ愛知アニメ番組放送一覧
- アニメシャワー(毎日放送)
- アニメ特区(同上)
- アニメイズム(同上。本来は自社製作・TBS系列ネット深夜アニメ枠の名称であるが、該当項では同枠に連ねて放送のUHFアニメなど外部製作作品も取り上げている)
- 毎日放送の深夜アニメ枠(該当項では上記の枠以外で放送のUHFアニメなどを取り上げている)
- 水曜アニメ〈水もん〉(朝日放送テレビ)
- ANiMAZiNG2!!!(同上、旧称『アニサタ』。全国ネット枠の『ANiMAZiNG!!!』とは姉妹枠となっている)
- 関西テレビの深夜アニメ枠
- MANPA(読売テレビ)
- あに。(長崎文化放送)
- アニメにむちゅ〜(BS日テレ)
- アニメA(BS朝日)
- アニメギルド(BSフジ)
- ANIME+(BS11)