溢れた水の行方
『溢れた水の行方』 | ||||
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緑黄色社会 の EP | ||||
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レーベル | Epic Records Japan | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
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チャート最高順位 | ||||
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緑黄色社会 アルバム 年表 | ||||
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『溢れた水の行方』収録のシングル | ||||
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『溢れた水の行方』(あふれたみずのゆくえ)は、日本のポップ・ロック・バンドである緑黄色社会の通算3作目のミニ・アルバム。2018年11月7日にSony Music Labelsの社内レーベルEpic Records Japanより発売された。レーベル移籍第1弾となる作品で[1]、緑黄色社会にとってメジャー・デビュー作となる作品でもある[2]。本作には配信シングルとしてすでに発売されていた「リトルシンガー」や過去の作品にも収録された楽曲を含む全6曲が収録された[1]。
オリコン週間アルバムランキングでは最高位17位、Billboard Japan Hot Albumsでは最高位22位を記録。
背景・リリース
[編集]2018年8月24日、11月7日にエピックレコードジャパンからレーベル移籍第1弾としてミニ・アルバム『溢れた水の行方』を発売することを発表[1][3]。アルバムタイトルは、収録曲の「サボテン」の「やりすぎた水が溢れていったよ」というフレーズに由来[4]。長屋は、音楽ナタリーのインタビューで、作品タイトルとしては恋愛のニュアンスではないとしたうえで、音楽にずっと向き合ってきた中で、思うことややりたいことがたくさんあって、その気持ちがどんどん溢れていっても、それは無駄なことではないと思って
私たちの音楽に対する思いは、溢れ出ても受け止めてくる人たちがきっといるはずだから、気持ちをこの先にどんどんつなげていけたらいいなと思って、このタイトルにしました
と語っている[5]。
アルバムの制作はデモのストックから選ぶかたちで開始された。長屋は従来の制作方法と変わらないとしたうえで、前作は超えたいし、より驚かせたいしっていう気持ちで曲を選びました。なので、『Never Come Back』とか『視線』みたいな新しい曲を入れたんです
と語っている[6]。
10月21日に本作の収録曲「あのころ見た光」の先行配信が開始され[7]、同月26日にSNS限定でダイジェスト映像が公開された[8]。
11月22日から12月21日にかけて、本作を引っ提げた『緑黄色社会ワンマンツアー「溢れた音の行方」』が敢行された[9]。
評価
[編集]音楽ライターの秦理恵は、『rockin'on.com』に寄稿したレビューで、本作で緑黄色社会が宣言するのが「私たちはどこにでも行ける」ということとし、バンドとしての確固たる軸があるからこそ、幅広いアプローチも怖れない。今作を聴いて、いまやリョクシャカのセンスを全面的に信頼している自分に気づいた
と評した[10][注釈 1]。『Skream!』に寄稿したレビューでは、本作を「バンドの現在地を更新するミニ・アルバム」とし、ロック・バンドという枠にとらわれない彼女たちだからこそリーチできる、伸びやかで自由なポップ・ミュージックに限界などない。バンド初期から大切に歌い続けてきた「Bitter」を再収録した自信作
と評した[11]。
ライターの金子厚武は、『Mikiki』に寄稿したレビューで、「あのころ見た光」を「新たな代表曲になるであろう手応え十分」とし、アコースティックと電子音の融合を推し進めたサウンドメイクはさらに洗練されつつ、長屋晴子の芯のある歌声を軸に、あくまで大衆的なポップをめざす。その姿勢にブレはなさそうだ
と評した[12]。
『CDジャーナル』は、本作を「躍動感たっぷりに仕上がっている」とする一方で、「願わくば、低音をもう少し前面に出したいところ」と評した[13]。
収録曲
[編集]# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「あのころ見た光」 |
| peppe |
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2. | 「視線」 | 長屋晴子 | 長屋晴子 |
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3. | 「Never Come Back」 |
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4. | 「サボテン」 | 長屋晴子 | 長屋晴子 |
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5. | 「Bitter」 | 長屋晴子 |
| 江口亮 | |
6. | 「リトルシンガー」 | 長屋晴子 | 緑黄色社会 |
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合計時間: |
曲の解説
[編集]あのころ見た光
[編集]映像外部リンク | |
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「あのころ見た光」 - YouTube | |
「あのころ見た光」 - リョクシャ化計画2019 Tour Final - YouTube |
「あのころ見た光」は、本作のリード曲[14]。peppeが本作から2年前に作った楽曲で、「ピアノを弾きながら、明るい未来への道が見えたことから形にしていった」と語っている[15]。当初は小林による「twenty-one[注釈 2]」を題材とした歌詞が付けられていたが、小林によると「自分の等身大の曲を書こうと思ったのは良かったけど、ターゲットの狭い曲になった」ということから、同時期に同じ題材で書かれた長屋の歌詞をコラージュする形で完成した[15]。なお、最後のサビの前のフレーズは、小林が21歳の時に書いたもので、書き始めた当初から変更されていない[15]。
ミュージック・ビデオは「光と風」を題材とした作品で、メンバーが突風の中で漏れた光を追い求めて演奏する映像で構成されている。林響太朗が監督を務めた[16]。
2020年に2ndフル・アルバム『SINGALONG』が発売され、「Brand New World」と「冬の朝」の間の12曲目に収録された[17]。
2021年にマルホの「ニキビ一緒に治そうプロジェクト」のWebCMソングとして使用された[18]。
視線
[編集]映像外部リンク | |
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「視線」(Short Ver.) - LINE LIVE 2018.11.09 - YouTube |
「視線」は、スロー・テンポの楽曲で、長屋は「繊細な曲だから、アレンジ段階ではかなり苦労した」と語っている[19]。元々は現在よりも「主人公の不器用さ、もどかしさ」に焦点を当てて書かれた楽曲で、長屋は曲中にある「愛と呼ぶにはまだ早い」というフレーズは、このモチーフが残っていたからこそ出て来たというところがあると語っている[20]。
穴見によると「久しぶりにスタジオでみんなで作った曲」[14]。通常各メンバーが家でパソコンを使って楽曲制作を行ない、データでやり取りを行なっているが、「なんかピンとこない部分がある」ということからスタジオに全員で集まり、一度シンプルなアレンジを試したところ、「すごくハマった」ことから制作が進められた[14]。ベースとドラムスは穴見によって付けられた[19]。
Never Come Back
[編集]「Never Come Back」は、アコースティック・ギターのフレーズから生まれた楽曲で、穴見はそれをボイスメモに残して、車の運転中にボイスメモを流しながら口ずさんでメロディを作った[20]。
歌詞は小林によると「不器用な恋愛」が元になっており、長屋が歌えるように視点を変えて書かれた[21]。小林は「恋愛に問題が起こるときは、大体は男が悪いと思っている。でも悪いと思っていても、やってしまうのが男」「いつだって最初は本気だけど、いつの間にかその環境に甘んじて、また同じ罪を犯してしまって、気が付けば違う相手に対しても同じ事を繰り返していく。そんな最低な男の彼女になってしまった女性の視点で書いた」と語っている[21]。楽曲中では小林もリード・ボーカルを務めている[20]。
サボテン
[編集]映像外部リンク | |
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「サボテン」(Short Ver.) - LINE LIVE 2018.11.09 - YouTube |
「サボテン」は、歌詞は恋愛における「重い」という言葉を題材としたもので、長屋は「重い恋愛というのは、一途なだけなのではないかと思っていて、それを「重い」と表現されることに違和感を覚えていた」「この曲ではそんな違和感を育てやすいイメージがあるサボテンに見立てて書いた」と語っている[5]。
前述のとおり、この楽曲の「やりすぎた水が溢れていったよ」というフレーズがアルバムタイトルの由来となっている。
Bitter
[編集]「Bitter」は、1stミニ・アルバム『Nice To Meet You??』収録曲。
リトルシンガー
[編集]「リトルシンガー」は、2018年8月4日に配信限定シングルとして発売された楽曲[22]。
クレジット
[編集]※出典[23]
- 緑黄色社会
- 追加ミュージシャン
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- 城戸紘志 – Drums(M1)
- 比田井修 – Drums(M2, M3, M4, M6)
- Naoki Itai – Programming(M1, M6)
- soundbreakers – Programming(M2, M4)
- LASTorder – Programming(M3)
- 江口亮 – Programming(M5)
- 川口圭太 – Sound Direction(M3)
- 西村奈央 – Additional Production(M1)
- レコーディング・スタッフ
- アートワーク
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- いのうえよしひろ – Art Direction & Design
- 土屋安紀奈 – Wallpaper Design
- オノツトム – Photographer
- 満園正明 – Stylist
- 鷲塚明寿美 – Make Up
- 小林玲菜 – Hair Stylist
- 森悠子 – Products Coordination
チャート成績
[編集]チャート (2018年) | 最高位 |
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Japan Hot Albums (Billboard JAPAN)[24] | 22 |
日本 (オリコン)[25] | 17 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “緑黄色社会、EPICレコードジャパンより新作ミニアルバム発売”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2018年8月24日). 2020年7月5日閲覧。
- ^ “緑黄色社会”. 音楽ナタリー. ナターシャ. 2021年7月23日閲覧。
- ^ 緑黄色社会の2018年8月24日 午後5:11のツイート、2022年12月6日閲覧。
- ^ (インタビュアー:秦理絵)「"私たちの音楽への気持ちは常に溢れてる"――湧き上がる情熱を煌めく音に乗せた新作ミニ・アルバム」『Skream!』、激ロックエンタテインメント、4頁、2018年11月 。2020年7月5日閲覧。
- ^ a b 天野史彬『緑黄色社会「溢れた水の行方」インタビュー|4人の“溢れ出す”思いをこの1枚に込めて』(インタビュアー:天野史彬)、ナターシャ、2018年11月6日、3頁 。2020年7月5日閲覧。
- ^ (インタビュアー:泰理恵)「緑黄色社会“私たちの音楽への気持ちは常に溢れてる”湧き上がる情熱を煌めく音に乗せた新作ミニ・アルバム」『Skream!』、激ロックエンタテインメント、2頁 。2022年12月6日閲覧。
- ^ 緑黄色社会の2018年10月19日 午後10:40のツイート、2022年12月6日閲覧。
- ^ 緑黄色社会の2018年10月26日 午後6:30のツイート、2022年12月6日閲覧。
- ^ “緑黄色社会11月にワンマンツアー開催、ファイナルはマイナビBLITZ赤坂”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2018年9月6日). 2020年7月5日閲覧。
- ^ a b 秦理恵 (2018年11月11日). “目指せ、国民的ロックバンド-『溢れた水の行方』緑黄色社会| 邦楽 CD/EP新譜レビュー”. rockin'on.com. ロッキング・オン. 2022年12月6日閲覧。
- ^ 秦理恵. “溢れた水の行方 / 緑黄色社会 | Skream! ディスクレビュー”. Skream!. 激ロックエンタテインメント. 2022年12月6日閲覧。
- ^ 金子厚武 (2018年11月26日). “緑黄色社会 『溢れた水の行方』 アコースティックと電子音の融合を推し進めたサウンドメイクはさらに洗練”. Mikiki. タワーレコード. 2022年12月6日閲覧。
- ^ “緑黄色社会 / 溢れた水の行方”. CDJournal. 音楽出版社. 2022年12月6日閲覧。
- ^ a b c 石角友香(インタビュアー:石角友香)「緑黄色社会『溢れた水の行方』インタビュー――明るくて、未来が開けるような」『encore(アンコール)』、USEN、2018年12月4日 。2022年12月6日閲覧。
- ^ a b c d (インタビュアー:秦理絵)「"私たちの音楽への気持ちは常に溢れてる"――湧き上がる情熱を煌めく音に乗せた新作ミニ・アルバム」『Skream!』、激ロックエンタテインメント、2頁、2018年11月 。2020年7月5日閲覧。
- ^ “緑黄色社会「あのころ見た光」MVで光を追い求めて歌う”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2018年10月5日). 2020年7月5日閲覧。
- ^ “緑黄色社会、メジャー初のフルアルバム「SINGALONG」”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2020年3月7日). 2020年7月28日閲覧。
- ^ “緑黄色社会「あのころ見た光」が起用されたマルホ"ニキビ一緒に治そうプロジェクト"WEB CM公開”. Skream!. 激ロックエンタテインメント (2021年5月21日). 2021年6月9日閲覧。
- ^ a b (インタビュアー:秦理絵)「"私たちの音楽への気持ちは常に溢れてる"――湧き上がる情熱を煌めく音に乗せた新作ミニ・アルバム」『Skream!』、激ロックエンタテインメント、3頁、2018年11月 。2020年7月5日閲覧。
- ^ a b c 鞘師至(インタビュアー:鞘師至)「緑黄色社会 interview」『eggman』、エッグマン 。2021年3月30日閲覧。
- ^ a b 天野史彬『緑黄色社会「溢れた水の行方」インタビュー|4人の“溢れ出す”思いをこの1枚に込めて』(インタビュアー:天野史彬)、ナターシャ、2018年11月6日、2頁 。2020年7月5日閲覧。
- ^ 緑黄色社会の2018年8月3日 午後6:30のツイート、2022年12月6日閲覧。
- ^ 溢れた水の行方 (ブックレット). 緑黄色社会. Epic Records Japan. 2018. ESCL 5118。
- ^ “Billboard Japan Top Download Albums | Charts”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク (2018年11月14日). 2022年12月8日閲覧。
- ^ “溢れた水の行方 | 緑黄色社会”. ORICON NEWS. oricon ME. 2020年7月5日閲覧。