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あわじ型掃海艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
あわじ型掃海艦
基本情報
種別 掃海艦(MSO)
建造所 ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所鶴見工場
運用者  海上自衛隊
建造期間 2014年 - 建造中
就役期間 2017年 -
計画数 9
前級 MSO:やえやま型掃海艦
次級 最新
要目
基準排水量 690トン
満載排水量 780トン
全長 66.8m
最大幅 11.0m
深さ 5.2m
吃水 2.7m
機関方式 ディーゼルエンジン × 2基
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
出力 2,200馬力
速力 14ノット (26 km/h)
乗員 54名
兵装 JM61R-MS×1門
レーダー
  • OPS-39H 対水上捜索用
  • 光学式監視装置(レーザ・レーダ)
ソナー
  • OQQ-10 掃海艦ソーナーシステム[1]
  • OZZ-2 水中無人機(UUV、2番艦まで)
  • OZZ-4 機雷捜索用水中無人機(中型)(3番艦以降)
  • 特殊装備

    掃海装備

    • 小型係維掃海具1型改
    • 感応掃海具1型改

    掃討装備

    • 自走式機雷処分用弾薬(EMD)
    その他 OXX-2 情報収集用ROV(3番艦以降)
    テンプレートを表示

    あわじ型掃海艦(あわじがた そうかいかん、英語: Awaji-class minesweeper)は海上自衛隊が既存掃海艦の減勢と新型機雷に対応するために取得中の新型掃海艦である[2]

    概要

    [編集]

    あわじ型は、やえやま型掃海艦の後継で、海上自衛隊の艦艇のうち、えのしま型に続く繊維強化プラスチック(FRP)製艦艇となる。機雷には磁気反応型が多いため、機雷を処分する掃海艦艇の船体では金属の使用を避ける必要があり、造製が多かった。あわじ型はFRP製にしたことにより、前型の木造のやえやま型とほぼ同寸法でありながら、基準排水量が3割低減し、船体が長寿命化されている。平成25年度(2013年度)政府予算案の概算要求のイメージ図ではステルス性の向上が行われていたが、翌26年度(2014年度)の概算要求では、えのしま型を大型化した艦容となっている[3]

    FRP船としては世界最大級である。大型FRP船の建造技術・設備を持つジャパンマリンユナイテッド(JMU)が2021年3月16日、3番艦「えたじま」を海上自衛隊に引き渡した[4]。防衛省・海上自衛隊は2020年度予算に、えたじまに続くあわじ型4番艦の建造費126億円を計上した[4]


    装備

    [編集]

    航路に敷設された機雷を探知するUUVとしてウッズホール海洋研究所製のリーマス600が導入され、これが装備するクライン3500サイドスキャン・ソナーにより機雷を探知する。なお、海自はリーマス600の浅深度型であるリーマス100を既に導入している。なおリーマス600は2番艦までに搭載されたタイプは水中無人機OZZ-2、3番艦以降に搭載されたタイプは改良型の機雷捜索用水中無人機(中型)OZZ-4と呼称される。リーマス100も同様に水中無人機OZZ-1、改良型を機雷捜索用水中無人機(小型)OZZ-3と呼称される。また3番艦以降には加えて情報収集用ROVOXX-2が新規に搭載される。

    水上や浅深度に敷設された機雷には光学式監視装置レーザー・レーダー)で危害半径外から機雷を判別する。これらの装備は、やえやま型の「はちじょう」に装備され、性能試験が行われた。

    またUUVで探知した目標の精密探知には、ひらしま型から装備されているZQS-4機雷探知機を、やえやま型と同様に対潜水艦用の深深度機雷を探知するために、吊り上げ式(VDS)へ変更して装備している。

    探知した機雷はドイツシーフォックスと同様の使い捨てで、光ファイバーにより遠隔操作される低感度高性能爆薬を搭載した爆破能力の高い自走式機雷処分用弾薬(EMD)の自爆で処分される(三井造船開発・製造)[5]。これにより深深度機雷への対応や、ひらしま型等が搭載するS-10水中航走式機雷掃討具のような多機能かつ高価な掃討具を誘爆で失うリスクが無くなる。

    なお、これら掃討具とは別に、ひらしま型から装備されている小型係維掃海具1型や感応掃海具1型が装備された。災害派遣の際には、コンテナを搭載するため感応掃海具の一部陸揚げも行われる。

    自衛・機雷処分用の20mm機関砲は従来の掃海艇に装備されている手動型のJM61-Mではなく、えのしま型の「はつしま」と同じく、海上保安庁が使用している遠隔操作型のJM61R-MSが装備された。

    同型艦

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    1番艦の「あわじ」(25MSO、183億円)は「やえやま」の代艦として平成25年度(2013年度)に起工、同29年(2017年)3月に就役した。また、2番艦の「ひらど」(26MSO、186億円)は同27年度(2015年度)に起工、2018年3月に就役した。3番艦も発注済みである[6]

    計画建造数は9隻で、令和2年度以降は2年に1隻を建造する予定[7]

    艦番号 艦名 建造 起工 進水 竣工 所属
    MSO-304 あわじ ジャパン マリンユナイテッド
    横浜事業所 鶴見工場
    2014年
    (平成26年)
    2月27日
    2015年
    (平成27年)
    10月27日[8][9][10]
    2017年
    (平成29年)
    3月16日
    掃海隊群
    第1掃海隊
    横須賀基地
    MSO-305 ひらど 2015年
    (平成27年)
    4月10日
    2017年
    (平成29年)
    2月10日
    2018年
    (平成30年)
    3月16日
    MSO-306 えたじま 2018年
    (平成30年)
    2月22日
    2019年
    (令和元年)
    12月12日[11]
    2021年
    (令和3年)
    3月16日[12]
    掃海隊群
    第3掃海隊
    呉基地
    MSO-307 のうみ 2021年
    (令和3年)
    5月19日
    2023年
    (令和5年)
    10月24日[13]
    2025年
    (令和7年)
    3月ごろ予定[14]
    MSO-308 令和4年度計画艦
    (04MSO)
    2023年
    (令和5年)
    7月20日
    2026年
    (令和8年)
    3月予定
     
    MSO-309 令和6年度計画艦
    (06MSO)

    参考文献

    [編集]
    • 東郷行紀「平成25年度計画の新型艦艇」『世界の艦船』771号 海人社 2012年
    • 高橋陽一「注目の新艦載兵器3 機雷戦艦艇」『世界の艦船』778号 海人社 2013年

    出典

    [編集]
    1. ^ 日立製作所ディフェンスシステム, 掃海艦ソーナーシステムOQQ-10の開発, 防衛基盤整備協会, https://ssl.bsk-z.or.jp/kenkyucenter/pdf/HITACHI031129.pdf 2021年12月24日閲覧。 
    2. ^ 我が国の防衛と予算 平成25年度予算の概要 (PDF)
    3. ^ 海上自衛隊の最新鋭掃海艦「えたじま」が進水。日本の技術の結晶”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2019年12月12日閲覧。
    4. ^ a b 最新鋭掃海艦「えたじま」が就役――海自艦艇最大のFRP製船体”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース (2021年3月16日). 2021年3月16日閲覧。
    5. ^ 三井造船技報 第200号 特機・水中関連機器の開発 (PDF)自走式機雷処分用弾薬の開発 (PDF)
    6. ^ 新型掃海艦引き渡し/JMU「ひらど」にFRP使用『日経産業新聞』2018年3月19日(自動車・機械面)
    7. ^ プロジェクト管理対象装備品等の新規選定等と取得プログラムの分析及び評価の概要について (PDF) 2020年9月30日、防衛装備庁
    8. ^ 海上自衛隊 新型掃海艦「あわじ」進水 深い位置の機雷除去も可能に - YouTube
    9. ^ “海自の新型掃海艦の進水式 「あわじ」と命名 29年3月就役予定”. 産経新聞. (2015年10月27日). https://www.sankei.com/article/20151027-QZNRE6BPVBMRHOSG3S654VYUFA/ 
    10. ^ 掃海艦の命名ならびに進水式について”. ジャパン マリンユナイテッドプレスリリース (2015年10月27日). 2015年11月1日閲覧。
    11. ^ 掃海艦の命名ならびに進水式について~国内最大のFRP製掃海艦の進水式~”. ジャパン マリンユナイテッドプレスリリース (2019年12月12日). 2019年12月12日閲覧。
    12. ^ 掃海艦「えたじま」の引渡式・自衛艦旗授与式について (PDF)
    13. ^ 令和2年度計画掃海艦の命名式・進水式について (PDF)
    14. ^ 海自の最新鋭掃海艦「のうみ」が進水 艦名は東能美島・西能美島の総称である「能美」に由来(動画付き)”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース (2023年10月24日). 2023年10月25日閲覧。

    関連項目

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    外部リンク

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