アイダよ、何処へ?
アイダよ、何処へ? | |
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Quo Vadis, Aida? | |
監督 | ヤスミラ・ジュバニッチ |
脚本 | ヤスミラ・ジュバニッチ |
製作 |
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製作総指揮 |
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出演者 | |
音楽 | アントニー・ラザルキーヴィッツ |
撮影 | クリスティーネ・A・マイヤー |
編集 | ヤロスワフ・カミンスキ |
製作会社 |
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配給 | アルバトロス・フィルム |
公開 |
2020年9月3日 (VIFF)[1] 2021年9月17日 |
上映時間 | 102分 |
製作国 | |
言語 |
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製作費 | €3.5–4 million[2][3] |
『アイダよ、何処へ?』(アイダよどこへ、Quo Vadis, Aida?)は、2020年のボスニア・ヘルツェゴビナの戦争ドラマ映画。監督・脚本・製作はヤスミラ・ジュバニッチ[4]、出演はヤスナ・ジュリチッチとイズディン・バイロヴィッチなど。第77回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映された[5]。第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最中、1995年に起こったスレブレニツァの虐殺が題材となっている。
ストーリー
[編集]ユーゴスラビアから独立したボスニア・ヘルツェゴビナでは、1992年から1995年まで内戦が続いた(ボスニア紛争)。元々は共存していたムスリム人・セルビア人・クロアチア人が、主義の違いで軍事衝突したのだ。
スレブレニツァの町はムスリム人が多く住む地域で、国連軍の管理下にあり、非武装の安全地帯のはずだった。紛争前は地元高校の女性教諭だったアイダは、国連軍として駐屯するオランダ人部隊の為に通訳を勤め、国連軍基地で職員として働いていた。
1995年7月13日、セルビア軍がスレプレニツァを制圧した。セルビア軍に対し空爆を予告したものの、結局は何も出来ない国連軍。アイダの夫と2人の息子たちは、少しの荷物だけを持ち出し、市民たちと共に、避難の為に国連軍基地に殺到した。だが、基地に入れたのは数千人だけで、2万人は基地の外に取り残された。
国連軍に交渉を求めるセルビア軍。アイダは基地に入れなかった夫を、『交渉役の民間人代表』に推薦することで、夫と息子を基地内に入れる事に成功した。しかし、基地内には充分な数のトイレも食料も無く、ガソリンすら支給が滞っているのが現状だった。10代の青年である2人の息子を、職員が働くエリアに勝手に連れ込み、匿うアイダ。
交渉の末に、一般市民は町に残るも去るも自由という取り決めが為された。しかし、実際には女性から次々とバスに乗せられ、連れ去られる市民たち。銃を向けて来るセルビア兵の中には、少し前まで隣人だった顔見知りも多かった。若いセルビア兵に「先生!」と呼びかけられるアイダ。
バスの行き先は安全だと説明するセルビア軍。だが、物陰では連行された男性市民たちの銃殺が横行していた。家族を守る為に、国連軍と共に避難させようと奔走するアイダ。市民代表を勤めた夫は認められたが、息子たちはバスに乗せられた。結局は夫も息子たちと行く事を選び、家族は近郊の建物で射殺された。男たちばかり8372人が殺されたという(スレブレニツァの虐殺)
紛争終結後、元の自宅を訪れるアイダ。テーブルや時計は元のままで、鍵を壊して入ったセルビア人が住み着いていた。出て行けと言うアイダに、「(家に)戻ると危険」と冷たく言い返す若い母親。発掘された被害者の遺骸の中に、息子たちを見つけて泣き崩れるアイダ。それでも、地元の小学校に勤めたアイダは、殺し合った人々と共に生きて行くのだった。
キャスト
[編集]- アイダ・セルマナギッチ: ヤスナ・ジュリチッチ - 国連の通訳。元教師。
- ニハド・セルマナギッチ: イズディン・バイロヴィッチ - アイダの夫。高校の元校長。
- ハムディヤ・セルマナギッチ: ボリス・レアー - アイダとニハドの長男。
- セヨ・セルマナギッチ: ディーノ・バイロヴィッチ - アイダとニハドの次男。17歳。
- カレマンス大佐: ヨハン・ヘルデンベルグ - オランダ軍司令官。
- フランケン少佐: レイモント・ティリ - オランダ軍将校。
- ムラディッチ将軍: ボリス・イサコヴィッチ - スルプスカ共和国軍司令官。
- ヨーカ: エミール・ハジハフィズベゴヴィッチ - スルプスカ共和国軍下士官。
- ロベン大佐: レイナウト・ブッスマーカー - オランダ軍医師。
- ミンチェス大尉: トゥーン・ルイクス - オランダ軍将校。
- ルッテン中尉: ユダ・ゴスリンガ - オランダ軍将校。
- チャミラ: イェレナ・コルディッチ=クレット - 交渉役の1人となった女性。
- タリク: アウバン・ウカイ - 国連の通訳。
- 市長: エルミン・ブラヴォ - ヨーカの部隊に処刑される。
- ヴェスナ: エディタ・マロヴチッチ - ヨーカの妻。空き家となっていたアイダの家に居住。
- デ・ハーン少佐: ミシャ・フルショフ - オランダ軍将校。
- ボウドヴィン: ジョーズ・ブラウアーズ - オランダ軍兵士。
- ラマーツ: ソル・ヴィンケン - オランダ軍兵士。
- ムハレム・イカノヴィッチ: リヤド・グヴォズデン - 交渉役の1人となった会社取締役。
- ムニラ: ミンカ・ムフティッチ
- ラロヴィッチ: エルミン・シヤミヤ
公開
[編集]ワールド・プレミアは2020年9月3日に第77回ヴェネツィア国際映画祭で行われた[5][6]。その他に2020年9月13日に第45回トロント国際映画祭でも上映された[7][8]。2021年2月にスーパーLTDがアメリカ合衆国での配給権を獲得した[9]。アメリカ合衆国では2021年3月5日にヴァーチャル・シネマで公開され、その後2021年3月15日にビデオ・オン・デマンドで配信された[10]。
評価
[編集]批評家の反応
[編集]レビュー集積サイトのRotten Tomatoesでは54件のレビューで支持率が100%、平均点は8.8/10となり、「『アイダよ、何処へ?』はある女性の悲痛な争いを利用して、戦争の壊滅的な人的被害についての燃えるような説明を与える」とまとめられた[11]。Metacriticでは16件のレビューで加重平均値は97/100となった[12]。
受賞とノミネート
[編集]賞 | 部門 | 候補者 | 結果 |
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アカデミー賞[13][14][15][16] | 国際長編映画賞 | ヤスミラ・ジュバニッチ | ノミネート |
ヴェネツィア国際映画祭[1] | 金獅子賞 | ヤスミラ・ジュバニッチ | ノミネート |
ロッテルダム国際映画祭[17] | 観客賞 | ヤスミラ・ジュバニッチ | 受賞 |
ヨーテボリ国際映画祭[18] | ドラゴン賞 | ヤスミラ・ジュバニッチ | 受賞 |
インディペンデント・スピリット賞[19] | 外国映画賞 | ヤスミラ・ジュバニッチ | 受賞 |
英国アカデミー賞[20] | 非英語作品賞 | ヤスミラ・ジュバニッチ、ダミル・イブラヒモビッチ | ノミネート |
監督賞 | ヤスミラ・ジュバニッチ | ノミネート |
出典
[編集]- ^ a b “Quo Vadis, Aida?” (英語). Venice Film Festival. 29 August 2020閲覧。
- ^ Blaga, Iulia (22 October 2018). “GRANTS: Romanian CNC Gives Biggest Grant to Minority Coproduction Quo Vadis, Aida!” (英語). filmneweurope.com 29 July 2020閲覧。
- ^ Solomun, Zoran (30 August 2020). “"Quo Vadis, Aida?" – novi film Jasmile Žbanić” (ボスニア語). DW 1 September 2020閲覧。
- ^ “Quo Vadis, Aida? Film by Bosnian Director Jasmila Zbanic on the Venice Biennale” (英語). Sarajevo Times. (2020年7月29日) 31 July 2020閲覧。
- ^ a b Sharf, Zack (28 July 2020). “Venice Film Festival 2020 Full Lineup: Luca Guadagnino, Chloe Zhao, Gia Coppola, and More” (英語). IndieWire 28 July 2020閲覧。
- ^ “Quo Vadis, Aida?” (英語). labiennale.org. La Biennale di Venezia (28 July 2020). 28 July 2020閲覧。
- ^ Wiseman, Andreas (30 July 2020). “Toronto Sets 2020 Lineup: Werner Herzog, Regina King, Mira Nair, Francois Ozon, Naomi Kawase Titles Join Hybrid Edition” (英語). Deadline.com 30 July 2020閲覧。
- ^ “Quo Vadis, Aïda?” (英語). Toronto International Film Festival. 2022年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。30 July 2020閲覧。
- ^ Grater, Tom (19 February 2021). “Oscar-Shortlisted Bosnian War Drama 'Quo Vadis, Aida?' Lands At Neon's Super Ltd” (英語). Deadline.com 8 March 2021閲覧。
- ^ Berger, Laura (5 March 2021). “Trailer Watch: A U.N. Translator Faces a Crisis in Jasmila Žbanić's Oscar Contender "Quo Vadis, Aida?"” (英語). Women and Hollywood 8 March 2021閲覧。
- ^ "Quo Vadis, Aida?". Rotten Tomatoes (英語). 2021年4月24日閲覧。
- ^ "Quo Vadis, Aida?" (英語). Metacritic. 10 April 2021閲覧。
- ^ “Movie Quo Vadis, Aida? is BH Candidate for Oscar” (英語). Sarajevo Times. (24 September 2020) 24 September 2020閲覧。
- ^ Davis, Clayton (9 February 2021). “Oscars Shortlists Announced in Nine Categories” (英語). Variety 10 February 2021閲覧。
- ^ L.K. (15 March 2021). “Film Jasmile Žbanić o genocidu u Srebrenici nominovan za Oscara!” (ボスニア語). Klix.ba 15 March 2021閲覧。
- ^ “THE 93RD ACADEMY AWARDS” (英語). oscars.org. 2021年4月24日閲覧。
- ^ “Pebbles by Vinothraj P.S. wins the 2021 Tiger Award” (英語). iffr.com (7 February 2020). 10 February 2021閲覧。
- ^ N.V. (7 February 2021). “Film "Quo vadis, Aida" nagrađen na filmskim festivalima u Roterdamu i Goterborgu” (ボスニア語). Klix.ba 7 February 2021閲覧。
- ^ N.O. (23 April 2021). “"Quo Vadis, Aida?" dobio još jednu nagradu za najbolji strani film” (ボスニア語). Klix.ba 23 April 2021閲覧。
- ^ L.K. (9 March 2021). “"Quo Vadis, Aida?" nominovan za dvije BAFTA nagrade” (ボスニア語). Klix.ba 9 March 2021閲覧。