ウェルセーブ
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 埼玉県新座市[2] |
設立 | 1995年(平成7年)4月[2] |
業種 | 小売業 |
事業内容 | 食品ディスカウント店の運営[2] |
代表者 | グレン・マクドウォール(社長)[2] |
資本金 | 5億円[2] |
主要株主 |
デイリーファーム・インターナショナル・ホールディングス60% 西友40%[3] |
特記事項: 当初は株式会社ディエフアイ西友(DFI SEIYU)として設立。 1997年(平成9年)1月8日に社名変更し、翌1998年(平成10年)に全店舗を閉鎖の上[4]、会社を清算[5]。 |
ウェルセーブは、かつて関東地方で展開していた日本初の外資系スーパーマーケットチェーンである。
概要
[編集]香港を本拠としてアジアとヨーロッパでディスカウントタイプの食品スーパーを国際的に展開しているデイリーファーム・インターナショナル・ホールディングスと日本で総合スーパーを運営している西友が1995年(平成7年)4月に合弁で[6]株式会社ディエフアイ西友を設立したのが始まりである[3]。
日本における食品スーパーとしては初の外資系企業で[7]、徹底した低経費(ローコスト)運営を目指しており[6]、無駄な装飾を省いた店舗や商品を毎日が低価格(EDLP=エブリデー・ロー・プライス)を基本に競合のスーパーマーケットよりも約15~20%安い価格で販売することを目指し[8]、取扱商品を売れ筋の約4,000品目に絞り込んでその中でも重点商品とした約600品目については競合店よりも約20%以上安く販売する戦略を採った[7]。
1995年(平成7年)9月5日に埼玉県志木市[7]の東武鉄道東上線志木駅前に[9]第1号店としてウェルセーブ志木店を開店したのを皮切りに[7]、同年12月15日には群馬県邑楽郡大泉町に西小泉店を開店して関東北部へも進出した[8]。
生鮮食品売場を奥に配置する独自の売場構成を行っており、生鮮売場を前面に出す日本での標準的なスーパーマーケットとの売場とは大きく異なる店舗形式を採っていた[10]。
しかし、売上が伸び悩んだため[6]、5店舗目の伊勢崎店からは青果・精肉・鮮魚の生鮮三品を各々の専門店を導入する方針へ転換して生鮮食品部門の強化を図り[11]、1996年(平成8年)11月2日にはプライベートブランド「ノーフリル」20品目を発売した[12]。
また、1995年(平成7年)に開業した4店舗が1996年(平成8年)5月時点で全店が酒販免許を取得してビールなど酒類販売が好調となるなど種類の販売にも力を入れていた[13]。
第1号店の開業から1年間で埼玉県、群馬県、東京都、茨城県、千葉県の5都県に8店を開店させ[14]、1996年(平成8年)12月21日に五井店を開業して14店にまで店舗網を拡大し[15]、独自の店舗開発のみに拘らず親会社の西友や競合他社の店舗を活用した積極的な出店戦略で2000年(平成12年)に100店まで店舗網を拡張する構想の実現を目指す急速な多店舗展開が図られていた[16]。
1997年(平成9年)1月8日付で法人名を株式会社ディエフアイ西友から株式会社ウェルセーブへ変更して店舗名と同一化して知名度の向上を図り[1]、同年中に17店の新規出店を行って店舗数を2倍以上に拡大する計画を立て[2]、首都圏の同業他社に資本提携を含む業務提携を打診して生鮮食品部門の強化を図る動きもあった[16]。
また、1997年(平成9年)4月1日には電子商店街に「ウェルセーブ‐オンライン・ディスカウント・フードストア」を開設してネット販売へ進出し、店舗のない地域の顧客への販売を図り[17]、同年5月17日には第1号店の志木店の売場構成を見直して日本のスーパーマーケットの標準的な形式である生鮮食品売場を店舗の前面に配置することで日本の消費者に合せる改装を行って売上を伸ばそうとした[10]。
しかし、日本の小売市場では当社の低価格戦略の競争力が有効に機能せず売上が低迷したため[6]、中・小型で駅前や繁華街立地型の総合スーパーが多かった西友の不採算店からの転換が進まず[18]、店舗網は1998年(平成10年)2月5日時点で1996年(平成8年)12月末時点と同じ14店に留まると共に赤字が拡大することになった[4]。
同時に日本側の経営母体であった西友が連結ベースで1兆2000億円ある有利子負債圧縮のために約90社の関連企業を2002年までに25社に減らす事業再編計画に乗り出すことになったため[5]、その一環として1998年(平成10年)上期中に全14店舗を閉鎖して[4]会社も清算されることになり[5]、同年8月をもって日本での事業から撤退することになった[6]。
なお、この事業撤退の際に志木店と市川店、鬼高店の3店はたいらやと店舗譲受契約を締結して店舗賃貸借契約の承継と店舗什器設備の譲渡が為され、たいらやの店舗となった[19]。
沿革
[編集]- 1995年(平成7年)
- 1996年(平成8年)11月2日 - 自社開発製品(PB)「ノーフリル」を発売[12]
- 1997年(平成9年)
- 1998年(平成10年) - 全14店舗を閉鎖し[4]、会社を清算[5]。
店舗
[編集]- 埼玉県
- 東京都
- つくし野店(町田市)[22]
- 1995年(平成7年)11月に開店した第2号店だった[22]。
- 成城店
- 1996年(平成8年)10月12日に開店した東京都第2号店だが全店舗で最も都心に近い立地の店舗で、京王電鉄京王線仙川駅と小田急電鉄小田原線喜多見駅を最寄り駅とする調布市、狛江市、世田谷区の境に位置にあった[23]。ただし、駅からのアクセスには難があり、付近の狛江ハイタウンまでのバス路線が喜多見駅、つつじヶ丘駅から発着している。
- 2階に家具店が入っていた2階建ての店舗ビルの1階部分に入居していた[24]。
- 跡地には当時家電量販店だったワットマンが出店していたが、2004年に同業のデンコードーに譲渡。そのデンコードーも2008年に閉鎖され、以降は2階の歯医者を除いて長らく空きテナント状態になり、2018年現在は取り壊されマンションとなっている。
- 千葉県
- 茨城県
- 群馬県
脚注・出典
[編集]- ^ a b c d “DFI西友、8日社名を「ウェルセーブ」に変更”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1997年1月8日)
- ^ a b c d e f “流通大手の未来戦略 西友「ウエルセーブ」”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1997年1月1日)
- ^ a b “西友、デイリーファーム社と新会社、関東中心に食品DSに進出”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1995年3月20日)
- ^ a b c d “西友、「ウエルセーブ」全14店閉鎖へ セゾングループのリストラ加速”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1998年2月9日)
- ^ a b c d “西友、関連9社を清算へ”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1998年8月31日)
- ^ a b c d e “日本で通用しなかった香港スーパー 安さ追求に3つの誤算、進出からわずか3年で撤退”. 日経ビジネス 1998年3月2日号 (日経BP社). (1998-3-2).
- ^ a b c d e f “外資系初の食品DS登場 合弁会社「ディエフアイ西友」ウェルセーブ志木店開店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1995年9月8日)
- ^ a b c “ディエフアイ西友、北関東初「ウェルセーブ西小泉店」開店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1995年12月15日)
- ^ a b c “たいらや「志木店」が都市型店づくりに挑戦”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1998年8月5日)
- ^ a b c “外資系食品DSウェルセーブ「志木店」、全面リニューアルで生鮮強化”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1997年5月23日)
- ^ a b “ディエフアイ西友、「ウェルセーブ伊勢崎店」開店 生鮮専門業者を初導入”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年3月29日)
- ^ a b “ディエフアイ西友、PB「ノーフリル」20品投入”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年11月11日)
- ^ “ディエフアイ西友、16日開店「ウェルセーブ市川店」生鮮専門店導入で活況”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年5月27日)
- ^ “ディエフアイ西友、「ウェルセーブ」1周年記念セール実施”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年9月9日)
- ^ a b c “DFI西友が伊奈店、五井店を開店、出店相次ぎ14店に”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年12月9日)
- ^ a b “ウェルセーブ、生鮮強化へDSとの提携打診”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1997年1月24日)
- ^ a b “ウェルセーブ、4月から開始のインターネットでの買い物好評”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1997年5月23日)
- ^ “大手スーパー97年戦略(10)失地回復に向け新たな攻勢をかける西友(下)(完)”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1997年2月28日)
- ^ a b c d “たいらや、ウェルセーブから3店舗譲受”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1998年6月15日)
- ^ a b “ディエフアイ西友、「ウェルセーブ宮原店」開店 生鮮は専門店導入”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年7月12日)
- ^ a b “ディエフアイ西友、同社初の設計・建設「ウェルセーブ富士見店」開店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年11月11日)
- ^ a b “北関東・新潟地区 首都圏から進出するチェーンストア ディエフアイ西友”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1996年1月26日)
- ^ “ディエフアイ西友、「ウェルセーブ成城店」開店 利便性高い品揃え”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年10月14日)
- ^ “10月12日開店「ウェルセーブ成城店」、生鮮は専門店で賑わい 平台多用で活気”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年11月4日)
- ^ a b “ディエフアイ西友、DS「ウェルセーブ」千葉県に初出店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年5月20日)
- ^ a b “たいらや「市川店」開店、生鮮強化で集客へ”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1998年8月14日)
- ^ “ディエフアイ西友、11号店の「ウェルセーブ鬼高店」開店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年11月18日)
- ^ “エコス「鬼高店」など2店閉店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2000年5月29日)
- ^ “ディエフアイ西友、「ウェルセーブ八千代台店」開店 千葉県内では3店に”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1996年12月2日)
- ^ a b “千葉薬品、SM部門リストラ完了 ドラッグへの傾斜強める”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1997年2月28日)
- ^ “ディエフアイ西友、「ウェルセーブ戸頭店」開店”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1995年12月22日)