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オースティン (テキサス州)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アメリカ合衆国 > テキサス州 > オースティン (テキサス州)
オースティン市
City of Austin
オースティン市の市旗 オースティン市の市章
市旗 市章
愛称 : 世界のライブミュージックの首都、紫色の王冠の都市[1][2]
位置
オースティン市の位置(テキサス州)の位置図
オースティン市の位置(テキサス州)
位置
オースティン (テキサス州)の位置(アメリカ合衆国内)
オースティン (テキサス州)
オースティン (テキサス州) (アメリカ合衆国)
オースティン (テキサス州)の位置(テキサス州内)
オースティン (テキサス州)
オースティン (テキサス州) (テキサス州)
地図
座標 : 北緯30度18分01秒 西経97度44分50秒 / 北緯30.30028度 西経97.74722度 / 30.30028; -97.74722
行政
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
  テキサス州
  トラヴィス郡
ヘイズ郡
ウィリアムソン郡
 市 オースティン市
市長 カーク・ワトソン英語版
民主党
地理
面積  
  市域 845.66 km2 (326.51 mi2)
    陸上   828.64 km2 (319.94 mi2)
    水面   17.02 km2 (6.57 mi2)
  都市圏 11,099.91 km2 (4,285.70 mi2)
標高 88-405 m (289-1,450 ft)
人口
人口 2020年現在)
  市域 961,855人
    人口密度   1,160,76人/km2(3,006.36人/mi2
  都市圏 2,283,371人
その他
等時帯 中部標準時 (UTC-6)
夏時間 中部夏時間 (UTC-5)
公式ウェブサイト : [1]

オースティン英語: Austin)は、アメリカ合衆国テキサス州中央部にある都市。同州の州都であり、州内の都市圏人口ではダラスヒューストンサンアントニオに次ぐ規模である。経済規模の大きいテキサス州の州都である事から政治的影響力が大きく、イギリスが発表する「グローバリゼーションと世界都市研究ネットワーク」(GaWC)の2019年版においてはベータ-の都市と評価されている。これはデトロイトミネアポリスなど全米の主要都市と並んでおり、アメリカ南部有数の世界都市である。

概要

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1839年テキサス共和国首都が置かれ、アメリカ合衆国への併合後もテキサス州の州都の地位にある。1930年代コロラド川の開発によって家具煉瓦食料品製油皮革などの工業が発展した。また、1940年代に軍事産業も成立した。

顕著な発展を支えているのがIT産業であり、産学連携の元、目覚ましい経済成長と人口増加を誇っている。郊外を含め、周辺は丘陵地が多いためシリコンバレーにあやかってシリコンヒルズと名乗っており、サムスン電子が全米最大の拠点としているほか、Apple[3]デルインテルなどの企業が拠点を置いている。近年はオラクルテスラなども本社をオースティンに移した。ホールフーズ・マーケットなど他業種の進出も目覚ましく、近年はナノテクノロジーバイオテクノロジーなどIT以外の技術の集積を図っている。

Expansion Managementによる「将来のビジネス・ロケーションのトップ都市」において、2006年度2007年度に1位に選出されるなど、全米で最も発展が著しい都市の一つとなっている。また、毎年3月には「サウス・バイ・サウスウエスト」(South by Southwest、略記:SXSW)が行われる都市として知られている。

なお、テキサス州は政治的に保守的な州として有名だが、オースティンは例外的にリベラルな気質な人が多い事で知られている。

歴史

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オースティンのあるトラヴィス郡ヘイズ郡ウィリアムソン郡近辺には紀元前9,200年頃から人類居住の痕跡があった。ジョージタウンフォート・フッドの間にある史跡からの資料によると、更新世後期(氷河時代)には既にクローヴィス文化を持つ人類がいたとされる[4]

トンカワ族コマンチェ族リパン・アパッチ族が居住していたこの地域に、欧州、主にスペインからの移民が到達し、少数ながら拠点を築き始めた[5]。1730年にはテキサス東部からのミッション団が結成され、オースティンのコロラド川南岸(現在のジルカー公園の辺り)に居住した。このミッション団は約7ヶ月ほどでサンアントニオに移動した[6]。18世紀中頃にはまたサンザビエル・ミッション団がコロラド川沿い西部(現ミラム郡)に探索拠点を置いた[7]。19世紀初期にはスペイン軍が現在のバストロップサンマルコスに置かれた[5][8]メキシコ独立を受けてテキサス中央部に新しい居住地が出来たが、地域の先住民族との対立のため発展は停滞した[8][9][10]

1835年-1836年に、テキサス人はテキサス革命戦争に勝利しメキシコからテキサス共和国として独立。1839年にテキサス共和国議会は独立の主導者であるスティーブン・オースティンの名を持つ首都の場所を決定する評議会を結成、テキサス共和国第2代大統領ミラボー・ラマーは水源、丘陵、環境のよいウォータールーと呼ばれる地域を推薦した [11]。この地が結局選ばれオースティンと呼ばれることになった[12]。ここはサンタフェガルベストン湾を結ぶ交通の要衝で、北メキシコとレッド川を結ぶ地域でもあった。

1873年のエドウィン・ウォーラーによるオースティン区域図


地理

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オースティンは北緯30度18分01秒、西経97度44分50秒(30.300474,-97.747247)[13]に位置している。また、ハワイ州ホノルル以外では最も南に位置する州都である。

コロラド川が流れ、複数の人造湖が存在する。

アメリカ合衆国統計局によると、この都市は総面積845.66km2(326.51mi2)である。このうち828.64km2(319.94mi2)が陸地で17.02km2(6.57mi2)が水地域である。総面積の2.01%が水地域となっている。

オースティンのパノラマ
オースティンのパノラマ

気候

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ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候(Cfa)に属する。

オースティンの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 32
(90)
37
(99)
37
(98)
37
(99)
40
(104)
43
(109)
43
(109)
44
(112)
44
(112)
38
(100)
33
(91)
32
(90)
44
(112)
平均最高気温 °C°F 16.4
(61.5)
18.4
(65.2)
22.3
(72.2)
26.6
(79.8)
30.3
(86.5)
33.4
(92.1)
35.3
(95.6)
36.1
(97.0)
32.5
(90.5)
27.7
(81.8)
21.9
(71.4)
17.1
(62.7)
26.5
(79.7)
平均最低気温 °C°F 5.3
(41.5)
7.1
(44.8)
10.7
(51.3)
14.8
(58.6)
19.3
(66.7)
22.4
(72.3)
23.6
(74.4)
23.7
(74.6)
20.8
(69.4)
15.9
(60.6)
10.3
(50.6)
5.7
(42.3)
14.9
(58.9)
最低気温記録 °C°F −19
(−2)
−18
(−1)
−8
(18)
−1
(30)
4
(40)
11
(51)
14
(57)
14
(58)
5
(41)
−1
(30)
−7
(20)
−16
(4)
−19
(−2)
降水量 mm (inch) 56.4
(2.22)
51.3
(2.02)
70.1
(2.76)
53.1
(2.09)
112
(4.41)
110
(4.33)
47.8
(1.88)
59.7
(2.35)
75.9
(2.99)
98.6
(3.88)
75.2
(2.96)
61
(2.40)
871
(34.29)
降雪量 cm (inch) 1
(0.4)
0.5
(0.2)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
1.5
(0.6)
平均降水日数 (≥0.01 in) 7.4 7.4 9.2 7.1 8.9 7.7 5.4 4.9 6.7 7.5 7.5 7.8 87.6
平均降雪日数 (≥0.1 in) 0.2 0.3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.5
平均月間日照時間 164.3 169.5 204.6 207.0 226.3 285.0 316.2 297.6 234.0 217.0 168.0 155.0 2,644.5
出典1:NOAA(極値 1897–present)[14] Weather.com(極値)[15]
出典2:HKO(日照、 1961–1990)[16]

人口動勢

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2000年の国勢調査[17]で、この都市は人口656,562人、265,649世帯および141,590家族が暮らしている。人口密度は1,007.9/km2(2,610.4/mi2)である。425.0/km2(1,100.7/mi2)の平均的な密度に276,842軒の住宅が建っている。この都市の人種的な構成は白人65.36%、アフリカン・アメリカン10.05%、ネイティブ・アメリカン0.59%、アジア4.72%、太平洋諸島系0.07%、その他の人種16.23%および混血2.99%である。人口の30.55%はヒスパニックまたはラテン系である。

この都市内の住民は22.5%が18歳未満の未成年、18歳以上24歳以下が16.6%、25歳以上44歳以下が37.1%、45歳以上64歳以下が17.1%および65歳以上が6.7%にわたっている。中央値年齢は30歳である。女性100人ごとに対して男性は105.8人である。18歳以上の女性100人ごとに対して男性は105.7人である。

この都市の世帯ごとの平均的な収入は42,689米ドルであり、家族ごとの平均的な収入は54,091米ドルである。男性は35,545米ドルに対して女性は30,046米ドルの平均的な収入がある。この都市の一人当たりの収入(per capita income)は24,163米ドルである。人口の14.4%および家族の9.1%は貧困線以下である。全人口のうち18歳未満の16.5%および65歳以上の8.7%は貧困線以下の生活を送っている。

教育

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テキサス大学オースティン校

オースティンには、全米有数規模のテキサス大学本部キャンパスにあたる、テキサス大学オースティン校が設置されている。同大学は、テキサス州内の大学間での単位互換システムであるテキサス大学システムの基幹施設となっている。

テキサス大学システムに含まれる他の高等教育施設には、Austin Community CollegeConcordia UniversityHuston-Tillotson UniversityおよびSt. Edward's Universityなどがある。

オースティンの大部分はオースティン独立学区Austin Independent School District)によってカバーされているが、他にRound Rock Independent School DistrictPflugerville Independent School DistrictLeander Independent School DistrictおよびEanes Independent School Districtといった学区も存在する。

交通

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キャプメトロ レール

市内交通は「キャプメトロ」が路線バスとライトレールを運行している。ライトレールは非電化単線の貨物線を転用したもので、ディーゼル・エレクトリック方式の車両を使用している。ダウンタウンとリーアンダーを結ぶ1線のみ。

オースティン駅 にはアムトラックの長距離列車が発着する。

オースティン・バーグストロム国際空港は街の南東8キロメートルに位置する。国内線が主体の空港である。

スポーツ

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オースティンに拠点を置くメジャースポーツとしてMLSオースティンFCがある(2021年まではメジャースポーツフランチャイズを持たない最大人口の都市としても知られていた)。オースティンは元来サッカー人気の高い都市でもあり、MLSのフランチャイズ誘致は以前より盛んに行われていた(過去にも誘致運動が行われ、2008年にオースティン・アズテックスが発足し2010年より参入予定となっていた《同チームは最終的にオーランド・シティSCとなる》。また、2017年には全米屈指の強豪コロンバス・クルーの移転話も浮上したことがあった)。昨今ではアメリカで最もサッカー熱の高い都市の一つに数えられることもある。

アメリカンフットボールはカレッジフットボールとして盛んで、最大101,000人を収容するフットボールスタジアム、ダレル・K・ロイヤルテキサスメモリアルスタジアムがあり、テキサス大学のテキサス・ロングホーンズがホームとしている。

その他スポーツとして、オースティンはテキサス・ヒル・カントリーに面していることから自転車競技が盛んである。オースティン近郊にはF1アメリカグランプリが開催されるサーキット、サーキット・オブ・ジ・アメリカズもある。

姉妹都市

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オースティンはSister Cities International,Inc.(SCI)によって指定された12の姉妹都市を有している。

脚注

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出典

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  1. ^ http://www.taglineguru.com/mottolist.html
  2. ^ http://www.austinlibrary.com/ahc/faq3.htm
  3. ^ アップルが第2本社を置く、テキサス州オースティンの魅力”. Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) (2018年12月22日). 2021年6月5日閲覧。
  4. ^ Handbook of Texas Online, "Gault Site" entry”. July 18, 2010閲覧。
  5. ^ a b Cecil, Paul F.; Greene, Daniel P.: Hays County from the Handbook of Texas Online. Feb 17, 2010閲覧。 Texas State Historical Association.
  6. ^ Ryan, Steven. “AUSTIN, CATHOLIC DIOCESE OF”. Handbook of Texas Online. Texas State Historical Association. July 10, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。May 28, 2011閲覧。
  7. ^ Odintz, Mark: Williamson County from the Handbook of Texas Online. Feb 17, 2010閲覧。 Texas State Historical Association.
  8. ^ a b Marks, Paula Mitchell: Bastrop, Texas from the Handbook of Texas Online. Feb 17, 2010閲覧。 Texas State Historical Association.
  9. ^ Garrett, Daphne Dalton: Fayette County from the Handbook of Texas Online. Feb 17, 2010閲覧。 Texas State Historical Association.
  10. ^ Smyrl, Vivian Elizabeth: Travis County from the Handbook of Texas Online. February 17, 2010閲覧。 Texas State Historical Association.
  11. ^ Patoski, Joe Nick "It's Just Different Here", Preservation, July/August 2010, page 38
  12. ^ Waterloo, Texas from the Handbook of Texas Online. February 17, 2010閲覧。 Texas State Historical Association.
  13. ^ US Gazetteer files: 2010, 2000, and 1990, United States Census Bureau, (2011-02-12), http://www.census.gov/geo/www/gazetteer/gazette.html 2011年4月23日閲覧。 
  14. ^ NowData – NOAA Online Weather Data”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2012年11月30日閲覧。
  15. ^ Normals for Austin, Texas”. The Weather Channel. 2006年7月13日閲覧。
  16. ^ Climatological Normals of Austin”. Hong Kong Observatory. 2010年5月28日閲覧。
  17. ^ American FactFinder, United States Census Bureau, http://factfinder.census.gov 2008年1月31日閲覧。 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
公式
観光