オーブ (競走馬)
オーブ | |
---|---|
欧字表記 | Orb |
品種 | サラブレッド |
性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
生誕 | 2010年2月24日(14歳)[1][2] |
父 | Malibu Moon |
母 | Lady Liberty |
母の父 | Unbridled |
生国 | アメリカ合衆国 |
生産者 | Stuart S Janney III & Phipps Stable[2][3] |
馬主 | Stuart S Janney III & Phipps Stable[2][3] |
調教師 | Claude McGaughey III(アメリカ)[2][3] |
競走成績 | |
生涯成績 | 12戦5勝[2][4] |
獲得賞金 | 2,612,516USドル[2][4] |
オーブ (Orb、2010年2月24日 - ) は、アメリカ合衆国の競走馬および種牡馬。2013年のフロリダダービー、ケンタッキーダービーに優勝した。
経歴
[編集]出生・2歳時(2010 - 2012年)
[編集]コロナドズクエストなどを生産・所有したスチュアート・ジャネイ3世、およびインサイドインフォメーションなどを生産・所有したオグデン・ミルズ・フィップスの共同名義で生産されたサラブレッドの牡馬である[2]。
クロード・マゴーヒー調教師に預けられたオーブは2012年8月18日のサラトガ競馬場で行われた未勝利戦(ダート7ハロン)でデビュー、初戦は3着に終わった[5]。その後、2戦するがいずれも4着に終わる。4戦目に迎えた11月24日のアケダクト競馬場での未勝利戦(ダート1マイル)で2馬身差をつけて初勝利を挙げ、この年を終えた[6]。
3歳時(2013年)
[編集]オーブは2013年1月26日のガルフストリームパーク競馬場での一般戦(ダート9ハロン)で年明け初戦を迎え、これを勝利した。続いて2月23日のファウンテンオブユースステークス(G2・ガルフストリームパーク・ダート8.5ハロン)で初のグレード競走を経験、ここではキャッシュコールフューチュリティ勝ち馬のヴァイオレンス[注 1]が断然の単勝人気1.6倍であったが、オーブは同馬を最後の直線で半馬身差で捉えて優勝、番狂わせを演じた[7][8]。
3月30日のフロリダダービーはケンタッキーダービーへ向けての重要なプレップレースであり、オーブにとってはG1競走初挑戦でもあった。当日の1番人気はホーリーブルステークスを勝ってきたイッツマイラッキーデイ[注 2]で、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル勝ち馬シャンハイボビーが2番人気、オーブは単勝3.9倍の3番人気に支持されていた[9]。スタートするとオーブは中団につけて進み、最終コーナーを回ったところで先頭に立っていたイッツマイラッキーデイに3馬身差まで迫ると猛然と追い上げ、残り1/16マイルの標識でオーブが交わしてそのままイッツマイラッキーデイを突き放し、2着に2馬身3/4差をつけて優勝、G1初制覇を手にした[10]。
5月4日、この年のケンタッキーダービー(G1・チャーチルダウンズ・ダート10ハロン)は不良馬場のなか行われ、2013年時点で史上9番目動員数となる151,616人の観客が詰めかけていた[11]。オーブは単勝オッズ6.4倍の1番人気に支持されていた[12]。発走のベルが鳴るとまずは先手を奪ったブルーグラスステークス(G1)2着馬のパレスマリスが単独で先頭に立ち、次いでサンタアニタダービー(G1)勝ち馬のゴールデンセンツがそれを2番手で追いかけ、そこにフォーリングスカイ(Falling Sky)・ヴァイジャック(Vyjack)・ヴェラザノ[注 3]・オクスボウらがそれに追走していった。一方でオーブは後方集団に入り、ゴールデンソウル(Golden Soul)という馬と隣りに並んで外側に立ち、前から16番手につけて前半を進んでいった。パレスマリスはホームストレッチに入る手前でノルマンディーインヴェーション(Normandy Invasion)に先頭を奪われたが、コーナーを大外まくりで飛んできたオーブがすでに6番手まで順位を上げており、そのままの勢いで先頭集団を残り200ヤードの標識で抜き去った。そして同じく後方から追いかけてきたゴールデンソウルに2馬身半差、2:02.89のタイムでゴール、ケンタッキーダービー優勝の栄誉を手にした[11][13]。鞍上を務めたジョエル・ロサリオ騎手はケンタッキーダービー初勝利、調教師のマゴーヒーも7回目の挑戦にして初の戴冠となった[13]。
しかし、この勝利以降はオーブから勝ち星が遠のいていった。5月18日の2冠目プリークネスステークス(G1・ピムリコ・ダート9.5ハロン)では後方から差を詰めるも伸びあぐねてオクスボウの4着[14]、6月8日の3冠目ベルモントステークス(G1・ベルモントパーク・ダート12ハロン)はパレスマリスの3着に終わった[15]。
休養を挟み、8月のトラヴァーズステークスは3着、9月のジョッキークラブゴールドカップステークスは8着に敗れた。2013年11月5日に引退が発表され、クレイボーンファームへ移動し種牡馬になった[16]。
競走成績
[編集]出走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離 | 着順 | 騎手 | 時計 (1着) |
着差 | 1着(2着)馬 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012. 8.18 | サラトガ | 未勝利 | D7f | 3着 | J.ロサリオ | (1:22.91) | Violence | ||
2012. | 9. 8ベルモントパーク | 未勝利 | D8f | 4着 | J.ロサリオ | (1:38.38) | Tizracer | ||
2012.11.10 | アケダクト | 未勝利 | D6.5f | 4着 | J.ロサリオ | (1:15.48) | Vyjack | ||
2012.11.24 | アケダクト | 未勝利 | D8f | 1着 | J.ロサリオ | 1:38.73 | 2馬身 | (Freedom Child) | |
2013. 1.26 | ガルフストリームパーク | アローワンス競走 | D9f | 1着 | J.ロサリオ | 1:51.05 | 1馬身 | (Duke Of The City) | |
2013. | 2.23ガルフストリームパーク | ファウンテンオブユースS | G2 | D8.5f | 1着 | J.ヴェラスケス | 1:42.24 | 1/2馬身 | (Violence) |
2013. | 3.30ガルフストリームパーク | フロリダダービー | G1 | D9f | 1着 | J.ヴェラスケス | 1:50.87 | 2 3/4馬身 | (Itsmyluckyday) |
2013. | 5. 4チャーチルダウンズ | ケンタッキーダービー | G1 | D10f | 1着 | J.ロサリオ | 2:02.89 | 2 1/2馬身 | (Golden Soul) |
2013. | 5.18ピムリコ | プリークネスS | G1 | D9.5f | 4着 | J.ロサリオ | (1:57.54) | Oxbow | |
2013. | 6. 8ベルモントパーク | ベルモントS | G1 | D12f | 3着 | J.ロサリオ | (2:30.70) | Palace Malice | |
2013. | 8.24サラトガ | トラヴァーズS | G1 | D10f | 3着 | J.ロサリオ | (2:02.68) | Will Take Charge | |
2013. | 9.28ベルモントパーク | ジョッキークラブGC | G1 | D10f | 8着 | J.カステリャーノ | (1:59.70) | Ron The Greek |
種牡馬
[編集]引退翌年から種牡馬として活動を開始し、初年度の種付け料は25,000ドルに設定されていた[16]。2018年9月1日にシッピカンハーバー(Sippican Harbor、2016年生、牝馬)がスピナウェイステークスに優勝し、これがオーブにとって初の重賞勝ち産駒となった[17]。
2021年4月8日、ウルグアイの生産者シンジケートがオーブを購入したことを発表、カネロネス県プログレソにあるハラスクアトロピエドラスで種牡馬生活を送ることになった[18]。
血統表
[編集]オーブの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | シアトルスルー系 |
[§ 2] | ||
父 Malibu Moon 1997 鹿毛 |
父の父 A.P. Indy1989 黒鹿毛 |
Seattle Slew | Bold Reasoning | |
My Charmer | ||||
Weekend Surprise | Secretariat | |||
Lassie Dear | ||||
父の母 Macoumba1992 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native | ||
Gold Digger | ||||
Maximova | Green Dancer | |||
Baracala | ||||
母 Lady Liberty 1999 鹿毛 |
Unbridled 1987 鹿毛 |
Fappiano | Mr. Prospector | |
Killaloe | ||||
Gana Facil | Le Fabuleux | |||
Charedi | ||||
母の母 Mesabi Maiden1993 鹿毛 |
Cox's Ridge | Best Turn | ||
Our Martha | ||||
Steel Maiden | Damascus | |||
Laughter | ||||
母系(F-No.) | (FN:8-c) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Mr. Prospector 3x4=18.75%、Bold Ruler 5x5=6.25% | [§ 4] | ||
出典 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ヴァイオレンス(Violence)は2010年生、メダグリアドーロ産駒の牡馬。新馬戦でオーブを破った馬でもあり、2歳時はキャッシュコールフューチュリティ(G1)・ナシュアステークス(G2)を勝って3戦3勝であった。ファウンテンオブユースステークスの後に種子骨の骨折が原因で引退している(bloodhorse.com)。種牡馬としてヒルンデイルファームに繋養され、主な産駒としてアルゼンチンのエストレジャス大賞(G1)優勝馬ダンディデルバリオ(Dandy Del Barrio)などを出している(Stallion Register Online)。
- ^ イッツマイラッキーデイ(Itsmyluckyday)は2010年生、ローヤーロン産駒の牡馬。フロリダダービーの前走ホーリーブルステークス(G3)ではシャンハイボビーを2着に破っていた。クラシック戦線ではケンタッキーダービーで15着、プリークネスステークスで2着に入り、その後翌年のウッドワードステークス(G1)で優勝している(equibase.com)。
- ^ ヴェラザノ(Verrazano)は2010年生、モアザンレディ産駒の牡馬。ケンタッキーダービーの前哨戦のひとつウッドメモリアルステークス(G1)を制しており、ダービー当日は単勝9.4倍に支持されていたが、後半失速して14着に敗れている。その後ハスケルインビテーショナルステークス(G1)などに優勝し、4歳時にはイギリスに遠征してクイーンアンステークス(G1)で2着に入っている(equibase.com)。
出典
[編集]- ^ a b c “Orb”. equineline.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g “Horse Profile for Orb”. equibase.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ a b c “Orb - Horse Profile”. bloodhorse.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ a b “Orb - Stallion Register Online”. bloodhorse.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ “MAIDEN SPECIAL WEIGHT”. equibase.com (2012年8月18日). 2019年9月13日閲覧。
- ^ “MAIDEN SPECIAL WEIGHT”. equibase.com (2012年11月24日). 2019年9月13日閲覧。
- ^ Jack Shinar (2013年2月23日). “Orb Overcomes Violence in Fountain of Youth”. bloodhorse.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ “Besilu Stables Fountain of Youth S. Grade 2”. equibase.com (2013年2月23日). 2019年9月13日閲覧。
- ^ “esilu Stables Florida Derby Grade 1”. equibase.com (2013年3月30日). 2019年9月13日閲覧。
- ^ Jack Shinar (2013年3月30日). “Orb Looks Golden With Powerful Florida Derby”. bloodhorse.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ a b Evan Hammonds (2013年5月4日). “Orb Delivers Kentucky Derby Glory”. bloodhorse.com. 2019年9月14日閲覧。
- ^ “entucky Derby Presented by Yum! Brands Grade 1”. equibase.com (2013年5月4日). 2019年9月14日閲覧。
- ^ a b “オーブ米3歳頂点/ケンタッキーダービー”. 日刊スポーツ (2013年5月6日). 2019年9月14日閲覧。
- ^ “【米・プリークネスS】ブービー人気馬が鮮やか逃げ切りV”. スポニチアネックス (2013年5月20日). 2019年9月14日閲覧。
- ^ “【米・ベルモントS】パレスマリス押し切った!オーブは3着”. スポニチアネックス (2013年6月10日). 2019年9月14日閲覧。
- ^ a b BloodHorse Staff (2013年11月5日). “Orb Retired, to Stand at Claiborne in 2014”. bloodhorse.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ Claire Crosby (2018年9月1日). “Sippican Harbor Upsets Spinaway”. bloodhorse.com. 2019年9月13日閲覧。
- ^ Eric Mitchell (2021年4月8日). “Coalition in Uruguay Buys Kentucky Derby Winner Orb”. bloodhorse.com. 2021年5月16日閲覧。
- ^ a b c “Orb(USA)”. JBISサーチ. 2019年9月13日閲覧。
- ^ a b c “Orb”. netkeiba.com. 2019年9月20日閲覧。
外部リンク
[編集]- 競走馬成績と情報 Racing Post , EQUIBASE