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クリスマス・カンタータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クリスマス・カンタータUne Cantate de Noël)は、スイス作曲家アルテュール・オネゲルの最後の作品である。

作曲の経緯

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元々この曲は、1945年頃に着想した受難劇であったようだが、受難劇という形では完成されなかった。そして、既に心疾患を患っていたオネゲルは自らの死を目前にした1953年、この作品を予定の期日を大幅に遅れて完成させ、1955年に永眠した。

初演

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1953年12月18日、パウル・ザッハー指揮、バーゼル室内管弦楽団、デリック・オルセン(バリトン)、バーゼル室内合唱団によりバーゼルにて初演された。

編成

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バリトン独唱、児童合唱(ただしユニゾン)、混声合唱フルート2(うちピッコロ持ち替え1)オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、ハープ弦楽五部オルガン。なお、独唱・合唱・管弦楽・オルガンを全て含めての完全な全合奏で響く部分は一度も無い。管弦楽のみの全合奏は、終結部にわずかにみられる。

作品の概要

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テキストは、スイス人のオネゲルらしくフランス語ドイツ語ラテン語が用いられている。

全体は大きく3つに分かれ、「暗黒の時代」「キリスト生誕」「賛歌」のように考えられる。しかし、これは時代背景に置き換えると「戦乱」「平和」「人間賛歌」のように考えられないことも無い。

冒頭、オルガンがどっしりと不協和音を響かせる。チェロが断片的に動き、合唱におどろおどろしいヴォカリーズが現れる。この部分は変ホ短調と考えられる。木管楽器が絡み合う中、男声が厳かに「デ・プロフンディス(深き淵より)」を歌い、女声に受け渡される。しかし再びヴォカリーズとなり、やや速度を速めてファンファーレを伴って盛り上がる。頂点で速度を落とし「おお、来たれよ!」と悲痛に叫ぶと、児童合唱が変イ長調の穏やかで童謡風の旋律を歌う。この応答が繰り返されるとバリトン・ソロとなり、やがて児童合唱に賛美歌エッサイの根より』が現れ、合唱が『神の子は生まれ給えり』と応じる明るい部分となる。この部分はホ長調である。この応答もしばらく続き、変イ長調のやや舞曲風の部分となる。速度を落とし、ロ長調に転じて4分の6拍子と8分の18拍子が同時に響く複雑を極める部分となり、賛美歌『きよしこの夜』が響いてくる。この部分はドイツ語とフランス語が交錯する。バリトン独唱に続いて、児童合唱の中の1人が「天使の声」を演じる。バリトンが『グローリア』を歌い、速度を速めてハ長調で合唱が「主をほめたたえよ!」と高らかに歌う。この部分ではバッハがカンタータ140番『目覚めよ、と呼ぶ声あり』に使用したフィリップ・ニコライ(Philipp Nicolai )のコラールが対旋律として用いられている。合唱が歌い収めるとオルガンとトランペットが壮大に響き渡り、徐々に静まってゆく。そして、今まで出てきた旋律の断片を回想しつつ、オルガンが冒頭の和音を逆に辿り静かに消えてゆく。

主な録音

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録音年 指揮 オーケストラ&主な合唱団 バリトン オルガン 発売レーベル
1954 ジョルジュ・ツィピーヌ パリ音楽院管弦楽団&エリザベート・ブラッスール合唱団 ピエール・モレ モーリス・デュリュフレ EMI
1954 パウル・ザッハー ラムルー管弦楽団&エリザベート・ブラッスール合唱団 ミシェル・ルー モーリス・デュリュフレ フィリップス
1961 エルネスト・アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団&ローザンヌ放送合唱団 ピエール・モレ (表記なし) デッカ
1966 セルジュ・ボド プラハ交響楽団&チェコ合唱団 インドジフ・インドラーク ヤロスラフ・トヴルスキー スプラフォン
1971 ジャン・マルティノン フランス国立放送管弦楽団&合唱団 カミーユ・モラーヌ アンリエット・ピュイグ=ロジェ EMI
1982 リボール・ペシェク チェコ・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団 ヴァーツラフ・ジーテク ヤロスラフ・トヴルスキー スプラフォン
1987 マーティン・ニアリー イギリス室内管弦楽団&ウィンチェスター大聖堂聖歌隊 ドナルド・スウィーニー ティモシー・バイラム=ウィグフィールド EMI
1989 ミシェル・コルボ グルベンキアン管弦楽団&合唱団 ジル・カシュマイユ ニコラス・マクネア エラート
2007 ティエリー・フィッシャー BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団&合唱団 ジェームズ・ラザフォード ロバート・コート ハイペリオン
2009 ウラディーミル・ユロフスキ ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団 クリストファー・モルトマン (表記なし) LPO

参考文献

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  • 『クリスマス・カンタータ』フルスコア(仏サラベール版)