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コーマス級コルベット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コーマス級コルベット
基本情報
艦種 コルベット→三等巡洋艦
運用者  イギリス海軍
就役期間 1879年 - 1931年
前級 バッカンテ級英語版
次級 カリプソ級英語版
要目
排水量 2,380トン
全長 68.58 m
13.56 m
吃水 5.86 m
主缶 スコッチボイラー×6缶
主機 複式機関
推進器 スクリュープロペラ×1軸
速力 約13ノット
乗員 265名
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コーマス級コルベット英語: Comus-class corvette)は、イギリス海軍コルベットの艦級[1][2]。その後、1878年に既存のコルベットは一括して3等巡洋艦に類別変更された[3]

来歴

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アメリカ海軍が高速の「ワンパノアグ英語版」を建造したことを受けて、イギリス海軍も、「インコンスタント英語版」を端緒として、1869年から1876年にかけて3隻のフリゲートを竣工させた[4]。当時、まだ艦種呼称として採用されてはいなかったものの、後顧的には、イギリス巡洋艦の嚆矢として評価されている[5]

その後、1879年には、これらを小型化するかたちで設計されたアイリス級2隻が相次いで竣工した[5][6]。そしてこれらに続いて、より在来型に近い巡洋艦としてナサニエル・バーナビーによって設計されたのが本級である。1876年6月6日、第三海軍卿英語版は設計を承認し、1876-77年度計画で5隻、1878-79年度計画で1隻、1879-80年度計画で2隻が建造された、更に1881-82年度計画では、発展型のカリプソ級英語版2隻が追加された[2]

設計

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艦内の概略配置図。

設計面では、先行するオパール級英語版の発展型とされた。1876年の時点では、肋骨構造の変更と燃料搭載量の増大のみを図る予定だったが、その後、装甲防御の追加が決定された。これは機関部と弾薬庫の上方に相当する部分について、水線下2.5–3.5インチ (6.4–8.9 cm)の位置に1.5インチ (3.8 cm)厚の装甲を付加するものであった。これにより、アイリス級より更に一歩進んで、ヴィクトリア朝の鋼製巡洋艦への先駆者として評価されている[2]

防護甲板を艦の前後に全通させることも検討されたものの、84トンの重量増になり、兵装の削減が必要になると考えられたことから、断念された。水線装甲はなく、舷側防御は炭庫に頼っているが、炭庫のなかで砲弾が爆発した場合にどうなるかは未検証であった[2]

本級は、3,000トン未満で金属製船体を備えた最初の巡洋艦となった。船体の水線以下には木板を張った上に銅板で覆っていた[1]。また同時に、完全なシップ型帆装を備えた最後のイギリス巡洋艦でもあった。エルダー社で建造された6隻はシップ型帆装と3気筒(高圧1気筒+低圧2気筒)の複式機関を備えた。一方、王立造船所 (Royal Navy Dockyardで建造された艦は、バーク型帆装と4気筒(高圧2気筒+低圧2気筒)の複式機関を備えた[2]。ボイラーは6缶を搭載した[1]

なお、オパール級よりも船体が大型化しているが、機関出力も強化されており、13ノット台の速力は確保した。ただしその後、イギリス巡洋艦が高速化を図っていったことから、本級は最後の低速巡洋艦のひとつともなった[2]

装備

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当初設計での艦砲装備は、砲甲板に16cm前装施条砲MLR 64ポンド砲Mk.III)12門を備える点ではオパール級と同様だが、スポンソンの砲は、同級では64ポンド砲2門だったのに対し、本級では18cm前装施条砲(RML 7インチ砲)2門に強化されることになっていた[2]

1879-80年度計画艦が建造されるまでに、イギリス海軍は前装砲を廃し、新しい後装砲の採用へと舵を切っていた。「コーマス」は当初計画通りの装備で竣工したものの、1884年には、スポンソンの追撃砲 (Chase gunにかえて25.5口径15.2cm砲(BL 6インチ砲Mk.II)4門を搭載した。また1895年にはMLR 64ポンド砲を廃止して、15.2cm砲を10門に増備した。「チャンピオン」では舷側の砲を25.5口径15.2cm砲(BL 6インチ砲Mk.III)4門と25口径12.7cm砲(BL 5インチ砲Mk.III)8門に換装するとともに、40口径4.7cm砲(QF 3ポンド砲)4門、機砲2門、機銃6挺、魚雷発射筺2基を備えた。その他の艦も、下記のように換装した[1]

  • クレオパトラ - 12.7cm砲をMk.IVに更新した。
  • クラコア - 15.2cm砲をMk.IVに更新するとともに、機銃を9挺、4.7cm砲を1門とした。
  • コンクエスト - 25.5口径15.2cm砲(BL 6インチ砲Mk.IV)9門と機銃8挺、機砲2門、魚雷発射筺2基を搭載した。

一方、「カリスフォート」「コンスタンス」は兵装の換装を行わなかった[1][2]

同型艦一覧

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計画年度 艦名 造船所 起工 進水 竣工 売却
1876-77 コーマス
HMS Comus
エルダー 1876年8月17日 1878年4月3日 1879年10月23日 1904年
クラコア
HMS Curacoa
1878年4月18日 1880年2月24日
チャンピオン
HMS Champion
1878年7月1日 1880年8月24日 1919年
クレオパトラ
HMS Cleopatra
1878年8月1日 1880年8月24日 1931年
カリスフォート
HMS Carysfort
1878年9月26日 1880年9月15日 1899年
コンクエスト
HMS Conquest
1878年10月28日 1882年10月3日
1878-79 コンスタンス
HMS Constance
チャタム 1878年9月14日 1880年6月9日 1882年10月3日 1899年
1879-80 カナダ
HMS Canada
ポーツマス 1879年7月7日 1881年8月26日 1883年5月1日 1897年
コーデリア
HMS Cordelia
1879年7月17日 1881年10月25日 1887年1月25日 1904年

出典

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  1. ^ a b c d e Gardiner 1979, p. 52.
  2. ^ a b c d e f g h Friedman 2012, §4. Fast steel cruisers.
  3. ^ Friedman 2012, INTRODUCTION.
  4. ^ Gardiner 1979, p. 47.
  5. ^ a b 青木 1996.
  6. ^ 中川 1996, p. 15.

参考文献

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  • Friedman, Norman (2012). British Cruisers of the Victorian Era. Naval Institute Press. ISBN 978-1591140689 
  • Gardiner, Robert (1979). Conway's All the World's Fighting Ships 1860-1905. Naval Institute Press. ISBN 978-0870219122 
  • 中川, 務「イギリス巡洋艦史」『世界の艦船』第517号、海人社、1996年11月、ISBN 978-4905551577 
  • 青木, 栄一「船体 (技術面から見たイギリス巡洋艦の発達)」『世界の艦船』第517号、海人社、1996年11月、176-181頁、ISBN 978-4905551577 

関連項目

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