ザットル・ビー・ザ・デイ
「ザットル・ビー・ザ・デイ」 | ||||||||||
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ザ・クリケッツ の シングル | ||||||||||
初出アルバム『ザ・チャーピング・クリケッツ』 | ||||||||||
B面 | アイム・ルッキン・フォー・サムワン・トゥー・ラヴ | |||||||||
リリース | ||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ロック[2] | |||||||||
時間 | ||||||||||
レーベル | ||||||||||
作詞・作曲 | ||||||||||
プロデュース | ノーマン・ペティ[3] | |||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||
後述を参照 | ||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||
後述を参照 | ||||||||||
ザ・クリケッツ シングル 年表 | ||||||||||
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「ザットル・ビー・ザ・デイ」(That'll Be the Day)は、ジェリー・アリソンとバディ・ホリーによって書かれた楽曲。1956年にバディ・ホリー&ザ・スリー・チューンズによって初めて録音され、1957年にホリーの新しいバンドであるザ・クリケッツによって録音された。作曲者のクレジットには、プロデューサーであるノーマン・ペティの名も含まれているが、実際には作曲に携わっていない[4]。
複数のアーティストによってカバーされており、中でもリヴァプールのスキッフル・バンドであるクオリーメン(後のビートルズ)にとっては初めて録音した楽曲の1つとなった[5]。
ザ・クリケッツによるシングル盤は、1969年にアメリカレコード協会からゴールド認定を受け、1998年にグラミーの殿堂入りを果たした。2005年にアメリカ議会図書館によって「文化的、歴史的、もしくは芸術的に重要」と見なされ、全米録音資料登録簿に登録された。
背景・リリース
[編集]「ザットル・ビー・ザ・デイ」 | |||||||||||||||||||
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バディ・ホリー&ザ・スリー・チューンズ の シングル | |||||||||||||||||||
初出アルバム『ザットル・ビー・ザ・デイ』 | |||||||||||||||||||
B面 | ロックだ!! オリ・ヴィー | ||||||||||||||||||
リリース | |||||||||||||||||||
規格 | 7インチシングル | ||||||||||||||||||
録音 |
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ジャンル | ロカビリー[6] | ||||||||||||||||||
レーベル | デッカ・レコード | ||||||||||||||||||
作詞・作曲 |
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プロデュース | オウエン・ブラッドリー | ||||||||||||||||||
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「ザットル・ビー・ザ・デイ」は、1956年に公開された映画『捜索者』でのジョン・ウェインのセリフ「that'll be the day」に触発されて書かれた楽曲[7]。映画を見たホリーは、ソニー・カーティスやジェリー・アリソンとともにバンドを結成し、作曲を行なった[6]。
1956年7月22日にデッカ・レコードのオウエン・ブラッドリーのプロデュースのもと、ブラッドリーズ・バーンで「ザットル・ビー・ザ・デイ」のレコーディングを行なった[6]。レコーディングでは、カーティスがリードギター、ドン・ゲスがベース、アリソンがドラムを演奏した[8]。しかし、レーベルの幹部は、録音された演奏に感銘を受けなかったことや、ホリーをカントリー&ウエスタン路線で売り込むことを決めたことを理由に、本作の発売を許可しなかった[9]。ザ・クリケッツによるシングル盤のヒットを経て[6]、1957年9月2日にデッカ・レコードからシングル盤が発売され[1]、B面には「ロックだ!! オリー・ヴィー」(Rock Around with Ollie Vee)が収録された[10]。
ザ・クリケッツによる演奏
[編集]前述のレコーディング・セッションの関係で生じる法的な問題を避けるため、ホリーは結成したバンドに新たな名前を付ける必要があった[11][3]。ザ・クリケッツは、1957年2月25日に「ザットル・ビー・ザ・デイ」のレコーディングを行なった[12]。レコーディングは、ニューメキシコ州にあるノーマン・ペティ・レコーディング・スタジオで行なわれ[13][11]、プロデュースはペティが手がけた[14]。レコーディングに際して、キーが原曲のDからAに変更されている[6]。
ザ・クリケッツによるシングル盤は、1957年5月27日にブランスウィック・レコードから発売され、B面には「アイム・ルッキン・フォー・サムワン・トゥ・ラヴ」(I'm Looking for Someone to Love)が収録された[1]。「ザットル・ビー・ザ・デイ」は、1957年11月27日に発売されたアルバム『ザ・チャーピング・クリケッツ』にも収録されている[15]。
受容(ザ・クリケッツ版)
[編集]ザ・クリケッツによる「ザットル・ビー・ザ・デイ」は、『ビルボード』誌のR&Bチャートで最高位2位[16]を獲得。全英シングルチャートでは3週連続で第1位を獲得した[17][18]。1969年にアメリカレコード協会からゴールド認定を受けた[19]。
1998年にグラミーの殿堂入りを果たした[20]。ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2004年版)の第39位にランクインした[21]。2005年にアメリカ議会図書館によって「文化的、歴史的、もしくは芸術的に重要」と見なされ、国家保存録音登録制度に登録された[22]。
チャートと認定(ザ・クリケッツ版)
[編集]クオリーメンによるカバー
[編集]「ザットル・ビー・ザ・デイ」 | ||||||||||
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クオリーメン の シングル | ||||||||||
初出アルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』 | ||||||||||
B面 | イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デインジャー | |||||||||
リリース | ||||||||||
規格 | アセテート盤 | |||||||||
録音 |
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時間 | ||||||||||
作詞・作曲 |
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プロデュース | パーシー・フィリップス | |||||||||
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1958年、クオリーメン(後のビートルズ)はリヴァプールにあるフィリップス・サウンド・レコーディング・サービスで「ザットル・ビー・ザ・デイ」と「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デインジャー」[24]のレコーディングを行なった[25]。本作は、クオリーメンが初めて録音した楽曲の1つ[5]で、リード・ボーカルはジョン・レノンが務めた[26]。フィリップス・サウンド・レコ-ディン・サービスでのレコーディングについて、マッカートニーは「ジョンは僕らのレパートリーの1つ『ザットル・ビー・ザ・デイ』を演奏し、ジョージはオープニングのギターを弾いて、僕はジョンとハーモニーを歌った」と回想している[27][26]。同日に録音された2曲は、パーシー・フィリップスの支援を受けて、78回転シングルにカットされた[26]。
クオリーメンによる「ザットル・ビー・ザ・デイ」は、「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デインジャー」とともに、長らく一般には未発表のままとなっていたが、1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』で初収録となった[28][29]。
クレジット
[編集]※出典[26]
- ジョン・レノン - ボーカル、ギター
- ポール・マッカートニー - ギター、バッキング・ボーカル
- ジョージ・ハリスン - ギター、バッキング・ボーカル
- ジョン・ダフ・ロウ - ピアノ
- コリン・ハントン - ドラム
リンダ・ロンシュタットによるカバー
[編集]「ザットル・ビー・ザ・デイ」 | ||||||||||
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リンダ・ロンシュタット の シングル | ||||||||||
初出アルバム『風にさらわれた恋』 | ||||||||||
B面 | もう一度だけ | |||||||||
リリース | ||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||
ジャンル | ||||||||||
時間 | ||||||||||
レーベル | アサイラム・レコード | |||||||||
作詞・作曲 |
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プロデュース | ピーター・アッシャー | |||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||
後述を参照 | ||||||||||
リンダ・ロンシュタット シングル 年表 | ||||||||||
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リンダ・ロンシュタットは、1976年8月に発売したアルバム『風にさらわれた恋』で、「ザットル・ビー・ザ・デイ」をカバー。プロデュースはピーター・アッシャーが手がけた[31]。シングル・カットもされており、B面には「もう一度だけ」(Try Me Again)が収録された[32]。
ロンシュタットによるカバー・バージョンは、カナダの『RPM』誌のチャートで最高位2位[33]、アメリカの『ビルボード』誌のHot 100チャートで最高位11位[34]を獲得した。ロンシュタットによるカバー・バージョンは、同年に発売されたコンピレーション・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』[35]や、2011年に発売されたホリーのトリビュート・アルバム『リッスン・トゥ・ミー:バディ・ホリー』[36]にも収録されている。
チャート成績(リンダ・ロンシュタット版)
[編集]週間チャート(リンダ・ロンシュタット版)
[編集]チャート (1976年) | 最高位 |
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Canada Adult Contemporary (RPM)[37] | 14
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Canada Country Tracks (RPM)[38] | 17
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Canada Top Singles (RPM)[33] | 2
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US Adult Contemporary (Billboard)[39] | 16
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US Billboard Hot 100[34] | 11
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US Hot Country Songs (Billboard)[40] | 27
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年間チャート(ザ・クリケッツ版)
[編集]チャート (1976年) | 最高位 |
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Canada Top Singles (RPM)[41] | 35
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US (Joel Whitburn's Pop Annual)[42] | 93
|
チャート (1976年) | 最高位 |
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Canada Top Singles (RPM)[43] | 187
|
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d Amburn 2014, p. 616.
- ^ Saxena, Shalini, ed (2014). Top 101 Musicians. New York, U.S.: Rosen Publishing Group. p. 70. ISBN 1-6227-5121-3. "Holly and his musical group, the Crickets, recorded such rock classics as "That'll Be the Day,"..."
- ^ a b Norman Pettyへのインタビュー - ポップ・クロニクルズ(1969年)
- ^ Real Buddy Holly Story (VHS). Buddy Holly. Kultur Video. 1988.
- ^ a b Womack 2014b, p. 28.
- ^ a b c d e Dahl, Bill. That'll Be the Day - Buddy Holly | Song Info - オールミュージック. 2022年2月23日閲覧。
- ^ Womack 2014a, p. 896.
- ^ Whitburn 2012, p. 302.
- ^ Sullivan 2013, p. 469.
- ^ Neely, Tim, ed (2004). Goldmine Records & Prices: A Concise Digest with Over 30,000 Listings. Iola, Wisconsin: Krause Publications. p. 263
- ^ a b Buddy Holly: Greatest Hits (Liner notes). Buddy Holly. MCA Records. 1995.
- ^ Dregni 2011, p. 102.
- ^ Baker 2015, p. 283.
- ^ Warren, Bill Friskics; Cantwell, David (2003). Heartaches by the Number: Country Music's 500 Greatest Singles. Vanberbilt University Press. p. 166. ISBN 0-8265-1423-5
- ^ Amburn 2014, p. 624.
- ^ a b Whitburn 2004, p. 259.
- ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2022年2月25日閲覧。
- ^ Rice, Jo (1982). The Guinness Book of 500 Number One Hits. Enfield, Middlesex: Guinness Superlatives. p. 33. ISBN 0-85112-250-7
- ^ a b "American single certifications – Buddy Holly & The Crickets – That'll Be The Day". Recording Industry Association of America. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “The Grammys”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “39. Buddy Holly and the Crickets, 'That'll Be the Day' - 500 Greatest Songs of All Time”. Rolling Stone (2003年12月11日). 2022年2月25日閲覧。
- ^ “Complete National Recording Registry Listing ”. loc.gov . Library of Congress. 2022年2月25日閲覧。
- ^ "Lescharts.com – Buddy Holly And The Crickets – That'll Be The Day" (in French). Les classement single. 2022年2月25日閲覧。
- ^ Lewisohn 1988, pp. 6–7.
- ^ Millward, Steve (2012). Changing Times: Music and Politics in 1964. Kibworth Harcourt: Troubador Publishing Limited. p. 2. ISBN 1-7808-8344-7
- ^ a b c d Womack 2014a, p. 897.
- ^ Lewisohn 1998, p. 7.
- ^ MacDonald 2005, p. 45.
- ^ Lewisohn 2013, p. 821n50.
- ^ a b Carlin, Richard (2014). Country Music: A Biographical Dictionary. Oxford: Taylor & Francis. p. 352. ISBN 1-1353-6104-5. "Each featured songs in a pop-rock and country vein, including her hit covers of Buddy Holly's "That'll Be the Day"..."
- ^ Ronstadt 2014, p. 207.
- ^ Neely, Tim (2000). Goldmine Standard Catalog of American Records: 1950-1975. Wisconsin, USA: Krause Publications. p. 961. ISBN 0-8734-1934-0
- ^ a b “Top RPM Singles: Issue 3751”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年2月25日閲覧。
- ^ a b “The Hot 100”. Billboard. 2022年2月25日閲覧。
- ^ Ronstadt 2014, p. 217.
- ^ “(V.A.)「リッスン・トゥ・ミー:バディ・ホリー」”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “Top RPM Adult Contemporary: Issue 3665”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “Top RPM Country Tracks: Issue 7723”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “Linda Ronstadt Chart History (Adult Contemporary)”. Billboard. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “Linda Ronstadt Chart History (Hot Country Songs)”. Billboard. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “Top 200 singles of '76”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年2月25日閲覧。
- ^ Whitburn, Joel (1999). Pop Annual. Menomonee Falls, Wisconsin: Record Research. ISBN 0-89820-142-X
- ^ “Top 200 singles of '77”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年2月25日閲覧。
参考文献
[編集]- Amburn, Ellis (2014). “Discography”. Buddy Holly: A Biography. New York: St. Martin's Publishing Group. ISBN 1-4668-6856-2
- Baker, Sarah, ed (2015). Preserving Popular Music Heritage: Do-it-Yourself, Do-it-Together. Oxford: Taylor & Francis. ISBN 1-3176-7074-4
- Dregni, Michael (2011). Rockabilly: The Twang Heard 'Round the World: The Illustrated History. Beverly, MA: Voyageur Press. ISBN 0-7603-4062-5
- Everett, Walter (2001). The Beatles As Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul. Oxford and New York: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-514105-4
- Lewisohn, Mark (1988). The Complete Beatles Recording Sessions. New York: Harmony. ISBN 978-0-517-57066-1
- Lewisohn, Mark (2013). The Beatles – All These Years, Volume One: Tune In. Crown Archetype. ISBN 978-1-4000-8305-3
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd revised ed.). London: Pimlico. ISBN 978-1-84413-828-9
- Ronstadt, Linda (2014). “Discography”. Simple Dreams: A Musical Memoir. New York: Simon & Schuster. pp. 203-226. ISBN 1-4516-6873-2
- Sullivan, Steve (2013). Encyclopedia of Great Popular Song Recordings. 1. Scarecrow Press. ISBN 0-8108-8296-5
- Whitburn, Joel (2004). Top R&B/Hip-Hop Singles: 1942-2004. Menomonie, Wisconsin: Record Research. p. 259
- Whitburn, Joel (2012). The Billboard Book of Top 40 Hits: Complete Chart Information About America's Most Popular Songs & Artists, 1955-2009 (9th ed.). Clarkson Potter/Ten Speed. ISBN 0-3079-8512-1
- Womack, Kenneth (2014a). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, California: ABC-CLIO. ISBN 0-3133-9172-6
- Womack, Kenneth (2014b) [2007]. Long and Winding Roads: The Evolving Artistry of the Beatles. London: Bloomsbury Publishing. ISBN 1-4411-0110-1
外部リンク
[編集]- That'll Be the Day - Geniusの歌詞ページ