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スビ礁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スビ礁の衛星写真(2000年4月)
中国による埋め立てが進むスビ礁(2015年5月)
南沙諸島における周辺諸国の実効支配状況

スビ礁またはスービ礁英語:Subi Reef、中国語: 渚碧礁ベトナム語Đá Xu Bi / 𥒥Xu Bi)は、南シナ海南沙諸島にある暗礁である。中華人民共和国実効支配して埋め立てを行い、人工島が造成されている。

2016年7月12日オランダハーグ常設仲裁裁判所は、いわゆる九段線に囲まれた南シナ海の地域について中華人民共和国が主張してきた歴史的権利について、「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」とする判断を下した。

地理

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フィリピン実効支配するパグアサ島(中国語名:中業島)から北西に約28キロメートル(約15海里)離れている[1]

主権を巡る動き

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ベトナムが占領していたが、1988年スプラトリー諸島海戦(赤瓜礁海戦)において中国人民解放軍海軍がベトナム軍を攻撃し、この暗礁を奪った[2]

以来、中華人民共和国が実効支配しており、中国人民解放軍海軍が駐留している。しかし、台湾中華民国)およびベトナムも主権(領有権)を主張している[3]

中国によりドームレーダー施設が建てられていることが2012年7月に確認されている[1]。2014年7月から中国によりこの岩礁の埋め立てが開始され、人工島を造成している[4][5]。アメリカのシンクタンクであるCSIS(戦略国際問題研究所)による分析では、埋め立て面積は2015年6月時点で3.95 km2に及んでいる[5][6]。ただし、この岩礁は埋め立て以前には、高潮時に水没していたため、国際法上は領有権や領海を主張することはできない[7]

2015年4月、スビ礁周辺で中国軍がフィリピン航空機に対して強力な光を照射したり、退去を要求する等の事例があり、フィリピン側が懸念を表明している[8]

2015年10月26日には、アメリカ海軍イージス駆逐艦ラッセン」が、「航行の自由」作戦の実施により、スビ礁から12海里内を航行している[4][7][9]

中国交通運輸部が建設した灯台(高さ55メートル、2015年10月着工)が完成し、2016年4月からジョンソン南礁クアテロン礁に続いて運用を開始した[10]

2016年7月12日常設仲裁裁判所による裁定(南シナ海判決)では、この礁は海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)における「自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ水面上にあるが、高潮時には水中に没する」低潮高地[11]であり、領海大陸棚のみならず、排他的経済水域 (EEZ) も設定できないと認定された[12][13]

7月13日には、前日の仲裁裁定に反発した中国政府が徴用した海南航空の民間機が、海南島海口国際空港より約2時間の試験飛行してスビ礁の飛行場に着陸し、飛行場利用が民間によるものと中国中央電視台に中継させ、中国に主権があることを主張した[14]。3,000m級滑走路が完成している[15]

地形

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スビ礁の埋め立て部分で最長は約5.5kmある[要出典]。米国がBIG3と警戒する巨大人工島の一つ。

脚注

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  1. ^ a b 南沙諸島に中国が新レーダー施設、フィリピン当局が確認 AFPBB News(AFP)、2012年7月26日
  2. ^ “スプラトリー海戦から25年、中国がベトナム海軍を破った艦艇を展示”. Record China. (2013年3月15日). https://www.recordchina.co.jp/b70334-s0-c30-d0052.html 2015年8月6日閲覧。 
  3. ^ “EXCLUSIVE-ベトナムが南シナ海にロケット弾発射台を配備、「正当な権利」”. 朝日新聞デジタル. ロイター (朝日新聞社). (2016年8月10日). https://web.archive.org/web/20160813025340/http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN10L050.html 
  4. ^ a b 中国「米艦船を追跡、警告」 南シナ海派遣、米は継続へ 朝日新聞デジタル、2015年10月28日
  5. ^ a b Island Building” (英語). Asia Maritime Transparency Initiative ISLAND TRACKER. AMTI and CSIS. 2016年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月5日閲覧。
  6. ^ “南沙で新たな滑走路建設か=中国が埋め立て-米シンクタンク”. 時事ドットコム. (2015年8月6日). オリジナルの2015年10月31日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20151031035432/http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015080600654 
  7. ^ a b クローズアップ2015:南沙へイージス艦 米、人工島譲歩狙い 毎日新聞、2015年10月28日
  8. ^ 南シナ海における中国の活動” (PDF). 防衛省. p. 3 (2015年5月29日). 2015年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月5日閲覧。
  9. ^ “米艦南沙派遣:数時間の「航行の自由作戦」緊張高まる”. 毎日新聞. (2015年10月28日). オリジナルの2015年10月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151027203523/http://mainichi.jp/select/news/20151028k0000m030151000c.html 
  10. ^ “スービ礁で中国の灯台完成 南シナ海、実効支配強化”. 産経ニュース. (2016年4月6日). https://www.sankei.com/photo/story/news/160406/sty1604060005-n1.html 2018年12月5日閲覧。 
  11. ^ 国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約)(全文) 第13条、データベース『世界と日本』 戦後日本政治・国際関係データベース 東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室
  12. ^ “南シナ海、中国の「九段線」に法的根拠なし 初の国際司法判断”. 日本経済新聞電子版 (日本経済新聞社). (2016年7月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H5B_S6A710C1000000/?dg=1&nf=1 2016年8月12日閲覧。 
  13. ^ PH-CN-20160712-Award: PCA Case No.2013-19 In the matter of The South China Sea Arbitration (The Republic of The Philippines - The People's Republic of China)” (PDF) (英語). PCA. pp. 174,259,260. 2016年8月12日閲覧。
  14. ^ South China Sea airports: Flight-tests check routes to Nansha airfields CCTV(2016年7月13日)
  15. ^ “中国、南シナ海の人工島に電波妨害装置配備か 米紙報道”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年4月11日). https://www.asahi.com/articles/ASL4C1T3TL4CUHBI003.html 2018年5月12日閲覧。 

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯10度54分47.88秒 東経114度3分43.2秒 / 北緯10.9133000度 東経114.062000度 / 10.9133000; 114.062000