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セリモドキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セリモドキ
新潟県柏崎市 2019年9月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: セリモドキ属 Dystaenia
: セリモドキ D. ibukiensis
学名
Dystaenia ibukiensis (Y.Yabe) Kitag. (1937)[1]
シノニム
  • Ligusticum ibukiense Y.Yabe (1902)[2]
  • Angelica ibukiensis (Y.Yabe) Makino ex H.Hara (1954) [3]
和名
セリモドキ(芹擬)[4]

セリモドキ(芹擬、学名: Dystaenia ibukiensis)は、セリ科セリモドキ属多年草[4][5][6]。別名、タニセリモドキ[1]

特徴

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は直立して、高さは30-90cmになり、上部でを分け、節の下部には白色の毛状突起がある。は三角形で、長さ10-25cmになり、2-3回羽状複葉で、小葉は不規則に切れ込む。小葉は狭卵形または卵形で、長さ2-7cm、幅1.5-4cmになり、先端は鋭突頭または鋭頭、縁は鋭鋸歯と深い切れ込みがあり、鋸歯の縁に短毛が生える。葉の裏面の葉脈上にまばらに上向きの小突起がある。葉柄の下部は鞘状になって広がる[4][5][6]

花期は7-9月。茎先および枝先に複散形花序をつけ、白色の径約2mmのを密につける。花弁は5個で内側に曲がる。複散形花序の下の総苞片は無いかまたは少なく、線形で長さ5-13mm、花柄は10-20個あり、長さ2-4cmになる。小花序の下の小総苞片は約10個あり、線形で長さ7-10mm、小花柄は約20個あり、果時の長さ4-8mmになる。総苞片、小総苞片、花柄および小花柄は細く、微細な毛が生える。雄蕊は5個ある。果実は楕円形で、長さ3.5-8mmになる。分果の背隆条は3脈あり細くて高く互いに広がり、側隆条は広い翼状になる。油管は不規則に多数ある[4][5][6]

分布と生育環境

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日本固有種[7]。本州の滋賀県以北の日本海側に分布し、山地のやや湿った場所に生育する[4]。本州南西部にはない[6]。都道府県のレッドデータによると広島県や兵庫県にも分布が確認されている。

名前の由来

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和名セリモドキは、「芹擬」の意で、全体がセリに似ているが別の種類であることによる[4]

種小名(種形容語)ibukiensis は、「伊吹山の」の意味[8]タイプ標本牧野富太郎が1893年に伊吹山で採集したものである[2]

なお、シラネニンジン属イブキゼリモドキ(伊吹芹擬)は、従来、伊吹山に産するということから「イブキゼリ」とされたことがあったが、本来の伊吹山の「セリ」は本種のことであることから、現在の名前に改名された[9]

分類

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この植物は飯沼慾斎著の「草木図説」にも図解されているものである。1893年に牧野富太郎によって伊吹山でタイプ種が採集され、牧野は Angelica-シシウド属の1種とみなしたが正式な記載発表はなかった。矢部吉禎はこの種を Ligusticum-マルバトウキ属に移し、Ligusticum ibukiense Y.Yabe (1902) とした。また、北川政夫は、本種は、Ligusticum-マルバトウキ属とは全く異なり、Angelica-シシウド属、Ostericum-ヤマゼリ属および Conioselinum-ミヤマセンキュウ属の3属に近縁の独立属とすべきとし、本種が属する属について新属 Dystaenia-セリモドキ属を設立した。それにより新属に組み替え、Dystaenia ibukiensis (Y.Yabe) Kitag. (1937) とした[10]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b セリモドキ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b セリモドキ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ セリモドキ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』』p.1259
  5. ^ a b c 『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』p.4, p.22
  6. ^ a b c d 『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.394-395
  7. ^ 『日本の固有植物』p.100
  8. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1496
  9. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1250
  10. ^ 北川政夫、「日滿産せり科植物小記 II」『植物学雑誌』 1937年 51巻 610号 p.805-812, doi:10.15281/jplantres1887.51.805, 日本植物学会

参考文献

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