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タッカー円

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パラメタtにおけるタッカー円(茶)、外接円(紫)、第一ルモワーヌ円(緑)、第二ルモワーヌ円(赤)第三ルモワーヌ円(橙)、六点円(青)

タッカー円(タッカーえん、: Tucker circles[1][2]は、幾何学において、ロバート・タッカーの名を冠する三角形の円ドイツ語版の集合である。集合であることを明示する場合、タッカー円の群またはタッカー属とも言われる[3][4][5]。タッカー円の特殊な場合として、外接円第一ルモワーヌ円ドイツ語版第二ルモワーヌ円ドイツ語版第三ルモワーヌ円ドイツ語版テイラー円などがある。

定義

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辺の平行線、逆平行線からなるタッカー六角形とその外接円タッカー円(赤)。

三角形の辺またはその延長上のある点から、他の辺の平行線逆平行線を引く。その直線と3つめの辺(またはその延長)から、次の辺の、平行線と逆平行線のうち、先とは異なる方の直線を引き、別の辺との交点を取る。この操作を延べ6回繰り返して得た点は最初に決めた点と一致する。また、6回の操作の中で得た6点は共円である(タッカーの定理[5])。

具体的に書けば、について、直線上の点を取り、を通るの平行線(逆平行線)との交点をを通るの逆平行線(平行線)との交点をを通るの平行線(逆平行線)との交点をを通るの逆平行線(平行線)との交点をを通るの平行線(逆平行線)をとすると、を通るの逆平行線(平行線)とで交わり、さらに六点同一円周上にある

この円をタッカー円といい、文中の平行線と逆平行線を辺とする六角形をタッカー六角形(Tucker hexagon)という[6][7]。タッカー六角形はルモワーヌ六角形の一般化である。

性質と関係

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タッカー円とタッカー六角形(茶)
直線(ブロカール軸)上に中心を持つタッカー円の包絡線はブロカール内接楕円(赤)。

以下では、基準三角形類似重心外心 、 タッカー六角形をとする。ただしが各辺と逆平行である。また、をタッカー円の中心、の交点、の交点、の交点、 をそれぞれの各頂垂線の垂足と定義する。

  • 三角形の辺の逆平行線であるタッカー六角形の辺の長さは等しい。つまり
  • 頂点と類似重心を結ぶ直線によって二等分される[7]。つまり
  • 三角形の辺の逆平行線であるタッカー六角形の辺は、対応する垂心三角形平行である[8]。つまり、
  • を中心にして相似である[7]。つまり、
  • 三角形の辺の逆平行線であるタッカー六角形の辺は、対応する頂点と外心を結ぶ直線と直交する[7]。つまり
  • タッカー円の中心はブロカール軸上にある。比の相似比に比例する[7]。つまり、
  • タッカー六角形が基準三角形に退化する、つまりとなるとき、外接円をタッカー円として得られる。

タッカー円を線分の符号付長さを媒介変数として表す。

タッカー円の半径はを用いて次の様に与えられる[8]

代表的な値の場合を以下の表に載せた[8]

タッカー円 パラメタ
外接円
第一ルモワーヌ円
第ニルモワーヌ円
第三ルモワーヌ円
六点円
アポロニウス円

で記述すると、次のようになる。

半径は、ωをブロカール角として

タッカー円 パラメタ
外接円
第一ルモワーヌ円
第ニルモワーヌ円
剣持円 (Sは面積
ゲラトゥリ円
六点円
アポロニウス円 (rは内半径、pは半周長

空間

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ルモワーヌ点[註 1]を持つ四面体等力四面体)にも、同様にしてタッカー円の類似物、タッカー球を作ることができる。

等力四面体A1A2A3A4とルモワーヌ点を中心に相似の位置にある四面体B1B2B3B4について、平面B2B3B4と直線A1A2,A1A3, A1A4の交点、平面B3B4B1と直線A2A1,A2A3, A2A4の交点、平面B4B1B2と直線A3A1,A3A2, A1A4の交点、平面B1B2B3と直線A4A1,A4A2, A4A3の交点、延べ12点は同一球面上にある。このをタッカー球と言う[9]

出典

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  1. ^ 窪田忠彦『近世幾何学』岩波書店、1947年、118頁。doi:10.11501/1063410 
  2. ^ るーしぇ, こんぶるーす 著、小倉金之助 訳『初等幾何學 第1卷 平面之部』山海堂出版部、1919年。doi:10.11501/1082035 
  3. ^ 森本清吾『近世幾何学』積善館、1929年、71頁。doi:10.11501/1171033 
  4. ^ ジョン・ケージー 著、山下安太郎, 高橋三蔵 訳『幾何学続編』有朋堂、1909年。doi:10.11501/828521 
  5. ^ a b 長沢亀之助『幾何学辞典 : 問題解法 続』長沢亀之助、1912年、556頁。doi:10.11501/952919 
  6. ^ Roger A. Johnson: Advanced Euclidean Geometry. Dover 2007, ISBN 978-0-486-46237-0, S. 274–277 (Erstveröffentlichung 1929 bei der Houghton Mifflin Company (Boston) unter dem Titel Modern Geometry)
  7. ^ a b c d e Ross Honsberger: Episodes in Nineteenth and Twentieth Century Euclidean Geometry. MAA, 1995, S. 87–98 (Digitalisat)
  8. ^ a b c d Sandor Nagydobai Kiss, Paul Yiu: On the Tucker Circles. In: Forum Geometricorum, Band 17 (2017), S. 157–175 (Digitalisat)
  9. ^ るーしぇ, こんぶるーす『初等幾何學 第2卷 空間之部』山海堂出版部、1915年、928頁。doi:10.11501/1082037 
  1. ^ 四面体とその頂点の外接球に対する接面が成す四面体が配景である、または対面のルモワーヌ点と頂点を結ぶ直線が共点であるとき、その点を四面体のルモワーヌ点という。

参考文献

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  • Roger A. Johnson: Advanced Euclidean Geometry. Dover 2007, ISBN 978-0-486-46237-0, S. 274–277 (Erstveröffentlichung 1929 bei der Houghton Mifflin Company (Boston) unter dem Titel Modern Geometry)
  • A. Emmerich: Die Brocardschen Gebilde und ihre Beziehungen zu den verwandten merkwürdigen Punkten und Kreisen des Dreiecks. Verlag Georg Reimer, Berlin 1891, S. 53–67
  • Ross Honsberger: Episodes in Nineteenth and Twentieth Century Euclidean Geometry. MAA, 1995, S. 87–98 (Digitalisat)
  • Sandor Nagydobai Kiss, Paul Yiu: On the Tucker Circles. In: Forum Geometricorum, Band 17 (2017), S. 157–175 (Digitalisat)
  • Traian Lalescu, Trajan Lalesco『La géometrie du triangle』Librairie Vuibert、1952年。ISSN 1220-5605 
  • Sortais, Yvonne et René『La géométrie du triangle : exercices resolus』Hermann、1997年。ISBN 9782705614294 
  • François Lobit, Propriétés géométriques exceptionnelles du triangle, Publibook, 2015, pages 30,31

関連項目

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外部リンク

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