コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

デイヴィッド・マンロウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
デイヴィッド・マンロウ
生誕 (1942-08-12) 1942年8月12日
出身地 イギリスの旗 イギリスバーミンガム
死没 (1976-05-15) 1976年5月15日(33歳没)
ジャンル 古楽
職業 管楽器奏者、音楽学者
担当楽器 クルムホルンリコーダー
ショームドゥルシアン
活動期間 1967年 - 1976年
レーベル ARGO EMI ARCHIV

デイヴィッド・マンロウ(David Munrow, 1942年8月12日 - 1976年5月15日)は、イギリス・バーミンガム生まれの管楽器奏者、古楽研究家。

略歴

[編集]

南米のペルーで1年間英語教師を務めたのち、ケンブリッジ大学ペンブローク校で英語学を修める。在学中に、ケンブリッジ大学で音楽を講じていた音楽学者・指揮者で鍵盤楽器の奏者であったサーストン・ダートに出会い、リコーダー、クルムホルン等の管楽器を独学で習得する。卒業後バーミンガム大学で17世紀の通俗歌曲を研究した。

1967年にジェームズ・タイラー、オリヴァー・ブルックス、ケンブリッジ在学中から共に古楽の演奏を行っていたクリストファー・ホグウッドらと共に「ロンドン古楽コンソート英語版」を設立した。

管楽器奏者として、および同コンソートのリーダーとして、当時の聴衆には馴染みの少なかった古楽を紹介。気品を損なわずに奔放な生気と演奏家の自発性を重視した演奏活動は人気を博し、国内外での演奏会はもちろん、多くの画期的な録音を残した。

ロンドン古楽コンソートには前記3名のほかにミュンヘン古楽スタジオのメンバーであったテノール歌手のナイジェル・ロジャースやマーティン・ヒル、英国を代表するカウンターテノールのジェイムズ・ボウマン、ヴァイオリン奏者のサイモン・スタンデイジ、リュート奏者のナイジェル・ノース、ロバート・スペンサーらが在籍した。メンバーの中にはコンソート解散後にも古楽の世界で活躍した者も多く、たとえばスタンデイジは、後にホグウッドのエンシェント室内管弦楽団や、トレヴァー・ピノックイングリッシュ・コンサートでコンサートマスターを務めた後、現在は独自の古楽器オーケストラも設立している。

マンロウは、とくに中世ルネサンス音楽の演奏家として知られるが、バロック期のリコーダー音楽、ヴォーン・ウィリアムズベンジャミン・ブリテンパウル・ヒンデミット、さらには彼のために書かれた、リコーダーのための前衛音楽の録音も残している。

さらに映画やテレビのための作曲や演奏、BBCのラジオ番組の台本の執筆と出演など古楽器の普及に尽力、ロンドン王立音楽院、レクスター大学などで教鞭を取り、古楽器の解説書「Instruments of the Middle Ages and Renaissance」(日本語タイトル『中世・ルネサンスの楽器』)を執筆するなど、グスタフ・レオンハルトニコラウス・アーノンクールらと共に、古楽演奏の普及に貢献した啓蒙的音楽家であった。

1976年には初の来日公演が予定されていたが、同年5月15日、マンロウはうつ状態のため、自宅で首を吊った。 実父とマンロウが唯一の著書を捧げた義父の相次ぐ死が、自殺の決意に影響したと考えられる[1][2]。 前年には薬物の過量服薬による自殺未遂もあった[3]。彼の衣鉢を継ぐことは誰にもできず、彼の死は古楽の音楽運動への悲劇的な損失であると指摘された[4]

マンロウに教えを受けた音楽家の一人に、現在「ニュー・ロンドン・コンソート」を率いるフィリップ・ピケットがいる。 

民族音楽民族楽器にも深い関心を持ち、楽器のコレクションも膨大なものであった。

主要な録音

[編集]

日本語タイトルは初発売時の表記に拠る。

著書

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ Young, Rob (2010) (英語). Electric Eden: Unearthing Britain's Visionary Music. Faber & Faber. p. 204. ISBN 9780571258420. https://books.google.com/books?id=mVyciqrCR2AC&q=david%20munrow%20depression&pg=PA204 17 July 2018閲覧。 
  2. ^ The tragic story of the man who inspired millions to love music - BBC Music”. BBC Music (28 November 2016). 17 July 2018時点のオリジナルよりアーカイブ17 July 2018閲覧。
  3. ^ Handy, Maxine (2010) (英語). Triple-Portrait of a Countertenor. Lulu.com. p. 70. ISBN 9781446653449. https://books.google.com/books?id=HeIkAwAAQBAJ&q=david%20munrow%20drug%20overdose&pg=PA70 17 July 2018閲覧。 
  4. ^ Smith, Adrian (2000). Music Making in the West Riding of Yorkshire. R.H. Wood Publishing. pp. 122–123. ISBN 9780953988501