トキソウ
トキソウ | |||||||||||||||||||||
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2009年7月 福島県会津地方
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Pogonia japonica Rchb.f.[1] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
トキソウ(朱鷺草、鴇草) |
トキソウ(朱鷺草、鴇草、学名:Pogonia japonica Rchb.f.[1]) は、ラン科トキソウ属の多年草[2]。
特徴
[編集]地下に横に這う根茎がある。所々から地上に茎を立て、花茎の高さは10-30 cmになる[3]。葉の形は披針形または線状長楕円形で長さ4-10 cm、幅7-12 mmになり、一茎に1枚のみつける。
花期は5-7月、茎頂に紅紫色の花を1個つける[2][3]。和名は花の色がトキの翼の色であるトキ色(#F5C9C6)に似ていることに由来する[3][4]。萼片の長さは1.5-2.5cmで長楕円状披針形、側花弁は萼片より短く狭長楕円形、唇弁は側花弁より長く先端が3裂する。唇弁の中裂片は大きく、内側に肉質の毛状突起が密生する。花は横を向き、大きく開かない。花下に長さ2-4 cmの葉状の苞をつける。
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日当たりのよい湿地に生育するトキソウ
分布と生育環境
[編集]日本では北海道、本州に自生し、四国、九州ではまれにみられる[3]。日本各地の日当たりのよい原野[注釈 1]、湿地にはえる[3][注釈 2]。栽培目的の乱獲により、日本各地で非常に少なくなっている。『花の百名山』の著書(田中澄江)で、霧ノ塔(北西面の小松原湿原[5])を代表する花の一つとして紹介されている[6]。
種の保全状況評価
[編集]準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)
日本では環境省によりレッドリストの準絶滅危惧(NT)の指定を受けている[7][注釈 3][8]。以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[9]。
湿地自体の環境遷移、開発による湿地の消滅、盗掘などの採集により絶滅した自生地もあり、個体数は減少している[8][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19][20][21][22][23][24]。阿蘇くじゅう国立公園[17]、瀬戸内海国立公園[23]、北九州国定公園[10]などで指定植物の対象となっている。埼玉県加須市の自生地は県の天然記念物「加須の浮野とその植物」の指定を受けていて、県指定希少野生動植物保護条例の指定種である[25]。「岡山県自然保護条例」などにより採集が禁止されている[23]。
- 絶滅(EX) - 東京都、山梨県
- 絶滅危惧IA類(CR)- 埼玉県[25]、神奈川県、和歌山県、高知県、福岡県[10]、宮崎県
- 絶滅寸前種 - 奈良県
- 絶滅危惧I類(CRまたはEN) - 新潟県、石川県、徳島県[11]、香川県[12]、島根県[13]、佐賀県
- 絶滅危惧IB類(EN)- 茨城県、静岡県、愛知県[14]、愛媛県[15]、熊本県[16]、大分県[17]
- 絶滅危惧II類(VU) - 宮城県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、富山県、福井県[19]、長野県、岐阜県[20]、三重県[21]、鳥取県[22]、岡山県[23]、広島県
- 準絶滅危惧(NT)- 福島県
分類
[編集]下位分類
[編集]- イトザキトキソウ Pogonia japonica Rchb.f. f. lineariperiantha Satomi et T.Ohsawa[1]
- シロバナトキソウ Pogonia japonica Rchb.f. f. pallescens Tatew.[1]
近縁種
[編集]- 花は上向きにつき、花色が薄く、花がほとんど開かない[4]。
- ミヤマトキソウ Pogonia subalpina T.Yukawa et Y.Yamashita
- 花は横向きにつき、唇弁の中裂片上の毛状突起が短く、花弁中央に沿って幅の広い紫色がかったピンク色の帯がある。
類似の種
[編集]- 花色がより鮮やかながら、地上の姿はやや似ている。ただし、地下には横に這う根茎はなく、偽球茎は丸い。
- 台湾産のタイリントキソウがトキソウという名前で販売流通していることがあるが別属であり、草姿、生育環境、栽培方法などが日本産トキソウとは大きく異なる。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “トキソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2016年6月22日閲覧。
- ^ a b c 豊国秀夫 (1988)、538-539頁
- ^ a b c d e 林弥栄 (2009)、565頁
- ^ a b 高村忠彦 (2005)、102頁
- ^ 田中澄江 (1995)、253-256頁
- ^ 田中澄江 (1997)、247-250頁
- ^ a b “第4次レッドリスト「植物I(維管束植物)」”. 環境省. 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “絶滅危惧情報検索「トキソウ」”. 環境省. 2013年6月12日閲覧。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム「トキソウ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年6月12日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
- ^ a b c “福岡県の希少野生生物 RED DATA BOOK 2011 FUKUOKA・トキソウ”. 福岡県 (2011年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “徳島県版レッドデータブック” (PDF). 徳島県. pp. 365 (2011年8月). 2013年6月12日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b “香川県レッドデータブック・トキソウ”. 香川県 (2004年3月). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “しまねレッドデータブック・トキソウ”. 島根県 (2004年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “レッドデータブックあいち2009” (PDF). 愛知県. pp. 297 (2009年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “愛媛県レッドデータブック・トキソウ”. 愛媛県 (2003年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “改訂・熊本県の保護上重要な野生動植物-レッドデータブックくまもと2009-” (PDF). 熊本県. pp. 172 (2009年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b c “レッドデータブックおおいた” (PDF). 大分県. pp. 146 (2000年). 2013年1月21日閲覧。
- ^ a b “千葉県レッドデータブック植物編(2009年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 249 (2011年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “福井県レッドデータブック(植物編)・トキソウ”. 福井県 (2004年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “岐阜県レッドデータブック(初版)・トキソウ”. 岐阜県 (2002年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “三重県レッドデータブック2005・トキソウ”. 三重県 (2005年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “レッドデータブックとっとり (植物)” (PDF). 鳥取県. pp. 118 (2002年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b c d “岡山県版レッドデータブック2009” (PDF). 岡山県. pp. 303 (2009年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “青森県レッドデータブック(2010年改訂版)” (PDF). 青森県. pp. 101 (2010年). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b “埼玉県レッドデータブック2008植物編” (PDF). 埼玉県. pp. 217 (2011年). 2013年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年6月12日閲覧。
- ^ “北海道レッドデータブック・トキソウ”. 北海道 (2001年). 2013年6月12日閲覧。
参考文献
[編集]- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本I単子葉類』(1982年、平凡社)
- 高村忠彦(監修)『季節の野草・山草図鑑―色・大きさ・開花順で引ける』日本文芸社〈実用BEST BOOKS〉、2005年5月。ISBN 4537203676。
- 田中澄江『新・花の百名山』文春文庫、1995年6月。ISBN 4-16-731304-9。
- 田中澄江『花の百名山』文春文庫、1997年6月。ISBN 4-16-352790-7。
- 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1。
- 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421。
外部リンク
[編集]- トキソウの標本(北海道天塩郡豊富町サロベツ湿原で1966年7月6日に採集) (千葉大学附属図書館)
- トキソウ (三重県立博物館)
- Pogonia japonica Rchb.f. (The Plant List)