ニテロイ級フリゲート
ニテロイ級フリゲート | |
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「コンスティトゥイサン」(モッドフラッグ改修前の汎用型) | |
基本情報 | |
種別 | フリゲート |
運用者 | ブラジル海軍 |
建造期間 | 1972年 - 1986年 |
就役期間 | 1976年 - 現在 |
同型艦 | 6隻 |
前級 | 旧米ギアリング級 |
準同型艦 | ブラジル |
次級 |
グリーニャウイ級 (旧英22型) タマンダーレ級 |
要目 | |
基準排水量 |
3,200トン (新造時) 3,355トン (モッドフラッグ改修後) |
満載排水量 |
3,800トン (新造時) 3,707トン (モッドフラッグ改修後) |
全長 | 129.2m |
最大幅 | 13.5m |
吃水 | 4.2 m(ソナー部 5.9 m) |
機関方式 | CODOG方式 |
主機 |
・MTU 16V956 TB91 ディーゼルエンジン×4基 ・TM3Bガスタービンエンジン×2基 |
推進器 | 可変ピッチ・プロペラ×2軸 |
出力 |
18,000 bhp (ディーゼル) 56,000 shp (ガスタービン) |
最大速力 | 30.5ノット |
航続距離 | 5,300海里 (17kt巡航時) |
乗員 | 217名(士官22名、水兵・下士官195名) |
搭載機 | リンクス哨戒ヘリコプター×1機 |
ニテロイ級フリゲート(ポルトガル語: Fragata Classe Niterói)は、ブラジル海軍のフリゲートの艦級。イギリスのヴォスパー・ソーニクロフト社のMk.10フリゲートの設計を採用している[1][2][3][4]。
設計
[編集]ヴォスパー社 (Vosper & Company) 時代より、Mk.5(イラン海軍サーム級)やMk.7(リビア海軍ダット・アサワリ)といったガスタービン搭載の高速フリゲートが開発されてきた。本型は、これらより更に大型で汎用性に優れたフリゲートとして設計された[5]。艦の大きさとしてはイギリス海軍の42型駆逐艦に匹敵するが、乗員数は100名以上少ない[2]。隠顕式のフィンスタビライザーが設置されている[3][4]。
主機としては、V型16気筒のMTU 16V956 TB91ディーゼルエンジン4基とロールス・ロイス オリンパスTM3Bガスタービンエンジン2基をCODOG方式で組み合わせて、エッシャーウイス社製の可変ピッチ・プロペラ2軸を駆動する方式とされた。ディーゼルエンジン4基で19ノット、2基でも17ノットでの巡航が可能とされる[3]。また電源としては、出力1,000キロワットのディーゼル主発電機4基と出力500キロワットの非常発電機1基を搭載した[1][4]。
装備
[編集]竣工時
[編集]竣工当初、全艦がフェランティFM1600B電子計算機を使用するCAAIS戦術情報処理装置を備えていた。レーダーとしては、対空捜索用にプレッシー社製のAWS-2、対水上捜索用にHSA社製のZW-06を搭載した。また電波探知装置(ESM)としてはデッカ社製のRDLが搭載された[1]。ソナーとしては、EDO-610Eを搭載したほか、対潜艦型ではEDO-700E可変深度ソナーを搭載している[1][2][3][4]。
当初、武器システムには、対潜艦型と汎用艦型の2つのバリエーションがあった。対潜艦型では、対潜兵器として、艦尾甲板にアイカラ[注 1]対潜ミサイルの単装発射機、艦中部両舷に324mm3連装短魚雷発射管(STWS-1)、艦橋直前に375mm2連装対潜ロケット発射機を搭載した[1][2]。
艦砲として、船首楼甲板に55口径114mm単装速射砲を搭載したほか、艦橋後方両舷に70口径40mm単装機銃を1基ずつ備えた。火器管制レーダーとしては、艦橋上と煙突直後にRTN-10Xを1基ずつ備えた。また艦中部両舷には、シーキャット個艦防空ミサイルの3連装発射機を設置した[1][2]。
汎用艦型ではアイカラ対潜ミサイルをもたないかわり、船首楼甲板後端部にエグゾセMM38艦対艦ミサイルの連装発射筒2基、また艦尾甲板に2基目の55口径114mm単装速射砲および爆雷投下軌条を追加装備した[2]。また対潜艦型でも、1986年の発注に基づき、エグゾセMM40の連装発射筒2基が搭載された[1]。
改修後
[編集]1995年3月に発注されたモッドフラッグ(ModFrag)改修により、装備の更新・斉一化が図られた。戦術情報処理装置はSICONTA-IIに更新された。これはフランス海軍のSENIT-8の派生型であった[4]。リンクYBによる戦術データ・リンクに対応している。またWSA-401武器管制システムと連接された[3]。対空捜索レーダーはAESN社製のRAN-20S、対水上捜索レーダーはテルマ社製のスキャンターMiP、ESMもラカル社製のカトラスB-1Bに更新された。また通常航海用として、古野電気のFR-1942 Mk.2も搭載された[3][4]。
汎用艦型でもエグゾセがMM40に更新されたほか、対潜艦型のアイカラ対潜ミサイルは撤去された。またシーキャット個艦防空ミサイルも撤去され、かわって艦尾甲板にアルバトロスの8連装発射機が設置された。艦砲は、全艦が114mm砲1基装備に統一されたほか、高角機銃はシー・トリニティMk.3にアップデートされ、火器管制レーダーもRTN-30Xに更新された[3][4]。
再改修
[編集]2019年には、予算不足でネームシップの「ニテロイ」の延命改修を断念して退役させる一方で、4 – 6番艦の戦術情報処理装置をSICONTA-II ModIに更新する再改修が発表された。再改修は2020年に始まり、2021年内の完了を予定している[6]。
装備要目
[編集]新造時、対潜型 ※F-40、F-41、F-44、F-45 |
新造時、汎用型 ※F-42、F-43 |
モッドフラッグ改修後 | |
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武装 | 55口径114mm単装速射砲×1基 | 55口径114mm単装速射砲×2基 | 55口径114mm単装速射砲×1基 |
70口径40mm単装機銃×3基 | 70口径40mm単装機銃×2基 | シー・トリニティMk.3 40mmCIWS×2基 | |
シーキャット短SAM 3連装発射機×2基 | アルバトロス短SAM 8連装発射機×1基 | ||
アイカラ SUM発射機 | エグゾセMM38 SSM単装発射機×4基 | エグゾセMM40 SSM 2連装発射機×2基 | |
375mm2連装対潜ロケット発射機×1基 | |||
324mm3連装短魚雷発射管×2基 (Mk.46 短魚雷用) | |||
C4I | CAAIS | SICONTA Mk.2 | |
レーダー | AWS-2 対空捜索用 | RAN-20S 対空・対水上捜索用 | |
ZW-06 対水上捜索用 | スキャンター 対水上捜索用 | ||
− | 古野電気FR−1942 航法用 | ||
FCS | RTN-10X 射撃指揮レーダー×2基 | RTN-30X 射撃指揮レーダー×2基 | |
− | サーブEOS-400 光学照準器 | ||
ソナー | EDO 601E 艦底装備式 | EDO 997(F) 艦底装備式 | |
EDO 700E 可変深度式 | − | EDO 700E 可変深度式 | |
電子戦 | RDN-2/3 電波探知装置 | ラカル・カトラスB1W 電波探知装置 | |
− | ET/SLQ-2X 電波妨害装置 | ||
− | FH-5短波方向探知機 | ||
プレッシー・シールド 6連装チャフ・フレア発射機×2基 |
IPqM/エレブラ MDLS 12連装チャフ・フレア発射機×4基 |
同型艦
[編集]形式 | # | 艦名 | 造船所 | 起工 | 就役 | 退役 |
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対潜 | F-40 | ニテロイ BNS Niterói |
ヴォスパー・ソーニクロフト | 1972年 6月8日 |
1976年 11月20日 |
2019年 6月28日[6] |
F-41 | デフェンソーラ BNS Defensora |
1975年 3月27日 |
1977年 3月5日 |
就役中 | ||
汎用 | F-42 | コンスティトゥイサン BNS Constituição |
1976年 4月15日 |
1978年 3月31日 | ||
F-43 | リベラウ BNS Liberal |
1976年 4月15日 |
1978年 3月31日 | |||
対潜 | F-44 | インデペンデンシア BNS Independência |
リオデジャネイロ海軍工廠 | 1974年 9月2日 |
1979年 9月3日 | |
F-45 | ウニアン BNS União |
1975年 3月14日 |
1980年 9月17日 |
また、主機や装備を簡素化した練習艦型として「ブラジル」も建造されている。
ギャラリー
[編集]-
「インデペンデンシア」
モッドフラッグ改修前の対潜型 -
MM38 エグゾセを発射する「リベラル」
モッドフラッグ改修前の汎用型 -
モッドフラッグ改装後の「コンスティトゥイサン」
レーダーが換装されたほか、艦尾の4.5インチ砲はアルバトロスPDMS用の8連装箱型発射機に換装されている。 -
「インデペンデンシア」の艦首側4.5インチ砲と375mm対潜ロケット砲。
この2つの兵装は、モッドフラッグ改装以前から変更が無い。 -
モッドフラッグ改装後の側面武装。艦橋側面部の砲塔がシー・トリニティMk.3 40mmCIWS、艦橋構造物とレーダーマストの間にある円筒形チューブはMM40 エグゾセの発射機。
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練習艦「ブラジル」。煙突より後部の構造物が後部に延長されている。
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「ブラジル」。艦橋側面部の40mm機関砲が確認できる。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- Friedman, Norman (2012). British Destroyers & Frigates - The Second World War & After. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545
- Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325
- Prezelin, Bernard (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. ISBN 978-0870212505
- Saunders, Stephen (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. ISBN 978-0710628886
- Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545
- 海人社(編)「海外艦艇ニュース ブラジル海軍の水上戦闘艦2隻が退役」『世界の艦船』第907集、海人社、2019年9月、183頁。
関連項目
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、ニテロイ級フリゲートに関するカテゴリがあります。
- ウィキメディア・コモンズには、U-27 ブラジルに関するカテゴリがあります。
- 21型フリゲート - イギリス海軍のフリゲート。本級と外見上の共通点が多い。
- ヴォスパー・ソーニクロフト・フリゲート - VTグループが設計建造した、輸出用のフリゲート/コルベットのシリーズ。