ハリファックス級フリゲート
ハリファックス級フリゲート | |
---|---|
FFH-334 レジャイナ | |
基本情報 | |
艦種 | フリゲート |
命名基準 | カナダの都市名 |
運用者 | カナダ海軍 |
建造期間 | 1987年 - 1996年 |
就役期間 | 1992年 - 現在 |
建造数 | 12隻 |
前級 |
サン・ローラン級駆逐艦 レスティゴーシュ級駆逐艦 マッケンジー級駆逐艦 アナポリス級駆逐艦 |
次級 | CSC計画艦[1] |
要目 | |
満載排水量 | 5,235 t |
全長 | 134.7 m |
最大幅 | 16.4 m |
吃水 | 5 m |
機関方式 | CODOG方式 |
主機 |
|
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
最大速力 | 29ノット |
航続距離 | 7,100海里 (15ノット巡航時) |
乗員 | 215名 |
兵装 | #兵装・電装要目 |
ハリファックス級フリゲート (ハリファックスきゅうフリゲート、英: Halifax-class Multi-Role Patrol Frigate) はカナダ海軍のフリゲート。
来歴
[編集]1970年代後半、カナダ海軍は、保有する20隻におよぶ護衛駆逐艦の老朽化という問題に直面していた。サン・ローラン級駆逐艦にはじまる系譜に属するこれらの艦は、多くがヘリコプター運用能力を有し、優秀な対潜艦として活躍してきたが、イギリス海軍の12型フリゲートの設計に基づいており、発達する兵器テクノロジーへの追随は難しくなっていた。このことから開始されたのがCPF (Canadian Patrol Frigate)計画で、これに基づいて建造されたのが本級である[2]。
1983年、まず第1バッチ6隻の建造が承認された。当初は基本設計を担当したセント・ジョン造船所が一手に担当する予定であったが、政治的な事情もあり、下請けのマリン・インダストリーズ社と3隻ずつ分け合うことになった。また1986年には、さらに第2バッチ6隻の追加建造が決定された。第2バッチについては、船体を10メートル延長して対空型とし、最終的には対空型8隻と対潜型12隻を整備する計画であったが、原潜導入計画とバーターに、最終的に第2バッチも第1バッチと同じ対潜型とされ、対空型の整備はなされなかった。なお原潜導入計画はのちに断念された[3]。
設計
[編集]ステルス性に配慮した設計が外見上の特徴となっている。上部構造物は全体的に低く、艦橋構造物は2層とされており、また外板はわずかに内側にテーパーしている。艦型については、L/B比8.2と、かなりずんぐりとしている。またNBC防護のため、艦橋などには大気圧に加えて500パスカル、機関室などにも375パスカルの陽圧がかけられている[3]。
主機関方式としてはCODOG構成を採用しており、巡航機としてはSEMT ピルスティク20 PA6 V280 V型20気筒ディーゼルエンジン1基が、高速機としてはゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジンが2基搭載される。また静粛性確保のため、主機はラフト上に設置されている[3]。
装備
[編集]本級は、戦術曳航ソナーと哨戒ヘリコプターによる優れた対潜戦能力を備えるほか、シースパロー個艦防空ミサイルとハープーン艦対艦ミサイル、ボフォースMk.2 57mm単装速射砲、高度な電子装備により、多任務に対応できる。
戦術情報処理装置としては、当初はSHINPAD(Ship's Integrated Processing and Display System)が搭載されていた。これはUYK-507(V)1コンピュータ33基とUYQ-501コンソール13基、U2049ディスプレイから構成されており、コンピュータのうち28基が戦闘情報処理・運用に供されていた[3]。
また、2010年代においても就役を継続するため、2000年代より性能向上を目的としたHCM/FELEX (Halifax Class modernisation programme / frigate life extension) 計画が進められており、2010年より順次に改修を開始、2017年までに全艦が改修される予定となっている[2]。
兵装・電装要目
[編集]建造当初 | HCM / FELEX改修後 | |
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兵装 | ボフォースMk.2 57mm単装速射砲×1基 | ボフォースMk.3 57mm単装速射砲×1基 |
ファランクス 20mmCIWS×1基 | ファランクスBlk.1B 20mmCIWS×1基 | |
Mk.48 mod.0 VLS (16セル) (シースパロー 短SAM用) |
Mk.48 mod.4 VLS (16セル) (ESSM 短SAM用) | |
ハープーン Blk.1C SSM 4連装発射筒×2基 | ハープーン Blk.2 SSM 4連装発射筒×2基 | |
Mk.32 mod.9 短魚雷連装発射管×2基 | ||
艦載機 | CH-124 哨戒ヘリコプター×1機 | CH-148 哨戒ヘリコプター×1機 |
C4I | 海軍戦術情報システム (SHINPADS+リンク 11/14) |
海軍戦術情報システム (サーブ 9LV+リンク 11/14/16) |
FCS | SPG-503 (STIR 1.8) 砲/SAM射撃指揮×2基 | CEROS 200 砲/SAM射撃指揮×2基 |
ー | SIRIUS IRST | |
レーダー | AN/SPS-49(v)5 2次元式対空捜索用 | SMART-S Mk.2 3次元式 |
SPS-505 シージラフ 低空警戒/対水上捜索 | シージラフSG-150HC 低空警戒/対水上捜索 | |
ソナー | SQS-510 艦首装備 | |
SQR-501 CANTASS | ||
電子戦・ 対抗手段 |
SLQ-501 電波探知装置 | NS9003A-V2HC |
SLQ-505 ECM装置 | n/a | |
プレッシー・シールド デコイ発射機 | TKWA/MASSデコイ発射機 | |
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ |
同型艦
[編集]# | 艦名 | 起工 | 進水 | 就役 |
---|---|---|---|---|
FFH-330 | ハリファックス HMCS Halifax |
1987年 3月19日 |
1988年 4月30日 |
1992年 6月29日 |
FFH-331 | バンクーバー HMCS Vancouver |
1988年 5月19日 |
1989年 7月8日 |
1993年 8月23日 |
FFH-332 | ヴィル・ド・ケベック HMCS Ville de Québec |
1988年 12月16日 |
1991年 5月16日 |
1994年 7月11日 |
FFH-333 | トロント HMCS Toronto |
1989年 4月22日 |
1990年 12月18日 |
1993年 7月29日 |
FFH-334 | レジャイナ HMCS Regina |
1989年 10月6日 |
1992年 1月25日 |
1994年 9月30日 |
FFH-335 | カルガリー HMCS Calgary |
1991年 6月15日 |
1992年 8月28日 |
1995年 5月12日 |
FFH-336 | モントリオール HMCS Montréal |
1991年 2月8日 |
1992年 2月28日 |
1994年 7月21日 |
FFH-337 | フレデリクトン HMCS Fredericton |
1992年 4月25日 |
1993年 6月26日 |
1994年 9月10日 |
FFH-338 | ウィニペグ HMCS Winnipeg |
1993年 3月20日 |
1994年 6月25日 |
1995年 6月23日 |
FFH-339 | シャーロットタウン HMCS Charlottetown |
1993年 12月18日 |
1994年 10月1日 |
1995年 9月9日 |
FFH-340 | セント・ジョンズ HMCS St. John's |
1994年 8月24日 |
1995年 8月26日 |
1996年 6月24日 |
FFH-341 | オタワ HMCS Ottawa |
1995年 4月29日 |
1996年 5月31日 |
1996年 9月28日 |
脚注
[編集]参考文献
[編集]- Naval Technology (2009年). “Halifax Class Frigates - Naval Technology” (英語). 2009年8月12日閲覧。
- Jerry Proc (2008年9月11日). “RADIOS and SYSTEMS IN HALIFAX CLASS FRIGATES” (英語). 2009年8月12日閲覧。
外部リンク
[編集]ウィキメディア・コモンズには、ハリファックス級フリゲートに関するカテゴリがあります。