フィリピン海溝
フィリピン海溝(フィリピンかいこう、Philippine Trench)とは、フィリピン諸島東方のフィリピン海西端にある海溝。
概要
[編集]サマル島北東からミンダナオ島の東を経て、インドネシアのハルマヘラ島の北東沖に達し、幅はおよそ60km、長さはおよそ1400kmに達する[1][2]。ミンダナオ海溝(Mindanao Trench / Mindanao Deep)[3]、エムデン海溝(Emden Trench)とも[4][5]。
この海溝の平均水深は6000mを超えている。長さおよそ800kmで最大水深は8,500mを超えている。ミンダナオ島付近では特に深く、最深部は1万mを超え、レイテ島の東のケープジョンソン海淵 (水深10,497m、1945年発見) ,ミンダナオ島の東のエムデン海淵 (水深10,400m) などが見つかっている[2]。
ユーラシアプレート(スンダプレート)とフィリピン海プレートの境界でもあり、フィリピン海プレートがユーラシアプレート下に沈みこんでいる[6]。海溝北部ではベンナム海膨が衝突し、海溝はルソン島の南東で途切れている。
エムデンの名称は、1927年4月にドイツ海軍巡洋艦エムデンが、当海域において音響測深により水深計測を行い、深海であることを示したことにちなんでいる[7]。国際名称としては、2008年に開催された大洋水深総図(GEBCO)の第21回海底地形名小委員会(SCUFN)において、フィリピン海溝(Philippine Trench)とされ、エムデンの名称は、エムデン海淵(Emden Deep)として整理された[4]。
地震
[編集]地震活動は活発で、この近辺を震源とする比較的規模の大きい地震も発生している。1990年にはM7.7の直下型地震[8]も発生している。海溝型地震も2018年にM7.2[9]、2019年にM6.4、M6.6、M6.5[10]、2021年にM6.8[11]、M7.2[12]を観測する地震が発生している。2021年8月12日に起きたM7.2の地震では小規模ながら津波が観測されており、近年は地震活動が特に活発である。
脚注
[編集]- ^ GEBCO/NOAA gazetteer(地名辞典) > Philippine Trench
- ^ a b ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『フィリピン海溝』 - コトバンク
- ^ Philippine Trench - Encyclopaedia Britannica
- ^ a b 第21回SCUFN,P12
- ^ 百科事典マイペディア『フィリピン海溝』 - コトバンク
- ^ フィリピン地震火山監視能力強化と防災情報の利活用推進プロジェクト,国際協力機構,2009年
- ^ Physics of the Earth,National Academies,P38,1932年
- ^ “平成2年7月18日フィリピン地震災害”. 消防防災博物館 2021年8月12日閲覧。
- ^ “フィリピン付近でM7.2の地震 日本では津波被害の心配なし”. ウェザーニュース. (2018年12月29日) 2021年8月12日閲覧。
- ^ “フィリピン・ミンダナオ島でM6.5の地震 半月でM6以上が3回目”. ウェザーニュース. (2019年10月31日) 2021年8月12日閲覧。
- ^ “フィリピン付近でM6.8の地震 津波の心配なし”. ウェザーニュース. (2021年7月24日) 2021年8月12日閲覧。
- ^ “フィリピン付近でM7.2の地震 日本では津波被害の心配なし”. ウェザーニュース. (2021年8月12日) 2021年8月12日閲覧。