フランソワ・デュ・ボワ
フランソワ・デュ・ボワ François Du Bois | |
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生誕 | フランス ブルゴーニュ地域圏ラ・シャリテ=シュル=ロワール |
国籍 | フランス |
職業 | 作曲家、マリンバ・ソリスト、教育者、コラムニスト、作家 |
フランソワ・デュ・ボワ[1](François Du Bois)は、フランスの作曲家、マリンバのソリスト。また同時に、教育者、作家など多岐にわたる顔を持つ。ブルゴーニュ地方のラ・シャリテ=シュル=ロワール生まれ。
音楽デビュー
[編集]8歳より音楽を始め、17歳より、プロとして活動を開始。16歳から26歳まで、フランソワ・デュ・ボワは、交響楽団の打楽器奏者とジャズ・ドラマーという2つのキャリアを同時に積む。クラシック界では、ロリン・マゼール、オリヴィエ・メシアン、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、などと共演・交流し、ジャズ界においては、リシャール・ガリアーノ、トリロク・グルトゥ、ドミニク・ディ・ピアッツァ、アビー・リンカーンなどと共演している。
回り道
[編集]20歳のとき、パリ国立高等音楽院で学んでいた彼は、技巧的なことを超越した悩みを抱えていた。演奏そのものに深みが欠けることを自覚していた彼は、自分が捜し求める「何か」をつかみに行くために、アフリカのブルキナファソ行きを決心する[2]。マラリアにかかるなどの生死の淵をさ迷う経験を経つつ、ようやく彼が追い求めていたものを見つけることができた。シャーマニズムに通じる、アフリカ音楽の真髄を教わり、音楽に対する感性がより鋭くなりつつあった。フランスに帰国して数年後に、師匠であるレイ・レマと出会うことで、彼の音楽修業はようやく終了を迎えることになる。レイ・レマは、ザイール国立バレエ団(現コンゴ民主共和国)の創設者でもあり、歌手、作曲家である。
作曲家・マリンバ奏者としてのキャリア
[編集]カナダ人ヴァイオリニストのエレーヌ・コルレット(現フランス放送フィルハーモニー管弦楽団第一ヴァイオリン)とデュオを組む。その後、オーストラリア人ヴァイオリニストのジェーン・ピーターズ(チャイコフスキー国際コンクール3位)とデュオを組み、ドイツ国内をツアーコンサートで回る。音楽評論に手厳しいこと有名な有力紙[要出典]『Mainzer Rhein-Zeitung』の見出しには「マリンバとヴァイオリンの頂点、ここに極めれり!」という言葉が掲載された(1990年12月8日付)。次に、ピアノのリュドヴィク・セルミとのデュオを組み、欧州各国、そして日本にもツアーコンサートで初来日している。このデュオで、パーカッション・グループ『レ・タンブール・デュ・ブロンクス(Les Tambours du Bronx)』ともコラボレートしている。デュオ解散ののち、デュ・ボワは作曲活動とCDのレコーディング作業に集中する。
その他のデュオ活動
[編集]- マリンバ/オーボエ:フランソワ・ルルー(オーボエ)コンサートマスター、現バヴァリアラジオ局交響楽団ソリスト(ロリン・マゼール指揮)
- マリンバ/クラリネット:パトリック・メッシーナ(クラリネット)、コンサートマスター、フランス国立交響楽団(クルト・マズア指揮)
- マリンバ/チェロ:アンリ・ドマルケット(チェロ)、コンサートマスター
- マリンバ/尺八:山本邦山(尺八)、コンサートマスター、東京藝術大学教授
- マリンバ/ヴァイオリン:ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャベディアン(ヴァイオリン)、コンサートマスター
新しい音楽的地平線を求めて、1998年に本格来日する。メディアによると、妻との関係がうまく行かなくなったことがきっかけとある[3] 慶應義塾大学の総合政策学部にて、作曲法の授業を特別開講する。同年、14人のマリンバ奏者と太鼓奏者で組んだ『オーケストル・ドートル・パール』を組み、公演を行う。マリンバ奏者の安倍圭子より弟子を二人紹介され、彼女らとともに、マリンバのCD作品『オリジン』を制作、NHKの『スタジオパークからこんにちは』にゲスト登場、演奏を披露する。
2013年10月、天台宗目黒不動尊瀧泉寺 瀧泉寺にて、特別な許可を得て、僧侶衆も参加のもと、デュ・ボワの奉納演奏が収録される。これは慈覚大師[4]の御遠忌1150年の記念と、観世音菩薩像の修復を記念してのもので、かなり異例の出来事とされている。「六字訣」をベースにした瞑想用の音楽「メディタ・ミュージック」[5]という新しいジャンルを確立する。
この音楽は翌年2014年9月に、日本コロムビアより、ダブルCDアルバム『ダイヴ・イントゥ・サイレンス』[6]として発売される。
特別シングルとして発表された『ダイヴ・イントゥ・サイレンス - エクレルシ - 』が、マリンバCD売り上げ世界一(80,300枚)として、アジア・ブック・オブ・レコーズより世界記録に認定される[7]
2019年9月に発売された著書『作曲の科学』を購入した読者の特典として、アルバム『グヌン・カウイ』をリリース。一般音楽市場には出回っていないプレミアムアルバム扱いである。なお、同書はベストセラーとなる。[8]。
2021年長編映画『ラ・トラヴェルセ』に複数の楽曲を提供。映画はアフリカ最大の映画祭フェスパコ2021年にてウマル・ガンダ賞を受賞[9]。
2022年『楽器の科学』(講談社ブルーバックス)を刊行。ベスト&ロングセラー『作曲の科学』(同社)の続編という位置づけである。
また同年には「天狗の棲む森にインスパイアされた、瞑想のための楽曲」のアルバム『ラ・レジャンド・ドゥ・ラフォレ』をリリース[10]。
受賞歴
[編集]- パリ市パーカッションコンクール、審査員満場一致で[要出典]1位受賞
- フランス財団賞受賞
- 1993年レジオン・ヴィオレット勲章、音楽部門金章受章、国会議事堂上院の間にて授与式
(フランス共和国大統領の名の下に授与)
マリンバ教則本
[編集]フランソワ・デュ・ボワは、マリンバの楽器史上、はじめての完全な[要出典]教則本を書いている。3巻にわたる『4本マレットのマリンバ』はIMD出版から発売、安倍圭子が序文に「マリンバに対するアプローチに独創性があり、非常に興味深いメソードです。」と寄せている。
ディスコグラフィ
[編集]- TBMT:ピアノ2台、パーカッション2台
- Entre deux mondes:レイ・レマ、リシャール・ガリアーノ、フランソワ・ルルーなど
- L'heure nuptiale: パリ・マドレーヌ寺院のパイプオルガンのための曲
- DP4:尺八奏者の山本邦山とのコラボレーション
- Marimba Night:オーケストル・ドートルパールのライブ録音
- Origine:マリンバ2台と太鼓のトリオ
- ダイヴ・イントゥ・サイレンス : 日本コロムビア、2枚組アルバム、2014年、目黒不動尊瀧泉寺にて収録[11]
- ダイヴ・イントゥ・サイレンス〜プレミアム〜エクレルシ:D-Project、マキノ出版、シングルCD、2015年、目黒不動尊瀧泉寺にて収録
- ダニエル・ゴヨンヌの「Lueurs bleue」「Il y a de lOrange dans le bleu」で、トリロク・グルトゥ、ルイ・スクラヴィスなどと共演。
- Gunung Kawi:D-Project/講談社 2019、メディタ・ミュージック第2弾アルバム (『作曲の科学』に付録 )
- La légende de la forêt : D-Project/Joy Foundation 2022 [10]
映画
[編集]- 『ロスト・イン・トランスレーション』 - Lost in Translation(ソフィア・コッポラ監督)
- 『ラ・トラヴェルセ』 - La Traversée [9] (作曲担当) (イレーヌ・タセンベド 監督)
デュボワ・メソッド
[編集]長年にわたる教職と音楽家、そしては近年は武術家としての経験を活かして、デュボワは、デュボワ・メソッド®と呼ばれるキャリア教育(あるいは、キャリア・マネージメント)の手法を開発した。メソッドが使われはじめたのは、慶応義塾大学における自身の担当講座『パーソナル・キャリア・マネージメント』である。この講座は、鳥居塾長(当時)および、日産自動車のカルロス・ゴーン社長(当時)の協力により開講が実現したものである。
2003年には「パーソナル・キャリア・デザイン‐デュボワ・メソッド」と名称を改め、2004年より六本木ヒルズにあるアカデミーヒルズにて、社会人向け講座がスタートする。2005年より、株式会社D-Projectがデュボワ・メソッド講座の運営を担当しはじめたのをきっかけに、官公庁をはじめ、様々な企業や教育機関にて講座を提供してきている。
2012年より、大前研一の「アタッカーズ・ビジネススクール」で「アントレプレナーシップ講座」を担当しはじめている[12]。
デュボワ・メソッドは、企業人や経営者のために、創造性と活力を引き出す能力を開発することが目的である[13]。それには人の持つ「気力」「体力」「感性」「智力」(※知識を体系化して活用する力のこと。D-Project HPより引用)の4つの要素のバランスを取ることが鍵だとされている。
メソッドの授業はワークショップ形式で行われ、次の4つの要素で構成されている:(1)ゲーム(2)フィジカル・エクササイズ(※中国武術および中医学の理論に基づく)(3)ディスカッション(※認知神経科学理論に基づく)(4)音楽ワーク(※アフリカン・ミュージックの理論に基づく)
デュボワの著書の多くは、これらのメソッドの理論をベースにして、日常生活での応用の仕方が書かれている。
武術
[編集]デュボワはまた、中国武術家(武当内家 拳国際継承者)としても活動している。2008年から2009年にかけては、道教の聖地、中国湖北省武当山(世界遺産)で修行をした経験を持つ。現在でも、武当山修行を頻繁に行いつつ、都内の教室で武当式武術の指導にもあたっている。こ の教室は、武当山から正式に認定された日本初の認定校である[14]。 指導にあたった教え子らは、国際武術連盟主催の世界伝統武術大会で、2010年大会メダル4つ、2012年大会メダル7つを獲得している[15]。 2012年大会では、日本代表団の団長を務める。
連載
[編集]- 読売新聞:『読売ウイークリー』コラム連載、アジア文化音楽担当2003-2004年
- 朝日新聞:『アエラEnglish』コラム連載、キャリア・デザイン関係2005年-2006年
- ジャパン・タイムズ:『ジャパン・タイムズJr』コラム連載、キャリア・デザイン関係2007年
- 日経新聞:『エコロミー』オンラインコラム連載、キャリア・デザイン関係2008年-2009年
- 朝日新聞:『ジョブラボ』コラム連載、キャリア・デザイン関係2010年-2011年
- 家の光協会: 『家の光』コラム連載、2011年-2012年
著書
[編集]- 『あなたはもっと「すごい生き方」ができる!』(三笠書房)
- 『コイビト・ノ・ツクリカタ』(グラフ社)
- 『ダメな自分が変わる本』(WAVE出版)茂木健一郎帯文推薦
- 『日本人には教えなかった外国人トップのすごい仕事術』(講談社Biz出版)カルロスゴーン メインゲスト
- 『デュボワ思考法』(ダイヤモンド社)
- 『いつも、いい方向に人生が動く1%の人たち』(青春出版社)
- 『運命を変える才能の見つけ方 デュボワ・メソッド』(マガジンハウス)
- 『人生を豊かに歩むために大切なこと どうでもいいこと』(ダイヤモンド社)
- 『体を動かせば心は本当の答えを出す!』(青春出版社)
- 『太極拳が教えてくれた人生の宝物 - 中国・武当山90日間修行の記』(講談社文庫)
- 『フランス人メンターが教えてくれる、49のマジックポイント:自分の感性で生きよう!』(啓明社、韓国語)
- 『発想法と生きる方法:デュボワ先生と、世界的CEO達との対話』(新世界出版社、中国語)
- 『作曲の科学 - 美しい音楽を生み出す「理論」と「法則」』(講談社ブルーバックス )ISBN 978-4065172827 [16]
- 『楽器の科学 – 美しい音色を生み出す「構造」と「しくみ」(講談社ブルーバックス)ISBN 9784065264478
脚注
[編集]- ^ 「フランソワ・デュボワ」の表記もある。
- ^ クリエイト 2005年10月11日号
- ^ セイ2006年10月号
- ^ 『ダイヴ・イントゥ・サイレンス』アルバムブックレットより
- ^ ゆほびか 2015年4月号、145・146・150ページ
- ^ https://columbia.jp/prod-info/COCB-54123-4/
- ^ 朝日新聞デジタル 朝日新聞デジタル「クラシックの快挙ともいえる80300枚を突破し、世界で売上No.1! 「瞑想」をテーマに創造したマリンバ奏者デュボワの特別シングル「dive into silence -eclaircie-」」, 2017年7月7日
- ^ 「ト音」「ヘ音」だけじゃない? 音程を決める「音部記号」のしくみ, 2019年11月21日
- ^ a b https://fespaco.org/2021/wp-content/uploads/2021/10/PALMARES-FESPACO-2021.pdf
- ^ a b https://linkco.re/s24eSNyg?lang=ja
- ^ 商品の説明 メディア掲載レビューほか - Amazon.co.jp
- ^ Iuchi, Chiho. "マリンバからキャリアデザインまで", ジャパン・タイムズ, 東京 2016年3月14日.
- ^ 日本経済新聞(夕刊)2010年6月2日付
- ^ 月刊『秘伝』2013年1月号
- ^ *WIMA ホームページ
- ^ 作曲の科学 - Amazon.co.jp