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プライド月間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
曖昧さ回避 この項目では、LGBTプライドを記念する月について説明しています。一般的な概念については「LGBTプライド」をご覧ください。
LGBTプライド月間
LGBTプライド月間
米国カリフォルニア州サンフランシスコで2018年に行われたプライド・パレード
種類 文化
行事 LGBTのプライド、権利、文化に対する祝福。
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プライド月間（プライドげっかん、英語: Pride Month）またはLGBTプライド月間（エルジービーティープライドげっかん、英語: LGBT Pride Month）は、LGBTのプライドを祝福し、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー（LGBT）の文化とコミュニティによる貢献を記念するための月である[1]。プライド月間は、アメリカ合衆国では、1969年のゲイ解放運動であるストーンウォールの反乱の記念日と一致する6月に祝われる[2]。

歴史[編集]

起源[編集]

「ゲイ解放運動」を参照
ワシントンD.C.での1970年代のゲイ解放運動のプロテスト

最初のプライド・マーチは、ストーンウォール・インでの反乱の1年後、1970年6月にアメリカ合衆国の都市に行われた[3]。「クリストファー・ストリート解放デー」と宣伝されたニューヨーク市でのマーチは、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコでのマーチと並行して行われ、LGBTの権利にとって転換点となった[4]。最初のマーチの主催者の一人フレッド・サージャン（英語版）は、ストーンウォールの反乱を記念し、解放をさらに推進することが目標であると述べた。彼は、最初のマーチは祝福よりも抗議運動に近かったが、人々にLGBTコミュニティの存在と、その中に自分の家族や友人をどのように包含できるかを考えさせることにつながった、と述べている[5]。マーシャ・P・ジョンソン、Sylvia Rivera（英語版）、Stormé DeLarverie（英語版）などを含むトランスジェンダー女性や非白人の人々（英語版）は、最初の暴動で目立った活躍をしていたにもかかわらず、初期のマーチではほとんど排除されるか沈黙させられていた[6][7]。

ミネソタ州パインシティ（英語版）など地方の自治体でも、プライド月間を祝うところが増えている[8][9]。

普及と祝福[編集]

「クリストファー・ストリート・デー（英語版）」も参照

ストーンウォールの反乱と最初のプライドマーチの後、LGBTグループの数は急速に増加し[10]、プライド運動は数年後にはアメリカ合衆国中に広がった[5]。世界中で多くのプライドの祝福が6月に行われるが、土地の天候などの理由により、異なる時期に祝われる場所もある[11]。

国際LGBTプライドデー[編集]

曖昧さ回避 「WorldPride（英語版）」とは異なります。
Five images showing gay pride parades.
スペイン、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル、イスラエルで行われた2019 Prideのお祝い

国際LGBTプライド・デー（こくさいエルジービーティープライド・デー、英語: International LGBT Pride Day）は、LGBTプライドのための日で、ストーンウォールの反乱の記念日を記念するために6月28日に開催される[12]。その月全体がLGBTプライドに関連付けられる前から行われていた。

サンフランシスコ・プライド（英語版）マーチは、1981年から1994年までInternational Lesbian & Gay Freedom Day Paradeとして宣伝され、おそらくこれが国際プライドデーの起源となった[13]。

セルビアのグループArkadija（英語版）は国際プライド・デーを記念し、Belgrade Youth Center（英語版）でクィアの活動と芸術に関するフォーラムを開催した[14]。ニカラグア（英語版）の最初のパブリックなプライド・フェスティバルも1911年の同日に開催され、ストーンウォールの反乱を記念した[15][16]。セルビアも2013年から2015年にかけて国際プライド・デーを記念し、GSA、ウィメン・イン・ブラック、その他のNGOの主催で、Hate-Free Zoneのアクションを行った[17]。

認知[編集]

ニューヨーク市のMetropolitan Transportation Authorityは毎年プライド月間を認知している

アメリカ合衆国のビル・クリントン大統領は、1999年の大統領宣言で初めて「アメリカではストーンウォールを記念する毎年6月はゲイとレズビアンのプライド月間」だと宣言した[18]。バラク・オバマは公式のプライド月間の認知を2011年に広げ、LGBTコミュニティ全体を含めるようにした[18][19]。ドナルド・トランプは2017年に連邦政府によるプライド月間の認知を拒否したが[20]、後の2019年に一連のツイートで支持的な公式声明を発表した[21]。ジョー・バイデンは、過去には上院で同性結婚とLGBTに関する学校教育に反対票を投じたこともあったが[22]、2021年に就任後はプライド月間を認知し、アメリカ合衆国におけるLGBTの権利（英語版）を推進することを誓った[23]。

批判[編集]

「プライド資本主義（英語版）」および「宗教とLGBTの人々（英語版）」を参照

プライド月間をテーマにした製品をリリースする企業がどれほど多いかという点を、スラックティビズムの概念に関連付けて批判する人がいる。これは、企業はLGBTの権利というテーマを利益の手段として利用しており、有意義な方法で運動に貢献していないと見なされるためである[7]。また、レインボープライドフラッグを想起させるソーシャルメディアのプロフィールを作成している企業が、一方でLGBTが広く受け入れられていない地域ではプロフィール写真の変更を拒否していることを、偽善的であるとして批判する人もいる[24]。

一部の宗教団体や文化団体は、イデオロギー上の理由からプライド月間に反対している。彼らは、LGBTQ+のアイデンティティや関係性を自分たちの信念や伝統に反するものと見なしている。こうした反対​​は、プライド月間中に緊張や争いを引き起こすことがよくある[25]。

6月以外のプライド月間[編集]

ニュージーランド[編集]

プライド月間は、ニュージーランド全土でさまざまな時期に祝われる[26]。オークランドでは、2月に祝われ[27][26]、クライストチャーチとウェリントンでは、3月にプライド月間が行われる[26]。

出典[編集]

  1. ^ Wurzburger, Andrea (2022年6月1日). “Pride Month Explained: What Is Pride Month and Why Do We Celebrate?” (英語). People. 2022年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  2. ^ Miranda (2021年6月3日). “What are the origins of Pride Month? And who should we thank for the LGBTQ celebration?” (英語). USA Today. Gannett. 2022年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  3. ^ Stanton (2022年6月2日). “What is the history behind Pride Month? How the LGBTQ celebration came to be” (英語). USA Today. Gannett. 2022年6月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  4. ^ Sommerlad (2022年7月2日). “Pride 2022: How was the annual LGBT+ celebration founded and when and where are events taking place?” (英語). The Independent. 2022年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  5. ^ a b Lopez (2014年6月8日). “LGBTQ Pride Month, explained” (英語). Vox. Vox Media. 2022年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  6. ^ Oliver (2019年6月28日). “Why we owe Pride to black transgender women who threw bricks at cops” (英語). USA Today. Gannett. 2022年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  7. ^ a b Abad-Santos (2018年6月25日). “How LGBTQ Pride Month became a branded holiday” (英語). Vox. Vox Media. 2022年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  8. ^ Tribune. “'A total unicorn': How Pine City, Minn., became a pioneer in rural Pride”. Star Tribune. 2024年6月3日閲覧。
  9. ^ “LGBTQ Rural Pride Campaign” (英語). National Center for Lesbian Rights. 2024年6月3日閲覧。
  10. ^ Carter, David (May 25, 2010) (英語). Stonewall: The Riots That Sparked the Gay Revolution. Macmillan Publishers. ISBN 978-0-312-67193-8. https://books.google.com/books?id=_D4XdvkOQpYC&pg=PT400. "As Frank Kameny stated, 'By the time of Stonewall, we had fifty to sixty gay groups in the country. A year later there was at least fifteen hundred. By two years later, to the extent that a count could be made, it was twenty-five hundred.'" 
  11. ^ Baume (2020年6月25日). “What Is Pride Month and the History of Pride?”. Them. Condé Nast Publications. 2022年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月26日閲覧。
  12. ^ “International LGBT+ Pride Day – UNESCO Chair on Education for Social Justice” (英語). 2024年3月19日閲覧。
  13. ^ “KQED | LGBT Pride: SF Historical Timeline”. web.archive.org (2008年7月16日). 2024年3月19日閲覧。
  14. ^ admin (2013年2月22日). “LGBT aktivizam u Srbiji” (ボスニア語). LGBTI.ba. 2024年3月19日閲覧。
  15. ^ “glbtq >> social sciences >> Nicaragua”. web.archive.org (2007年8月14日). 2024年3月19日閲覧。
  16. ^ “Revista Envío - NICARAGUA BRIEFS”. www.revistaenvio.org. 2024年3月19日閲覧。
  17. ^ “Gay Straight Alliance | GSA | International Pride Day marked by the action 'Hate-Free Zone'”. 2024年3月19日閲覧。
  18. ^ a b Clinton (1999年6月11日). “Proclamation 7203—Gay and Lesbian Pride Month, 1999” (英語). The American Presidency Project. 2019年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月12日閲覧。
  19. ^ Cho (2022年6月1日). “Notable Figures & Moments in Pride Month History to Honor This Week, from Gilbert Baker to Alan Turing” (英語). People. 2022年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  20. ^ Bump, Philip (2017年6月27日). “Last year, June was National Pride Month. This year, it isn't.”. The Washington Post (Nash Holdings). オリジナルの2021年8月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210816002026/https://www.washingtonpost.com/news/politics/wp/2017/06/27/last-year-june-was-national-pride-month-this-year-it-isnt/ 2022年10月25日閲覧。 
  21. ^ Evon (2021年6月1日). “Did Trump Officially Recognize Pride Month During His Presidency?” (英語). Snopes. 2022年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  22. ^ Nagourney, Adam; Kaplan, Thomas (2020年6月21日). “Behind Joe Biden's Evolution on L.G.B.T.Q. Rights” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルの2021年6月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210601215617/https://www.nytimes.com/2020/06/21/us/politics/biden-gay-rights-lgbt.html 2022年10月25日閲覧。 
  23. ^ Karni, Annie (2021年6月1日). “Biden Recognizes Pride Month, Vowing to Fight for L.G.B.T.Q. Rights” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルの2021年6月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210602031322/https://www.nytimes.com/2021/06/01/us/politics/biden-pride-lgbtq.html 2022年10月25日閲覧。 
  24. ^ Daisley (2022年6月3日). “When will companies end their embarrassing Pride hypocrisy?” (英語). The Spectator. Press Holdings. 2022年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  25. ^ “Religious beliefs and views of homosexuality” (英語). The Spectator. Pew Research Center (2022年6月3日). 2023年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月11日閲覧。
  26. ^ a b c Gill (2022年3月23日). “'People are proud throughout the year': When is New Zealand's real Pride month?”. Stuff. 2024年3月21日閲覧。
  27. ^ “What’s on: A guide to Pride 2024, from collaborative crafts to unmissable events” (英語). NZ Herald (2024年2月1日). 2024年3月20日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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