プレシジョニズム
プレシジョニズム(英: Precisionism、精密派)とは、1920年代から1930年代にかけて、アメリカに存在した絵画の様式の名称。キュビスム[1]的リアリズム(Cubo-Realism、クボ・リアリズムまたはキューボ・リアリズム)やイマキュラティズム(Immaculatism、清浄派または純潔派)と呼ばれることもある。
歴史
[編集]精密派の画家には、アメリカ人のアイデンティティを受け入れる者、ヨーロッパからの影響を否定する者などがいた[2]。その作品の特徴は、人工的な風景(主として都市の風景や建築物(工場、倉庫、摩天楼など)、機械)を、キュビスムの影響を受けてやや抽象化しつつも(または、抽象化に適するような題材を選択して)、写実的な筆致で描写するもので、のちの、いわゆる「スーパーリアリズム」の作品へとも接続する。特に、チャールズ・シーラーは、写真作品も制作しており、自分の撮影した写真を手本に、絵画作品を制作することもしばしばあった。このことからもわかるように、プレシジョニズムは、グループf/64の一部に見られるようなタイプのストレートフォトグラフィ(自然風景を撮影したものではなく、人工的な風景を撮影した作品)との近接性を持っている
アメリカにおける近代的な「イズム」のうち、オリジナルなものとしては、早い時期に成立したものの1つであるといえる。なお、確たるグループの名称ではないこともあり、その始まりと終わりには諸説ある。始まりについては、1915年や1918年といった1910年代とする考えがあり、終わりについても、1930年には終わっていたとする説がある一方で、1941年頃まで続いているとする考え方もある。 主な画家
- チャールズ・シーラー(Charles Sheeler; 1883年-1965年)
- ジョージ・オールト(George Ault; 1891年-1948年)
- ナイルズ・スペンサー(Niles Spencer; 1893年-1952年)
- ジョージア・オキーフ(Georgia O'Keeffe; 1887年-1986年)
- モートン・シャンバーグ(Morton Livingston Schamberg; 1881年-1918年)
- ジョセフ・ステラ(Joseph Stella = Giuseppe Michele Stella; 1877年-1946年 or 1880年-1946年)
- チャールズ・デムス(チャールズ・デムース、Charles Demuth; 1883年-1935年)
- ラルストン・クローフォード(Ralston Crawford; 1906年-1978年)
関連する画家と作品例
[編集]-
「ニューヨークの風景」
チャールズ・シーラー -
Rue du singe qui pêche
チャールズ・デムス -
Untitled
ジョージア・オキーフ -
Highland Light
ジョージ・オールト -
工場地帯の風景
プレストン・ディキンソン -
ブルックリン橋
ジョセフ・ステラ -
Garage No. 1
スチュアート・デイヴィス
脚注
[編集]- ^ ピカソ、ブラックらが中心となった芸術ムーブメント
- ^ Metropolitan Museum of Art 2023年8月4日閲覧