ポーシャ (衛星)
ポーシャ Portia | |
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仮符号・別名 | Uranus XII S/1986 U 1 |
分類 | 天王星の衛星 |
発見 | |
発見日 | 1986年1月3日[1] |
発見者 | ボイジャー2号 S・P・シノット (ボイジャー撮像チーム) |
軌道要素と性質 | |
平均公転半径 | 66,097.265 ± 0.050 km[2] |
離心率 (e) | 0.00005 ± 0.00008[2] |
公転周期 (P) | 0.5131959201 日[2] |
軌道傾斜角 (i) | 0.05908°[2] (天王星の赤道に対して) |
近日点引数 (ω) | 222.433°[3] |
昇交点黄経 (Ω) | 260.067°[3] |
平均近点角 (M) | 218.312°[3] |
天王星の衛星 | |
物理的性質 | |
三軸径 | 156 × 126 × 126 km[4] |
平均半径 | 67.6 ± 4 km[4] |
表面積 | 57,425.30 km2[1] |
体積 | 1,293,983 km3[1] |
質量 | 1.7×1018 kg[5] |
平均密度 | 1.3 g/cm3[5] (仮定値) |
表面重力 | 0.025 m/s2[1] |
脱出速度 | ~0.058 km/s |
自転周期 | 同期回転[4] |
アルベド(反射能) | 0.08 ± 0.01[6] |
赤道傾斜角 | 0[4] |
表面温度 | ~64 K |
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ポーシャ[7]またはポーシァ[8] (Uranus XII Portia) は、天王星の第12衛星である。
発見と命名
[編集]ポーシャは、1986年1月3日にボイジャー2号が撮影した画像の中から、ボイジャーの画像解析チームによって発見された[9]。発見は同年1月16日に国際天文学連合のサーキュラーで公表され、S/1986 U 1 という仮符号が与えられた[9]。
その後1988年6月8日に、シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』に登場するブルータスの妻の名ポーシャに因んで命名された[10][11]。ただしNASAのウェブサイトでは、同じくシェイクスピアの戯曲である『ヴェニスの商人』のヒロインであるポーシャが由来であるとしている[1]。また、命名と同時に Uranus XII という確定番号が与えられた[11]。
特徴
[編集]ボイジャー2号が撮影した画像の中では、ポーシャは長軸を天王星の方へ向けた細長い物体として写っていた。ポーシャの長軸と短軸の比率は 0.8 ± 0.1 と非常に細長い形状をしていることが分かっている[4]。また、表面は灰色である[4]。ハッブル宇宙望遠鏡と大型の地上望遠鏡を用いた観測では、ポーシャのスペクトル中に水氷の存在を示す特徴が発見されている[12]。
ポーシャは、測光的特徴や軌道要素がよく似たビアンカ、クレシダ、デズデモーナ、ジュリエット、ロザリンド、キューピッド、ベリンダ、ペルディータとともに、ポーシャ群を形成している[6][13]。平均直径はおよそ 135 km であり、ポーシャ群の衛星の中では最も大きい[1]。また内側の小さい衛星群の中ではパックに次ぐ大きさである。
ポーシャの軌道は天王星の静止軌道よりも内側にあるため、潮汐力によってゆっくりと減衰している。ポーシャはやがて砕けて天王星の環となるか、天王星に突入してしまうものと考えられている。
出典
[編集]- ^ a b c d e f “In Depth | Portia – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局 (2017年12月5日). 2018年12月25日閲覧。
- ^ a b c d Jacobson, R. A. (1998). “The Orbits of the Inner Uranian Satellites From Hubble Space Telescope and Voyager 2 Observations”. The Astronomical Journal 115 (3): 1195–1199. Bibcode: 1998AJ....115.1195J. doi:10.1086/300263.
- ^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
- ^ a b c d e f Karkoschka, Erich (2001). “Voyager's Eleventh Discovery of a Satellite of Uranus and Photometry and the First Size Measurements of Nine Satellites”. Icarus 151 (1): 69–77. Bibcode: 2001Icar..151...69K. doi:10.1006/icar.2001.6597.
- ^ a b Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
- ^ a b Karkoschka, Erich (2001). “Comprehensive Photometry of the Rings and 16 Satellites of Uranus with the Hubble Space Telescope”. Icarus 151 (1): 51–68. Bibcode: 2001Icar..151...51K. doi:10.1006/icar.2001.6596.
- ^ “太陽系内の衛星表”. 国立科学博物館. 2019年3月9日閲覧。
- ^ 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、387頁。ISBN 4-254-15017-2。
- ^ a b Brian G. Marsden (1986年1月16日). “IAUC 4164: Sats OF URANUS; R Leo; NOVAE”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月25日閲覧。
- ^ “Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. 国際天文学連合. 2015年1月11日閲覧。
- ^ a b Brian G. Marsden (1988年6月8日). “IAUC 4609: ASM 2000+25; Sats OF SATURN AND URANUS; 3C 279, PKS 1510-089 AND OJ 287”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月25日閲覧。
- ^ Dumas, Christophe; Smith, Bradford A.; Terrile, Richard J. (2003). “Hubble Space Telescope NICMOS Multiband Photometry of Proteus and Puck”. The Astronomical Journal 126 (2): 1080–1085. Bibcode: 2003AJ....126.1080D. doi:10.1086/375909.
- ^ Scott S. Sheppard. “Uranus Satellite and Moon Data”. Carnegie Science. 2018年12月25日閲覧。