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マリキータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マリキータ
欧字表記 Mariquita[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 黒鹿毛[1]
生誕 1981年4月4日[1]
死没 不明(2004年10月用途変更)
テュデナム[1]
ミスクラリー[1]
母の父 Connaut[1]
生国 日本の旗 日本北海道静内町[1]
生産者 北洋牧場[1]
馬主 一柳博志[1]
調教師 本郷重彦美浦[1]
競走成績
生涯成績 12戦2勝[1]
獲得賞金 4392万2800円[1]
勝ち鞍 新潟3歳S(1983年)
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マリキータMariquita1981年4月4日 - 不明)[1]日本競走馬繁殖牝馬。主な勝ち鞍に1983年新潟3歳ステークス。不振ののちにアメリカへ渡ったが、トラブルの連続から一時行方不明となり、のちに発見されて日本へ帰国した。主戦騎手中野渡清一日本中央競馬会 (JRA) が育成した抽せん馬であり、270万円で頒布された。

経歴

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戦績

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1983年8月新潟開催の新馬戦でデビュー。中野渡清一を鞍上に、レコードタイム、2着に大差(10馬身以上)を付けて圧勝した。次走の新潟3歳ステークスでは前半から33秒7というハイペースで逃げながら、そのまま2着に8馬身差を付けて勝利。走破タイム1分9秒8は、前走で自身が記録したレコードを1秒以上短縮するものであった。

続く京成杯3歳ステークスでは、不良馬場の中を2着に逃げ粘る。年末に迎えた関東の3歳王者戦・朝日杯3歳ステークスでは、単勝オッズ1.7倍という圧倒的1番人気に支持された。しかし競走前から激しく焦れ込みを見せると、発馬で躓き、前走の勝ち馬ハーディービジョンの6着に終わった。

競走後、骨膜炎を発症。これが慢性化して休養を余儀なくされ、翌年の4歳クラシック初戦・桜花賞は回避となる。4月末にサンスポ賞4歳牝馬特別で復帰するも、前走からマイナス20kgと馬体減も著しく、11着と大敗。次走、得意の短距離に戻ったカーネーションカップでは2着となったが、直後に右膝を骨折して長期の休養に入った。翌1985年1月に復帰。しかし夏までの6戦のうち4戦で二桁着順と不振に陥った。

渡米 - 行方不明

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8月の関屋記念で大敗した後、馬主の一柳博志は「環境を大きく変えれば3歳時のようなスピードが復活するのではないか」と考え、マリキータの渡米を決定。現地の短距離競走に出走することを予定し、マリキータは社台ファーム千葉で一旦放牧の後、中野渡を伴ってカリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場へ移動した。しかし予想に反し、環境の激変からマリキータは心身共に疲弊した様子を見せ、また以後の目途が付くまで滞在を予定していた中野渡も、現地スタッフとの意思疎通に手間取った。結局、管理は現地スタッフへ一任することに決まり、後から厩舎を訪れていた一柳、中野渡はマリキータを残して先に日本へ帰国した。一柳によれば、両者が厩舎を離れる際、マリキータは「大げさではなく」涙を流しながら、非常に狼狽した様子を見せたという。

その後、調教を請け負った現地のエージェントにが見つかり、動揺の中で一柳との連絡が滞り始める。直に音信不通の状態となり、マリキータは一度も出走しないままアメリカで完全に行方不明となった。

偶然の発見 - 帰国

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1990年10月ケンタッキー州の繁殖牝馬セールを訪れていた社台グループ総帥・吉田善哉が、ジェイドハンター(後に日本へ輸入)の仔を受胎した「Mariquita」という繁殖牝馬を発見する。これが行方不明となっていたマリキータであった。吉田は即座に一柳に連絡を入れると、一柳は「なんとしても日本へ連れ戻したい」と返答し、吉田が約1000万円の費用を立て替えて落札。その後マリキータは日本へ輸送され、渡米から5年以上を経ての帰国を果たした。

音信不通となった後、マリキータは現地の馬主に繁殖牝馬として売却されており、さらにその馬主が急死したため、吉田が訪れたセールへ偶然に出品されていたことが発見に繋がった。一柳はNECの顧問としてアメリカの政財界にも強い繋がりを持った人物であったが、後日吉田から「あなたぐらいアメリカを知ってる人が、マリキータに関してはミスをしたね」と窘められたという。

帰国したマリキータは北海道三石町のパシフィック牧場に繋養され、翌1991年、日本での初仔となる牝駒・ペピータを出産した。以後順調に繁殖生活を送り、12頭の産駒を出産、うち5頭が中央競馬で勝利を挙げた。2004年10月付で用途変更となり[2]繁殖から引退、その後の動向は不明。

競走成績

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年月日 レース名 頭数 人気 着順 距離(状態 タイム 3F 着差 騎手 斤量 馬体重 勝ち馬/(2着馬)
1983 8. 14 新潟 新馬 8 3 1着 芝1200m(良) R1:10.9 (36.1) 大差 中野渡清一 53 456 (ナカハマチカラ)
9. 4 新潟 新潟3歳S 8 2 1着 芝1200m(良) R1:09.8 (36.1) 8身 中野渡清一 53 460 (プリンスシチー)
11. 6 東京 京成杯3歳 12 2 2着 芝1400m(不) 1:25.8 (37.1) 0.2秒 中野渡清一 53 456 ハーディービジョン
12. 11 中山 朝日杯3歳S 8 1 6着 芝1600m(良) 1:37.2 (36.5) 0.9秒 中野渡清一 53 460 ハーディービジョン
1984 4. 29 東京 サンスポ賞4歳牝馬特別 GII 12 4 11着 芝1800m(良) 1:55.0 (39.6) 2.5秒 中野渡清一 54 440 レイクビクトリア
5. 19 東京 カーネーションC OP 12 5 2着 芝1400m(良) 1:25.4 (38.0) 0.3秒 中野渡清一 54 440 スイートソフィア
1985 1. 7 中山 ニューイヤーS OP 14 12 13着 芝1600m(良) 1:36.7 (38.2) 2.4秒 中野渡清一 53 458 ウメノフーリン
2. 3 東京 東京新聞杯 GIII 15 9 15着 芝1600m(良) 1:37.5 (38.2) 2.1秒 中野渡清一 52 446 ドウカンヤシマ
4. 21 東京 京王杯スプリングC GII 13 11 13着 芝1400m(稍) 1:26.6 (39.6) 3.6秒 中野渡清一 54 440 ニホンピロウイナー
6. 16 福島 地方競馬招待 OP 10 6 8着 芝1800m(良) 1:49.6 (38.4) 1.6秒 中野渡清一 55 456 テツノカチドキ
7. 14 新潟 BSN杯 OP 9 4 4着 芝1200m(稍) 1:09.5 (35.9) 0.4秒 中野渡清一 53 458 サクラシンボリ
8. 4 新潟 関屋記念 GIII 12 4 11着 芝1600m(良) 1:36.3 (39.5) 2.4秒 中野渡清一 54 460 タカラスチール

繁殖成績

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生年 馬名 毛色 戦績(特記)
1991年 ペピータ 黒鹿毛 ジェイドハンター 1戦0勝
1992年 ウインドチーター 鹿毛 クリスタルグリッターズ 17戦3勝
1993年 フラガンテ 黒鹿毛 オウインスパイアリング 21戦2勝(うち地方1戦0勝)
1995年 ブラビオー 黒鹿毛 スーパークリーク 3戦0勝
1996年 イーグルバクシンオ 鹿毛 サクラバクシンオー 25戦3勝
1997年 イーグルマドンナ 鹿毛 クリスタルグリッターズ 11戦1勝
1998年 サーニャ 青鹿毛 フジキセキ 13戦1勝
2000年 ココニサチアリ 黒鹿毛 シャーディー 18戦1勝(うち地方7戦1勝)
2001年 コア 青毛 ブロッコ 22戦2勝(うち地方14戦2勝)
2003年 バクシンキータ 鹿毛 サクラバクシンオー 13戦0勝(うち地方2戦0勝)

上記の他、アメリカで3頭の産駒を残している。その内スルーズロイヤリティとの産駒・マリキータズクイーン (Mariquita's Queen) が繁殖入りしており、孫のマリキータズシークレット (Mariquita's Secret) 、ホンコンヘンリー (Hong Kong Henry) は共に10勝以上を挙げ、それぞれ15万ドル、30万ドルの賞金を獲得している。また、前者は2000年8月に出走したクレーミングレースにおいて、日本から遠征していた蛯名正義が騎乗した。

1995年の産駒ブラビオーは2代目。初代は1977年生まれのカウアイキング産駒で、1981年の関屋記念の勝ち馬。本馬と同じ一柳博志の持ち馬で、産駒にクイーン賞勝ち馬のスーパーセブン(ウインブレイズの母)がいる。

血統表

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マリキータ (Mariquita)血統(オーエンテューダー系 / Bull DogSir Gallahad 4×5=9.38%、Hyperion 5×5=6.25% 、Nearco 5×5=6.25%、Lady Juror 5×5=6.25%) (血統表の出典)

*テュデナム
Tudenham 1970
黒鹿毛 アイルランド
父の父
Tudor Melody 1956
黒鹿毛 イギリス
Tudor Minstrel Owen Tudor
Sansonnet
Matelda Dante
Fairy Hot
父の母
Heath Rose 1964
イギリス
Hugh Lupus Djebel
Sakountala
Cherished Chanteur
Netherton Maid

*ミスクラリー
Miss Clarry 1972
鹿毛 イギリス
Connaught 1965
イギリス
St.Paddy Aureole
Edie Kelly
Nagaika Goyama
Naim
母の母
Heidi 1964
イギリス
*ヴェンチア
Venture
Relic
Rose O'Lynn
Merise Le Pecha
Miraflore F-No.14-b


脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o マリキータ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年7月15日閲覧。
  2. ^ マリキータ(JPN) - 血統書サービス、2022年7月15日閲覧。

参考文献

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  • 『競馬名馬読本 - 思い入れ、思い込みの名馬事典』(宝島社、1991年)ISBN 978-4796691437
  • 優駿』1998年10月号(日本中央競馬会)吉川良「涙の力で、マリキータよ」

外部リンク

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