メトトレキサート
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IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
胎児危険度分類 | |
法的規制 | |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | 17~90% |
血漿タンパク結合 | 50% |
代謝 | 肝臓 |
半減期 | 3~15時間(用量依存) |
排泄 | 尿中:48(1時間)~100%(24時間) |
データベースID | |
CAS番号 | 59-05-2 |
ATCコード | L01BA01 (WHO) L04AX03 (WHO) |
PubChem | CID: 126941 |
DrugBank | APRD00353 |
KEGG | D00142 |
化学的データ | |
化学式 | C20H22N8O5 |
分子量 | 454.44 |
メトトレキサート(Methotrexate)は、葉酸代謝拮抗機序をもち免疫抑制剤に分類される薬剤である。抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)、抗リウマチ薬、妊娠中絶薬などとして使用される。商品名は、抗がん剤としては、メソトレキセート (販売 : ファイザー)、抗リウマチ薬としては、リウマトレックス(同左)など。
作用機序
[編集]- 葉酸を活性型葉酸にする酵素の働きを阻止することにより、核酸合成を阻止し、細胞増殖を抑制する。
- 免疫グロブリン産出、抗体産出、リンパ球増殖などの抑制により、免疫を抑制すると考えられている。また、滑膜組織や軟骨組織の破壊に関係するコラゲナーゼの産出を抑制する。
抗がん剤として
[編集]抗がん剤として使用する場合は、本薬の注射後に解毒剤のフォリン酸(ロイコボリン)を投与する特殊な用法があり、これを「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法」という。
注射剤
[編集]そのほか、他剤との併用で胃癌、乳癌、尿路上皮癌などにも使用される。
2.5mg錠剤
[編集]抗リウマチ薬として
[編集]→「関節リウマチ」を参照
乾癬治療薬として
[編集]海外では1950年代から乾癬に使用されているが、国内では乾癬への適応が認められないままであった。日本では2019年3月に公知申請により「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬」および「関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」に対する効能・効果および用法・用量に関する追加承認を取得した[3][4]。
妊娠中絶剤として
[編集]ミソプロストールと併用することによって、妊娠初期の薬物中絶(Medical abortion)に使用され、子宮外妊娠の治療にも使用される[5]。
副作用
[編集]- 間質性肺炎
- 免疫応答として間質性肺炎を来たすことがある。頻度は1~2%といわれる。用量依存性はなく、葉酸で予防はできない。関節リウマチ治療においては、発症者のうち6ヶ月以内に80%が、1年以内に90%が発症するといわれており[要出典]、投与開始初期には十分注意を要する。
- 胸部レントゲン写真、胸部単純CT、KL-6やSP-Dを用いて肺傷害を評価することが多い。
- 肝障害
- 骨髄抑制・骨髄破壊
- 骨髄で産生される、血液の細胞成分である赤血球・白血球・血小板は新陳代謝による回転(ターンオーバー)の速い細胞の代表的なものである。これらはDNAの代謝阻害を受けると、その影響が著明に現れ、減少する。骨髄抑制により貧血や日和見感染、出血傾向がみられることがある。
- 骨髄抑制がより重症な状態では、骨髄幹細胞が破壊され、血液細胞が再生不能となる。これを骨髄破壊(myeloablation)と呼ぶ。75歳以上で起こりやすいので、高齢者の関節リウマチにはメトトレキサートは推奨しがたい(ステロイドやタクロリムス(プログラフ)、分子標的治療薬を検討する)。
- 口内炎・消化性潰瘍・消化管出血
- 口腔・消化管の粘膜も、新陳代謝の早い組織のひとつで、メトトレキサートにより粘膜修復が遅れるため、口内炎や潰瘍を引き起こすこともある。
上記の一連の副作用を軽減するため、メトトレキサートを最後に服用してから24~48時間後にフォリアミン(葉酸製剤)を服用する処方もしばしば行われる。
脚注
[編集]- ^ “寛解”. コトバンク. 2021年2月1日閲覧。
- ^ https://www.ssk.or.jp/pressrelease/pressrelease_r03/press_030927_2.files/030927_25_ika.pdf
- ^ 大槻 マミ太郎, 五十嵐 敦之, 日本皮膚科学会医療問題検討委員会. 乾癬に対するメトトレキサート使用症例全国調査―日本皮膚科学会による生物学的製剤使用承認施設を対象とした使用実態調査 その2―. 日皮会誌. 2018;128:169-176.
- ^ https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2019/2019_03_26.html
- ^ Mol, F.; Mol, B.W.; Ankum, W.M.; Van Der Veen, F.; Hajenius, P.J. (2008). “Current evidence on surgery, systemic methotrexate and expectant management in the treatment of tubal ectopic pregnancy: a systematic review and meta-analysis”. Human Reproduction Update 14 (4): 309–19. doi:10.1093/humupd/dmn012. PMID 18522946.