レントゲン藝術研究所
レントゲン藝術研究所(Röntgen Kunstinstitut) は、1991年から1995年の約5年間、東京都大田区大森東に存在したオルタナティブギャラリーである。
概要
[編集]1991年6月に、株式会社池内美術の現代美術部門として、東京大田区大森にオープンした。元は倉庫であった60坪3階建て、計190坪の空間は当時において都内最大級であった。ディレクターは池内務である。
バブル崩壊後のまだ現代美術に疎い日本において活動の場のないアーティストを擁し、国内の現代アートの黎明期を担った。
代表的な企画展として、椹木野衣による「アノーマリー」展、村上隆による「WILD WILD」展、会田誠のデビューでもある「fo(u)rtunes」展がある。「ワンナイト・エキシビション」と呼ばれる若手作家の個展形式で一晩限りの展覧会が頻繁に行われるなど、若手作家の登竜門的な存在でもあった。
1995年、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件による社会の混乱の中で活動を停止。閉鎖後は「レントゲンクンストラウム」「レントゲンヴェルケ」「ラディウム」と名前を変え、活動している。
沿革
[編集]- 1991年6月、「レントゲン藝術研究所」を大森にオープン
- 1996年6月、「レントゲンクンストラウム」として青山に拠点を移動
- 2001年12月、株式会社池内美術から独立、吉祥寺に移転
- 2001年6月、「レントゲンヴェルケ」として活動を開始
- 2003年4月、青山のコンプレックスに「レントゲンヴェルケ」をオープン
- 2005年6月、株式会社化
- 2005年7月、小笠原年男より那須の「藝術倉庫」の運営を引き継ぐ
- 2008年3月、「ラディウム」を日本橋馬喰町にオープン
- 2019年7月、馬喰町ラディウム閉館
- 2020年3月、「レントゲン藝術研究所準備室」設立
- 2020年10月、石川県金沢に美術工藝たなかとGallery小暮と3つの画商合同でギャラリー「金澤水銀窟」をオープン
1991年
・グループ展「機能-記号」6月6日ー9月9日
(作家:Wolfgang STILLER, Hans HERMANN, Joseph BEUYS, 三上晴子, 宮島達男, 津田佳紀)
・村上隆「One-Night-Exhibition#1」8月23日
・有光茂樹「Tool 2」9月13日ー25日
・遊佐辰也 「One-Night-Exhibition#2」10月2日
・Lawrence CAROLL 「個展」10月7日ー12月20日
1992年
・村上隆「Wild,Wild」2月14日ー3月18日
・古井智「Myth-Less Mythology」4月3日ー5月6日
・渡辺英弘「One-Night-Exhibition#3」5月16日
・遊佐辰也「個展」6月6日ー7月29日
・H et H 「Homeostasis」6月26日ー7月29日
・岩井茂昭「One-Night-Exhibition#4」8月5日
・グループ展「Anomaly」9月4日ー11月4日
(作家:伊藤ガビン, 中原浩大, 村上隆, ヤノベケンジ )
(キュレーター:椹木野衣)
1993年
・TECHNOCRAT「DutchLifeVol.1ーContaminated」1992年12月11日ー1993年1月7日
・小沢剛, 中野渡尉隆「fo(u)r tunes part 1」1月15日ー27日
(キュレーター:西原珉)
・会田誠, 鳴海暢平「fo(u)r tunes part 2」2月5日ー17日
(キュレーター:西原珉)
・Wolfgang STILLER 「Laboratorium」3月5日ー4月7日
・文田牧人「Machiavo」6月6日ー7月14日
・福居ショウジン「Pinocchio√964」7月23日ー25日
・TECHNOCRAT「Human Juice」7月23日ー25日
・SMTV「One-Night-Club-Exhibition#1ー Inter Discommunication」8月6日
・TECHNOCRAT「DutchLifeVol.4ーComing Out」10月8日ー11月3日
・竹内忍「One-Night-Club-Exhibition#2」11月12日
1994年
・三上晴子, 福田美蘭「ICONOCLASM」12月22日ー1994年3月3日
(キュレーター:西原珉)
・グループ展「G-Girls」12月22日ー1月14日
(作家:浅生ハルミン, 田代モモコ, 中島花代, 米津万里)(キュレーター:西原珉)
・グループ展「High Fidelity」3月18日ー4月22日
(Thomas GIDLEY, Douglas GORDON, Rachl EVANS, Georgina STARR, Adam CHODZKO, Simon PATTERSON)
・竹内忍「One-Night-Club-Exhibition#3ーTechno Heaven II」6月6日
・グループ展「Smooth Surface」6月6日ー7月30日
(会田誠、三上晴子、文田牧人、村上隆、サイモン・パターソン、中村政人ほか11名)
・HYPOTHESE「Night-Club-ExhibitionーNebula71」8月5日、6日
・Wolfgang STILLER「Konservierungsmassnahmen」8月26日ー10月2日
・Andrew JAMES, Sarah STATON「Definitions of Reality」10月28日ー11月27日
1995年
・グループ展「909-ANOMALY2」2月4日ー4月2日
(作家:Complesso Plastico, TECHNOCRAT, 根本敬, 山塚EYE, 大友良英, 灰野敬二, 暴力温泉芸者)
(キュレーター:椹木野衣)
・古井智「Mind Games of 20th Century」4月15日ー5月15日
・中野渡尉隆, 中山ダイスケ「Methods of Dance」6月6日ー7月16日
(キュレーター:池内務)
・曽根裕, 眞島竜男「Departures」9月16日ー10月15日
(キュレーター:西原珉)
・松蔭浩之「My Life」10月21日ー11月5日
・Simon PATTERSON 「個展」11月18日ー12月22日
・「Collection/Selection」
関連作家
[編集]脚注
[編集]- ^ 椹木野衣『美術になにが起こったかー1992-2006』国書刊行会、2006年11月1日。
参考文献
[編集]- 椹木野衣「『レントゲン藝術研究所』という時代」『美術手帖』2005年7月号,美術出版社
- 椹木野衣『シミュレーショニズム』2001年,ちくま学芸文庫[1]
- 椹木野衣『美術になにが起こったかー1992-2006』2006年,国書刊行会[2]
- レントゲン藝術研究所『RADIUM EGG Nr.1』1991年,アウトバーン発行
- レントゲン藝術研究所『RADIUM EGG Nr.2』1992年,アウトバーン発行
- レントゲン藝術研究所『RADIUM EGG Nr.3』1992年,アウトバーン発行
- 中村ケンゴ『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』2015年,アートダイバー
- 中ザワヒデキ『現代美術史日本篇1945-2014』2014年,アートダイバー
- 池内務「レントゲン藝術研究所」『STUDIO VOICE』2006年12月号,INFASパブリケーションズ
- 鈴木萌夏『レントゲン藝術研究所の研究 vol.1』2019年 発行
- 鈴木萌夏『レントゲン藝術研究所の研究 vol.2』2019年 発行
外部リンク
[編集]- roentgenwerke
- https://tokyoartnavi.jp/interview/index002.php
- https://artscape.jp/artword/index.php/レントゲン藝術研究所
- http://www.tokyoartbeat.com/event/2019/7707
- ^ Sawaragi, Noi, 1962-; 椹木野衣, 1962- ((2003 printing)). Zōho Shimyurēshonizumu. Tōkyō: Chikuma Shobō. ISBN 4-480-08635-8. OCLC 54576375
- ^ Sawaragi, Noi, 1962-; 椹木野衣, 1962-. Bijutsu ni nani ga okotta ka, 1992-2006 (Shohan ed.). Tōkyō. ISBN 4-336-04801-0. OCLC 85506182