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三者連続三球三振を記録した日本プロ野球投手一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

三者連続三球三振を記録した日本プロ野球投手一覧(さんしゃれんぞくさんきゅうさんしんをきろくしたにほんプロやきゅうとうしゅいちらん)は、日本プロ野球公式戦において、1イニングに3人の打者から連続して3球のストライクのみによる三振を奪い、その3人の打者との対戦だけでイニングの投球を完了した: immaculate inning, イマキュレートイニング投手の一覧である。同じイニングで先んじて走者を許しているケースは含めない[1]

この記録はメジャーリーグベースボール (MLB) においても希少とされる(2023年シーズン途中時点で104人・114回)が、日本プロ野球ではさらに少なく、2024年7月12日時点で20人(22回)で、完全試合の達成者(16人)とほぼ同じ水準である。2度達成した選手は梶本隆夫リバン・モイネロの2人のみで[2]、同じシーズンに複数回記録されたのは、2014年が初めてだった。

日本のプロ野球ではカウント0ボール2ストライクからストライクを投じることが忌避された時期があり、1980年代にセントラル・リーグで3年連続最多奪三振を記録した江川卓読売ジャイアンツ)は、現役時代に0-2のカウントからヒットを打たれると罰金を科されたため、捕手からの懇願でやむなくボール球を投げていたと引退後に証言している[3]。江川も含め、1980年代には達成者は一人もいない。

2018年5月16日、福岡ソフトバンクホークスのリバン・モイネロが記録を達成[4]したことで、2023年現在存在するチームの中で達成者が出ていないのは埼玉西武ライオンズだけとなった。

宇佐美徹也は1993年の著書『プロ野球記録大鑑<昭和11年 - 平成4年>』のこの記録を取り上げた箇所で、「ほとんどが下位打線相手に作られたもので、クリーンアップを相手にしたのが一つもないのが内容的にもの足りない」と記していた[5][6]。それから24年後の2017年に、東北楽天ゴールデンイーグルス松井裕樹が3-5番の3人から奪う記録を初めて達成している[7]

2024年3月7日に京セラドーム大阪で行われた侍ジャパンシリーズの欧州代表戦では、6回に5番手で登板した隅田知一郎が7、8、9番打者から三者連続三球三振を達成している[8][9]

一覧

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凡例
投手 (X) 投手の氏名と記録回数
日付 試合が行われた日付
チーム 所属球団
対戦チーム 打ち取られた選手の所属球団
イニング 記録したイニング
打者 (X) 打ち取られた選手
Box 試合のボックススコア
dagger 日本野球殿堂選出
double-dagger 現役選手
9球で三者三振に打ち取る対戦のみでイニングを終えた日本プロ野球投手
投手 日付 チーム 対戦チーム イニング 打者 Box
梶本隆夫dagger 1954年7月10日 阪急ブレーブス 近鉄パールス 6 山本静雄多田文久三山下登 n/a
金田正一dagger 1955年6月22日 国鉄スワローズ 中日ドラゴンズ 2 河合保彦石川克彦原田徳光 n/a
佐藤良一 1956年7月29日 近鉄パールス 毎日オリオンズ 2 橋本力須藤豊池田啓一 n/a
梶本隆夫dagger (2) 1957年10月18日 阪急ブレーブス 南海ホークス 3 寺田陽介大沢昌芳野母得見 n/a
三平晴樹 1959年7月26日 大毎オリオンズ 東映フライヤーズ 5 水野貞夫山本義司塚本悦郎 n/a
石川緑 1962年5月3日 阪神タイガース 中日ドラゴンズ 3 法元英明河野旭輝江藤愼一 n/a
渡辺秀武 1971年8月4日 読売ジャイアンツ 大洋ホエールズ 8 伊藤勲米田慶三郎坂井勝二 n/a
野村収 1976年9月15日 日本ハムファイターズ 南海ホークス 8 片平晋作ドン・ビュフォード柏原純一 n/a
池谷公二郎 1978年9月12日 広島東洋カープ 中日ドラゴンズ 9 小松健二田野倉利男石井昭男 n/a
平松政次dagger 1979年6月16日 横浜大洋ホエールズ 中日ドラゴンズ 9 ウェイン・ギャレット、田野倉利男、伊藤泰憲 n/a
佐々木主浩dagger 1991年8月28日 横浜大洋ホエールズ 広島東洋カープ 9 達川光男原伸樹音重鎮 n/a
宮本和知 1994年8月17日 読売ジャイアンツ 中日ドラゴンズ 3 鳥越裕介佐藤秀樹立浪和義 n/a
河原隆一 2001年5月1日 横浜ベイスターズ ヤクルトスワローズ 5 岩村明憲土橋勝征藤井秀悟
桟原将司 2005年9月6日 阪神タイガース 中日ドラゴンズ 7 中田賢一荒木雅博井端弘和 [10]
ブライアン・ウルフ 2011年5月24日 北海道日本ハムファイターズ 横浜ベイスターズ 2 ブレット・ハーパー吉村裕基渡辺直人 [11]
岩田慎司 2014年5月18日 中日ドラゴンズ 東京ヤクルトスワローズ 8 松岡健一山田哲人比屋根渉 [12]
武藤祐太 2014年9月10日 中日ドラゴンズ 広島東洋カープ 6 田中広輔石原慶幸鈴木誠也 [13]
松井裕樹double-dagger 2017年4月25日 東北楽天ゴールデンイーグルス 千葉ロッテマリーンズ 9 細谷圭マット・ダフィー鈴木大地 [14]
リバン・モイネロdouble-dagger 2018年5月16日 福岡ソフトバンクホークス 東北楽天ゴールデンイーグルス 8 カルロス・ペゲーロ今江年晶オコエ瑠偉 [15]
リバン・モイネロdouble-dagger (2) 2023年6月6日 福岡ソフトバンクホークス 横浜DeNAベイスターズ 9 大和佐野恵太関根大気 [16]
森浦大輔double-dagger 2024年6月1日 広島東洋カープ 福岡ソフトバンクホークス 7 柳町達佐藤直樹今宮健太 [17]
森下暢仁double-dagger 2024年7月2日 広島東洋カープ 阪神タイガース 5 梅野隆太郎小幡竜平才木浩人 [18]

脚注

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  1. ^ 一例として、藤川球児(阪神タイガース)が2009年5月27日の対埼玉西武ライオンズ戦の9回に3人から連続して三球三振を奪ったものの、その前に被安打等による走者を2人許していた(参考:“藤川球児の「3者連続3球三振」 狩野恵輔氏がバッテリー組んだ当時振り返る”. デイリースポーツ. (2020年12月13日). https://www.daily.co.jp/tigers/2020/12/13/0013934233.shtml 2022年9月3日閲覧。 )。
  2. ^ “ソフトB・モイネロ 自身2度目の大記録達成 3球三振×3、サヨナラ勝利呼ぶ完璧投球”. スポーツニッポン. (2023年6月6日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/06/06/kiji/20230606s00001173554000c.html 2023年6月6日閲覧。 
  3. ^ 江川卓・掛布雅之『巨人 - 阪神論』角川書店、2010年、p.101
  4. ^ “ソフトバンクのモイネロが3者連続3球三振の快投 パ・リーグでは7人目”. デイリースポーツ. (2018年5月16日). https://www.daily.co.jp/baseball/2018/05/16/0011262359.shtml 2018年5月16日閲覧。 
  5. ^ 宇佐美、1993年、p.669
  6. ^ この書籍に収録された記録の中で、打順3-5番を含んでいたのは、佐藤良一(1956年、5-7番)、石川緑(1962年、2-4番)、野村収(1976年、5-7番)の3例あり、石川は2人含んでいた。
  7. ^ “松井裕、3連続3球三振9球中7球空振り 最多記録更新”. スポーツニッポン. (2017年4月14日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/04/26/kiji/20170426s00001173086000c.html 2018年1月21日閲覧。 
  8. ^ 【侍ジャパン】西武・隅田知一郎が圧巻の3者連続3球三振 「完全リレー」つなぐ」『西スポWEB OTTO!』2024年3月7日。2024年10月8日閲覧
  9. ^ 【侍ジャパン】隅田が3者連続3球三振の「イマキュレートイニング」を達成! 決め球は全てチェンジアップ」『スポニチ Sponichi Annex』2024年3月7日。2024年10月8日閲覧
  10. ^ 2005年9月6日【公式戦】試合結果(阪神vs中日) - 日本野球機構
  11. ^ 2011年5月24日【公式戦】試合結果(横浜vs北海道日本ハム)- 日本野球機構
  12. ^ 2014年5月18日【公式戦】試合結果(中日vs東京ヤクルト) - 日本野球機構
  13. ^ 2014年9月10日【公式戦】試合結果(広島東洋vs中日) - 日本野球機構
  14. ^ 2017年4月25日【公式戦】試合結果(東北楽天vs千葉ロッテ) - 日本野球機構
  15. ^ 2018年5月16日【公式戦】試合結果(福岡ソフトバンクvs東北楽天) - 日本野球機構
  16. ^ 2023年6月6日 【公式戦】試合結果(福岡ソフトバンクvs横浜DeNA) - 日本野球機構
  17. ^ 2024年6月1日 【公式戦】試合経過(福岡ソフトバンクvs広島東洋) - 日本野球機構
  18. ^ 2024年7月2日 【公式戦】試合経過(広島東洋 vs 阪神) - 日本野球機構

出典

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関連項目

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