乳製品
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乳製品(にゅうせいひん)とは、動物の乳、特に牛乳を加工して作られる製品の総称。乳製品を製造することを製酪または製乳という。
日本の法律に基づく乳および乳製品
[編集]食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」では次のように分類される。
- (省令上の)乳
- 生乳 - 牛から絞った状態の生の乳。
- 牛乳 - 生乳100%、成分無調整で殺菌したもの。
- 特別牛乳 - 限定された牧場および処理施設で作られる牛乳。
- 生山羊乳 - ヤギから絞った状態の生の乳。
- 殺菌山羊乳 - ヤギの乳100%。
- 生めん羊乳 - ヒツジから絞った状態の生の乳。
- 生水牛乳 - スイギュウから絞った状態の生の乳。
- 成分調整牛乳 - 生乳100%、成分調整して殺菌したもの。
- 低脂肪牛乳 - 生乳100%、乳脂肪分0.5 - 1.5%に成分調整して殺菌したもの。
- 無脂肪牛乳 - 生乳100%、乳脂肪分0.5%以下に成分調整して殺菌したもの。
- 加工乳 - 生乳、牛乳のほかに脱脂粉乳やバターなどの乳製品を原料として製造。
- (省令上の)乳製品
- クリーム
- バター
- バターオイル - バターまたはクリームからほとんどすべての乳脂肪以外の成分を除去したもの(乳等省令第2条第15項)。
- チーズ
- 濃縮ホエイ
- アイスクリーム類
- アイスクリーム
- アイスミルク
- ラクトアイス
- 濃縮乳
- 脱脂濃縮乳
- 無糖れん乳 - 「エバーミルク」など。
- 無糖脱脂れん乳
- 加糖れん乳 - 「コンデンスミルク」など。
- 加糖脱脂れん乳
- 全粉乳
- 脱脂粉乳 - 「スキムミルク」など。
- クリームパウダー
- ホエイパウダー
- たんぱく質濃縮ホエイパウダー
- バターミルクパウダー
- 加糖粉乳
- 調整粉乳 - 育児用粉ミルクなど。
- 調製液状乳 - 育児用液体ミルク
- 発酵乳 - ヨーグルトなど。
- 乳酸菌飲料 - 「ヤクルト」など。
- 乳飲料 - コーヒー牛乳、カルシウムなどの栄養強化乳など。
主な乳製品
[編集]- ヨーグルト - 乳及び乳酸菌を原料とし、ブルガリア株とサーモフィルス株が大量に存在し、その発酵作用で作られた物 。
- クリーム - 乳の乳脂肪分を取り出したもの。均質化していない乳を(煮沸消毒後)放置すると上部に溜まるのがクリーム。
- チーズ - 乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分をいう。以下に同じ。)クリームまたはこれらを混合したもののほとんど全て又は一部たんぱく質を酵素その他の凝固剤により凝固させた凝乳から乳清の一部を除去したもの又はこれらを熟成したもの。また、その後、粉砕し、加熱溶融し、乳化したもの。
- バター - クリームから油分を分離させたもの。単にクリームを撹拌することで作られる。保存のために塩分が追加される。
- バターミルク - バター製造時に出来る液体のことである。欧米ではスーパーマーケットで買えるほどメジャーな飲料であるが、日本では省令上乳製品にならないため、主にバターミルクパウダーに加工される。
- ギー - バターをさらに精製したもの。低温で加熱することによって一部の成分が固まって沈澱するため、それを取り除いて作られる。普通の食糧油と同じように、常温で長期の保存ができる。精製バターとも呼ばれる。バターと違い、塩は加えられていない。
- 酒 - 発酵(ヨーグルト同様の乳酸発酵である)させたのみの醸造酒はアルコール度が低く、ヨーグルトのように用いられる。蒸留酒は、通常の酒のように飲まれる。モンゴルの馬乳酒(アイラグ。呼び名は地域によって異なる)等がある。中国には「奶醸啤酒」(ナイニャンピージウ)という発泡酒がある。日本では、米とともに発酵させた牛乳焼酎が少量製造されている。
- 乳脂 - 主に工業原料としての乳脂肪。石鹸の原料などに使われることがある。
- カゼイン - 主に工業原料としての乳蛋白成分。栄養剤、安定剤[要曖昧さ回避]、印章の原料などに使われる。
加工(製造)技術による類型分類
[編集]主要な加工技術で類型分類すると下述の4つに類型分類される[1][2]、北緯約40°、年間平均気温約15℃を境に、北方域と南方域とでは別々に乳加工体系が発達した[3][4][5][6]。
- 発酵系列群 - 生乳を乳酸発酵し、酸乳にしてから加工。
- クリーム分離系群 - 生乳からクリーム分を分離して加工。
- 凝固剤使用系列群 - 生乳に凝固剤を添加し、チーズを得てから加工。
- 加熱濃縮系列群 - 生乳を加熱・濃縮して加工。
健康との関連
[編集]→詳細は「牛乳」を参照
脚注
[編集]- ^ 中尾佐助:『料理の起源』,日本放送出版協会,東京(1972)
- ^ 平田昌弘、ヨトヴァ・マリア、内田健治 ほか、「【原著論文】ブルガリア南西部の乳加工体系」『ミルクサイエンス』 2010年 59巻 3号 p.237-253, doi:10.11465/milk.59.237
- ^ 平田昌弘、「アジアの伝統的乳製品とその乳加工体系を探る」『日本栄養・食糧学会誌』 Vol.55 (2002) No.5 p.291-293, doi:10.4327/jsnfs.55.291
- ^ 平田昌弘「ユーラシア大陸の乳加工技術と乳製品 : 第6回 南アジア-インドの都市部・農村部の事例1 : 乳のみの乳製品」『New Food Industry』第53巻第6号、食品資材研究会、2011年、73-81頁、CRID 1050845762514007424、ISSN 05470277。
- ^ 平田昌弘「インド西部における乳製品とその加工技術(前編)」『食の科学』第310巻、光琳、2003年、24-32頁、CRID 1050001337582640640、ISSN 02871734。
- ^ 平田昌弘「インド西部における乳製品とその加工技術(後編)」『食の科学』第312号、光琳、2004年、52-60頁、CRID 1573105977601280512、ISSN 0287-1734。