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二酸化ルテニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
二酸化ルテニウム
識別情報
CAS登録番号 12036-10-1 チェック
PubChem 82848
EC番号 234-840-6
特性
化学式 RuO2
モル質量 133.0688 g/mol
外観 青黒色の固体
密度 6.97 g/cm3
沸点

1200 °C, 1473 K, 2192 °F (sublimates)

への溶解度 不溶性
磁化率 +162.0·10−6 cm3/mol
構造
結晶構造 ルチル(正方晶)、tP6
空間群 P42/mnm, No. 136
配位構造 八面体(RuIV); 平面三角形(O2−)
危険性
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陰イオン 二硫化ルテニウム
その他の陽イオン 酸化オスミウム(IV)
関連するルテニウム 酸化物 四酸化ルテニウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

二酸化ルテニウム(にさんかルテニウム、Ruthenium dioxide)は、組成式RuO2で表される無機化合物である。酸化ルテニウム(IV)(Ruthenium(IV) oxide)とも。黒い固体であり、ルテニウムの最も一般的な酸化物である。塩素、酸化塩素を製造するための電極触媒として広く使用されており、O2触媒は酸化ルテニウム(IV)である[1]。多くの二酸化物と同様にルチル構造をとる[2][3]

調製

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通常、三塩化ルテニウムの酸化により作られる。RuO2のほぼ化学量論的な単結晶は輸送剤としてO2を用いる化学蒸気輸送法により得ることができる[4]

RuO2 + O2 is in equilibrium with RuO4

RuO2の膜は揮発性のルテニウム化合物から化学気相成長(CVD)により作ることができる[5]。RuO2は三塩化ルテニウムの溶液からの電気めっきによっても作ることができる[6]

純粋な二酸化ルテニウム水和物の静電的に安定したヒドロゾルは、水溶液中の四酸化ルテニウムの自己触媒還元を使うことにより作られた。結果として生じる粒子の集合は直径が40nm - 160nmの範囲で実質的に単分散で均一な球体で構成するように制御されうる[7]

使用

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塩化水素の酸化により塩素を製造する住友-ディーコン法の触媒の主成分として使われている[8][9]

多くの状況で触媒として使うことができ、注目すべき反応としてフィッシャー・トロプシュ法ハーバー・ボッシュ法燃料電池のさまざまな現象がある。

潜在的・ニッチな用途

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塩素の電解製造用のチタン陽極のコーティング、および抵抗器集積回路の作成に広く使われている[10][11]。酸化ルテニウム抵抗器は0.02 < T < 4 Kの温度範囲で感度の高い温度計として使うことができる。電荷移動能力が非常に高いため、スーパーキャパシタの活性物質として使用できる。酸化ルテニウムは水溶液で用いた場合に電荷を保持するという優れた能力がある[12]。酸化ルテニウム(IV)の平均容量はH2SO4溶液中で650 F/gになり、200 °C未満の温度でアニールされる[13]。容量特性を最適化する試みにおいて、以前は酸化ルテニウムの水和やその結晶化度や粒子サイズに注目していた。

脚注

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  1. ^ Mills, A. "Heterogeneous redox catalysts for oxygen and chlorine evolution" Chem. Sot. Rev.,1989, 18, 285-316. doi:10.1039/CS9891800285
  2. ^ Wyckoff, R.W.G.. Crystal Structures, Vol. 1. Interscience, John Wiley & Sons: 1963.
  3. ^ Wells, A. F. (1975), Structural Inorganic Chemistry (4th ed.), Oxford: Clarendon Press 
  4. ^ Harald Schäfer, Gerd Schneidereit, Wilfried Gerhardt "Zur Chemie der Platinmetalle. RuO2 Chemischer Transport, Eigenschaften, thermischer Zerfall" Z. anorg. allg. Chem. 1963, 319, 327-336. doi:10.1002/zaac.19633190514
  5. ^ Pizzini, S.; Buzzancae, G.; Mat. Res. Bull., 1972, 7, 449-462.
  6. ^ Lee, S. (2003). “Electrochromism of amorphous ruthenium oxide thin films”. Solid State Ionics 165 (1–4): 217–221. doi:10.1016/j.ssi.2003.08.035. https://zenodo.org/record/1259365. 
  7. ^ McMurray, H. N. (1993). “Uniform colloids of ruthenium dioxide hydrate evolved by the surface-catalyzed reduction of ruthenium tetroxide”. The Journal of Physical Chemistry 97 (30): 8039–8045. doi:10.1021/j100132a038. 
  8. ^ Helmut Vogt, Jan Balej, John E. Bennett, Peter Wintzer, Saeed Akbar Sheikh, Patrizio Gallone "Chlorine Oxides and Chlorine Oxygen Acids" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2002, Wiley-VCH. doi:10.1002/14356007.a06_483
  9. ^ Seki, K; Catal. Surv. Asia, 2010, 14, 168 doi:10.1007/s10563-010-9091-7.
  10. ^ De Nora, O.; Chem. Eng. Techn., 1970, 42, 222.
  11. ^ Iles, G.S.; Platinum Met. Rev., 1967,11,126.
  12. ^ Matthey, Johnson. Platinum Metals Review. 2002, 46, 3, 105
  13. ^ Kim,Il-Hwan; Kim, Kwang-Bum; Electrochem. Solid-State Lett., 2001, 4, 5,A62-A64

外部リンク

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