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利用者:Daraku K./sandbox0

株式会社亀の子束子西尾商店
Kamenoko Tawashi Nishio Shoten Co.,Ltd.
種類 株式会社
略称 亀の子束子
本社所在地 日本の旗 日本
114-0023
 東京都北区滝野川6丁目14-8
設立 1942年2月3日
(有限会社西尾製作所)
業種 その他製品
法人番号 2011501001046
事業内容 生活用品の製造販売
代表者 代表取締役社長 西尾智浩
資本金 3,000万円
関係する人物 西尾正左衛門(創業者)
外部リンク https://www.kamenoko-tawashi.co.jp/
特記事項:創業は1907年(西尾正左衛門商店)。
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株式会社亀の子束子西尾商店(かめのこたわしにしおしょうてん)は、東京都北区に本社を置き、たわしなどを製造販売する日本の企業である。

本項では主力商品である亀の子束子(かめのこたわし)についても説明する。

沿革[編集]

所在地[編集]

本社・本社工場・直営店(亀の子束子 本店)
東京都北区滝野川6丁目14-8
新潟工場
新潟県長岡市寺泊木島235−1
和歌山工場
和歌山県紀の川市貴志川町丸栖718
直営店(亀の子束子 谷中店)
東京都台東区谷中2丁目5-14

亀の子束子[編集]

亀の子束子

亀の子束子は、1907年(明治40年)に西尾正左衛門により発明された、一定の長さに切ったスリランカ産の椰子の実の繊維(パーム)を針金に挟み、捩じって棒状にしたものを折り曲げて楕円型に成型したたわしである。

松下幸之助の「二股ソケット」、石橋正二郎の「ゴム足袋」と並び「日本三大発明」と称される[2]

誕生までの経緯[編集]

明治時代中期、西尾正左衛門は棕櫚を針金で編んだ靴拭きマットを発案したが、既に同様の商品が英国で特許を取得していたために特許を取れず、商品自体も最初の頃は売れたものの、棕櫚の毛先がすり減って短期間で使い物にならなくなってしまうことなどから次第に売れなくなり、返品の山を築いてしまった。

そんなある日、正左衛門の妻が売れ残りの靴拭きマットを切り取り、棕櫚の巻いてある棒を折り曲げて障子の桟を掃除しているのを見て、たわしを作ることを思いついた。 当時のたわしは藁や麻縄を編んだものが主流であり、棕櫚を使ったものはこれまで考えられてはいなかった。妻の手を参考に使いやすい形状を考え、材料も棕櫚からスリランカ産のパームに変えるなど試行錯誤の末、たわしを完成させる。

たわしは完成したものの、商品名について考えあぐねていた正左衛門はある日、息子が飼っている亀が桶の中で泳いでいるのを見て、「亀の形がたわしに似ている」ことや「亀は水と縁がある動物」「亀は長寿であり縁起がいい」とのことから、「亀の子束子」の商品名を思いついた。「束子」の漢字は当時の漢学者と相談して付けられた当て字である[2][3]

特許取得[編集]

西尾は1908年に実用新案登録を行った。当時の実用新案権の存続期間は6年であり、その期限が切れる直前に特許申請を行い、1915年(大正4年)7月2日に特許第27983号「束子」を取得した[4]。後年、7月2日は「たわしの日」として日本記念日協会に登録されている。 特許を取得したものの、類似品が多数出回ったことから、西尾は新聞や婦人雑誌に積極的に広告を掲載したり、たわしを紙包装するなどして類似品との差別化を行った[5]

商標について[編集]

亀の子束子は1908年に最初の商標登録を行っており、2019年5月現在で有効な商標登録の中で最古のものは1912年6月13日登録の第53145号である[6]。その一方で、広辞苑[7]大辞泉[8]大辞林[8]世界大百科事典[8][9]にも掲載されたり、芥川龍之介の短編『妖婆』にも「亀の子束藁(たはし)」の一文が使われる[10]など、「亀の子束子」が実質的にパームや棕櫚で作られたたわしの普通名称と化しているのが実情となっている。

原材料および製法について[編集]

西尾が原材料にスリランカ産のパームを選んだ理由については、繁殖力が強く安定供給が見込める点が挙げられている[4][11]。ただし、戦時中はパームの輸入が制限されたため、棕櫚を使用してたわしが作られていた[11]。一方、棕櫚で作られたたわしについてはパームとは対照的に柔らかく、傷を付けにくいという特徴もあり、亀の子束子では棕櫚を使用したたわしを「極〆」(きわめ)の商品名で販売している。

亀の子束子の製法はそのほとんどが熟練の職人による手作業となっており、東京の本社工場で一つ一つ検品が行われ、合格したものだけが商品として出荷される[2][11][12]

なお、正しい読みは「かめのこたわし」であり、「かめのこだわし」ではない[2]。ただし、広辞苑に掲載されている「亀の子束子」の読みは「かめのこだわし」となっている[7]

その他の主な商品[編集]

たわし[編集]

白いたわし
2014年発売開始。パームまたはサイザルアサを過酸化水素水で脱色し、ドーナツ状に成型したたわし。また姉妹品として脱色していない棕櫚を使用して同じ形に成型した「棕櫚いたわし」もある。
健康たわし
1984年発売開始。体を擦るための浴用たわし。毛の硬い順に「ニシオくん」、「ナリタくん」、「タムラさん」、「サトオさん」というネーミングが付けられている。

スポンジ[編集]

亀の子スポンジ
2015年発売開始。パッケージデザインはグラフィックデザイナーの菊地敦己が担当した。菊地は当商品のパッケージデザインで「日本パッケージデザイン大賞2017」の大賞を受賞した[13]。シンプルな角形のポリウレタン製スポンジで、銀系無機抗菌剤を使用し抗菌性能も持たせている。
亀の子スポンジDo
2016年発売開始。亀の子スポンジの廉価版。抗菌剤は銅粉を使用している。

脚注[編集]

  1. ^ たわし[亀の子束子1号(小)]”. 公益財団法人日本デザイン振興会. 2019年5月19日閲覧。
  2. ^ a b c d 樋口直哉 (2014年5月7日). “日本3大発明の1つ「亀の子たわし」が100年間も愛され続ける理由”. DIAMOND ONLINE. 株式会社ダイヤモンド社. 2019年5月12日閲覧。
  3. ^ 亀の子束子誕生秘話”. 株式会社亀の子束子西尾商店. 2019年5月12日閲覧。
  4. ^ a b 重田暁彦『「雪見だいふく」はなぜ大ヒットしたのか 77の「特許」発想法』株式会社講談社(講談社α文庫)、2008年、152-154頁。ISBN 978-4-06-281173-6 
  5. ^ ニッポン・ロングセラー考 Vol.001 亀の子束子”. COMZINE. エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (2003年6月). 2019年5月19日閲覧。
  6. ^ 商標照会”. 特許情報プラットフォーム. 特許庁. 2019年5月14日閲覧。
  7. ^ a b 広辞苑』 第七版、株式会社岩波書店、2018年、614頁。 
  8. ^ a b c コトバンクによる検索結果”. 2019年5月14日閲覧。
  9. ^ 正確には「たわし」の中で、柳田国男の『方言覚書』の内容を引用する形で亀の子束子について言及している。
  10. ^ 『芥川龍之介全集』 第5巻、株式会社岩波書店、1996年、142頁。ISBN 978-4000919753 
  11. ^ a b c たわしの作り方”. 株式会社亀の子束子西尾商店. 2019年6月5日閲覧。
  12. ^ 玉置豊 (2010年2月9日). “元祖の亀の子束子は三倍もつらしい”. デイリーポータルZ. イッツ・コミュニケーションズ株式会社. 2019年6月5日閲覧。
  13. ^ 日本パッケージデザイン大賞 2017 受賞作品”. 公益社団法人日本パッケージデザイン協会. 2019年5月14日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]