利用者:Omotecho/sandbox/ズッケーリ観測基地
ズッケーリ観測基地(ズッケーリかんそくきち 伊: Zucchelli)はイタリアが運営する季節限定の観測基地である。南極大陸のテラ・ノヴァ湾(en)の北部山麓(en)に面するガーラッシュ入江(en)北東部に位置する。名前の由来になった人物はマリオ・ズッケーリといい、イタリア国家南極調査事業( PNRA=伊: Programma Nazionale di Ricerche in Antartide)の一環として16年にわたりENEA(英: ENEA=伊: ENEA-Unità Tecnica Antartitide)に携わった功績にちなんで献名された[1]。
この観測基地が果たす主な機能は次のとおり。
概要
[編集]この南極観測施設はテラ・ノヴァ湾に面する北部山麓の標高15m地点に置かれ、季節を限定して運用する(10月中旬–3月中旬まで)[2]。面積は2010年に拡張した結果、およそ7,500m2、南半球の夏季にはフランスと共同運行でコンコルディア基地への乗り継ぎ便を運行している[2]。
本館
[編集]1985年に第1回季節探検で設置された本館は拡張を続け、82個の海上コンテナを組み合わせてある。内訳は観測隊員などの宿泊ならびに日常生活エリアが42個に分布し、残りの40個は次のサポート活動に用いる。
- オペレーションルーム:建物の最上部に位置し、管制塔のように基地を見わたす。
- 通信室:オペレーションルームの隣。HFラジオ(High_frequency)と衛星波(Satellite_radio)送受信を優先した配置。
- 計算機室:情報学のサポートとデータ送信を提供
- 事務部門
- 実験室(化学、生物学、地質学、電子工学)
- カフェテリア
- 厨房
- 緊急避難室
- 診療所
- 洗濯室
技術部門、研究施設
[編集]- 観察用水槽
- 工房
- 木工室
- 電気工作室兼機械工房
- シュレッダー、圧搾装置
研究活動
[編集]50音順
- 気候変動、温暖化の監視(environmental monitoring)
- 地震学
- 生物学
- 測地学
- 地質学
- 陸上の地質学
イカロ測候所
[編集]イカロ測候所(英: Icaro Camp南緯74度42分43秒 東経164度07分00秒 / 南緯74.711866度 東経164.116650度)はズッケーリ観測基地から南におよそ2kmに位置する施設である。同所では青色のコンテナ2基を支線で結び、気象観測機器を設置して動力はソーラーパネルと風力発電機でまかなう。長期の滞在には不向きな構造ではあるものの、緊急時には十数人を収容できる[3]。
交通手段
[編集]ボウルダークレー滑走路(#1) Boulder Clay Runway (建設中) | |||||||||||
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IATA: none – ICAO: AQBC | |||||||||||
概要 | |||||||||||
空港種別 | 私設 | ||||||||||
所在地 | テラノヴァ湾 ズッケーリ観測基地 | ||||||||||
標高 | 672 ft / 205 m | ||||||||||
座標 | 南緯74度37分21秒 東経163度54分58秒 / 南緯74.622563度 東経163.916242度 | ||||||||||
滑走路 | |||||||||||
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エニグマ湖水上機発着場(#2) Enigma Lake Skiway | |||||||||||
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IATA: none – ICAO: AT09 | |||||||||||
概要 | |||||||||||
空港種別 | 私設 | ||||||||||
所在地 | テラノヴァ湾 ズッケーリ観測基地 | ||||||||||
標高 | 443 ft / 135 m | ||||||||||
座標 | 南緯74度43分08秒 東経164度01分46秒 / 南緯74.718921度 東経164.029558度 | ||||||||||
滑走路 | |||||||||||
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ズッケーリ氷上滑走路(#3) Zucchelli Ice Runway | |||||||||||||||
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IATA: ____ – ICAO: AT13 | |||||||||||||||
概要 | |||||||||||||||
空港種別 | 私設 | ||||||||||||||
所在地 | テラノヴァ湾 ガーラッシュ入江 | ||||||||||||||
座標 | 南緯74度41分39秒 東経164度06分50秒 / 南緯74.694206度 東経164.113869度 | ||||||||||||||
滑走路 | |||||||||||||||
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ボウルダークレー滑走路
[編集]ボウルダークレイ滑走路(Boulder Clay Runway南緯74度37分21秒 東経163度54分58秒 / 南緯74.622563度 東経163.916242度 )はノーザンフットヒルズにあり、ズッケーリ観測基地の南約6km地点に位置する。2016-2017年シーズンに始まった建設は2021-22年に完了する予定。この滑走路はガーラッシュ入江(Gerlache Inlet)の氷上滑走路と比較すると、気候変動による氷の融解を受けにくく、イタリア観測隊をバックアップする。ボルダークレイモレーン上に開かれ、環境への影響をできる限り抑制するよう設計された。路面は砂利舗装で全長2,200メートル (7,200 ft)、幅60メートル (200 ft)、Safair(南アフリカ)あるいはイタリア空軍の運行するC-130J型[7]、さらに大きなC-17グローブマスター、エアバスA319-115LRおよびボーイング757が利用できる。
飛行場の建設計画に示された設備と施設は次のとおり[8]。
エニグマ湖水上機発着場
[編集]エニグマ湖水上機発着場(スキーウェイ)はズッケーリ観測基地の南およそ3km3キロメートル (1.9 mi)、ノーザンフットヒル山の標高135メートル (443 ft) 地点にある氷河湖を利用する。全長725 m、デ・ハビランドDHC-6とバスラーBT-67 が就航する。基地から整備係が除雪に訪れる。同所に自動測候設備AWS(通称リタ)があり、南極の気象観測所が管理するネットワークに組み込まれている[9]。
ズッケーリ氷上滑走路
[編集]ズッケーリ氷上滑走路(Zucchelli Ice Runway)はガーラッシュ入江に浮かび、観測シーズンの始まる毎年10月中旬に基地の輸送担当者が整備を行って運用を始める。海氷の上に開いた滑走路はイタリア空軍あるいはSafairが利用し、氷上用スキーを装備したC-130型機の運用に適するよう設計されたものの、最近は海氷の崩壊により以前よりも早く閉鎖し運用期間が縮まっている[10]。2本の滑走路のうち1本は03/21、全長3,090メートル (10,140 ft)、最大幅76メートル (249 ft) でC-130型機運行にあてる。2本目は06/24でツインオッターやバスラーBT-67型機用、全長1,640メートル (5,380 ft)、最大幅50メートル (160 ft) である。
気候
[編集]南極気象気候観測所ネットワーク
[編集]南極気象気候観測所(英: Antarctic Meteo-Climatological Weather Observatory1985年設立)は、大気力学の研究を通じた地球温暖化の理解に貢献しようとしている。このプログラムはイタリアの国立南極研究事業(PNRA)が後援する2つのプロジェクトで構成され、それぞれヴィクトリアランドを主題とするもの、ENEA職員が実施するコンコルディア基地に関するものである。対象地域全体に無人測候所ネットワークを広げ、計装の組み立てや保守、データ収集に責任を負う。通年で稼働する無人測候所16地点も同ネットワークの構成要素である。
- アレッサンドラ (キング岬 Alessandra)、 南緯71度35分09秒 東経166度00分40秒 / 南緯71.585833度 東経166.011111度
- アレリス (ロス海 Aleris)、 南緯76度42分54秒 東経162度58分12秒 / 南緯76.715000度 東経162.970000度
- コンコルディア観測基地
- エネーデ (テラノヴァ湾 Eneide) 南緯74度42分00秒 東経164度07分00秒 / 南緯74.700000度 東経164.116667度
- ジウーリア (ミッドポイント滑走路 Giulia)、南緯75度32分28秒 東経145度49分18秒 / 南緯75.540982度 東経145.821707度
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
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平均最高気温 °C (°F) | 1 (34) |
−5 (23) |
−12 (10) |
−16 (3) |
−17 (1) |
−17 (1) |
−20 (−4) |
−17 (1) |
−16 (3) |
−13 (9) |
−5 (23) |
1 (34) |
−11.3 (11.5) |
平均最低気温 °C (°F) | −2 (28) |
−8 (18) |
−16 (3) |
−21 (−6) |
−22 (−8) |
−23 (−9) |
−25 (−13) |
−23 (−9) |
−22 (−8) |
−18 (0) |
−9 (16) |
−3 (27) |
−16 (3.3) |
降水量 mm (inch) | 42.1 (1.657) |
23.5 (0.925) |
0.7 (0.028) |
0.8 (0.031) |
3.8 (0.15) |
8.4 (0.331) |
13 (0.51) |
4.7 (0.185) |
1.6 (0.063) |
3 (0.12) |
17.4 (0.685) |
25.7 (1.012) |
144.7 (5.697) |
出典:[12] |
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]
- ^ “Mario Zucchelli” (イタリア語). Istituto Scienze Polari. Consiglio Nazionale Ricerche. 25 August 2020閲覧。
- ^ a b “Stazione Mario Zucchelli” (イタリア語). ItaliaAntartide. 国立南極研究プログラム(PNRA=Programma Nazionale di Ricerche in Antartide). 2021年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月5日閲覧。
- ^ “Base Giacomo Bove” (イタリア語). giacomobovestation.blogspot.com. October 10, 2018閲覧。
- ^ “ズッケーリ観測基地近辺における砂利舗装の滑走路 建設ならびに運用案” (pdf) (英語). ATCM XXXVIII. 19 August 2020閲覧。
- ^ “Missione Antartide”. Ministero della Difesa. Aeronautica Militare [イタリア空軍]. 25 August 2020閲覧。
- ^ 引用エラー: 無効な
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」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません - ^ “AWS Rita”. ClimAntartide. 28 August 2020閲覧。
- ^ “XXXV Spedizione”. ItaliAntartide. UTA PNRA [イタリア南極研究事業]. 9 September 2020閲覧。
- ^ “Antarctic Meteo Climatological Observatory” (英語). ClimAntartide. 27 August 2020閲覧。(南極気象学測候所)
- ^ “Climate & Weather Averages in Mario Zucchelli Station, Antarctica” (英語). timeanddate.com. Time and Date. 27 August 2020閲覧。
関連項目
[編集]- 南極観測基地の一覧
- 南極測候所の一覧(英語版)
- 南極の空港一覧(英語版)
- コンコルディア基地(英語版) フランスとイタリアの共同運営
- チャンボゴ南極観測基地(韓国)
外部リンク
[編集]- マリオ・ズッケリ観測基地 PDF形式
- マリオ・ズッケーリ観測基地 (アーカイブ)
- ItaliaAntartide イタリア極地研究事業
en:template:Antarctic research stations en:template:Antarctic fields campen:template:Airports in Antarctica
[[Category:南極観測基地]] [[Category:ウィキデータにある座標]] [[Category:イタリア]] [[Category:1985年に成立した施設]]