利用者:Quark Logo/sandbox菊池義武・一部
| 時代 | 戦国時代 |
|---|---|
| 生誕 | 永正2年（1505年） |
| 死没 | 天文23年11月20日（1554年12月14日）[1] |
| 改名 | 菊法師丸（幼名）、大友重治→重宗→菊池義宗→義武 |
| 別名 |
重治、重宗、義宗、義武、義綱、義国、武宗[1] 通称：十郎、法号：道誾[2] |
| 戒名 | 金圭宗閑居士[1] |
| 墓所 | 大分県竹田市法泉の宝泉庵 |
| 官位 | 従四位下、左兵衛佐[1] |
| 幕府 | 室町幕府 |
| 氏族 | 大友氏→菊池氏 |
| 父母 | 父：大友義長、養父：菊池武包 |
| 兄弟 | 大友義鑑、義武（重治） |
| 妻 | 正室：名和武顕の長女 |
| 子 |
高鑑、則直、辰若（女子） （一説では）大友親貞(菊池鎮成) |
菊池 義武（きくち よしたけ）は、肥後国の菊池氏の第26代にして最後[3]の当主。大友氏の出身で、大友重治とも言う。菊池氏一門の木野親則を曽祖父に持っており、菊池氏の血も引く人物でもある。
生涯[編集]
豊後国の戦国大名大友義長の次男として生まれた。大友氏の第20代当主となった大友義鑑は実兄。隣国である肥後の菊池氏では家督を巡って内紛を続けていた。大友義長は最初は当主である菊池政隆を支持する姿勢を見せていたが、裏で菊池氏の家督を狙う阿蘇氏出身の武経を支援、やがて公然と筑後国・肥後国に侵攻して政隆を滅ぼしてしまった。ところが、更にその裏では武経を追い落として菊法師丸（後の義武）を菊池氏の当主にして同氏を乗っ取る工作を進めており、永正7年（1510年）には相良氏に武経排除への協力を求めている[4]。
すでに肥後には大友氏の勢力が伸長して菊池氏の家臣団を侵食しており、永正8年（1511年）、阿蘇氏出身の当主武経は内部の権力闘争に嫌気が差し、矢部に出奔。永正10年（1513年）、弟の惟豊に謀反を起こして大宮司職を奪還しようとした。一方、大友義長は菊法師丸を菊池氏の後継者にするように菊池氏の重臣や傘下の国人に公然と働きかけ、菊法師丸に代わって所領の安堵を約束し始めた。だが、義長は永正15年（1518年）に病死してしまう[4]。
大友氏当主は義長の嫡男で菊法師丸の兄である大友義鑑が継いだが、義鑑も肥後に勢力を拡大するために肥後守護の菊池氏の乗っ取りを目論み、武経の跡をまずは詫摩氏（＝詫磨氏）出身の武包に継がせ、弟・重治の成長後に菊池氏の家督を継がせる密約を結んだ。
永正17年（1520年）に武包から家督を譲られて当主となった。重治は享禄4年3月9日に従四位下左兵衛佐に任じられ（『歴名土代』）、天文3年（1534年）までに義国を経て義武と名を改めた。この間、義武は兄・義鑑の方針に従って城氏・赤星氏・隈部氏と言った菊池氏庶流の重臣を老中（家老）から外して大友氏から連れてきた重臣と鹿子木氏や田島氏などの非菊池氏系の国人から老中を選んでいる[4]。
しかし義宗と改名した重治は、天文3年（1534年）に大内義隆や相良氏と同盟を結んで兄に反抗し、戦国大名として独立してしまう。兄と不仲だったのが原因なのか、それとも自身の野心のためか、滅び行く菊池氏再興を願った為か、明確な理由は不明であるが、義宗が大友氏当主に未練があり、筑後領有という領土的野心もあったことが原因だと思われる。一方、義鑑からすれば、肥後を自分のものとするための道具である筈なのにそれが自らの意思で動き出すことは容認できない事態であった。
しかし義鑑との争いに敗れ、肥前の高来に亡命し、結局姻戚の相良氏を頼って落ち延びた。義鑑はかつて大友氏から義武の老中に派遣されていたことのある山下長就をはじめ、吉岡長増や田北親員らを派遣して筑後から肥後に向けて進軍させた。だが、室町幕府の仲裁によって大友義鑑と大内義隆が和平を結ぶことになると、支援を失った義武の敗北は決定的になった[4]。義武は、肥前国の高来に亡命し、結局姻戚の相良氏を頼って落ち延びた[1]。天文9年（1540年）に相良氏や宇土氏ら肥後南部衆の支援を得て木辺で大友方の国人衆と戦い勝利するも、隈本攻めで敗北した[1]。一方、大友義鑑は肥後の直接統治を決意し、天文12年（1543年）には幕府に働きかけて肥後守護職を獲得した。
天文19年（1550年）に義鑑が二階崩れの変で横死すると、鹿子木氏や田島氏の支援を得て再び隈本城を奪還した[1]。さらに、二階崩れの変をきっかけに豊後国内は内乱に陥ると予測して相良氏・名和氏・三池氏・溝口氏ら肥後南部・筑後南部の国人衆と連合して肥後全土の制圧を目指した[1][4]。しかし甥の大友義鎮（後の宗麟）は直ちに国内の混乱を鎮圧すると、義武を一族から義絶する旨を表明して大軍を派遣、隈本城は落城して島原に落ち延びた[1][4]。義鎮は義武討伐に協力した阿蘇氏との関係を強化し、これまで排除の対象であった城氏・赤星氏・隈部氏を取り立てることで肥後支配の安定を確立させることになる[4]。
相良氏当主の相良晴広は、薩摩国の島津忠良に、義武と義鎮の和睦周旋を依頼するなど努めたものの講和は成らなかった。また、義武は天文23年（1554年）に剃髪して日向国か薩摩に亡命しようとするも果たせなかった[1]。同年11月、義鎮の和平を口実にした帰国の誘いに乗り豊後へ向かうが、その途上直入郡木原で義鎮の家臣立花道雪とその配下安東家忠、小野信幸の軍勢に包囲され、自害を余儀無くされた[1]。享年50[1]。義武の死により、肥後の名門菊池氏は名実共に滅亡した。
人物[編集]
義武は、兄に似ず権勢に驕り横暴な振る舞いが多かったとされる。菊池氏当主時代は、政治・軍事は家臣に任せきりで、暴戻にして酒を嗜み、国事を務めず、家政を顧みなかったなどと、多くの書籍に批判的に書かれている。その描写は先代の菊池武経のそれにかなり酷似するが、義武の場合は、重臣で曽祖父にあたる木野親則がしばしば諫言をしたので、疎ましくなった親則を殺したという話が残っている。
他方で、流浪して相良氏の庇護下にあった時代では、和歌や連歌、神社・仏閣等の文化的な行事に登場することが多く、教養人であったような記述が多くなる。
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 阿部猛 編『戦国人名事典コンパクト版』西村圭子、新人物往来社、1990年9月。ISBN 4-404-01752-9。
- 植田均「国立国会図書館デジタルコレクション 菊池義武の末路」『肥後の菊池氏』嵩山房、1918年。
- 熊本県菊池郡教育会 編『国立国会図書館デジタルコレクション 菊池郡誌』熊本県教育会菊池郡支会、1917年。
