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利用者:Rainbow Trout/動物ページ練習場所

ザトウクジラ

クジラ)は哺乳類クジラ目に属する水生動物の総称である。その形態からハクジラヒゲクジラに大別され、ハクジラの中でも比較的小型(成体の体長が4m前後以下)の種類をイルカと呼ぶことが多いが、この区別は分類上においては明確なものではない。

特徴

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ハクジラとヒゲクジラの特徴と各部位

身体的特徴

  1. 前肢は胸びれのような形に変化している。も存在しない。
  2. 後肢は退化し外見上は見当たらないが、腰骨が、孤立した骨として筋肉中に埋もれて存在する。
  3. 尾部は良く発達し、その先端に尾びれがあり、遊泳器の役をなしている。尾びれは魚類と違って横向き(水平)であり、クジラが体を上下にくねらせて推進力を生み出すのに適応したものである(魚類は、エイなどの例外を除き体を左右にくねらせる。
  4. 頸椎は陸生のものと同じように七個あるが、平たくなり、ある種類では癒合し数が少なく見える。この為、外見上首にあたる部分がくびれていないので魚の形に似ている。
  5. 鼓膜・三半規管等はあるが耳殻がなく、耳の穴もふさがっている。聴覚は骨伝導により行なっている。
  6. 体毛は口の周りに少し残っていて、犬・猫のひげに似た感覚毛であり、その他の部位には見当たらなく、またも無い。
  7. 鼻孔は、「テレスコーピング現象」というクジラ独自の進化の特徴を獲得したため頭頂部に移動して、呼吸をする事が安易になっている。テレスコーピング現象は、クジラの進化の時系列を、語る上で指針となる特徴でもある。
  8. セミクジラ類やシロイルカなどわずかなものを除き、背びれを持つ。ヒゲクジラでは小さいが、ハクジラ類では大きく発達している。

水中生活への適応

  1. エコーロケーションという超音波を使い情報を知覚し、周辺環境の確認や獲物の採取に役立てているといわれる。また群れの中の意思疎通も、エコーロケーションで行っていると考えられていて、調査研究が進んでいる。具体的な研究結果においては、エコーロケーションにより「レントゲンのように対象物の骨格まで認識しているのではないか」という事や、シャチなどは、群れの生活域の距離が離れていたり、家系の血筋が遠ければ「意思の疎通が難しいのではないか」という事が推論されている。
  2. 摂食から出産・育児も全て水中で行なう。睡眠も水中で取り、研究結果によれば泳ぎながら、右脳左脳を交互に休め睡眠を取っている。
  3. 海には真水が無いうえに、クジラは魚のような塩分を濾過する機能も持っていないため、食物に含まれる水分や乾燥地帯に住むラクダの様に脂肪を燃焼した時の副産物として得られる水分によって補っている。また捕食時に飲み込まれた少量の海水の塩分は、他の哺乳類と比べて発達している腎臓によって尿として排泄される。
  4. 皮膚が乾燥に耐えられない事や、自重により内臓が圧迫され臓器不全を起こす事などから、陸に上がる事は短時間であるか、若しくはまったく出来ない。

哺乳類としての特徴

  1. 陸生哺乳類と同じく鼻孔(噴気孔)を有し、空気呼吸をする。
  2. 体温は魚類のように外海の温度に左右されることなく一定で温血である。(種類により違うが概ね35度~36度)
  3. 普通一子が母体子宮内で成長し、出生後は一定期間母乳で保育される。

ヒゲクジラ亜目及びハクジラ亜目で生態も異なる為、それぞれの項も参照。また、クジラの骨格の特徴について詳しくは鯨骨を参照。

進化

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クジラの祖先は、新生代の始新世初期、南アジアで陸上生活をしていた肉食性哺乳類パキケトゥスの仲間とされている。かつては、暁新世の原始的な有蹄類であるメソニクスとの関係が考えられたが、近年は現在のカバと共通の祖先を有する偶蹄類に起源を求める見解が有力である。当時インド亜大陸がアジア大陸に衝突しつつあって両者の間には、後にヒマラヤ山脈として隆起する浅い海が広がっており、クジラ類の陸から海中への進出は、その環境に適応したものとされる。詳しくは原クジラ亜目を参照。

分布

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クジラには一定の生息場所は無いが、元来は比較的暖海のものと考えられる。それが水温の高低に対して適応範囲が広くなり、かつ食物等の関係で寒冷な極海まで近寄るようになったものと思われる。例えばシロナガスクジラナガスクジライワシクジラ等は世界中の海洋に分布しているが、食物を求める回遊の為南北両極付近に集まるのは有名である。然し南北両半球の鯨が赤道を越えて回遊する事はほとんどない[1]

分類

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1. ホッキョククジラ、 2. シャチ、 3. セミクジラ、 4. マッコウクジラ、 5. イッカク、 6. シロナガスクジラ、 7. ナガスクジラ、 8. シロイルカ

クジラ類は生物分類上はクジラ目に属し、ヒゲクジラ亜目ハクジラ亜目に分けられる。ヒゲクジラ類は濾過摂食に適応し、小魚やプランクトンの様な小型の生物を主に食べるが、ハクジラ類は主に魚類やイカ類を食べる。近年のDNA解析で、クジラはブタウシよりもカバにもっとも近縁であるという説が提示されている。その説と分岐分類学に従い、ローラシア獣上目の下にクジラ目と偶蹄目を合わせた鯨偶蹄目(クジラ・ウシ目)を新設し、それに含むべきという意見もある。

ヒゲクジラ類

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胎生期にはの組織があるが、出生後歯は無く、口蓋に「くじらひげ」が生えて餌を捕らえる役をする。外鼻孔は2個である。現生の種類は3科、6属、10種でほとんど大型のクジラである。

ハクジラ類

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一生の間、必ず歯を持っており、「くじらひげ」は無い。外鼻孔は1個であるが、少し中に入ったところで2道に分かれている。現生の種類は10科、30余属、70余種にのぼる。マッコウクジラ科アカボウクジラ科ゴンドウクジラ属などに属する約20種の他はみな小型で、いわゆるイルカ類といわれている。

鯨と言葉

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由来や鯨や捕鯨に直接関係しない鯨に纏わる言葉(捕鯨に直接係わる言葉は捕鯨を参照ここでは、文化の広がりを示す、比喩や例えや派生を表記する。)また「鯨鯢(けいげい)」という言葉も歴史的にクジラを指す一般的な名称であった。

鯨(クジラ)の由来

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  • 漢字 - 鯨は古来哺乳類ではなく「魚」と思われていたが、大きさが普通ではなかったことから、(兆の万倍の単位、10の16乗)のような計り知れない魚ということで「魚」と「京」をあわせて「鯨」となったという説がある。
  • クジラ - 「日本釈名 中魚」1700年(元禄13年)貝原益軒著や「東雅 十九鱗介」1719年(享保4年)新井白石著によれば「ク」は古語で黒を表し「シラ」は白を表し「黒白」で「クシラ」であった。その後「シ」は「チ」に転じて「クチラ」になり「チ」が「ヂ」に変り「クヂラ」になったと解説している。

単語

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鯨体あるいは鯨肉の本皮(黒い表皮と白い脂肪層)に見立てた黒白のデザインに由来するものが多い。また、鯨の大きさを受けた言葉も多い。  

山鯨(やまくじら)

主にの肉の意味であるが、その他の獣肉(特に野獣)をさす場合もある。

皮鯨(かわくじら)

鯨の背と腹の色の違いを模して器の口が黒くなっていてる茶碗や湯呑などのこと。あるいは鯨肉の本皮の断面を模したともいう。

鯨帯(くじらおび)

昼夜帯という和服の帯で表と裏があり、鯨の背と腹の色の違いを模して鯨帯と呼ばれる。

鯨尺(くじらじゃく)

鯨差しともいい和裁用の物差し。元は鯨の髭から作られていた。

鯨豆腐(くじらとうふ)

豆腐の片面を昆布などで色付けして白黒にした物。

鯨羊羹(くじらようかん)
新富町のくじらようかん

鯨羊羹とは鯨肉の外観を模した和菓子。地域差がある。

鯨餅(くじらもち)

鯨餅とは鯨肉の外観を模した餅菓子。地域差がある。

鯨幕(くじらまく)

黒と白の布を交互に縫い合わせた(主に仏式葬儀の際に用いられる)垂れ幕、鯨帯同様に鯨の体になぞらえて鯨幕と呼ばれる。

鯨百合(くじらゆり)

ユリ根の料理法の一つ。板に薄く伸ばすと形が皮鯨に似るから「鯨百合」の名が付いた。

鯨飲 (げいいん)

がぶがぶとを飲む様。

鯨音(げいおん)
鯨鐘(梵鐘)

 釣鐘の音や音が響き渡る様。鯨吼(げいほう)も同じ意味である。

鯨鯢 (けいげい・げいげい・げいじ)

鯨が雄鯨で鯢が雌鯨をさし、あわせて鯨を意味する。大きな口で小さなや魚を飲み込む様から多数の弱者に被害を与える極悪人またはその首謀者をさし、大きな刑罰や罪人を意味する。

鯨鐘(げいしょう)

梵鐘のことで、別称として他に華鯨、巨鯨などがある。吊り金具の部分(龍頭)が龍を模しているのは、鯨を抑える事が出来るのは以外に無いという説がある。

鯨呑(げいどん)

大きな口で小さな蝦や魚を飲み込む様から強者や覇者が弱者などを取り込む事や強い国や地域が弱い国や地域を吸収合併または、併合する事をさす。

鯨波(とき、げいは)
歌川国芳:宮本武蔵と大鯨と鯨涛

大波や 鬨の声「えいえい おうおう」をあらわす。「とき」という大和言葉に「鯨波・鬨・時」という字が充てられたようで時間や間合いや機会といった意味で使い分けられていたとする説がある(一部の辞書で同じ括りになっている)鯨浪(くじらなみ)鯨涛 (げいとう)も大波を意味する。

鯨鵬 (げいほう)

大きいこと。または、大きいもののたとえ。

すんくじら

鹿児島弁で端や隅の意味。

慣用句

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鯨波の声

上記の鯨波と書いても同じ意味である。ただし上記の鬨が戦いを示すので戦場での大人数の声を表し主に「勝鬨の声」と解釈されることもあるが、鯨吼という言葉との関連や日本の合戦における史実から合戦の合図や大将戦をはじめとする代表戦の名乗りなどという諸説がある。

鯨に鯱(くじらにしゃち)

付きまとう事または、付きまとって相手に被害を与える事。現在なら「ストーカー」とほとんど同意である。

鯨の喧嘩に海老の背が裂ける 

強者の争いに弱者が巻き込まれ被害を受ける事。

鰯網で鯨捕る(いわしあみでくじらとる) 

予想せず大きな獲物や収穫を得ること、思いがけず幸運に恵まれたりすることをさす。同義語で「棚から牡丹餅」などがある。

長鯨の百川を吸うが如し 

大酒のみのことで元は漢詩である。

鯨鯢(けいげい)の顎(あぎと)にかく 

鯨のあごに引っ掛かり飲み込まれそうになったという言葉から、九死に一生を得る様な体験をさす。

虎伏野辺鯨の寄浦(とらふす、のべ。くじらのよる、うら。)

や鯨が出没する様な原野や海がある様な所という言葉から、未開の地をさす。

「クジラ」という言葉の表記の別や時代による移り変わり

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奈良時代(710 - 794年)

  • 万葉集 --- 今の鯨(クジラ)を指すとされる言葉は「イサナ(鯨魚、鯨名、勇魚、不知魚、伊佐魚)」又は「イサ」であり、捕鯨は「イサナトリ」「イサナトル」である。
  • 古事記 --- 「区施羅」クヂラ。
  • 日本書紀 --- 「久治良」クヂラ。記紀共に今の鯨(クジラ)を指すかどうかは諸説ある。

平安時代(794年-1185年)

  • 新撰字鏡 --- オスは「鼇(本来は大亀の意味)」クチラ(久治良)。メスは「鯢」メクチラ(女久治良)。
  • 類聚名義抄 --- オスは「巨京(渠京を略した文字としている)」クヂラ、ヲクヂラ。メスは「鯢」クヂラ、メクヂラ。

その他

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常用漢字表において魚偏(さかなへん)のある文字は「鯨」と「鮮」であるが、(正確には魚ではないにしても)“魚”の種を表す文字は「鯨」だけである。

えびす

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ファイル:Statue of Ebisu the God of Fishermen (Kesen-numa, 2005-07-16).jpg
恵比寿

日本においてクジラは、漁業神や漂着神・「寄り神信仰」として神格化されてきた。また、世界各地でも歴史的に神聖視されたことが、少数例ながらある。

漁業神(えびす)

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鯨は、捕獲の対象であると同時に、信仰の対象ともなってきた。日本では、鯛と釣竿を持つ姿で知られ漁業でもある「恵比寿」との同一視がなされた。由来については諸説あるが、現在でも漁師が、鯨にカツオがつく様子を鯨付きと呼ぶように、魚群の水先案内として鯨類を目印としていて、その魚群を見つけ出す力を神聖視していたためといわれる。東北近畿九州の各地方をはじめ日本各地で、鯨類[2]を「エビス」と呼んでいて、恵比寿の化身や仮の姿と捉えて「神格化」していた。これらはニタリクジラカツオが付いたり、イルカキハダマグロがつくように、鯨類に同じ餌(鰯などの群集性小魚類)を食べる魚が付く生態から生まれた伝承であると考えられ、水産庁加藤秀弘はニタリクジラとカツオの共生関係および、えびす信仰との共通点を指摘している。

アイヌ民族は寄り鯨をもたらすとしてハクジラ(歯鯨)類のシャチを沖の神としており、同様の例として捕鯨地であった石川県の宇出津(うしつ)でも、捕鯨対象の鯨を追い込んでくれるシャチを「神主」と呼んでいた。

漂着神(えびす)

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島嶼部性(とうしょうぶせい)の高い日本において「寄り鯨」・「流れ鯨」[3]と呼ばれた漂着鯨[4]もエビスと呼んで、後述のような資源利用が盛んであり、「寄り神信仰」の起源ともいわれている。特に三浦半島能登半島佐渡島などに顕著に残り、伝承されるている。寄り鯨の到来は、七浦が潤うともいわれ、恵比寿が身を挺して住民に恵みをもたらしてくれたものという理解もされていた。もっとも土地によって逆の解釈もあり、恵比寿である寄り鯨を食べると不漁になるという伝承も存在した。

水神

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本来は海浜地域において海上の安全や大漁祈願などの「漁業の神」として祀っているが、内陸部においても河川水源の近くにある岩や石を鯨と見立てて、鯨石や鯨岩と呼び、治水や水源の「水の神」として祭っている地域も幾つか存在する。

神聖視(日本以外)

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ノルウェーなど北欧でも鯨が魚を追い込んで豊漁をもたらすとの伝承があり、これもイワシクジラにサイ[5]という魚が付き、それを集めるとされている。

ベトナムではクジラのことを cá ông (カー・オン)と呼んで古くから信仰対象としてきた。cá は「魚」の意。修飾語の ông は漢字「翁」に由来し「おじいさん」の意味だが、年長男性一般への敬称としても汎用される言葉。全体として「おやっさん魚」または“Sir fish”(魚卿)とでも言うべき意味になるが、いずれにしても敬意と親愛の情がこめられた呼び名である。

クジラの利用

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鯨骨

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クジラの骨格標本

鯨骨(クジラの骨)は先史時代から世界各地で狩猟具として加工利用されてきた事が、貝塚の発掘から判明しており、日本においては縄文時代弥生時代の遺跡から狩猟具だけでなく、工業製品を加工する作業台や、宗教儀式で使われたと推察される装飾刀剣が発見され、色々な形でクジラの骨の利用がなされてきた。

江戸時代には鯨細工として根付を始め様々な工芸品を生み出し日本の伝統文化として受け継がれている。近代において、マッコウクジラの歯は、象牙などと同様に彫り物などの工芸品に加工されることがある。パイプ印材などに用いられた例がある。

古来からイヌイットは木の育たない環境で生きてきた為、住居の骨組みにクジラの骨を使っている。また近年ではカナダアメリカの先住民であるイヌイットや、ニュージーランドの先住民であるマオリが、歴史的にクジラを利用してきた経緯から、クジラの歯や骨を加工した工芸品を作製している。

イッカクの牙は、中近世では薬として用いられた(ただし、一角獣の角とされ、鯨の歯であることが知られずに使われる事も多かった)。 (詳細は鯨骨を参照

鯨肉

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古くからクジラから採取した肉や皮を食べる習慣がある国や地域が存在する。 日本、インドネシア、フィリピン、ノルウェー、アイスランド、グリーンランド、フェロー諸島、アラスカ、カナダなどであり、民族的・文化的な伝統の食材として、調理法も多岐に渡っている。日本でも多様で高度に洗練された調理法が存在し、和食文化の重要な一部分を占めている。食用部位も赤身の肉のみならず、脂皮や内臓、軟骨など国や地域によって多様である。イギリスやフランスなどの西ヨーロッパでも食用習慣がなかったわけではないが、近海資源の枯渇などから消滅した。(詳細は鯨肉参照

鯨ひげ

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鯨ひげ」はヒゲクジラ類にのみ見られる部位で、上あごの本来が生えるべき部分の皮膚が変化してできたものである。と同じく終始のびつづける特性を持ち、両側あわせて600枚近くになることもある。鯨の髭は捕食の際に歯の代りを行うもので、ヒゲクジラ類は大量の海水とともにを吸いこんだ後、海水だけを吐きだして餌だけを食べるのだが、このときに餌をのなかにとどめておくフィルターの役割を果たすのが髭である。主な餌の違いから、鯨種によって形状・性質はかなり異なる。

クジラのヒゲ

鯨の髭は適度な硬さと柔軟性、軽さを備えており、捕鯨の発達した地域では、プラスチックがなかった時代には工芸などの分野で盛んに用いられた。特にセミクジラのものが長大で柔軟なため珍重された。日本における鯨の髭の利用は釣竿の先端部分、ぜんまいの肩衣を整形するための部品など多岐にわたるが、特に有名なのは呉服ざし(ここからいわゆる「鯨尺」という単位の名が生まれた)と文楽人形の頭を動かすための操作索である。西洋ではコルセットドレスを膨らませるための骨としても用いられた。(詳細は鯨ひげ参照

鯨油

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鯨油はクジラの脂皮や骨などから採取した油であって、シロナガスクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラ等のヒゲクジラ類からとったナガス鯨油と、マッコウクジラ、ツチクジラ等のハクジラ類からとったマッコウ鯨油があるが、単に鯨油といった場合は前者を指すことが多い。

鯨油は古くから灯用、セッケン原料、グリセリン原料、製革工業、減摩剤等に使用されていたが、近年では硬化鯨油として食用油(マーガリン原料など)、化粧品原料などさらに広範囲に利用された。 尚、クジラ一頭から取れる油量はシロナガスクジラで約120バレルである。シロナガスクジラからとれる油量は他のクジラからとれる油量の最小公倍数であった為、捕鯨頭数などはシロナガスに換算して表示された(BWU方式)。(詳細は鯨油参照

その他

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残滓の利用

鯨油の採取後の絞りかすや、食用外の肉などは、肥料用に使用されることがあった。日本では鯨肥と呼ばれた。肉・骨・皮などを煮て石臼などで粉砕したものであり、鰯肥などと同様の海産肥料として使われた。江戸時代から鯨油の絞り粕の再利用等として行われている。ただし鯨油の採取後の絞りかす(油かす)は食用にされることもあった。

明治時代以降に近代捕鯨基地として使われた宮城県牡鹿町鮎川浜(現石巻市)などでは、鯨肥生産が地場産業として栄えていた[6]

食用習慣の無い多くの近代欧米諸国では、採油に向かない赤身の主要な用途であった。同様に飼料用にも用いられたことがある。特に毛皮用のミンクの飼料に多く用いられた。イギリスなどではペットフード用にも用いた。

特別な部位

マッコウクジラ頭部のメロン体周囲の繊維束(千筋)は、テニスラケットのガットに用いられた。メロン体の皮膜は、太平洋戦争中には皮革原料に使用された。マッコウクジラの腸内生成物は竜涎香と称し、香料として珍重された。

一部の部位は薬品類の原料にも用いる。肝臓からは肝油が採取される。脳下垂体膵臓甲状腺などからはホルモン剤が生産されていた。

鯨が食す餌の消費量

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財団法人日本鯨類研究所の計算によると、世界中の鯨が食する餌の消費量は魚、イカなどの軟体動物、オキアミなどの甲殻類を合わせると、2.8~5億トンとされている。これは、世界中の人間の魚の消費量9千万トンの3倍~6倍と計算される。クジラが捕食するバイオマス(生物資源)の量は、捕鯨との関係から議論の対象となっている。

例えば、ヒゲクジラは1年のうち1/4は極地で採餌し、残りの期間は赤道付近で餌を食べずに繁殖を行なうのだが[7]南極で餌をとる南半球のヒゲクジラは主に年間数千万トンの余剰資源がある[8]とされるナンキョクオキアミを主として消費すること、マッコウクジラは主に深海の軟体動物を食べることなど、人間の漁業と間接的にしか競合していない部分の方が遙かに大きい。また、「世界中の鯨」には明らかにイルカなどのハクジラといった捕鯨対象種以外の種を含んでいる。

保護された鯨が増えすぎるという論調が多いが、基本的に南極のクロミンククジラの増加要因が他の鯨の激減によるナンキョクオキアミの余剰分による環境収容力の変化が観測されているのに対し、他の多くの種類においてはそういった要因は確認されていない為[9]、その論調は限りなく疑似科学に近いといわざるを得ない。

食物連鎖の説明の際にクジラやイルカは「生態ピラミッドの頂点」とされるが、正確には頂点にいるのはその下の階層のアザラシなどを捕食するシャチのみであり、他のクジラやイルカは生態系ピラミッドの端から捕食(魚類やイカ類、プランクトンは比較的低い階層にある為)している[10]

その他、捕鯨問題#自然保護問題としてのクジラの鯨食害論も参照。

注記

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  1. ^ ザトウクジラの一部は赤道を越える。
  2. ^ イルカを含め鯨とした。
  3. ^ 「流れ鯨」、「寄り鯨」の意味については捕鯨を参照。
  4. ^ ほかに漂着物や水死体などをも同様の信仰対象とした例がある。詳細はえびす参照。
  5. ^ Sei、スズキ科の魚。イワシクジラの英名のSei Whaleもそれに起因する。なお、北欧の事例については後にはキリスト教と結びつけられて、神が漁獲の助けとしてクジラをもたらしてくれているとの説明が教会関係者によってされたこともあったようである。ある教会関係者は、漁民が争いごとを起すと、神の不興を招いてクジラが助けてくれなくなるとの説明をしているが、一般的理解であったかどうかは不明である。
  6. ^ 鮎川浜の場合、食用に適さないマッコウクジラが対象鯨種であったことなどから食用とされた鯨肉はごく一部であり、余剰鯨肉が生じていた。これらは当初は海洋投棄されていたが、周辺海面を汚染するとして地元漁民の反発を受けたこともあって工業資源化され成功したものである。
  7. ^ ヒゲクジラ亜目#生態参照
  8. ^ ナンキョクオキアミ#地理的分布の「南極圏の生態系における地位」及び「バイオマスおよび生産量」も参照。
  9. ^ クロミンククジラとともに増加例として知られる北アメリカのコククジラは沿岸凄で人間活動の影響を受けやすい事で環境収容力そのものが過去よりも減少していた為、増加の後に餓死している。早い話、際限なく増え続けたりはしない。
  10. ^ 生態ピラミッド#概論も参照。

関連項目

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クジラの生態

クジラの遺骸

鯨の利用

捕鯨