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国鉄セラ1形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国鉄セラ1形貨車
国鉄セラ1形セラ1239九州鉄道記念館
国鉄セラ1形セラ1239九州鉄道記念館
基本情報
車種 石炭車
運用者 日本国有鉄道
所有者 日本国有鉄道
製造所 日本車輌製造汽車製造川崎車輛
製造年 1957年昭和32年) - 1965年(昭和40年)
製造数 1,150両
種車 セム4000形セム4500形セム6000形セム8000形トム11000形トム39000形トム50000形トラ1形トラ4000形トラ6000形
改造数 2,979両
消滅 1986年(昭和61年)
主要諸元
車体色
専用種別 石炭
化成品分類番号 なし
軌間 1,067 mm
全長 6,300 mm
全幅 2,562 mm
全高 3,070 mm
荷重 17 t
実容積 21.1 m3
自重 9.2 t
換算両数 積車 2.6
換算両数 空車 1.0
走り装置 一段リンク式
軸距 3,600 mm
最高速度 65 km/h
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国鉄セラ1形貨車[1](こくてつセラ1がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)で運用されていた石炭車の一形式で、最初で最後の17 t積石炭車である。

1957年昭和32年)から1965年(昭和40年)にかけて4,129両(セラ1 - セラ2350, セラ4000 - セラ5779)が製作され[2]、九州地区の石炭輸送に投入された。九州地区の石炭輸送の終息に伴って、1986年(昭和61年)度までに全車廃車になった[2]

概要

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本形式の構造は、15 t積石炭車セム8000形の構造を踏襲したもので、2つの排出口を有する炭箱を台枠に載せたものである。九州地区用であるため、積荷の取り出し方式は底開き式である。本形式では、セム8000形の炭箱を170 mm高くした炭箱を搭載することにより、同形式より荷重を2 t 増加させた[3]。そして、荷重の変更に対応して、本形式のブレーキ倍率は、セム8000形のものよりわずかに大きくされた[3]。台枠の側梁を強化し、車端部を除いて中梁を省略している。

本形式の登場当時、既に二段リンク式走り装置が実用化されていた。しかし、本形式には、車体の構造上、これが採用できなかったので、旧来の(一段)リンク式走り装置が採用され[4]、最高運転速度は旧来の石炭車同様65 km/hに制限された。そのため、車体色はであるが、1968年(昭和43年)10月ダイヤ改正では、黄1号の帯を側面に標記した。識別のため記号に「ロ」が追加され「セラ」となった。

本形式は、1957年(昭和32年)度に750両、翌1958年(昭和33年)度に400両新製され[5]、九州地区の石炭輸送に使用された。1959年(昭和34年)度以降、従来の15 t 積み石炭車(セム4000形セム4500形セム6000形・セム8000形)2,005両を本形式に改造する工事が行われた[4][6]。工事の内容は、炭箱の継ぎ足しによる容積の拡大とブレーキ装置の一部改造によるブレーキ倍率の変更であった[6]

また、状態不良の二軸無蓋車トム11000形トム39000形トム50000形トラ1形トラ4000形トラ6000形)を本形式に改造する工事も行われ、この工事は、解体した無蓋車の輪軸、担バネ、自動連結器、制御弁、ブレーキシリンダーなどを再利用し、新製した台枠、炭箱、ブレーキ装置と組み合わせるものであった[7]。 同車に車掌室を取り付けた緩急車がセフ1形である。セム6000形等に車掌室を取り付けた緩急車がセムフ1000形であったが、車掌室が非常に狭かった(出入口のドアの幅しかなかった)ので、乗務に支障を来たす恐れがあるとして、広い車掌室を持つセフ1形の新製とセムフ1000形等を改造して増備された。

年度別製造数

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各年度による製造会社(改造所)と両数は次のとおりである。

  • 昭和32年度 - 750両 (新製車)
  • 昭和33年度 - 400両 (新製車)
  • 昭和34年度 - 300両
    • (郡山工場) 100両 セム4000形又はセム4500形よりの改造
    • (鷹取工場) 100両 セム4000形又はセム4500形よりの改造
    • (小倉工場) 100両 セム4000形又はセム4500形よりの改造
  • 昭和35年度 - 250両
    • (鷹取工場) 140両 セム4500形又はセム6000形よりの改造
    • (若松工場) 110両 セム4500形又はセム6000形よりの改造
  • 昭和36年度 - 1,100両
    • (鷹取工場) 150両 セム4500形よりの改造
    • (若松工場) 150両 セム4500形よりの改造
    • (小倉工場) 800両 セム8000形よりの改造
  • 昭和37年度 - 850両
    • (鷹取工場) 200両 無蓋車(12t 長軸使用のもの)よりの改造
    • (若松工場) 150両 無蓋車(12t 長軸使用のもの)よりの改造
    • (小倉工場) 500両 セム8000形よりの改造
  • 昭和38年度 - 100両
    • (小倉工場) 100両 セム8000形よりの改造
  • 昭和40年度 - 379両
    • (?) 379両 セム8000形よりの改造

保存車

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セラ2206

脚注

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  1. ^ 国鉄の規程による正式な称呼は「セラ1形式17トン積石炭車」。貨車技術発達史編纂委員会編著『日本の貨車―技術発達史―』(社団法人日本鉄道車輌工業会、2008年(平成20年)3月31日)p. 80
  2. ^ a b 『日本の貨車』p. 628
  3. ^ a b 『石炭車の歴史』p. 78-79
  4. ^ a b 『日本の貨車』p. 240
  5. ^ 『石炭車の歴史』p. 56
  6. ^ a b 『石炭車の歴史』p. 533
  7. ^ 『石炭車の歴史』p. 546-547

参考文献

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  • 『石炭車の歴史』(日本国有鉄道小倉工場若松車両センター、1980年(昭和55年)3月)
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)