国際GNSS事業
International GNSS Service | |
略称 | IGS |
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設立 | 1994年 |
設立者 | 国際測地学協会 |
種類 | 国際機関 |
目的 | 最高品質なGNSSデータ、成果および役務の提供 |
本部 | アメリカ合衆国 パサデナ |
会員数(2020年) | 350 |
理事長 | Rolf Dach(ベルン大学天文学研究所 (AIUB)) |
中央局長 | Allison Craddock(ジェット推進研究所) |
主要機関 |
理事会 (Governing Board; GB)[1] 中央局 (Central Bureau; CB) |
加盟 | 世界科学データシステム (WDS) |
提携 |
国際測地学・地球物理学連合、国際測地学協会、全球統合測地観測システム (GGOS) 国際学術会議 国際測量者連盟 地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会 (UN-GGIM) 国際連合宇宙局 (UNOOSA)、GNSSに関する国際委員会 (ICG)[2] |
関連組織 |
国際地球回転・基準系事業 ジェット推進研究所 |
ウェブサイト | https://igs.org/ |
かつての呼び名 |
国際GPS事業 国際GPS地球力学事業 |
測地学 | ||||||||||||||||||||||||
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基本 | ||||||||||||||||||||||||
概念 | ||||||||||||||||||||||||
技術 | ||||||||||||||||||||||||
基準(歴史) | ||||||||||||||||||||||||
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国際GNSS事業(こくさいじーえぬえすえすじぎょう、英: International GNSS Service; IGS)は、正確なGNSS成果を生成するために資源と永続的なGNSS観測局データを集積する世界中の多くの機関の自主的な連盟であり、最高精度の国際民間GNSSコミュニティーとも言える[3]。 地球科学の研究等へGNSSデータ、成果および役務を提供するために、1994年に国際測地学協会(IAG)の下に設立された国際協働事業を行う国際機関である。中央局を米国・パサデナのジェット推進研究所に置く。
機能
[編集]地球基準座標系、地球観測および研究、あるいは、科学と社会の利益に資する測位、航法および時間、その他の応用に活用する最高品質のGNSSデータ、成果および役務を、公開を前提に、提供する[4]。
参加機関の国際協力に基づき、全世界のGNSS観測網の維持、データ流通、解析を行い、正確な位置を測るために必要となるGNSS衛星の精密軌道暦、地球回転パラメータ、追跡所の座標および速度、衛星および追跡所の時計情報、天頂方向の対流圏における電波の伝搬遅延の推定、電離層分布などGNSSに関する様々な成果を提供しており、これらの成果は国際地球回転・基準系事業が維持する国際地球基準座標系の改良および拡張、地球変形の監視、地球回転の監視、対流圏および電離圏の監視、科学衛星の軌道決定、その他の地球科学の分析などの取り組みに活用されている[4]。
沿革
[編集]1989年の国際測地学協会 (IAG) 総会(エディンバラ)でGPS観測の標準化、精密軌道暦の作成および地球回転パラメータの決定などを目的とする国際事業を開始することについて議論され[5][6]、1991年には各国の機関に参加を呼びかけて100以上の機関が参加する見込みとなった。同年の国際測地学・地球物理学連合 (IUGG) 第20回総会(ウィーン)で国際GPS地球力学事業(こくさいジーピーエスちきゅうりきがくじぎょう、英: International GPS Geodynamics Serivice; IGS)を設立する計画が提案されてジェット推進研究所 (JPL) を中央局とすることになる[7][8]。その後は活動方針についての議論を深め、1992年6月から9月にかけて活動方針の妥当性を検証するキャンペーンとして国際共同観測が行われた[9]。この成功を受けて1994年1月から国際GPS地球力学事業(英: International GPS Serivice for Geodynamics; IGS)として正式運用を開始した[10][11]。
1999年の国際測地学・地球物理学連合 (IUGG) 第22回総会および国際測地学協会 (IAG) 第22回総会(バーミンガム)では、その名称が国際GPS事業(こくさいジーピーエスじぎょう、英: International GPS Serivice; IGS)、国際GPS機構(こくさいジーピーエスきこう)または国際GPSサービス(こくさいジーピーエスサービス)などと呼ばれるようになる[12][13][14]。
2001年1月1日に国際地球回転事業 (IERS) がその組織を再編して、国際GPS事業 (IGS) は国際地球回転事業 (IERS) の技術センターの一つに位置付けられた[15][16][17]。
2003年の国際測地学・地球物理学連合 (IUGG) 第23回総会および国際測地学協会 (IAG) 第23回総会(札幌市)では、ロシアのGLONASSや欧州連合のGalileoを意識してGNSSという一般名称を使い始め[18]、2005年からGLONASSの精密暦の提供を始め[19]、2007年の国際測地学・地球物理学連合 (IUGG) 第24回総会および国際測地学協会 (IAG) 第24回総会(ペルージャ)では、その名称が国際GNSS事業(英: International GNSS Serivice; IGS)と呼ばれるようになった[20]。
日本の貢献
[編集]国内に存する電子基準点などのGNSS連続観測局を運用して、IGSに対して定常的にGNSSデータを提供しているほか、国土地理院と宇宙航空研究開発機構が共同して、解析センターの一つとして参画し、測位衛星の精密な軌道暦の算出を行っている。
脚注
[編集]- ^ 国土地理院(編)「この間(1月~6月)のできごと」(html)『国土地理院時報』第1995巻第84号、国土地理院、茨城県つくば市、1995年10月1日、ISSN 2436-7370、 オリジナルの2024年5月2日時点におけるアーカイブ、2024年5月16日閲覧。
- ^ International GNSS Service (2020年). “Affiliations + External Relations” (html) (English). International GNSS Service. International GNSS Service. 2024年5月6日閲覧。
- ^ International GNSS Service (2020年). “FAQ - International GNSS Service” (html) (English). International GNSS Service. International GNSS Service. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b International GNSS Service (2020年). “About - International GNSS Service” (html) (English). International GNSS Service. International GNSS Service. 2024年5月6日閲覧。
- ^ 中川一郎「国際測地学協会学術総会(エディンバラ,1989年)の概要」(PDF)『測地学会誌』第35巻第4号、日本測地学会、東京、1989年12月25日、407-411頁、doi:10.11366/sokuchi1954.35.407、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 杉本裕二「国際測地学協会学術総会(エディンバラ,1989年)シンポジウム102"全地球測位システム(GPS)"出席報告」(PDF)『測地学会誌』第35巻第4号、日本測地学会、東京、1989年12月25日、415-417頁、doi:10.11366/sokuchi1954.35.415、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 中川一郎「国際測地学協会第20回総会におけるIAG評議会の概要」(PDF)『測地学会誌』第37巻第3号、日本測地学会、東京、1991年11月25日、257-269頁、doi:10.11366/sokuchi1954.37.257、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 加藤照之「国際測地学協会汎地球測位システム」(PDF)『測地学会誌』第37巻第3号、日本測地学会、東京、1991年11月25日、285-288頁、doi:10.11366/sokuchi1954.37.285、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 瀬川爾朗、中川一郎、田中寅夫、志知龍一、加藤照之、横山紘一、馬場義男、我如古康弘 ほか「地球環境研究における測地学の役割」(PDF)『測地学会誌』第39巻第4号、日本測地学会、東京、1993年9月20日、419-424頁、doi:10.11366/sokuchi1954.39.419、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 瀬川爾朗、田村良明、渋谷和雄、島田誠一、日置幸介、大久保修平、福島登志夫「国際測地学協会学術総会1993(北京)および第12回地球潮汐国際シンポジウム(北京)」(PDF)『測地学会誌』第40巻第1号、日本測地学会、東京、1994年3月25日、89-96頁、doi:10.11366/sokuchi1954.40.89、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 村上亮「GPS精密軌道決定とその新しい応用―国土地理院におけるGPS精密軌道追跡―」(PDF)『測地学会誌』第42巻第1号、日本測地学会、東京、1996年1月31日、1-14頁、doi:10.11366/sokuchi1954.42.1、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 竹本修三、田中寅夫、吉野泰造、日置幸介、福田洋一、黒石裕樹、徐倍亮、藤井陽一郎 ほか「第22回国際測地学・地球物理学連合総会及び第22回国際測地学協会総会報告」(PDF)『測地学会誌』第45巻第4号、日本測地学会、東京、1999年12月25日、255-273頁、doi:10.11366/sokuchi1954.45.255、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 日本測地学会(編)「第14回地球潮汐国際シンポジウム要旨集」(PDF)『測地学会誌』第47巻第1号、日本測地学会、東京、2001年3月25日、583-627頁、doi:10.11366/sokuchi1954.47.583、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 後藤忠広、金子明弘、澁谷靖久、今江理人「4-2 GPS コモンビュー法」(PDF)『通信総合研究所季報』第49巻第1/2号、通信総合研究所、東京都小金井市、2003年3月、111-119頁、doi:10.24812/nictkenkyuhoukoku.49.1.2_111、ISSN 2433-6009、2024年5月16日閲覧。
- ^ 竹本修三、高橋冨士信、黒石裕樹、古屋正人、日置幸介、木股文昭「国際測地学協会学術総会2001(ブダペスト)報告」(PDF)『測地学会誌』第48巻第1号、日本測地学会、東京、2002年3月25日、35-44頁、doi:10.11366/sokuchi1954.48.35、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ Federal Agency for Cartography and Geodesy (2013年). “History of the IERS, 1988 to 2003” (HTML) (English). International Earth Rotation and Reference Systems Service. Organization. International Earth Rotation and Reference Systems Service. 2024年5月3日閲覧。
- ^ Federal Agency for Cartography and Geodesy (2013年). “IERS structure details” (HTML) (English). International Earth Rotation and Reference Systems Service. Organization. International Earth Rotation and Reference Systems Service. 2024年5月3日閲覧。
- ^ 竹本修三、辻宏道、福田洋一、黒石裕樹、徐培亮、田村良明、佐藤忠弘、吉野泰造 ほか「第23回国際測地学・地球物理学連合総会及び第23回国際測地学協会総会報告」(PDF)『測地学会誌』第49巻第4号、日本測地学会、東京、2003年12月25日、269-287頁、doi:10.11366/sokuchi1954.49.269、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
- ^ 川元智司「解説・入門講座 GNSSのGGOSへの貢献と今後の展望」(PDF)『測地学会誌』第63巻第2号、日本測地学会、東京、2018年1月25日、81-94頁、doi:10.11366/sokuchi.63.81、ISSN 2185-517X、2024年5月16日閲覧。
- ^ 大久保修平、島田誠一、福田洋一、田村良明、宗包浩志、鷺谷威「第24回国際測地学・地球物理学連合総会及び第24回国際測地学協会総会報告」(PDF)『測地学会誌』第53巻第3号、日本測地学会、東京、2007年9月28日、207-217頁、doi:10.11366/sokuchi1954.53.207、ISSN 2185-517X、2024年5月3日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- International GNSS Service” (html) (English). International GNSS Service. International GNSS Service. 2024年5月5日閲覧。 International GNSS Service (2020年). “
- 国土地理院 (2024年4月4日). “国際的な測地観測への参画 - 国際GNSS事業(IGS)” (html). 国土地理院. 国土地理院の国際活動. 国土地理院. 2024年5月5日閲覧。